Blog of 俺 by 俺 for 俺

自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

ストーリーの起伏は少ないけどやたらとキスが生々しい"花束みたいな恋"だった『明け方の若者たち』

2021年12月31日 17時17分49秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:242/285
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ラブストーリー
ヒューマンドラマ
花束みたいな恋をした

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 カツセマサヒコ『明け方の若者たち』(2020)

【あらすじ】
東京・明大前で開かれた学生最後の退屈な飲み会。
そこで出会った<彼女(黒島結菜)>に、一瞬で恋をした。

下北沢のスズナリで観た舞台、
高円寺で一人暮らしを始めた日、
フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり…。

世界が<彼女>で満たされる一方で、
社会人になった<僕(北村匠海)>は、
"こんなハズじゃなかった人生"に打ちのめされていく。
息の詰まる会社、
夢見た未来とは異なる現実。
夜明けまで飲み明かした時間と親友と彼女だけが、
救いだったあの頃。

でも、僕は最初からわかっていた。
いつか、この時間に終わりがくることを…。

【感想】
2021年最後の映画。
今年の映画締め。
あんまり締まらなかったけど(笑)
ちなみに、原作小説は未読です。

◆花束みたいな、、、恋、、、をした、、、?

スタートは明大前。
偶然飲み会で同席した人に一目惚れ。
サブカルの話なんかしちゃったりして。
そこから始まる幸せな日々。
全体的に『花束みたいな恋をした』を彷彿とさせる物語。

◆果てしなく感じる他人ののろけ

全体の3/4ぐらいは、
僕と彼女ののろけ話。
ちょっと長い。
他人ののろけほど退屈なものはないけれど、
それが延々と続いていくのはちょっと辛かった。

あと、ストーリーの起伏はないのに、
やたらとキスシーンが生々しく、長い。
その割には不自然すぎるベッドシーン(笑)
あのぎこちなさはあえてかな、、、?
それでも飽きずに観れたのは、
「いつこれが壊れるんだろう」という期待から。

◆まさかすぎる破局の設定

意外な設定で訪れた終わり。
初めからわかっていたことだし、
それを知った上での付き合いだったから、
自業自得だよねとしか言いようがないんだけど。
とはいえ、登場人物は20代前半。
もし同じ年頃の自分だったら、
やっぱりびっくりしただろう。
でも、30代半ばも過ぎた年齢からしたら、
「まあ、そういうこともあるよね」って思っちゃった(笑)

◆若者向け、もしくは若い頃を思い出したい人向けの映画

原作者が自分と歳が近いこともあってか、
飲み会の雰囲気や、
若い頃に考えていたことなど、
共感できる部分は多かった。
物語冒頭で、
内定者飲み会みたいなのがあるんだけど、
"電気を通したような広告代理店"の内定者の女の子が、
自分の名刺を持っていたところとか、
「ああ、こういうやついたな」って思ったし(笑)

すごくドラマチックだったり、
ロマンチックな話かと言えば、
そういうのではない。
20代で誰もが感じたようなもどかしさとか、
自分は何にでもなれる気がする感とか、
そういう若い頃あるあるがベース。
そこに、ちょっと訳アリの女の子に引っ掛かって、
勝手に好きになって、
勝手にメンヘラになった<僕>の
“日記”っていう感じがする映画かなあ。

◆そんなわけで

同じような雰囲気の映画だったら、
秀逸なセリフに溢れている
『花束みたいな恋をした』の方が断然面白いとは思う。
この映画は、
恋愛よりも、
自分の人生の振り返り的な側面もあるから、
友達の話として聞くならいいけど、
映画として観ると、
イマイチハマりきれない(笑)


これぞ中国と香港が本気で放つドッカンバトル!『レイジング・ファイア』

2021年12月31日 16時01分37秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:21/284
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】
アクション
刑事
銃撃戦
カーチェイス

【元になった出来事や原作・過去作など】
・なし

【あらすじ】
正義感あふれる警察官チョン(ドニー・イェン)は、
麻薬組織の壊滅作戦中に、
謎の仮面をかぶった集団に仲間を殺されてしまう。

やがてチョンは、
事件の黒幕が3年前に警察組織にハメられ、
投獄された元同僚のンゴウ(ニコラス・ツェー)であることを知る。

チョンは自身にとって弟子のような存在だったンゴウと、
激しい攻防を繰り広げるが……。

【感想】
中国の資本力と香港のカンフーが織り成す
破壊力満点のアクション映画だった!

2021年が始まって2番目に観た映画と、
2021年ラスト前の映画が、
共にドニー・イェン主演の作品ということに
運命を感じる今日この頃(笑)

◆ドニー・イェンだけ動きが違う

話としては刑事モノで、
警察組織にハメられたンゴウの復讐と、
それを阻止しようとするチョンによる対立がメイン。

圧巻の近接戦がウリの映画なんだけど、
やっぱりチョンを演じたドニー・イェンは
もう動きのキレが違う!
『イップ・マン』のように
かっちり型のある動きとは異なるけど、
殴る蹴るだけでなく、
銃やナイフ、棒術まで駆使した
ラストのンゴウとの一騎討ちは、
興奮以外の感情がないぐらいものすごかった。

本人が俳優であると同時に
武術家であるからこそ成せる業だと思うけど、
これは世界が追いつかないわ、、、!

◆ハリウッドもびっくりのカーチェイス

後半のカーチェイスも
『ワイルド・スピード』かってぐらいのド迫力。
ハリウッドのように広い道を走るのではなく、
比較的狭く、
人通りも多い繁華街をビュンビュン走り抜ける!
エンドクレジットでメイキングが少し映されるんだけど、
セットとCGで再現されているようで、
中国映画の資本力の大きさを痛感する。
特に、バイクに乗ったンゴウと車に乗ったチョンが、
並走しながら格闘するシーンなんか、
「人間じゃねぇなコイツら。。。」と思うほど。

◆ンゴウの悲しき運命

ンゴウたちは警察組織にハメられて、
刑務所に入れられてしまい、
人生が狂ってしまった可哀想な設定。
とはいえ、事件関係者を拷問する上で殺してしまったら、
そりゃあハメられたも何も、
殺人はダメだろうと思ったので、
そこはあまり感情移入できず(笑)

ただ、元々チョンとは兄弟のように仲がよかったので、
そんな2人が死闘を繰り広げているのは、
チョンの立場に立つと悲しいかなとは思う。
『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005)の
オビ=ワンとアナキンみたい。

ちなみに、ンゴウを演じたニコラス・ツェーの父であるパトリック・ツェーは、
『少林サッカー』(2001)は敵チームの監督役だった人(笑)

◆そんなわけで

中国映画もアクションがずば抜けてる作品が多い。
韓国映画同様、
振り切ってるところがあるから、
観ていて夢を感じる。
なので、本作もアクション映画好きにはたまらないはず、、、!


