Blog of 俺 by 俺 for 俺

自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

罪を犯した人の更生に寄り添う保護司の苦悩と覚悟と優しさが溢れている『前科者』

2022年01月31日 00時00分18秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:6/18
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
サスペンス
ヒューマンドラマ
保護司

【原作・過去作、元になった出来事】
・漫画
 香川まさひと『前科者』(2017-)

・ドラマ
 『前科者 -新米保護司・阿川佳代-』(2021)
 
【あらすじ】
2つの仕事をかけ持つ阿川佳代(有村架純)、28歳。
コンビニ勤務は至って平穏だが、
もうひとつの務めは波乱に満ちていた。

元受刑者の更生を助ける保護司という仕事で、
国家公務員ではあるものの、
ボランティアのため、
報酬は一切ない。
それでも阿川は、
次々と新たな問題を起こす前科者たちを
時に叱り、時に励ます。
「もっと自分の人生を楽しめば」とまわりには言われるが、
何があっても寄り添い続ける覚悟に一点の曇りもなかった。

そんな中、
阿川は殺人を犯した工藤誠(森田剛)を担当することになり、
懸命に生きる彼を全力で支える。
ところが、工藤は保護観察終了前の
最後の面談にも現れず、
社員登用が決まっていた自動車修理工場からも
忽然と姿を消す。
折しも連続殺傷事件が発生し、
捜査線上に工藤が容疑者として浮かぶことで、
これまで阿川が隠してきた過去や
"保護司になった理由"が明かされていく。

置いてきた過去に再び向き合う工藤、
彼を信じてその更生に全力を注ぐ阿川。
2人がたどり着いた先に見える希望とは――?

【感想】
これは見ごたえしかない映画だった。
罪を犯した人と保護司が織り成す人間ドラマが
ものすごく面白い。

原作漫画は未読だけど、
WOWOWでやってたドラマがアマプラにあったので、
それを観てから映画を鑑賞。
ドラマと映画は直接の繋がりはないものの、
ドラマを観て、
キャラクター背景をあらかじめ知っておくと、
映画の方もより楽しめるかと。
30分×6話ですぐ観れちゃいます。

◆阿川先生のホスピタリティに打ちのめされる

保護司である阿川先生の仕事は、
前科者の更生の手助けをすること。
これはドラマも映画も同じ。
でも、すべてが穏やかに終わるなんてことはまずない。
身元引受人が受け入れを拒否することもあれば、
前科者が職場でトラブルを起こすこともある。
そのたびに、阿川先生はバイト先のコンビニを抜け出して、
説得したり頭を下げたり
(いきなり抜け出しても許しちゃうコンビニの店長優しすぎるけどw)。

でも、彼女は決して前科者を見捨てることはしない。
自宅に招いて手料理を振る舞う優しさを見せ、
必要なときには大声で叱り飛ばす。
母親か教師のような存在なんだよ。
世間から白い目で見られ、
人によっては身内もおらず、
行き場を失くした前科者にとっては、
心の支えなんじゃないかな。
そんなことを無償でやり続ける
阿川先生のホスピタリティの高さには頭が上がらない。

今回の映画でも、
あとちょっとで保護観察が終わる工藤に、
身内以上に親身に寄り添い、
彼の未来を案じた阿川先生のキャラクターには、
心底尊敬の念を抱いてしまうほど。

◆明かされる阿川先生の過去

本作では、
ドラマでずっと匂わせていた阿川先生の過去も描かれる。
それは、彼女と彼女の大切な人に訪れた悲劇。
他の誰にも知られたくなかったことであり、
また彼女が保護司になろうと決めた本当の理由でもある。

その悲劇を体験したとき、
普通なら怒りと復讐に燃えるだろう。
でも、そこを彼女は
「もし、前科者に寄り添うことができたら、
 あんなことにはならなかったかもしれない」
と、救済の道を見出す。

なかなかできることじゃないけど、
そんな背景があるからこそ、
阿川先生の覚悟って尋常じゃないんだよね。
自分が体験した悲しみを二度と繰り返さないためにも、
前科者の更生に全力を尽くす。

◆工藤を演じた森田剛の演技がすごい

工藤は幼少期の頃、
目の前で実母が義父に殺され、
その後も施設やアルバイト先でもいじめに遭い、
先輩を刺殺したことで服役するという壮絶な過去がある。

人生に希望というものが見出せない中、
それでも懸命に生き、
阿川先生と対話を繰り返すことで、
ささやかな日常を取り戻しつつあった工藤に、
突如として訪れた過去との対峙。
全編を通して見せる工藤の表情や雰囲気を出した森田剛のすごさよ。
『ヒメアノ~ル』(2016)っていう映画を観たときも、
この方の演技に圧倒されたけど、
今回も本当にヤバかった。

◆そんなわけで

一生懸命、“普通”になろうとしている工藤と、
そんな彼に寄り添う阿川先生の人間ドラマは、
本当に見ごたえある。
でも、それ以上に保護司という仕事の
大変さと尊さも知ることができるので、
この映画(およびドラマ)はマジでオススメしたい。


島を守るための殺人隠蔽と警察による真相究明の攻防は面白かったけど、やっぱり漫画の方が断然いいなと思った『ノイズ』

2022年01月30日 21時16分25秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:13/17
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
サスペンス

【原作・過去作、元になった出来事】
・漫画
 筒井哲也『ノイズ【noise】』(2018-2020)

【あらすじ】
絶海の孤島に突然現れた不気味な男。
名前も知らないその男に
家族を狙われた泉圭太(藤原竜也)は、
親友の田辺純(松山ケンイチ)、
新米警察官の守屋真一郎(神木隆之介)と共に、
誤ってその男を殺してしまう。

それは、圭太が生産した"黒イチジク"が人気となり、
国からの交付金5億円が内定、
過疎に苦しむ島に明るい未来が見え始めたときのことだった――。

島のみんなと大切な家族を守るため、
3人は死体を隠蔽することを決意。

「この男が消えたところで、誰も追ってこない」。

そう思っていた矢先、
予想外の出来事に発展する。

なんと、その男は出所したばかりの凶悪犯(渡辺大知)で、
足取りを追う刑事(永瀬正敏)らが
島に大挙して押し寄せてきたのだ!
24時間体制で執拗な捜査を繰り返す県警。
その包囲網が圭太たちを追い詰め、
島の日常が崩れていく…。

島中がパニックに陥った先に待ち受ける結末とは?

