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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

選挙に行かないことが国を腐らせる絶望を味わえるルーマニアの例『コレクティブ 国家の嘘』

2021年10月14日 00時56分01秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:21/214
   ストーリー:★★★★★★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ドキュメンタリー
ルーマニア
国家の腐敗
汚職

【あらすじ】
2015年10月、ルーマニア・ブカレストのクラブ
“コレクティブ”でライブ中に火災が発生。
27名の死者と180名の負傷者を出す大惨事となったが、
一命を取り留めたはずの入院患者が複数の病院で次々に死亡。
最終的には死者数が64名まで膨れ上がってしまう。

カメラは、事件を不審に思い、調査を始めたスポーツ紙
「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長を追い始める。
彼は内部告発者からの情報提供により、
衝撃の事実に行き着くことになる。
その事件の背景には、
莫大な利益を手にする製薬会社と、
彼らと黒いつながりを持った病院経営者、
そして政府関係者との巨大な癒着が隠されていた。

真実に近づくたび、
増していく命の危険。
それでも記者たちは真相を暴こうと進み続ける。

一方、報道を目にした市民たちの怒りは頂点に達し、
内閣はついに辞職へと追いやられ、
正義感あふれる保健省大臣が誕生する。
彼は、腐敗にまみれたシステムを変えようと奮闘するが…。

【感想】
ルーマニアで実際にあったこの事故を知ってる人は
日本でどれぐらいいるだろうか。
僕は知らなかった。
当日のライブ映像も流れていたけど、
演出に使われた花火が原因で、
突然火の手が上がり、
瞬く間に会場を覆ったのだ。

多くの人が病院に運ばれたものの、
助かった人まで後から死亡するケースが多発。
なのに、病院は「万全の医療を提供した」と強く主張する。
ではなぜ、後から命を落とす人がいたのか。

実は、病院で使われている消毒液が
10倍以上に薄められていたのだ。
もはや殺菌効果なんてない。
その結果、感染症が広がり、
火傷自体大したことがなかった人まで命が失われていった。

この消毒液を作ったのはヘクシーファーマという製薬会社。
で、この消毒液の原料を仕入れた会社は別にあって、
そこは相場の値段で仕入れるのよ。
それをヘクシーファーマに7倍の値段で売って。
彼らが10倍に薄めるっていう。
しかも、その仕入れた会社とヘクシーファーマの社長がダン・コンドリアで同じ人っていう。
どんなカラクリだよって。
そうやって稼いだ金は全部政治家への賄賂とかに使われていたんだよね。

ただ、そのことがメディアの力によって明るみに出たことで、
大規模なデモとなり、
保健相のトップが交代。
メディアとはこうあるべきだと思うと同時に、
それが政府側を動かしたのは非常に喜ばしいと思った。
ちなみに、その後ダン・コンドリアは交通事故で突然亡くなるんだよね。
自殺なのかどうかさえわからない。。。

で、ここからがこの映画の後半戦。
新しく保健相のトップとなったヴラド・ヴォイクレスクの話。

彼は腐敗した保健相の改革を推し進めた。
調べれば調べるほど出てくる数々の悪行。
病院とも癒着しまくり。
病院の経営者もその経営手腕とかではなく、
政治的忖度で選ばれたりしてたのよ。
だから、先の薄められた消毒液もずっと前から使ってるんだけど、
みんな隠してて。
「この国は腐ってる」
保健相のトップがそう口にしちゃうぐらいひどいもんだ。

でも、この方は本当に勇敢で。
既得権益を持つ者からの妨害が来ることも承知の上で、
どんどんメスを入れていった。
そして、彼は選挙に出た。
次のルーマニアの首相となるべく。
彼がトップになれば、
国の膿は出され、
少しずつでも改善されると誰もが思っていた。

しかし、結果は完敗。
あれだけの報道がありながらも、
若者が全然投票に行かなかったそうだ。
10代の有権者で投票率5%、
20代でも10%とかだったかな(数字はうろ覚え。。。)。
なので、これまで腐敗国家を作り上げていた
社会民主党がまたトップになってしまったんだ。

ルーマニアって1960年代から80年代にかけて、
チャウシェスクがずっと長期政権を握っていたようだから、
「どうせ投票しても何も変わらんだろ」
っていう風潮がまだ残っているのだろうか。

この映画を観て思うのは、
ここまで国家の闇を暴いたジャーナリズムの底力のすごさと、
あとは選挙には行くべきということ。
友人の受け売りだけど、
投票しないと何かあったとき文句すら言う権利がないのだから。

自分たちの未来は自分たちの手で。

映画「コレクティブ 国家の嘘」公式サイト|10月2日(土)ロードショー

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