 

“音”だけで人命救助を試みるも、まさかすぎる展開に衝撃を受ける『THE GUILTY/ギルティ』

2021年12月30日 23時57分47秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:184/283
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:ー(配信での鑑賞)

【要素】
スリラー
サスペンス
緊急通報電話
警察

【元になった出来事や原作・過去作など】
・映画
 『THE GUILTY/ギルティ』(2018)

【あらすじ】
緊急通報指令室のオペレーターである
ジョー・ベイラー(ジェイク・ギレンホール)は、
ある事情から現場を離れ、緊急司令員として働いていた。

そんなある日、
一本の通報を受ける。
それは、今まさに誘拐されているという
女性自身からの通報だった。

彼に与えられた事件解決の手段は”電話”だけ。
車の発車音、
女性の怯える声、
犯人の息遣いなど、
微かに聞こえる音だけを手がかりに、
“見えない”事件を解決するためにあらゆる策を講じるが……。

【感想】
2018年に公開されたデンマークの同名映画のリメイク作品。
一部劇場でも上映してたけど、
タイミングを逃し、
ネトフリで鑑賞。
内容はオリジナルとほぼ同じなので、
オチを知っている身からしたら、
そこまで目新しさは感じなかった(笑)

◆手がかりは“音”だけ

舞台は緊急通報司令室。
ひっきりなしにコール音が鳴り響き、
本当の緊急事態から、
よくわからない要望まで、
様々な国民の声が届く。

そこにかかってきた、
1人の女性からの電話。
最初は酔っ払いかと思いきや、
何やら様子がおかしい。
どうやら子供と話していることを装って
電話をしてきたようだ。

そこでジョーは気づく。
これは誘拐されたのではないかと。

相手も自由に会話できず、
正確な位置情報もわからない中で、
相手のわずかな声を頼りに少しずつ情報を集め、
関係各所に連絡しつつ、
女性の居場所を突き止めていく過程はスリリング!

最大限に想像力を働かせ、
早急に対応しなくてはならない状況下での
予測不可能な展開はよくできてるなと感じる。
まあ、これはリメイク版ならではなく、
オリジナル版からしてそうなんだけども。

◆オリジナル版との違い

ストーリーはほぼいっしょだけど、
細かな違いがいくつかある。
リメイク版には山火事があって、
警察がそちらに手を取られていたり。
主人公が短気な性格かつぜんそく持ちだったり。
主人公と妻とのやり取りが追加されていたり。
誘拐されたと判断した家族の事情が違ったり。

それらはそれらでよかったんだけど、
総じてオリジナル版の方が面白かったかなあ。
よりダークでシリアスで。
映像も緊急通報指令室しか映っていないから、
"音"の存在が際立つ。

リメイク版はわかりやすすぎて、
想像の余地が減ってしまったのがちょっと残念。

◆そんなわけで

ネトフリにはオリジナル版もリメイク版も両方あるけど、
オリジナル版の方が面白いので、
観るならそっちの方がオススメ。
リメイク版はよくも悪くも
ザ・ハリウッド映画って感じがする(笑)


事実の追求が必ずしも幸福を招くとは限らないことに目頭が熱くなった『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』

2021年12月30日 15時31分22秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:31/282
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】
サスペンス
ヒューマンドラマ
弁護士
法廷

【元になった出来事や原作・過去作など】
・テレビドラマ
 『99.9-刑事専門弁護士-』SEASON I(2016)
 『99.9-刑事専門弁護士-』SEASON II(2018)
『99.9-刑事専門弁護士-』完全新作SP新たな出会い篇~映画公開前夜祭~(2021)

【あらすじ】
常に事実だけを追求し、
99.9%逆転不可能と言われる事件で
無罪を勝ち取ってきた深山(松本潤)。
所属する斑目法律事務所の刑事事件専門ルームは、
新所長となった佐田(香川照之)のもと、
新米弁護士・穂乃果(杉咲花)も加わり、
日々事件に挑み続けていた。

ある日、彼らのもとに舞い込んできたのは、
15年前に起きた天華村毒物ワイン事件に関する依頼。
その事件には、
謎の弁護士・南雲(西島秀俊)と
その娘エリ(蒔田彩珠)が関わっていた。
一見善良そうな南雲だが、
彼は敵なのか、味方なのか?
深山たちは、
村で出会った青年・守(道枝駿佑)の協力も得ながら、
15年前の事件を徹底的に調べることに。

やがてある可能性に行き当たり、
奇跡の大逆転かと思われたが、
それは巧妙に仕掛けられた罠だった…。
事実だけを追求してきたはずの深山が、
まさかの冤罪を生んでしまうことに!?
斑目法律事務所に訪れた最大のピンチ!

果たして深山たちは、
0.1%の事実にたどり着くことができるのか――?

【感想】
テレビドラマシリーズから好きだったけど、
安定の面白さは劇場版でも健在!
笑いと涙のリーガルエンターテインメント!

◆スペシャルドラマを観ている前提

今回の劇場版に先立ち、
2021年12月29日(水)にスペシャルドラマが放送されていたけど、
これを観ておいた方がいいっていう(笑)
ストーリー自体のつながりはないけど、
今回出てくる南雲と穂乃果は、
そのスペシャルドラマからの参戦。
一応、映画本編の前に簡単なおさらいはあるんだけど、
劇中でもスペシャルドラマの映像が使われているし、
2人の人となりを知る上でも、
スペシャルドラマは観ておいた方がいいかな。
TverまたはParaviにあるよ!(宣伝w)

◆善悪よりも感情よりも、とにかく事実の積み重ね

このシリーズで特徴的なのは、
主人公である深山のキャラクター。
刑事事件だと被害者と加害者がいる時点で、
善悪や感情が先行してしまいそうだけど、
そこを抑えて、
"事実"のみを追求していくこだわりが彼の魅力。
本作でもその性格は如何なく発揮され、
事件当日の状況を知るために大がかりな再現も行う場面も。
事実の積み重ねから導き出される真実に、
反論の余地はない。

自分も昨年、
裁判員の経験をして思うのだけど、
この"事実の積み重ね"は現実でこそ重要だと感じる。
裁判員は被害者や加害者に話を聞けず、
提示された証拠のみから意志決定をしなくてはならない。
その証拠が示す事実を組み合わせて決断を下すというのは、
深山先生のやっていることそのまんまだった。

◆巧妙に仕掛けられた罠とその真相

今回は死刑執行された案件の再捜査がメイン。
15年前の出来事なのに、
事件関係者はよく覚えてるなというツッコミはあるものの、
些細なヒントから事実を寄せ集め、
事件の核心に迫っていく流れは面白い。
しかも、途中で起こる"ある出来事"によって、
深山たちは冤罪につながる重大なミスを犯してしまう!
テレビドラマでもなかったようなドラマチックな展開と、
事件の真相を知ったときのショックは、
映画ならではの大スペクタクル!
過去のキャラクターも勢ぞろいで、
その掛け合いも笑えるし、
とても楽しめる作品だった。

◆そんなわけで

僕はテレビドラマシリーズをずっと観てきて、
しかも好きだったからこそ、
より面白いと感じられたってのはある。
でも、真実に近づくほど興奮できるし、
出てくるキャラクターもおかしいし、
初見でも十分に楽しめる映画だと思うのでオススメしたい。