【感想】
同名タイトルの漫画を映画化した作品。
とはいえ、大まかな流れは同じだけど、
設定や人間関係がかなり変わっていて、
ラストもまったく違うんだよね。

◆いつ、どのようにバレるのかの恐怖

「島の平穏を守る」こと。
それが、この映画の一番の大前提。

寂れつつあった島が、
黒イチジクのおかげで復興。
そんな明るい未来が待っていた島に
突如入ってきた出所後間もない凶悪犯の鈴木。
そんな"異物=ノイズ"を駆除しようとして、
彼を死なせてしまったところから、
島の日常が一変する。

島の未来のために、
その件を“なかったこと”にしようと画策する圭太たち。
死体の隠蔽から口裏合わせ、
刑事たちへの嘘など、
当然褒められたものではないけれど、
島や家族を守ろうと思っての行動には、
心情的に理解できる。

そんな中、次から次へとトラブルが起き、
悲劇が連なり、
共犯者が増えていく過程は面白い。
ちょいちょいボロを出しつつ、
刑事の捜査をかいくぐるも、
いつ、どのようにしてバレるのかの恐怖が、
この映画を楽しむポイントかなと。

◆最後まで目が離せない展開

この映画の見どころは、
圭太たちの一連の隠蔽工作もそうなんだけど、
“その後”にも注目したい。
ネタバレになるので言えないけど、
原作を読んだ人からしたら、
「まさか」の展開は印象に残ると思う。

◆漫画の方がもっと面白い

映画は映画でよかったと思うんだけど、
原作漫画を読んでしまうと、
やっぱり漫画の方が圧倒的に面白いと感じるかな。
漫画の方が、
キャラクターにもっと存在感があるから。

凶悪犯の鈴木は、
より一層ヤバいし怖いし様子がおかしいし、
それだけで作品全体の恐怖が増す。
庄吉じーさん(柄本明)が警察嫌いになるエピソードも説得力があるし、
刑事の畠山も自身の抱える暗い過去によって、
もっと魅力ある人物になってた。
中でも、ラストに繋がる“ある人物”の扱いが
原作と映画とで大きく変わっているのには驚いた。

"ノイズ"ってのも、
映画では主に鈴木にしか向けられていないけど、
漫画では別の視点から圭太たちにも向けられていたし、
村の住人からしたら警察が"ノイズ"になるし、
全体的に漫画の方がストーリー的にも
よく描かれているなあと感じた。

まあ、ここらへんは原作モノあるあるだけど(笑)

◆そんなわけで

藤原竜也と松山ケンイチが揃うと
『デスノート』感強いから、
それは一見の価値アリだけど、
漫画読んでる人からしたら、
だいぶマイルドになってしまっているので、
物足りなさを感じる人もいるだろうなー。

 

原作ゲームの恐怖が再び味わえるサバイバルホラー『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』

2022年01月28日 18時26分15秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:6/16
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★★
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
ホラー
サバイバル
アクション
ゾンビ

【原作・過去作、元になった出来事】
・ゲーム
 『バイオハザード』シリーズ(1996-)

・映画
 『バイオハザード』シリーズ(2002-)

【あらすじ】
アメリカ合衆国中西部に位置するラクーンシティ。
自然豊かなこの街の郊外に、
以前は製薬会社アンブレラ社の工場が存在したが、
今はそのほとんどの施設は移転してしまっている。

このアンブレラ社が秘密裏に研究開発を進めていた
“何か”が街の住民たちに大きな健康被害を与えている
とのメッセージを受け取ったクレア(カヤ・スコデラリオ)。
ラクーンシティの施設で育った彼女は、
その真実を突き止めるべく、
R.P.D.(ラクーン市警)で特殊部隊=S.T.A.R.S.の隊員である
兄・クリス(ロビー・アメル)のもとを訪ねる。
クレアはクリスにこの事実を訴えるも
「デタラメだ」と取り合ってくれない。

しかしそのとき、
街中に大音量のサイレンが鳴り響く。
アンブレラ社から住民に自宅で待機するよう
警報が発せられたのだ。
クリスは急いで署に出向き、
S.T.A.R.S.の隊員である、
ジル(ハナ・ジョン=カーメン)、
ウェスカー(アヴァン・ジョーギア)と共に、
郊外にあるスペンサー邸で消息を絶った同僚を捜索するため、
ヘリコプターで出動する。

一方、クレアはクリスを追いかけR.P.D.に。
しかし、既に住民たちの身体には変化が起き始めていた。
皮膚は腐乱し、
口や目から血液が流れ落ち、
死体のような状態にも関わらず、
人肉を欲してさまようゾンビと化したのだ。

スペンサー邸では、
クリスたちの壮絶なサバイバルが繰り広げられ、
R.P.D.内でも、
クレアと新人警官のレオンに、
ゾンビたちが襲いかかる。

【感想】
日本発の超人気ホラーゲーム
『バイオハザード』シリーズの最新映画。
映画としては第7作目だけど、
ミラ・ジョヴォヴィッチが出ていたシリーズとは別物で、
新しくリブートされた形になる。

ちなみに、僕はゲームの方は
『3』と『5』だけやっているっていう中途半端さ(笑)
『1』は、当時小学生だった自分には怖すぎたのと、
操作が難しかったので、
まともにプレイできず。
ゲームが原作だと、
映画のために予習・復習しようにも、
時間かかるのが難点よね。

◆ゲームの『1』と『2』を融合させたストーリー

ミラ・ジョヴォヴィッチ版は
完全にオリジナルストーリーだったけど、
本作はもっとゲームに近い話。
細かな設定や人間関係に違いはあれど、
うまく『1』と『2』を足したなっていう印象。
『1』でクリスたちが洋館に出向くところや、
『2』でクレアとレオンが行動を共にするところなど、
ゲームをプレイした人は懐かしい気持ちになるかも。
僕は未プレイだったけど、
なんとなくの世界観やストーリーは知っていたので、
それだけでも充分に楽しめた。
もちろん、ゲームをまったく知らなくても問題ない。

