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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

実は地球を支配しているのは彼らじゃないかと思うキノコの神秘に迫ったドキュメンタリー『素晴らしき、きのこの世界』

2021年10月06日 21時47分20秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:64/205
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ドキュメンタリー
キノコ

【あらすじ】
キノコ・菌類は、
食物としてだけでなく、
様々な生命の再生や維持、
アルツハイマーやがんなどの治療、
環境汚染の浄化にまで役立つことから、
地球上の様々な問題へのきのこの応用が今、
期待されている。

本作は幻覚作用をもたらす一方で、
人間の命を救うほどの力も持っていると言われる、
キノコ・菌類の可能性を提示する。
偉大で神秘的なキノコの力を知ることで、
鑑賞後には誰もが未来への希望を感じるはず。

パンデミックを経験し、
希望をなくしがちな今だからこそ、心に響く一作だ。

【感想】
これはメチャクチャ興味深いドキュメンタリーだった!
キノコと言って思いつくのは食べることぐらい。
しかし、彼らの持つ機能はもっと神秘的かつ、
もしかしたら地球を支配しているのは彼らなんじゃないかと思うほど。

キノコは菌類に属するが、
そもそも菌類は現時点で150万種類ある。
そのうちキノコになるのは2万種類ほど。
諸説あるだろうけど、
彼らの注目すべき点は以下の4つだ。

〈驚異の分解パワー〉
キノコの「分解」する力は凄まじい。
自然界においては、枯れた葉や木、動物の死骸など、
いらなくなったものをすべて分解してくれる。
そして、そこからまた新しい命が生まれる。
まさにキノコは命の終わりと始まりを司っている生き物なのだ。
中には油を分解する種類もあり、
原油流出事故の型付けにも使われたりするぐらい、
彼らの分解機能には目を見張るものがある。

〈ネットワーク機能〉
次に、キノコの恐るべき機能はそのネットワークにある。
胞子から発芽すると、
菌糸と呼ばれる糸状のものを伸ばしていく。
それが寄り集まって、
みんなのよく知るキノコの形になる。
地中ではその菌糸がどんどん伸びていて、
例えば森の中だと、
無数のキノコの菌糸が網目状に絡み合う。
まさに脳神経やインターネットのつながりを
可視化したようなイメージ。
一説によると、
その距離は数万キロに及ぶ場合もあるそう。

しかもすごいのが、
森の木々はその菌糸ネットワークを伝って、
同種の木を認識しているらしい。
お互いに養分を送り合ったり、
新芽にはより多くの養分が行くようにしたり、
まさにコミュニケーションを取っているかのよう。
その連絡網の役割を菌糸が果たしている。

〈幻覚作用による人類の進化〉
興味深いことに、
人類の進化にキノコが役立っていたのではないかという話もある。
幻覚作用があるキノコは昔からあって、
それを類人猿が食べた可能性もあるとのこと。
それを食べることで、
共感覚(ある感覚が別の感覚を引き起こすこと)が生まれ、
それが人類の進化を促したとかなんとか。

〈医療にも応用されるキノコ〉
キノコは医療にも使われている。
ペニシリンも元は菌類だし、
幻覚作用のあるマジックマッシュルームに含まれる
シロシビンという成分は、
幸福感をもたらす効能から、
うつ病の治療にも使われているケースもあるとか。

人類が滅亡したら、
地球を支配するのは菌類なのではないかという人もいるほど。
だって、人間は70億人もいるのに、
外からの攻撃にめっぽう弱い。
生身の体では、
自然界においては人間は最弱の部類だと思う。
脳を発達させる代わりに、
武器や防具の類をアウトソーシングしてしまったから。

ところが、菌類はとてつもなくたくましい。
はるか昔、小惑星が地球に衝突し、
自然環境が大きく変わった後も、
地中で菌類は生き続け、
再びこの世界を住みやすい星に変えた。
生物としての存在価値を考えたら、
圧倒的に菌類の方が高そうじゃないか(笑)

鍋に入っているような食材がだよ。
地中において宇宙を感じさせるようなネットワークを張り巡らし、
様々な生命の再生や維持、
病気の治療、
環境汚染の改善に役立っているというのが意外すぎて。

タイムラプスを使って撮影された
キノコの成長過程の映像も美しく、
この映画を観ると、
キノコの見方が変わる。

ちなみに、ナレーションを担当しているのは、
MCUのキャプテン・マーベル役でおなじみのブリー・ラーソン。

映画『素晴らしき、きのこの世界』公式ウェブサイト

2021年9月24日(金)より新宿シネマカリテ・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開|あなたは、まだきのこの偉大さを知らない――。ブ...

映画『素晴らしき、きのこの世界』公式ウェブサイト

 

生活保護をテーマに描かれる温かくも悲しい家族の物語『護られなかった者たちへ』

2021年10月06日 00時33分01秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:66/204
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
サスペンス
殺人事件
東日本大震災
生活保護

【あらすじ】
東日本大震災から10年目の仙台で、
全身を縛られたまま放置され、
"餓死"させられるという不可解な殺人事件が相次いで発生。
被害者はいずれも、誰もが慕う人格者だった。

捜査線上に浮かび上がったのは、
別の事件で服役し、
刑期を終えて出所したばかりの利根(佐藤健)という男。
刑事の笘篠(阿部寛)は、
殺された2人の被害者から共通項を見つけ出し、
利根を追い詰めていくが、
決定的な証拠がつかめないまま、
第3の事件が起きようとしていた――。

なぜ、このような無残な殺し方をしたのか?
利根の過去に何があったのか?

【感想】
中山七里さんの小説が原作の映画。
それは読んでいなかったので、
あの予告に『64-ロクヨン』を撮った瀬々敬久監督だったから、
サスペンス全開なのかと思いきや。
殺人事件はメインではなく、
生活保護をテーマとしたヒューマンドラマだった。
2018年に放送されていた
『健康で文化的な最低限度の生活』
というテレビドラマを思い出す。

ヒューマンドラマ寄りなので、
殺人事件といえども複雑な話ではない。
むしろ、勘のいい人なら、
事件の犯人は途中でわかってしまうかもしれない。
でも、この映画は「犯人が誰か」はあまり重要ではない。
「犯人の動機が何か」というところがポイント。

サスペンス映画だと「動機がイマイチ……」
みたいな話も世の中には多い。
その点、この映画はその動機に至る経緯が濃厚で、
犯人に共感、、、してはいけないけど、
気持ちがとてもよくわかる内容だ。
犯人探しが目的でないからこそ描けるものだと思った。

役所側の葛藤があるのも興味深かった。
震災で家族や友人を失くし、職も失い、
生活保護受給者が急増。
不正受給をする人もいれば、
"スティグマ"と呼ばれる、
生活保護を受けることを恥だと感じ、
必要なのに申請しない人もいる。

役所側だって、
できることなら全員を助けてあげたい。
でも、限られたリソースの中で、
また不正をする人もいる中で、
全員が望む形を実現する難しさも垣間見える。

この映画における殺人事件はひとつの結果でしかなく、
その裏にある温かくも悲しい家族の物語こそが一番観て欲しいところ。
原作者本人が
「事件の犯人はわかっても、物語の犯人は読み終えた後も誰にもわからない、
 現時点での最高傑作です!」
と言うのもうなずける(笑)

映画『護られなかった者たちへ』公式サイト 大ヒット上映中

そして、<10年目の殺人>は起きた――。連続“餓死”殺人事件。異様な事件の裏に隠された、切なすぎる真実とはー

映画『護られなかった者たちへ』公式サイト 大ヒット上映中