ブヒブヒブヒヒ。豚をメインとして動物たちと同じ目線で彼らの日常を切り取った『GUNDA/グンダ』

2021年12月30日 01時33分40秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:155/281
   ストーリー:ー(ストーリーなし)
  キャラクター:ー(人格あるキャラなし)
      映像:★★★★☆
      音楽:ー(BGMなし)
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
ドキュメンタリー
農場
動物



ナショナルジオグラフィック

【元になった出来事や原作・過去作など】
・なし

【あらすじ】
ある農場で暮らす母ブタGUNDA。
生まれたばかりの子ブタたちが、
必死に立ち上がり乳を求める。
一本脚で力強く地面を踏み締めるニワトリ。
大地を駆け抜けるウシの群れ。

迫力の立体音響で覗き見るその深遠なる世界には、
ナレーションや人口の音楽は一切ない。
研ぎ澄まされたモノクロームの映像は本質に宿る美に迫り、
驚異的なカメラワークは躍動感あふれる生命の鼓動を捉える。

ただ、そこで暮らす生き物たちの息吹に耳を傾けると、
誰も気に留めないようなその場所が、
突如“無限の宇宙”に変わる――。

誰も観たことのない映像体験が待ち受ける。

【感想】
農場を舞台にしたドキュメンタリー映画。
動物たちの息遣いが聞こえてくる距離感。
こういう映画こそ、
IMAXやVRでやるべきかと思う。

◆映像だけに特化した作り

このドキュメンタリー映画には、
ナレーションはない。
むしろ、人間は一切出てこない。
起承転結の物語もなければ、
字幕もないし、
BGMもない。

あるのは、
モノクロの映像と、
自然の音だけ。

母ブタと子ブタの日常を映し出しただけの、
シンプルゆえのメッセージ性の強い作品。
だからこそ、映画館で観るべき映画。

◆子ブタがかわいい

冒頭は子ブタの出産から始まる。
生まれてすぐ母ブタの乳を吸う姿に、
生きようとする生命の力強さを感じる。
ブヒブヒ言いながら、
兄弟たちと競い合うように乳に群がる姿に癒される。

◆脅威のカメラワーク

この映像のすごいところは、
動物たちとの距離感だ。
かなり近づいて撮っていると思うんだけど、
動物たちがまったく警戒していない。
気にすら留めていない。
完全に自然と一体化しているかのようで、
まるで自分たちがその農場にいるかのような錯覚さえ起きる。
動物の目線で見た日常がそこにはある。

人によってはかなり退屈かもしれないけど、
自然や動物が好きな人なら、
ずっと観ていられるはず。

◆母ブタへの感情移入

締めくくりは心が痛む。
気づいたら大きくなってる子ブタたち。
用途は不明だけど、
突然母ブタから引き離され、
トラックで連れて行かれてしまう。

呆然と立ち尽くす母ブタ。
何が起きたのか理解できていない様子。
辺りをくるくる周り、
立ち止まり、
また歩き出す。
それが20分近くも続く。

状況は把握できていないものの、
自分の子供がいなくなったことだけはわかっているようだった。
豚の脳がどこまで認知できるのか、
感情があるのかはわからないけど、
人間の目を通して見ると、
突然訪れた悲劇に成す術なく、
ひたすらうろつくしかできないように見えた。

◆そんなわけで

『ナショナルジオグラフィック』とか好きな人ならハマるかも。
モノクロだけど、
外に出づらい雰囲気の今、
動物や自然の映像を観たいときにはちょうどいいかも。


運命に翻弄された究極の美少年の知られざる真実に迫った『世界で一番美しい少年』

2021年12月30日 00時53分34秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:62/280
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
ドキュメンタリー
美少年

【元になった出来事や原作・過去作など】
・人物(俳優、ミュージシャン)
 ビョルン・アンドレセン(1955~)

【あらすじ】
"世界で一番美しい少年"と称賛され、
一大センセーションを巻き起こした少年がいた。
巨匠ルキノ・ヴィスコンティに見出されて、
映画『ベニスに死す』(1971)に出演、
美少年タジオ役の崇高な美しさで
世界を陶酔させたビョルン・アンドレセン。

来日時には詰めかけたファンたちの熱狂で迎えられたが、
その瞳には憂いと恐れ、
生い立ちの秘密が隠されていた。

そして約50年後。
伝説のアイコンは、
『ミッドサマー』(2019)の老人ダン役となって私たちの前に現れ、
話題となる。

彼の人生に何があったのか。
『ベニスに死す』に隠された真実。
"世界で一番美しい少年"が見た天国と地獄。
50年の時を経て、
今、すべてが明かされる――。

【感想】
全人類がジャガイモに見えてしまうほどの美少年 of 美少年。
『ベニスに死す』(1971)を観たことある人ならわかるだろう、
あのビョルン・アンドレセンの美しさが。
僕の中では彼と、
若い頃のアラン・ドロン、
幼い頃のエドワード・ファーロングが、
世界三大美男子だと思ってる(笑)

◆その美しさはまさに特級並み

冒頭、『ベニスに死す』のオーディションシーンが映し出される。
ルキノ・ヴィスコンティ監督は、
とにかく美しい男の子を探してヨーロッパ中をまわっていた。

オーディションに来ている子は
みんな美少年ばかり。
雪のような白い肌に、
金色に輝くブロンドヘア。
日本人が束になっても敵わないようなかわいさ(笑)
そこに現れたビョルン・アンドレセン。
これが圧倒的な顔面戦闘力。
ああ、美しい男の子ってこういうことを言うのかと、
スクリーン越しにも見惚れちゃうほど。
もはや、セクシャルもエロティックも性別も、
すべてを超越してた。

ちなみに、『ベニスの商人』では監督を含めて、
スタッフのほとんどがゲイだったようで、
「ビョルンを見るのは禁止」という決まりもあったらしい。

彼の美しさはいろんな人にインスピレーションを与え、
『ベルサイユのばら』のオスカルも実は彼がモデル。

◆本人の意志とは関係なく事が進んでいく

『ベニスの商人』がヒットしてから、
彼の運命は大きく変わる。
世界中にその名を轟かせ、
日本にも来日。
空港で黄色い声援を浴びながら、
番組やCMに引っぱりだこ。

こう言ってはなんだけど、
意味不明なCMソングを歌わせられ(しかも日本語で!)、
レコードまで発売。
「この美しい顔に何させとんじゃ!」と思ったけど(笑)

ただ、ビョルン本人はまったく状況を理解しておらず、
言われたことを言われたままこなすのみ。
まわりからの人気と
自分の中での実感値がまったくリンクしないので、
不安しかなかったそうだ。

ヴィスコンティ監督には
パリのゲイ・コミュニティに連れて行かれたり、
日本に来てからは連日のハードスケジュールをこなすために
薬物を飲まされたりと、
かなり大人に操られていた。

◆知られざるプライベート

幸い仕事には恵まれたものの、
父親は現在に至るまで誰かわからず、
母親も自殺、
祖母に育てられてきた。
彼の美しいながらもどこか影のある雰囲気というのは、
そういう環境も関係しているのかも、、、?
さらに、自身も第二子である長男を失っており、
酒に溺れた経緯もあると話していた。