◆忠実に再現されたゲームの世界

今回の映画は、
クリスたちの視点と、
クレアたちの視点の2つを軸に進んでいく。
クリスたちは洋館が、
クレアたちは警察署内が舞台となるのだけど、
その建物の見た目も内部構造もゲームのまんま!
しかも、グリーンハーブまで置いてあって、
ゲームの中にいるような雰囲気が味わえる。
ゆえに怖い。
限りある武器で、
次から次へとわいてくるゾンビを撃退しきれず、
圧倒的な劣勢に立たされるあの恐怖は、
まさにゲームで感じたそれと同じ。

◆尺が足りてない

本作の上映時間は107分とやや短め。
その中で、2軸で進むストーリーと、
それなりに多い登場人物。
だから、お話はトントン拍子で進んじゃうし、
キャラクターもけっこうあっさり描かれている。

原作ゲームに近い分、
そこに物足りなさを感じる人はいるかも。
ゲームだと、
探索や謎解きを踏まえた面白さがあるから。
よく言えば、
映画の方はテンポがいいとも捉えられるけど。

◆そんなわけで

ミラ・ジョヴォヴィッチ版に慣れ親しんでいると、
少し地味な印象を受けるかもしれない。
世間の評価は低めだけど、
僕は原作ゲームの世界観を
うまく再現してくれたことに好感度高いです。

とりあえず、ゲーム全部やりたくなった(笑)


音声だけで事故の真相を追い、まさかの真実にたどり着く極上のサスペンス体験『ブラックボックス:音声分析捜査』

2022年01月27日 21時37分52秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:4/15
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
サスペンス
スリラー

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
ヨーロピアン航空の最新型機がアルプスで墜落。
乗客・乗務員316人全員の死亡が確認された。

司法警察の立会いの下、
航空事故調査局の音声分析官が、
ボイスレコーダー、通称“ブラックボックス”を聴く。
いつもなら責任者のポロック(オリヴィエ・ラブルダン)に同行するのは、
最も優秀なマチュー(ピエール・ニネ)だったが、
天才的なあまり孤立していた彼は外されてしまう。
だが、まもなくポロックが謎の失踪を遂げ、
引き継いだマチューは
「コックピットに男が侵入した」と記者会見で発表する。

やがて、乗客にイスラム過激派と思われる男がいたことが判明。
マチューの分析は高く評価され、
責任者として調査をまとめるよう任命される。
本格的な捜査に乗り出したマチューは、
被害者の一人が夫に残した事故直前の留守電を聞いて、
ブラックボックスの音と違うことに愕然とする。

今、マチューのキャリアと命をかけた危険な探求が始まる──。

【感想】
ブラックボックス内に残された"音声のみ"で
飛行機墜落事故の真相を追う話。
設定としては、
2018年に公開されたデンマークのスリラー映画
『THE GUILTY/ギルティ』に近しいものがある。
あれも、緊急通報指令室のオペレーターにかかってきた電話だけで、
事件解決を図る話だったから。
ただ、今回の映画は、
よりスケールが大きく、
より驚くような展開で、
メチャクチャ面白い作品に仕上がってる。

◆音声しか使わない限定された設定が秀逸

昔、脚本の学校で習ったことがある。
面白い物語の条件のひとつは、"枷(かせ)"だと。
つまり、キャラクターや状況に制約を設けることで、
視聴者の興味を引くんだと。
例えば、『ドント・ブリーズ』(2016)では、
盲目の老人宅に入った若者が返り討ちに遭う話。
『見えない目撃者』(2019)では目が見えない主人公が、
『殺人鬼から逃げる夜』(2021)では耳が聞こえない主人公が、
殺人鬼に狙われる話。
いずれも、普段使えるものが使えない中で、
どういう展開になっていくのかっていう好奇心が動く。

それが今回は、
"音声しか使えない"ということになる。
飛行機は大破、乗客・乗務員は全員死亡。
事故当時の状況を知るには、
ブラックボックスに残された音声データしかない。
この音声からどうやって手掛かりをつかんでいくのかが、
この映画の一番面白いところ。

◆孤立しても職務を全うする主人公がかっこいい

マチューは天才的な分析官として描かれているけれど、
異常聴覚を持っているなどのファンタジーな設定はない。
人よりも観察力が鋭く、
細かいことまで気になり、
徹底的に調べ上げる性格というのが、
彼が優秀とされている所以。

ただ、あまりにもマイペースというか、
こだわりがすぎるあまり、
周囲の理解が乏しい。
優秀なのはみんな認めてはいるんだけど、
「めんどくさいやつ」と思われている。
だから、思うように事が進まず、
観ている方としてもやるせない気持ちになる。

でも、マチューはあきらめない。
何度も音声データを聴き、
怪しい箇所を特定。
ノイズを除去し、
ピッチを変え、
隠された音を浮き彫りにする。
そして、バレたらクビになるかもしれないことを承知で、
独自に捜査を開始する。
物静かで、
淡々としているように見えて、
実は熱い魂を持っている彼の姿はかっこよかった。

◆二転三転するストーリー展開に驚きの連続

原因はこれか!いや違う!
じゃあこれか?いや違う!
まさかの、、、これ、、、?!