今は恋人と暮らしているものの、
家事に疎いのかちょっとだらしない生活が目立つ(笑)

◆そんなわけで

「世界一の美少年」として一世を風靡したビョルン・アンドレセン。
誰もが羨む美貌とキャリアを持っていたけど、
すべてはまわりの大人たちが騒いでいただけで、
本人の意志はそこにはなかった。
彼の生き様と苦悩を知れる
いいドキュメンタリー映画なのでオススメ。




"乙骨憂太"と書いて"碇シンジ"と読んだ『劇場版 呪術廻戦 0』

2021年12月29日 11時39分03秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:27/279
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】
週刊少年ジャンプ
アニメ
アクション

【元になった出来事や原作・過去作など】
・漫画
 芥見下々『呪術廻戦』(2018~)
 芥見下々『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』(2018)

・テレビアニメ
 『呪術廻戦』(2020〜2021)

【あらすじ】
幼少の頃、
幼なじみの祈本里香を交通事故により
目の前で失った乙骨憂太。

「約束だよ。里香と憂太は大人になったら結婚するの」

怨霊と化した里香の呪いに苦しみ、
自身の死を望む乙骨だったが、
最強の呪術師・五条悟によって、
呪術高専に迎え入れられた。
そして、同級生の禪院真希、狗巻棘、パンダと出会い、
乙骨はある決意をする。

「生きてていいって自信が欲しいんだ」
「僕は呪術高専で里香ちゃんの呪いを解きます」

一方、乙骨たちの前に、
かつて一般人を大量虐殺し、
高専を追放された最悪の呪詛師である
夏油傑が現れる。

「来たる12月24日、我々は百鬼夜行を行う」

呪術師だけの楽園を標榜する夏油は、
非術師を殲滅させんと、
ついに新宿・京都に千の呪いを放つ。

果たして、乙骨は夏油を止められるのか。
そして、里香の解呪の行方は……。

【感想】
今、週刊少年ジャンプで大人気の『呪術廻戦』の初の映画化。
ちゃんと原作漫画を読んでからの鑑賞。
面白い、面白いよ。
もし自分が小学生だったら、
今の5億倍はハマってたと思う。
今の子供たちにとってこの漫画は、
かつての自分にとっての『ドラゴンボール』足りえる、
そんなポジションかも。

◆碇、、、くん、、、?

話としては、本編の前日譚。
本編でもちょいちょい名前が挙がっていた
乙骨憂太が主人公。
予告で声を聞いたときに感じたけど、
「碇シンジじゃん」って(笑)

髪型や顔も近からずとも遠からず、
服装も白のトップスに黒いズボン。
さらに、当初の弱々しい雰囲気や
テンションが低いところに加えて、
あの声。
このままエヴァに乗っても
あんまり違和感なさそう(笑)

ただ、終盤はしっかり乙骨くんでした。
「誰かに必要とされて、生きてていいって自身が欲しい」
そんな彼の願いを叶えてくれる仲間たちを助けるために、
自己犠牲を厭わず、
里香の力を解放して、
夏油に真っ向からぶつかっていく姿は、
やっぱりジャンプ漫画の主人公。

◆サブキャラも集結

基本は原作漫画に忠実。
でも、新宿と京都で行われた百鬼夜行のシーンは、
映画ならではの演出が多い。
バトルシーンがより増えているだけでなく、
七海や冥冥、
京都メンバーも出てきて、
原作漫画を読んでいる人からしたら、
かなり興奮できるシーン!
そういえば、冥冥の声は三石琴乃、
ミゲルの声は山寺宏一なので、
こっちにも『エヴァ』感はあるんだけど(笑)

◆細分化・複雑化したように感じるジャンプ漫画

『呪術廻戦』に限った話ではないけど、
『ドラゴンボール』の時代と比べると、
根底にあるものは変わっていないものの、
世界観やキャラクターの設定は小難しくなってきたと感じる。
敵側にも主義や思想があり、
己の正義のために戦うことが増えてきた。
フリーザなんて、
星を安く売って高く売ることが本業なのに、
漫画の中ではそんな設定は活かされず、
ただただボコスカ戦ってただけだから(笑)
ジャンプ漫画、そんなに読んでないけど、
こういうのは『BLEACH』や『NARUTO』から顕著になったイメージ。

キャラクターもかなり役割が細分化されている。
特殊能力の種類が増え、
それぞれに得手不得手がある。
近接戦が得意なキャラと、
遠距離攻撃が得意なキャラも分かれている。
こういうのは『ジョジョ』の第3部で
スタンドが出てきたあたりから変わってきた、、、?

関係ないけど、
焼肉もまるっとカルビなのを細かく分けて、
希少部位として名称変えて売ってるところもよく見かける。

サイヤ人たちが、
格闘や飛び道具を全部ひとりでやり切っていたことを踏まえると、
差別化のためには役割を分散させた方がてっとり早いのかも。

必殺技に至っては、
見た目はただのエネルギー弾でも、
五条悟の放つやつは"無下限呪術"といって、
細かな設定がある。
「気や霊力を操る」だけだった頃とはかなり違う(笑)

◆そんなわけで

前日譚ってことで、
本編を観ていなくても話はわかるけど、
結局、本編に出てくるキャラクターがたくさんいるので、
やっぱり原作漫画かアニメを観てから
この映画を観る方がよいかと!
 

子供がいる親はショックを受けてしまいそう。児童相談所を題材にした今年一番心が痛んだ『189』

2021年12月28日 22時48分47秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:115/278
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ヒューマンドラマ
児童相談所
児童虐待

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
児童相談所の虐待対策班で働く
新人児童福祉司の坂本大河(中山優馬)は、
ある日、シングルマザーの母親に虐待され、
一時保護所にいた4歳の藤沢芽衣を母親の元に帰す現場に立ち会う。

翌日、大河は芽衣が亡くなったと知らされ、
ショックを受ける。
上司の安川(前川泰之)から休養を取るように言われる大河だが、
生前の芽衣が「家に帰りたくない!」と訴えていた姿を思い出し、
苦悩した末、
辞表を手に職場へ向かう。

ちょうどそのとき、
父親にひどい虐待を受け、
病院に搬送された
6歳の増田星羅(太田結乃)の元へ向かってもらえないかと、
職場から電話が入る。

病院で面会した大河に星羅は、
「いまのパパはいらない……家に帰りたくない」と告白。
父親の勝一(吉沢悠)は、
星羅の傷は「娘が自分でやったこと」と虐待を否定。

医師から、
星羅の傷は虐待によるものである可能性が高い
と聞かされた大河は、
星羅を一時保護所に預け、
弁護士の秋庭詩音(夏菜)と共に、
虐待の事実を立証し、
勝一と妻の典子(灯敦生)の親権を
停止にできないかと奔走するのだが……。

【感想】
これは、、、
非常に重い映画だった。。。
児童虐待。
ニュースで報道されるたびに心が痛む。。。
この映画は、
そんな児童虐待から子供たちを守る
児童相談所の人々に焦点を当てた作品。