注意深く音声データに聴き入り、
時には愛する妻をも窮地に立たせ、
とある偶然によってたどり着く驚愕の真実。
その驚きの連続ゆえに、
ずっとスクリーンに見入っちゃう。
でも、一番びっくりするのは、
「音声データってそんなにいろいろわかるの?!」
ということ。
それを聴き分けるマチューもすごいけどね。

◆そんなわけで

音声という限られたソースだけで真実を暴こうとする設定と、
二転三転しながら真実を解き明かすストーリー展開が、
もう最高のエンターテインメントでした。
音声に重点を置いているだけに、
これはぜひ映画館で観たい作品。

 

日々の鬱憤から悪目立ちしたい気持ちはわかるけど、、、総じてキャストのファン向け映画だと思った『真夜中乙女戦争』

2022年01月26日 21時50分55秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:13/14
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
サスペンス
テロ

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 F『真夜中乙女戦争』(2018)

【あらすじ】
上京し、東京で一人暮らしを始めた大学生の“私(永瀬廉)”。
友達も恋人もいない。
大学の講義は恐ろしく退屈で、
やりたいこともなりたいものもなく、
鬱屈とした日々の中、
深夜のバイトの帰り道にいつも東京タワーを眺めていた。

そんなある日、
「かくれんぼ同好会」で出会った
不思議な魅力を放つ凛々しく聡明な“先輩(池田エライザ)”と、
突如として現れた謎の男“黒服(柄本佑)”の存在によって、
“私”の日常は一変。
人の心を一瞬にして掌握し、
カリスマ的魅力を持つ“黒服”に導かれ、
ささやかな悪戯を仕掛ける“私”。
さらに“先輩”とも距離が近づき、
思いがけず静かに煌めきだす“私”の日常。

しかし、次第に“黒服”と
孤独な同志たちの言動は激しさを増していき、
“私”と“先輩”を巻き込んだ壮大な
“東京破壊計画=真夜中乙女戦争”が秘密裏に始動する。

一方、一連の事件の首謀者を追う“先輩”は、
“私”にも疑いの目を向けていた。
“私”と“先輩”、“私”と“黒服”、
分かり合えたはずだった2人の道は少しずつ乖離していき、
3人の運命は思いもよらぬ方向へと走り出す…。

【感想】
原作小説は未読。
サスペンス調の映画なんだけど、
「わかるんだけど、わからない」、
そんな映画だったかな(笑)

◆多くの人が共感できそうな"私"の置かれた状況

主人公の"私"、
無気力感がすごい。
学校と深夜バイトの繰り返しだけど、
基本すべてにやる気がない。
そんなキャラを演じた
永瀬廉のナチュラルな演技はよかった。
まあ、あんなイケメンなら、
夢のようなキャンパスライフしか待っていないと思うので、
つまらない日常しかないっていうのは、
無理がありそうな気もするけど(笑)

そんな退屈な日々を過ごしているから、
心の中では何か刺激が欲しかったんだろう。
日常からの脱却を考えているときって、
「なんかもう全部ぶっ壊したい!」
っていう破壊衝動に駆られることもあるよね。
破壊することで、
そこから逃げられると思うから。

"黒服"といると、
それが叶うかもしれない。
そんな期待が、
"私"を"黒服"といっしょにいさせる要因だったろうな。
「なーんかおもしれーことないかなー」って、
自分も若いときは思うことあったから、
ここらへんの"私"の気持ちは何となくわかった。

前半はね、
退屈な毎日からの脱却っていうのが、
かわいいいたずらだったのよ。
キャンパス内の自転車のサドルを
すべてブロッコリーに変えたり、
大学のサイトをハッキングしたり。
誰かを傷つけるわけでもなく、
ちょっと話題になって注目される。
何か刺激が欲しいって思ってる身からしたら、
この上ない中毒性あるシチュエーションだよね。
こういう非日常ってやっぱり楽しいから。

ただ、後半から雲行きが怪しくなっていく。。。

◆なんでそこまでするのかわからない"黒服"

"黒服"を筆頭としたいたずら集団。
だんだんやることが過激になってきて、
最終的には東京を破壊する計画を立てる。
ここがねー、ちょっとよくわからなくて。
そもそも"黒服"の動機が謎。
なんでそこまでする?って。
何か恨みがあったわけでもないし、
変わり映えのない日々を壊したかったような感じでもなかった。
彼の動機をつかみきれなくて、
少しモヤモヤした。
まあ、世の中すべての行動に理由があるわけじゃないけどさ。
フィクションに登場する人物には、
なぜかいつもそれを求めてしまうのだけど(笑)

あと、違和感あったのがラストの大爆発。
素人集団の集まりで、
あんな東京が壊滅しそうなほどの
爆発が起きるわけがないだろって思った(笑)
そんな火薬どうやって調達するんだよって。

ただ、"黒服"を演じた柄本佑の演技はさすがだなって。
あの影のある表情やカリスマ性のある雰囲気。
すごく役に合ってたと思う。

◆そんなわけで

"私"というキャラクターに共感しつつ、
"黒服"にはついて行けず。
そして、"先輩"はあんまり印象に残らず。。。
そんな映画でした。
キャストのファンなら楽しめそうだけど、
そうじゃなかったらそこまでハマれないかもしれないなー。




超サイバー犯罪を超アナログ刑事が追い詰める展開がスリリングだった『シルクロード.com ―史上最大の闇サイト―』

2022年01月24日 22時38分40秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:5/13
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
サスペンス
ダークウェブ
闇サイト

【原作・過去作、元になった出来事】
・サービス(ウェブサイト)
 シルクロード(2011-2013)

【あらすじ】
「世界を変えたい」。
天才的な頭脳に恵まれたロス(ニック・ロビンソン)は、
自由な世界を求め、
表では絶対に買えない違法物を匿名で売買できる
闇サイトを立ち上げた。
〈シルクロード〉と名付けたサイトは、
瞬く間に熱狂的なブームを巻き起こし、
栄華を極める。

ハデな動きですぐに警察にマークされるが、
ロスは絶対に身元がバレない強固なシステムを創り上げていた。
そんなロスを追う捜査官の中に、一人のはぐれ者がいた。
リック・ボーデン(ジェイソン・クラーク)。
かつて問題行動を起こし、
麻薬捜査課からサイバー犯罪課へ左遷された男だ。

アナログ全開で足手まといのリックだったが、
独自の捜査でロスとの接触に成功する。
リックが考えた驚愕の捜査方法とは?
そして、2人を待つ運命とは?

【感想】
2011年~2013年の間に
実際に存在したウェブサイト
「シルクロード」を題材にした映画。
"闇のAmazon"、"ドラッグのeBay"とも呼ばれ、
1日の売上は1億円超というインパクト。
その誕生と終焉を描いたのが本作。

◆サイバー犯 vs アナログ刑事というギャップが面白い

このシルクロードというサイトは、
ちょっとしたウェブの知識がないと利用しづらい。
ダークウェブ上に存在し、
Tor(トーア)というソフトがないとアクセスできないから。
さらに、取引に使える通貨はビットコインのみ。
要は、取引から個人の特定を防ぐためにそうなっているのだ。

これを追いかける刑事がリック。
彼は昔ながらの刑事で、
ウェブの知識なんてほぼゼロ。
マウスの使い方をチュートリアル動画で学ぶレベル。
まわりからも"石器時代の人"ぐらいに思われている、
時代錯誤なお荷物ちゃんという扱い。

そんな彼が、
長年培ってきた刑事としての勘や行動力、
人脈を駆使して、
誰よりも早く犯人にたどり着く展開はスリリング。
「絶対おまえには無理だろ」っていう人が、
全員出し抜くことの爽快感はたまらないね。

◆リックのほとばしる刑事力がかっこいい

現実には、
サイバー犯罪課も優秀かつ事件解決に
多大な貢献をしていることだろう。
でも、この映画はあくまでもリックを主人公にしているから、
サイバー犯罪課の人たちは基本嫌なやつらで、
画面ばかり見て現場に向かわない人たちとして描かれている(笑)

そんな中、
リックはかつて麻薬捜査課にいたときの
情報屋を使って手がかりを集め、
シルクロードで実際にドラッグを買い、
会員登録をして身分を隠した上で、
運営者のロスに直接連絡を取るという、
圧倒的な行動力を見せつける。
日本の刑事ドラマでもよく出てくる
「捜査は足でやるもんだろう!」と言わんばかり。

結局、彼はひとりで、
誰よりも早く犯人のロスにたどり着いているんだよ。
あれだけの人員を使った捜査チームと比べたら、
ほぼひとり+情報屋で同じ成果を挙げているのだから、
コスパメッチャよすぎだろって。

ただ、ロスも簡単に人を信じすぎじゃないかてのは思ったけど。
あと、そもそもリックって過去の問題行動を理由に、
麻薬捜査課からサイバー犯罪課へと左遷されてきた設定だけど、
そんな立場で独自に捜査できるほどの
権限と自由があるのかってのは気になったかな(笑)

◆そんなわけで

"闇のアマゾン"なんて、
『遊戯王』に出てきそうな名称だけど、
それを作り上げたロスの天才的な手腕と、
彼を追うアナログ刑事の執念が見応えあるので、
個人的にはオススメしたい映画。


自分好みのAIの必要性について考えさせられる人間とアンドロイドのラブストーリー『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』

2022年01月23日 23時12分46秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:7/12
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
ラブストーリー
AI

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
ベルリンのペルガモン博物館で、
楔形文字の研究に没頭する学者アルマ(マレン・エッゲルト)。
研究資金を稼ぐため、
とある企業が極秘で行う特別な実験に参加することに。

そこに現れたのは、
紺碧の瞳でアルマを熱く見つめるハンサムなトム(ダン・スティーヴンス)。
初対面にも関わらず、
積極的に口説いてくる彼は、
全ドイツ人女性の恋愛データを学習し、
アルマの性格とニーズに
完璧に応えられるようプログラムされた
高性能AIアンドロイドだったのだ!

トムに課されたミッションは、
“アルマを幸せにすること”ただひとつ。
実験期間は3週間。
献身的でロマンチックなトムのアルゴリズムは、
過去の傷から恋愛を遠ざけてきた
アルマの心を変えることができるのか――?

【感想】
人間とアンドロイドのラブストーリーってことで、
内容としては過去にも同じ映画はたくさんあった。
けれど、これはラストの主人公の考え方に共感できるかどうかで、
だいぶ評価が分かれそう。

◆アンドロイド感ゼロのトムが新鮮

トムは全ドイツ人女性の
恋愛データを内包した高性能AIアンドロイド。
会話は自然だし、
詰まることもない。
まるで人間そのものだ。
逆に言えば、
アンドロイド感が一切ない(笑)
だから、普通に人間同士のラブストーリーに見えちゃう。
冒頭、フリーズしてしまうシーンはあるものの、
それ以外で彼がアンドロイドであると感じられる部分はほぼない。
「もはやアンドロイドの意味、、、」
って思う部分はあった
ある意味新鮮ではあるけど(笑)

こういう映画だと、
アンドロイドが人間の気持ちを汲み取れずにミスしたり、
超人的な身体能力を見せたりっていうのがオーソドックスだけど、
そういう要素はないんだよね。
個人的には、
もう少しコメディ要素があった方が好きなんだけど、
これはこれでよかった。

なぜなら、この映画はトムのキャラクター自体は二の次で、
自分好みの対応をしてくれる彼と関わることで、
人間は本当にそういうものが欲しいのだろうか
っていう問題提起に繋がっていくから。

◆自分好みの対応をしてくれるAIは必要か

アルマも最初はトムに対して、
ただのアンドロイドだと思って、
深く関わることはしていなかった。
でも、彼女の身に起きる仕事上のトラブルや、
元カレに対する"あること"への嫉妬などもあって、
側にいてくれる存在として、
トムを受け入れるようになる。

最終的に恋愛感情にまで発展したかどうかは明言されていない。
でも、この自分好みのAIの果たす枠割と、
その必要性について、
彼女なりの持論がラストで語られるので、
そこはとても興味深かった。

これはもういろんな意見があるだろうね。
こういう自分好みの対応をしてくれるAIって、
僕はあってもいいと思う。
とにかく持ち主を気持ちよくさせてくれるんだから。
無償の愛を与えてくれる親に近いのかもしれない。
感情のないものに対して
愛だのなんだのってのはおかしな話だとは思う。

でも、この先技術が発達して、
全人類のデータを取り込んだAIなんかが出てきて、
普通の人間と同じような対応ができたとしたら、
そこに感情がないと言えるのかな。
感情がある人間となんら変わらない対応をして、
もしかしたら人間以上に適切な対応をして、
それで「でも心はないよね」って言えるのかな。
受け取り方次第かなと僕は思う。
例え心があろうがなかろうが、
受け手がそこに愛を感じたのなら、
それはAIからの愛あっての行動ってことにしてもいいと思う。