◆垣間見える児童相談所の現実

救えなかった子供たちの命に対して、
「児相は何をしているんだ」という声を聞く。
とはいえ、実際は難しい問題だなとこの映画を観て思う。
案件数に対して職員が少なく、
ひとつのケースに付きっきりというのは
なかなか現実的ではない。
特に地方はその傾向が顕著で、
十分な対応が行き届いていないことも。

さらに、被害が見えづらく、
子供たちが自分で訴えることもできない。
両方の親から虐待を受けていれば、
より被害は隠されてしまうし、
加害者が片方の親のみだとしても、
もう片方の親がDVなどで支配されている場合は、
助けようにも助けられないこともある。

また、欧米ではいろいろシステム化されていて、
児童虐待の情報共有にかかるコストが大幅に減らせているようだけど、
日本ではまだまだ未整備で、
苦労している場面があったのも、
現状を知る上で有意義だなと思った。

◆吉沢悠の怪演が怖い

吉沢悠(改名して、今は"ひさし"と読む)と言えば、
昔はけっこう好青年の役が多かったイメージ。
ところが、本作では一転して、
妻や子供に平気で暴力を振るうヤバい父親の役だ。
殴る蹴るだけでなく、
熱湯をかけたり、
タバコの火を押し付けたりと、
傷害罪で逮捕されてもおかしくないレベルのことを、
6歳の娘に日常的に行っている。
それも「社会に出たときに娘が困らないようにするための躾」と言い張り、
妻には「おまえが無能だからいけない。反省文を書け」と、
暴力と恐怖で家庭を支配する始末。

なぜ彼は虐待を繰り返すのか。
作中で明言はされていないけど、
物語の終盤でそれとなくわかるシーンがある。
千葉の家に引っ越したとき、
彼のいる部屋の壁に注目すると、
理由が見えてくるかと。

◆主人公・坂本のひたむきな姿勢に心救われる

そんな中、新人の坂本は、
小さな命を救おうと必死だ。
職員の中には、
「リソースは限られてるんだから、そこそこでいいよ」
と惰性で仕事をする人もいる中、
「子供の未来を考えられないやつは、この仕事をするな!」
と言い張り、
まるで刑事のような動きで、
いなくなった増田一家を追うシーンはとても印象的だった。

演じた中山優馬って、
そういえばジャニーズだったなと思いつつも、
いい意味でジャニーズ感ない雰囲気と演技力で、
際立つ存在感を放っているのがよかったなあ。

◆そんなわけで

少なくとも自分の身近にはこういう人はいないと信じたいけれど、
世の中には虐待に苦しむ子供は多い。
そういった現実を、
ストーリー仕立てて観られるのはいい体験だと思うので、
子供がいる親御さんは、
特に観てもいいんじゃないかなって思う映画でした。
ものすごくショッキングだとは思うけど。

ちなみに、189は「いちはやく」と読みます。

 

優しすぎて自己主張ができないお父さんの姿にほっこりする『私はいったい、何と闘っているのか』

2021年12月28日 21時13分12秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:230/277
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【要素】
コメディ
ヒューマンドラマ
ファミリー

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 つぶやきシロー『私はいったい、何と闘っているのか』(2016)

【あらすじ】
伊澤春男(安田顕)・45歳は、
地元で愛されるスーパー”ウメヤ”の万年主任。
個性あふれる部下たちにも恵まれ、
日々楽しく働いている。
一方で家に帰れば、
しっかり者の妻や子供たちに囲まれ、
5人家族の父親という典型的なマイホームパパ。

しかし、一見平凡そうに見える春男の脳内は毎日が戦場だった!
24時間忙しいその頭の中は休まるヒマがなく、
仕事でも家庭でも常に空気を読みムダに気を遣いまくるが、
よかれと思ってやったことがことごとく裏目に出てしまう。

「俺の人生はいつもこうだ。
 俺は…いったい“何と闘っているのか”」

そんなある日、
“ウメヤ“の店長が急死し、
新しい店長が必要となる。
次の店長候補として、
すっかりその気になる春男だったが、
実際に任命されたのは、
本部からやって来た
明らかに年下でやる気なさげな西口(田村健太郎)。
春男は急ごしらえ感の否めない
“副店長”の座に収まることに…。

日々の苦難を乗り越えながら、
ついに新店長という嬉しい打診が舞い込んでくるのだが……。

【感想】
原作小説は読んでないけど、
ちょいちょい笑える映画。
世の闘うお父さんたちは共感、、、
できるのかな?(笑)

◆安田顕の平凡なお父さん感がハマりすぎ

春男は昼間はスーパーの主任、
家に帰れば5人家族の大黒柱、
いわゆる“フツーのお父さん”。
演じたのは安田顕だけど、
この平凡な役どころがメチャクチャ似合ってる(笑)

しかも春男は、
思ったことはなかなか口にできない性格。
スーパーでも家でも、
常にいろいろ考え、
まわりに言いたいことはあるものの、
それらはすべて“心の声”として処理され、
口から出る言葉はほぼない。

小心者なのか、
衝突を恐れているのか、
とにかく空気を読みすぎて、
基本は黙っていることが多い。
その割に心の声はやかましい(笑)
黙っている人ほど、
言いたいことは多いという典型的なパターン。

◆意外とワケありな過去

平凡で多くを語らない人物として描かれている春男だけど、
実は家族構成に秘められた過去がある。
勤務先でのスーパーの話はコメディ寄りな一方、
その家族に関わる話はヒューマンドラマ寄りで、
なかなかに感動的なエピソード。

いつも肝心なところで黙ってしまう春男だけど、
優しく、芯のしっかりしていることが垣間見える家族の物語を見て、
春男のキャラクターの好感度は爆上がり。

とはいえ、家族の話は唐突にやってくるので、
イマイチ入り込めない感じがする。

◆そんなわけで

笑いと涙で攻めてくる映画ではあるけど、
ちょっと間延びしてる印象も受けるから、
個人的にはあまりハマれず。
ほっこりするファミリー映画が観たければいいかも。

 

アメリカのブラックジョーク全開の彗星衝突コメディ『ドント・ルック・アップ』

2021年12月28日 20時50分34秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:57/276
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
ブラックコメディ
彗星衝突

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
落ちこぼれ気味の天文学者
ランドール・ミンディ教授(レオナルド・ディカプリオ)はある日、
教え子の大学院生ケイト(ジェニファー・ローレンス)と共に、
地球に衝突する恐れがある巨大彗星の存在を発見する。

世界中の人々に迫りくる危機を知らせようと躍起になる2人。
仲間の協力も得て、
オーリアン大統領(メリル・ストリープ)と
その息子で大統領補佐官のジェイソン(ジョナ・ヒル)と
対面する機会を得たり、
陽気な朝のテレビ番組『デイリー・リップ』に出演したりと、
熱心に危機を訴えてまわる。

しかし、人類への警告は至難の業で、
空回りしてばかり。
そのうちに事態は思わぬ方向へと転がっていき……。

【感想】
彗星衝突というからパニック映画かと思いきや、
まさかのブラックコメディ。
監督のアダム・マッケイは、
過去に『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)や、
『バイス』(2018)など、
コメディ調ながらも金融や政治に寄った作品だったので、
個人的にあまりハマらなかったのだけど、
この映画は純粋に楽しめた。

◆豪華すぎるキャスト

まず目につくのは、
豪華なキャスト陣。
メインはレオナルド・ディカプリオとジェニファー・ローレンスだけど、
その脇を固めるのもこれまた有名すぎる人たち。
大統領役はメリル・ストリープ。
朝の情報番組の司会役にケイト・ブランシェット。
歌手役にアリアナ・グランデ。
スケボー青年にティモシー・シャラメ。
さらに、ノンクレジットだけど、
作中で話題になる映画の監督役にクリス・エヴァンス。

普通の劇場公開用映画でもなかなか揃わなそうなメンツなのに、
ネットフリックス恐るべし、、、!