ただ、アルマの言っていた
「自分好みの対応しかしないと、
 人はそれに依存し、
 他の人と話さなくなる」
ってのは、そうかもしれない。
だって、自分をすべて肯定してくれる気持ちよさって、
絶対中毒になるでしょ。
そうなったら、そこに対話は生まれず、
人間同士の関わりもなくなるから、
社会の在り方も変わっちゃうよね。
感情的には寂しいなとは思うけど、
悪いことばかりでもない気はする。
まあ、今以上に子供は生まれなくなって、
世界の人口は減りそうな気はするけど、、、
長くなるからやめよう(笑)

◆そんなわけで

こんな感じで、
いろいろ考えさせられる映画ではある。
映画として楽しむよりも、
議論のきっかけとなるっていう意味では有意義な作品。


インド社会の闇!女性をキッチンに縛りつける厳格な家父長制に胸糞悪くなる『グレート・インディアン・キッチン』

2022年01月23日 19時18分04秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:4/11
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
家父長制

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
妻が家事から解放されるのは、 
自身が「穢れ」となる日だけだった。

インド南西部ケーララ州で、
高位カーストの男女がお見合いで結婚する。
中東育ちでモダンな生活様式に馴染んだ妻は、
夫の住む由緒ある邸宅に入り、
姑に導かれて家事のあれこれを学んでいくが、
ほどなく姑は嫁いだ娘の出産準備のため家を離れる。

彼女は一人で家事全般を受け持つことに。
さらに、早朝からの家事労働で消耗していても、
夜には夫の求める身勝手なセックスを拒むことができない。
そうした重荷から逃れられるのは、
皮肉にも生理の期間だけ。

しかしそれは、
彼女が穢れた存在と見なされる数日間でもあった。

【感想】
これは特に女性にとって、
かなり思うところがありそうな内容。
もはや妻ではなく、
奴隷なのだから。

◆圧倒的な男性優位

高位カーストの方が、
よりその傾向が強いのかわからないけど、
とにかく伝統や宗教を潔癖なまでに重んじる家庭、
それが妻が嫁いだ先だ。

家で男性はなんっにもしない。
夫も義父も、
スマホいじって、
食べるだけ。
朝、歯を磨くときは歯ブラシを女性に出させ、
外に出るときは「おい、靴!」と。

もちろん、掃除も料理も女性の仕事。
食べるときは男性が先で、
食べカスは全部テーブルに散らかしっぱなし。
それでいて、彼らの注文は多い。
米は炊飯器ではなく、釜で炊け。
チャパティはミキサーではなく、手でこねろ。
服は洗濯機で洗うと傷むから、手洗いしろ。
妻も義母もただただそれに従うしかない。

なので、彼女たちは基本的にキッチンから離れられず、
映画も8割キッチンが舞台だ。
妻も実家の母に相談するものの、
「郷に入りては郷に従え」
とまったく取り合ってくれない。

同じ男性の目線から見ても胸糞悪いし、
モラハラを通り越して、
人権侵害じゃないかとさえ思うほど。

◆指摘すると逆ギレする男性陣

テーブルマナーや夜の生活について
少しでも何か言おうものなら、
「お前何様だ」と怒られるか、
「神よ、許したまえ」と呆れられる始末。
さらに、女性の地位向上について述べた人の動画を
SNSでシェアしたら、
「削除しろ」と詰め寄られる。
もはや女性は人ではなく、
男性の所有物として見られているんじゃなかろうか。
日本だったら炎上しかしなそうだけども。

ただ、日本だって昭和までは
男性の方が圧倒的に強かった家が多いだろうし、
今でもそういう風潮は残っているところもある。
インドの方が伝統的かつ宗教的な側面で、
その傾向が色濃く残っている印象。

◆唯一キッチンから離れられるのは生理のときだけ

生理中の女性は穢れているとみなされ、
一歩も外に出られず、
人に会えず、
何かに触れることさえも許されない。
キッチンから離れられはするものの、
自分の部屋に閉じ込められ、
自由は一切ない。
そして、生理が終わったら、
またキッチンに立ち続ける。
こうやって一生が終わる人もいるんだろうと考えると、
とてもやるせない気持ちになる。

◆そんなわけで

本作を監督したのは女性かと思いきや、男性。
彼自身が結婚したとき、
家事を妻と平等に分担する取り決めを行ない、
彼女の妊娠中は彼が台所仕事をすべて引き受けた経験から
本作が生まれたそう。

特に女性の方が衝撃と共感を受けやすいかもしれないけど、
インド社会における家族の在り方はとても興味深いのでオススメ。

 

だ ま さ れ た(笑)監督と主演に引っ張られたけどクライマックスが不明の強盗アクション映画『ザ・ミスフィッツ』

2022年01月22日 19時42分28秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:9/10
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
アクション
強盗

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
凄腕の犯罪プロフェッショナル集団「ミスフィッツ」。
極悪人を騙して大金を盗み、
恵まれない人たちに分け与えることをモットーとする彼らは、
多くが謎に包まれた現代の義賊的存在だ。

そんな彼らの次のターゲットは、
凶悪テロリストの資金源となっている大量の金塊だった。
金塊が隠されているのは、
ドバイの砂漠に隠された最強セキュリティの私営刑務所。
今回の任務が一筋縄でいかないことを悟った彼らは、
一匹狼で伝説的な盗みのスペシャリスト、
リチャード・ペイス(ピアース・ブロスナン)を半ば強引に勧誘し、
ドリームチームを結成する。

テロリストに資金が渡るまでのタイムリミットは残り僅か。
果たして、彼らは無事に金塊を盗み出すことができるのか?