◆痛快なブラックコメディだけど、ノリはザ・アメリカ的

彗星衝突の映画といえば、
『ディープ・インパクト』(1998)と
『アルマゲドン』(1998)が僕の中では2強で、
いずれも彗星衝突を回避しようとする感動作。

一方でこの映画では、
科学者2人が彗星衝突の危機を必死に伝えようと奔走するも、
まわりがまったく取り合ってくれないばかりか、
大統領ですら国民を守る責務を果たそうとせず、
回避策がまったく立たないどうしようもなさを笑う話だった。

地球存亡の危機に立たされながらも、
みんな自分のことしか考えない、
ある意味“人間らしい部分”を面白おかしく描いていて、
ただのパニック映画に終始しそうなシチュエーションを、
ここまでユーモラスな形にできるのがすごい。

ただ、笑いのツボは完全にアメリカ人用なので、
「ここは笑うところなんだろうな」と頭ではわかっても、
すべてのポイントで笑うことはできなかった(笑)
とはいえ、日本人でも普通に笑えるところもあるので、
気軽に観れる点はよかったかも。

◆そんなわけで

一部の劇場では上映してるけど、
ネトフリでも配信している本作。
全体的に軽快なノリで観れるし、
話もわかりやすいので、
年末年始のお供にちょうどよいかと!

 

33歳の若さで亡くなったハリウッドの人気俳優の浮き沈みを描いた『BELUSHI ベルーシ』

2021年12月28日 08時59分03秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:176/275
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ドキュメンタリー
俳優
コメディアン
ミュージシャン

【元になった出来事や原作・過去作など】
・人物(俳優、コメディアン、ミュージシャン)
 ジョン・ベルーシ(1949〜1982)

【あらすじ】
コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』、
そこから派生した映画『ブルース・ブラザース』(1980)のジェイク役など、
破天荒だが憎めないキャラクターで
多くの人に笑いを与えた故ジョン・ベルーシ。

本作は、アメリカ・イリノイ州で育った幼少期から、
コメディアン、ミュージシャン、俳優として成功を収めるも、
人気絶頂の1982年に33歳という若さで、
薬物の過剰摂取により亡くなるまで、
アメリカン・コメディ界で輝き続けた天才ベルーシの、
嵐のように駆け抜けた短くも強烈な生涯を、
愛ある目線で辿っていくドキュメンタリー。

【感想】
僕が生まれる前に亡くなってしまったジョン・ベルーシ。
一番印象に残る作品は、
やはり『ブルース・ブラザーズ』(1980)かな。
これは、彼の知られざる生き様が知ることができる
貴重なドキュメンタリー映画だった。

◆アルバニア系の移民の子供

ジョン・ベルーシの家族はアルバニアからの移民。
日本人からしたら、
見た目でまるっと「外人」で括ってしまいそうだけど、
彼は強く移民の子というのを意識していたそうで、
友達ができても家には絶対入れなかったとか。
共働きの両親に代わって、
祖母から溺愛されていたそうだけど、
そんな祖母も英語は話さなかったそう。

◆幼少期から見せていたコメディアンの才能

幼い頃はコメディのレコードを繰り返し聞いては、
他人の家でショーを披露するなど、
人を笑わせることが好きだったとのこと。
小さい頃に好きでやっていたことが、
その後のキャリアを決めるという、
ある意味恵まれた人生とも言えそう。

高校時代はアメフトをやっていたものの、
大学中退後は劇団で活躍。
まわりの人いわく、
「彼が出るだけで笑いが取れる」ほどの人気っぷりだったとか。
幼い頃から好きでやっていたことで評価されるなら、
こんな幸せなことはないよなあ。

◆1975年に始まった『サタデー・ナイト・ライブ』が転機

これまでずっと自分が一番、
自分がボスだったジョンも、
ここではチェビー・チェイスの方が出番も多く、
人気もあり、
いろいろ思い悩んでいたそう。
天才だからといって、
常に順風満帆ではなかったようだ。

ただ、そこで披露したサムライネタがウケて、
ジョンの人気も徐々に上がっていったそうな。
かなり、ステレオタイプな日本人を演じていて、
今だったら非難されそうなネタだったけど、
元は三船敏郎に触発されたとのこと。
「世界のミフネ」の影響力の大きさたるや。

◆悩まされる薬物問題

人気になるに連れて、
ジョンは薬物に手を出すようになる。
もともとかなりバイタリティもあり、
様々なメディアで活躍し、
大暴れする芸風だったものが、
よりパワーアップすることに。
地位と名声が手に入ると、
その分プレッシャーもあるし、
自分本位になってしまうこともあるのかなあ。

一時期は薬からも離れた時期もあったらしいけど、
結局コカインとヘロインを併用し、
最後は過剰摂取で33歳の若さでこの世を去ってしまった。

◆無尽蔵のバイタリティ

ジョン・ベルーシは薬物問題もあり、
途中からいろいろ制御が効かなくなってきたようだけど、
基本的には誰からも愛される人柄だったよう。
なんか、見た目からしてかわいがられそうな感じはするよね。
いい意味で、
「彼なら許される」ってぐらい愛されていたことが、
まわりのインタビューから伝わってきた。

さらに、彼は常に「どうしたら人々が喜んでくれるか」を考え、
役者にコメディアンにミュージシャンにと、
幅広く活躍していた。
それらを全部こなすには、
相当の体力が必要だったことは想像に難くないけど、
それを実行に移せる行動力とバイタリティがハンパない。

彼は言っていた。
「人生で学んだことを繰り返しているだけ」だと。
あまり意識して演じているわけではなかったのかも。
それこそ天職だったんだろうな、
ショービズの仕事が。

◆そんなわけで

ジョン・ベルーシ自身は知らなくとも、
ハリウッドで名を轟かせた人物の生き様は、
何かしらの生きるヒントに繋がるかも?