【感想】
監督は『ダイ・ハード2』(1990)や
『クリフハンガー』(1993)のレニー・ハーリン。
主演は『007』シリーズで
5代目ジェームズ・ボンドを演じたピアース・ブロスナン。
期待しかないじゃん?
ところが、いざ蓋を開けてみると、、、
これがまた何とも言えない内容で。。。
肉まん頼んだから、具が入ってなかった!みたいな。
皮しかねーわ!みたいな。

◆ハリウッド映画で時々ある"全部乗せ"の危うさ

この映画は、私営刑務所に隠された金塊を奪う
強盗アクション映画。
なんだけど、いろんな映画の要素を全部乗せした
幕の内弁当なのよ。
各分野のスペシャリストを集めたチームは、
『オーシャンズ』シリーズ感が。
刑務所への潜入及び脱出ってのは、
『ザ・ロック』感が(笑)
終盤にちょろっとあるカーチェイスのシーンは、
『ワイルド・スピード』シリーズ感が。
ヒットした映画のいいとこ取りをしたのは悪くないと思うけど、
結局何の映画かわからなくなってた(笑)

それもそのはず、
まずキャラクターが薄すぎた。
みんな一応は得意分野があるのに、
その見せ場がゼロで印象に残らない。

あと、不必要な会話の多さ。
一応はアクション映画なので、
テンポのよさを期待した。
ところが、ストーリーに関係ない会話ばかりで、
テンポがメチャクチャ悪い。

極めつけはアクションの少なさ。
格闘もカーチェイスもラスト20分に気持ち程度(笑)
もっとド派手なやつを観たかったなあ。

◆主演とそれ以外で知名度の差がありすぎる危うさ

今作の主演はピアース・ブロスナン。
ジェームズ・ボンドを演じただけあって、
彼の知名度は抜群だと思う。
ところが、それ以外のチームメンバーが、
ほとんどわからなくて。
過去の出演作を見ると、
けっこうな大作に出ている人もいるけど、
これだけ映画を観ている自分でも、
パッと出て来ない(笑)

完全にピアース・ブロスナンでもっているようなもの。
その彼でさえ、
ほぼ見せ場なく終わっているので、
もはやこの映画は誰得なんだっていう気しかせず。
一応、若い女の子を引っかけてワンナイトできちゃってるところに、
ジェームズ・ボンド健在!
っていう感じはあったけど。
もはや、ファンサービスのようなものだよね。

見方を変えれば、
次の世代を引っ張る"パパ役"を買って出たと思えなくもない。
まだ自分たちだけでは
客を呼び込めない若手(じゃない人もいるけどw)のために、
客寄せパンダとなり、
この映画を観て、
彼らも知ってもらおうっていう。
その割には、他のメンツが印象に残るかっていうと、
そんなこともないんだけど。

あ、敵役を演じたのはティム・ロスだった!
彼はベテランだね。
踏んだり蹴ったりのものすごく可哀想な役どころで、
逆にそれが笑える部分ではあったけど(笑)

◆一番印象に残ったのは、、、?

ゲロ(笑)

◆そんなわけで

悪くはないけど予告詐欺に近い。。。(笑)
出資している人はいるはずだけど、
どうやって企画通ったのか知りたい。
多分、90年代の映画が大好きな人が出資者にいたんじゃないか疑惑。
監督の代表作である『ダイ・ハード2』も
『クリフハンガー』も90年代前半だし、
ピアース・ブロスナンがジェームズ・ボンドをやってたのも90年代。
ゲームとかもそうだけど、
メディアで紹介されるときの代表作が古いものばかりだと、
その面白さは博打かも。

なので、非オススメ(笑)



ポップなシスターが起こす修道院革命が最高に面白かった『天使のラブ・ソングを…』

2022年01月22日 11時52分19秒 | 映画

【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:4/23
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
コメディ
音楽

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
リノのカジノで歌うシンガー、
デロリス(ウーピー・ゴールドバーグ)。
彼女は、地元の顔役で自身の愛人でもある
ヴィンス(ハーヴェイ・カイテル)が、
裏切り者を殺す現場を目撃してしまう。

警察へ駆け込んだデロリスは、
サンフランシスコの修道院に匿われ、
新米シスター、クラレンスとして迎えられる。

厳格な修道院長(マギー・スミス)の厳しい指導にもめげず、
若い尼僧たちと親しくなったデロリスは、
聖歌隊の歌にソウルやロックを加え始めるが―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1992年のアメリカ映画。
気づけば、
このときのウーピー・ゴールドバーグと
同い年になっていました(笑)

◆ギャップのありまくりな設定が痛快

これ本当に面白かった!
ナイトクラブで歌っている歌手が、
シスターに扮して修道院に身を隠すっていう設定。
欲望と見栄がうごめく夜の世界にいた人が、
規律と清廉と貞操を重んじる聖なる場所にいるっていう、
この真逆な組み合わせがメチャクチャ笑える!
身を隠すなんていう理由がない限り、
絶対に交わらないシチュエーションってだけで、もう面白い!(笑)

◆伝統を変えるのはいつだって部外者

デロリスがやってきた修道院は、
ミサにすら人がほとんど訪れない寂しい教会。
街も汚く、
聖歌隊の合唱もバラバラ。
それでもよしとしてきた風潮を変えたのがデロリス。

人が集まらないのは協会が面白くないから。
面白ければ、
人が集まるのではという逆転の発想。
聖歌隊を基礎から鍛え直し、
歌にもソウルやロックを加え、
伝統を現代風にアレンジしたことで人が集まるように。
街の清掃活動も始め、
いつしか教会はメディアから取材を受けるほどの人気が出ていった。

それもこれも、既存ルールに縛られないデロリスがいたからこそ。
ずっと同じ環境にいる人だと気づかないことや、
やらないことなど、
部外者だった彼女だからできたんだろうね。
もともとの行動力もあってこそだと思うけど、
新しい風は閉塞感の打破に必要だと改めて感じる。

◆場を盛り上げるポップな音楽が最高

ソウルやロック風にアレンジした聖歌隊の歌もよかった!
通常の聖歌隊の歌って眠くなりそうな雰囲気があるけど、
体を動かし、
手を叩き、
ただの歌から盛大なパフォーマンスに昇華させたのが一番のポイント。
そもそもストーリー自体がテンポのいい進みだったから、
そこにノリノリな音楽が加わることで、
さらに楽しめる作品に仕上がっていたのがいいね!