ラスト1分にならないと何もわからず、わかった頃にはお話が終わってるという手遅れ感ある『雨とあなたの物語』

2021年12月27日 23時36分24秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:244/274
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【要素】
ラブストーリー
文通

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
まだスマートフォンもSNSもなかった2003年の韓国。
夢も目標もなく、
ソウルの予備校に通う浪人生ヨンホ(カン・ハヌル)は、
長い間大切にしてきた記憶の中の友人を思い出し、
あてもなく手紙を出す。

一方、釜山では、
自分の夢を見つけられないまま、
母親と一緒に古書店を営むソヒ(チョン・ウヒ)が、
ヨンホから姉のソヨンに届いた手紙を受け取る。
ソヒは病気の姉に代わってある“約束”を条件に、
手紙を交わしていく。

「いくつかルールを守ってほしい。
 “質問しない”、
 “会いたいと言わない”、
 そして“会いに来ない”。」

偶然始まった手紙のやり取りが、
モノクロだった2人の日常を鮮やかに彩り始め、
やがてヨンホは「もしも12月31日に雨が降ったら会おう」
と提案をするが…。

【感想】
韓国映画のラブストーリーってことで、
激しい人間ドラマや全俺が泣く感動作を期待したけど、、、
一体これはどうしたもんだろうか。

◆文通は素敵だけど、終始「?」な設定

シチュエーションは『ラストレター』(2020)に似てる。
主人公とヒロインの文通。
でも、ヒロイン側は別の人が書いてたっていう。
それ自体は素敵。

でも、そもそもなんでヨンホは、
クラスも違う小学校時代の同級生のことを急に思い出したのか。
卒業してから一度も会っていないのに。
当時、運動会のかけっこですっ転んだ彼に、
ハンカチを渡したことが、
そんなに尾を引く、、、?
そういう動機に対する納得のいかなさがハンパない(笑)

◆成立しているかも怪しい三角関係

ヨンホに恋をするスジン(カン・ソラ)。
予備校で2浪同士ってことで仲良くなるものの、
終始スジンからの強引すぎる押しのみ。
まったく噛み合ってないところが、
逆に笑える気もするけど(笑)

しかも、スジンからしたら、
ヨンホの文通相手って恋のライバルに当たることになるんだよね。
なんだけど、スジンとスヒに接点はない。
ゆえに、もはや三角関係と呼べるのかすらも怪しい。
もはやスジンは、
亡霊か何かと戦っているようにしか見えなかった。

◆ひどいオチ(笑)

オチこそがこの映画の一番のウリなんだろう。
でもね、、、遅いよ。。。
ラスト1分にならないとマジで話がわからないから。。。
それまでずーっと、
「この人たち何でこんなに感動ストーリーぶってるんだろう」
って疑問しかなかった。
いろいろ予想はするものの、
ことごとく外れ。
むしろ、あんなの誰も気づかないだろ。

オチを知ると、
ちょっとほろりとはするけど、
それまでに溜まった疑問や気持ち悪さは拭いきれず、
『FF』で戦闘不能になった後にポーションを使われる
というような手遅れ感が(笑)

◆そんなわけで

オチがわかってる(予想できてる)人じゃないと、
意味プーな映画でした。


テフロンによる健康被害で、現代に至るまで20年以上も巨大企業と戦う1人の弁護士を描いた『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』

2021年12月27日 22時22分18秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:55/273
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
サスペンス
弁護士
集団訴訟
法廷

【元になった出来事や原作・過去作など】
・記事(ニューヨーク・タイムズ紙)
 “The Lawyer Who Became DuPont’s Worst Nightmare”

【あらすじ】
1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く
企業弁護士ロブ・ビロット(マーク・ラファロ)が、
見知らぬ中年男から思いがけない調査依頼を受ける。

ウェストバージニア州パーカーズバーグで農場を営むその男、
ウィルバー・テナント(ビル・キャンプ)は、
大手化学メーカー、
デュポン社の工場からの廃棄物によって土地を汚され、
190頭もの牛を病死させられたというのだ。

さしたる確信もなく、
廃棄物に関する資料開示を裁判所に求めたロブは、
“PFOA”という謎めいたワードを調べたことをきっかけに、
事態の深刻さに気づき始める。
デュポンは発ガン性のある有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、
その物質を大気中や土壌に垂れ流してきたのだ。

やがてロブは、
7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏みきる。
しかし、強大な権力と資金力を誇る巨大企業との法廷闘争は、
真実を追い求めるロブを窮地に陥れていくのだった……。

【感想】
これは濃厚!
これは面白い!
巨大企業 vs 1人の弁護士という対立構造。
しかも、実話ベースかつ現在も続いている話なので、
とてもリアリティがある法廷映画だった。

◆身近なテフロンによる環境汚染

キッチン器具に使われていることで有名なテフロン加工。
フライパンが焦げつかないアレです。
それを開発したデュポン社は、
規模は世界第4位・アメリカで第2位という
超巨大な化学メーカー(2017年時点)。

そのテフロンの製造過程で使用する
ペルフルオロオクタン酸による健康被害が今回の争点。
様々な癌や大腸炎など、
6種類の病気との相関性が認められているけど、
大気や地下水にも垂れ流され、
被害の影響は計り知れない。

◆敵対するクソみたいな巨大企業

こういう映画だと、
とにかく巨大企業の悪さが目立つけれど、
今回もクソっぷりがすごい。
従業員の健康を害し、
生まれてくる子供も奇形児。
そういった被害があることを認識しつつも、
利益のために製造はやめず。

原告側の言い分が認められ、
第三者による新たな科学調査を行い、
デュポンの垂れ流した化学物質と病気の相関関係が認められれば、
医療保証することにも同意したものの、
7万人近い血液サンプルの調査には実に7年の時間も要した。
その間に亡くなってしまう人ももちろんいる。

その結果、
調査完了時点で3535人が
すでに何かしらの病気にかかっていることが判明するんだけど、
その後にとるデュポン社の対応がマジクソ!
どこまでいっても、
原告や被害者たちの心を折ろうとする
卑劣なやり口に苛立ちしか感じなかった。

◆地道に戦う弁護士を演じるマーク・ラファロの役どころはまさにヒーロー

マーク・ラファロといえば、
マーベルのハルク役で有名だけど、
実際の彼は環境活動家としての顔も持っているそう。

そんな彼が演じた弁護士は、
ロバート・ビロットという実在する人物。
資料開示請求を出せば、
100箱以上はあるんじゃないかというダンボールの山が届く中、
1人で黙々と証拠集めに奔走する。

仕事に没頭しすぎるあまり、
妻からは愛想を尽かされてはいるものの、
その気になれば何でも潰せる巨大企業に、
自らのキャリアを顧みずに真っ向から勝負を挑む姿は
まさにヒーローそのもの。

デュポン社とは徹底抗戦することを決め、
最初の訴訟から20年以上経つ今も戦い続けているらしい。

◆そんなわけで

水俣病を扱った『MINAMATA-ミナマタ-』(2020)に似た状況の内容で、
シリアスかつダークな雰囲気だけど、
強い信念を持って、
巨大企業に挑む1人の弁護士の姿は
胸を打つものがあるのでオススメ。

 

親の存在意義について考えさせられる笑いと涙のファミリー映画『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』

2021年12月27日 00時16分03秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:72/272
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
フルCGアニメーション
ファミリー
赤ちゃん
子育て

【元になった出来事や原作・過去作など】
・絵本
 マーラ・フレイジー『あかちゃん社長がやってきた』(2010)

・映画
 『ボス・ベイビー』(2017)

【あらすじ】
ボス・ベイビーが、兄ティムと共に繰り広げた
<赤ちゃんvs子犬>の死闘から25年―。
大人になったボス・ベイビーは、
世界中を飛び回るエリートビジネスマンとして大成功。
一方ティムは、
タビサとティナという娘を持つ幸せな専業主夫に。
成長した兄弟2人はすっかり疎遠になっていた。

そんなある日、
ベイビー社にある情報が入る。
長女タビサが通う学校の校長アームストロング博士が、
世界征服を企んでいるというのだ。
世界を救うためには〈ボス・ベイビー〉の協力が不可欠と、
彼らの元に〈ボス・レディ〉が派遣されるが、
なんとそれはティムの次女ティナだった!

ボス・ベイビーとティムはスーパーミルクで赤ちゃん返りし、
再びチームを組み、
学校への潜入捜査に向かう。
果たして2人は、
史上最大のミッションをクリアし、
世界と家族を救うことができるのか!?

【感想】
今回は家族愛というか、
"親"の存在がひとつのテーマになっていて、
子持ちの親御さんは観てもいいなあって思える内容だった。

◆焦点は兄弟よりも親子関係

前作は、突然家にやって来たボス・ベイビーと
ティムのすったもんだの話。
様々なトラブルに見舞われ、
時に対立しながらも、
最後はお互いに兄弟愛が芽生える感動作だった。

あれから25年。
ティムもボス・ベイビーもいい大人になり、
ティムに至っては2人の娘の父親になった。
年頃の長女タビサは、
昔のようにパパに甘えなくなり、
ティムはちょっぴり複雑な気持ち。
子供の成長は親としてうれしいだろうけど、
だんだんと自立していってしまうのは、
やはり寂しさも感じるんだろうなあ。
子供が子供でいる時間というのは思ったよりも短いようで、
その限られた時間の中でどう接していくのか、
いろいろ考える人も多そう。

そこで夢があるなあと思ったのが、
赤ちゃん返りという設定。
ティムはタビサと同じぐらいの年齢まで戻るんだけど、
潜入捜査のために、
タビサのクラスメイトを演じる。
そこで彼女の本心を知り、
サポートする展開というのは、
ファンタジーながらも
親と子のひとつの理想的な接し方だと思った。

◆両親不要論の是非

今回の敵、
アームストロング博士の目的は、
両親を失くすこと。
彼はあることがきっかけで、
あれこれ命令する親なんていらないという考えに至る。
これが、この映画のひとつのテーマで、
「親は必要なのかどうか」ってこと。
確かに優秀さでいったら親を超える子供なんて、
世の中にはたくさんいると思うんだよね。
結局、親が子供よりも勝っているのは、
多く歳を取っている分、
いろんな経験値があることぐらい。
だから、親という理由だけで、
すべてが正しいわけではない。

でも、親が親であるがゆえに提供できるものがひとつだけある。
それが"無償の愛"。
子供にとってそれは何よりも必要なものであり、
それを与えられる親は決していらない存在じゃないよねっていうのが、
この映画のメッセージなのかなあと。

◆過激さは前作以上

内容としてはそういう心温まる感じではあるけれど、
アクションは前作以上のド派手さ。
むしろ、メチャクチャすぎてついていけないぐらいの
しっちゃかめっちゃかだった(笑)
前半のカーアクション(?)や
忍者ベイビーたちによるキュートながらも致死率抜群の攻撃は
なかなかに興奮できるところ。

◆そんなわけで

ハートフルな内容に加えて、
過激なアクションや笑えるギャグもあり、
さらに前作を観ていると涙したりもするので、
家族そろって楽しめる映画だと思いました。
ちなみに、僕は前作の方がスッキリしてて好きです(笑)

 

日本のミニチュア技術の精巧さが秀逸な『モスラ』

2021年12月26日 22時35分18秒 | 映画

【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:12/21
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
特撮映画
巨大怪獣

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
南海の孤島インファント島で発見された
2人の小美人(ザ・ピーナッツ)は、
ロリシカ国の悪徳ブローカー一味に拉致され、
日本で見世物にされてしまう。

新聞記者の福田(フランキー堺)、
カメラマンの花村(香川京子)、
言語学者の中条(小泉博)は、
2人を島に帰すようよう世論に訴えかけるが、
その間にも小美人たちの危機を知った
島の守護神モスラが海を渡って日本に上陸。

都内を破壊し尽したモスラの幼虫は
東京タワーに巨大な繭を作り、
成虫へと成長。
小美人奪還のため、
都市部に舞い降りる。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1961年の日本映画。
年内最後の午前十時の映画祭の作品

◆モスラは悪い怪獣ではない

ゴジラシリーズにおいて、
ゴジラ以外の怪獣で登場した回数がトップのモスラ。
でも、彼(彼女?)は悪いやつではない。
蛾をモチーフにしたデザインだけど、
他の怪獣よりも優しい印象なのが特徴的。
語源も、蛾を意味する英語の“Moth”と、
母を意味する英語の“Mother”を掛け合わせたもの。

そのためか、何かしらの守護神として描かれることが多く、
本作でも破壊の限りを尽くす悪者ではなく、
さらわれた小美人を取り返すために東京にやってきただけ。
むしろ、小美人をさらい、
勝手に攻撃しまくった人間の方が悪いやつだと思う。

◆精巧なミニチュアセットがヤバい

この映画で一番推したいのが、
ミニチュアで再現された東京の街並み。
1961年だと、
CGなんてまだ一般的には使われていない時代。
そんな中、モスラの幼虫が進撃し、
街を次々に破壊していくシーンをどう表現するかといったら、
ミニチュアでセットを組む手法。

これがとんでもないリアルさ。
モスラが蹂躙する青梅街道、道玄坂、渋谷あたりは、
実物とほぼ変わらない20分の1スケールのミニチュアで再現しているそう。
スタッフはわざわざ通勤者のいない早朝の渋谷に赴き、
敷石の1枚まで正確に寸法を測ったとか。

もちろん、VFX全盛期の今観たら、
ミニチュアで作られていることはわかる。
でも、倒壊するビルや、
落ちてくる瓦礫、
成虫になったモスラの羽ばたきで吹っ飛ぶ車など、
その再現度の高さは今観てもすごい。。。
さらに、自衛隊の攻撃も、
武器によって火薬の量を調整して、
エフェクトに差をつけてる徹底ぶり。

◆耳に残るモスラの歌

モスラと言えばこの歌でしょう。

モスラ〜ヤ モスラ〜
ドゥンガンカサ〜クヤン
インドゥム〜♪

小さい頃に覚えた歌詞は
今でも歌えるほどの中毒性の高さ(笑)
いまだに何語なのかわからないらしいけど、
初出は本作。

◆そんなわけで

日本の誇る特撮技術を目の当たりにできる作品。
60年前からこのクオリティというのは本当にすごい。
一度は観ておきたい。