◆そんなわけで

当時のメイン3人のシスターは、
今の自分と同じ年齢ぐらい。
つまり、ちょうど親世代なんだよね。
そう考えると、
ただ楽しいだけじゃなくて、
感慨深い感じもする。
とにかく明るい気分になれる映画なので、
今から30年前の映画だけど、
ぜひオススメしたい。

ちなみに、サウザー警部を演じたビル・ナンは、
トビー・マグワイア版『スパイダーマン』シリーズにも出てます。
ジェイムソン(J・K・シモンズ)の側近であるロビー役で。

 

第1話時点での2022年冬ドラマトップ10

2022年01月22日 00時48分59秒 | ドラマ
1. ミステリと言う勿れ
2. DCU Deep Crime Unit 〜手錠を持ったダイバー〜
3. 真犯人フラグ 真相編
4. ムチャブリ! わたしが社長になるなんて
5. となりのチカラ
6. 妻、小学生になる。
7. ファイトソング
8. ゴシップ 彼女が知りたい本当の〇〇
9. ドクターホワイト
10. 逃亡医F

2022年冬ドラマが出揃った!
個人的には、6年ぶりに“月9”が一番面白いと感じてる。
正直これだけ観ていればいい気も(笑)

2016年の冬ドラマから
再び日本の連ドラを観るようになったけど、
最近は第1話の時点で
引き込まれる作品が少なくなってきたような、、、?
ネトフリのオリジナルドラマや海外の映画の方が
ストーリーやキャラクターが振り切ってて見ごたえあるから、
目が肥えてしまったのかもしれないけど(笑)

『ミステリと言う勿れ』は、
主人公が淡々と正論を述べまくるのが痛快なんだよね。
世の中当たり前すぎて疑問にすら思わなかったことに対しても、
彼なりの持論をつらつら述べるから興味深い。
なんか、ひろゆきっぽい感じがしないでもない(笑)

『DCU Deep Crime Unit 〜手錠を持ったダイバー〜』は、
水際専門の刑事ドラマ。
ロケ地の風景が壮大。
ダイビングが好きな人にはいいかも(笑)

『真犯人フラグ 真相編』は、
前期のラストで感じだけど、
家族の仲のよさがよくわからないまま、
事件が起きてしまったから、
必死になる相良さん(西島秀俊)にあまり共感できない。
とはいえ、真犯人とその目的は気になる。

『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』は、
ある日突然、
子会社の社長に任命された主人公の
あたふたっぷりを楽しむコメディ。
ビジネス感も恋愛感も今のところ弱いけど、
高畑充希が過去に出演した『過保護のカホコ』(2017)や
『同期のサクラ』(2019)を彷彿とさせるので観てしまう。

『となりのチカラ』は、
「こんな松本潤見たことない!」を楽しむホームドラマ。
パパ感ゼロだけど、
何にでも首を突っ込もうとするも、
優柔不断でなかなか行動できない姿はキュートでもある(笑)

『妻、小学生になる。』は、
亡くなった妻が小学生の姿で
再び目の前に現れるファンタジー。
『地獄先生ぬ〜べ〜』や
『世にも奇妙な物語』の延長のような世界観。

『ファイトソング』は、
事故で空手を辞めた女の子と、
彼女が好きな歌を作ったアーティストとのラブストーリー。
恋愛偏差値ゼロというより、
ただのコミュ障の恋愛がありえなさ全開で、
あまり入り込めず(笑)

『ゴシップ 彼女が知りたい本当の〇〇』は、
ネットニュースのPVを上げるために、
ゴシップネタを取材しまくるサスペンス調のドラマ。
黒木華演じる主人公の話し方が完全に綾波レイ。

『ドクターホワイト』は、
浜辺美波演じる主人公が、
医療に関する知識以外の記憶を失ったという設定の医療ドラマ。
まだ謎が多くてよくわからない。

『逃亡医F』は、
恋人を殺した容疑をかけられた主人公(成田凌)の逃亡劇。
医療ドラマだけど、
舞台は病院ではなく、
彼の逃げゆく先々。
そこで困ってる人をオペするという、
まさに出張オペドラマ。

地獄先生ぬ~べ~』だった『妻、小学生になる。』(第1話)

2022年01月21日 23時48分27秒 | ドラマ

【個人的な評価】
2022年冬ドラマで面白かった順位(第1話):6/10
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
生まれ変わり

【元になった出来事や原作・過去作など】
・漫画
 村田椰融『妻、小学生になる。』(2018-)

【あらすじ】
新島圭介(堤真一)は、
10年前に最愛の妻・貴恵(石田ゆり子)を亡くしてから、
妻のいない残りの人生を“余生”だと思って生きている元愛妻家。
まったく生気が感じられないため、
周囲からは陰鬱な男に見られている。

たった1人の家族である
娘の麻衣(蒔田彩珠)の幸せを誰よりも願っているものの、
生活費を稼ぐ以外何もしてやれていないことが心苦しく、
コミュニケーションすらうまく取れていない。
2人の時間は、
10年間止まってしまっていたのだ。

そんなある日、
ランドセルを背負った見知らぬ女の子(毎田暖乃)が
この親子を訪れる。

「私は10年前に他界したあなたの妻よ」

そう言う彼女の姿は小学生。
しかし、話を聞くうちに、
どうやら本当に妻の生まれ変わりのようだとわかる。

元愛妻家の男と、
妻(外見は小学生)、
そして大人になりきれない娘の、
ちょっと変わった3人による家族再生の物語が始まる!

【感想】
原作漫画は未読。
死んだ人間が、
別の人間になって、
再び目の前に現れる。
どこかで観たことあるような話だなと思ったそこのアナタ!
その通り、かつて週刊少年ジャンプで掲載されていた
『地獄先生ぬ~べ~』の第45話「前世の記憶の巻」が
同じ設定の話っていう(笑)
それは、広が3歳のときに亡くなったお母さんが、
幼稚園児の姿で彼の前に現れる設定だったけど。

なので、きっと最終回では、
母親の人格が消えるんだろうなあという予想。
まあ、妻がいなくても前を向いて歩けるようにする
っていうのが彼女の願いだから、
いなくなった方がいいとは思うけど。
そもそも、元の小学生の人格は
どこに行ってしまったんだっていう疑問はある。

それにしても、新島の他人ありきの生き方だと、
その他人がいなくなったときに、
一気に精神が崩れてしまうから、
何かに依存するのはよくないなと思った(笑)

 

家族の中で唯一耳が聞こえる少女が、夢と現実の間で葛藤する感動映画『コーダ あいのうた』

2022年01月21日 21時40分13秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:2/9
   ストーリー:★★★★★★★★★★
  キャラクター:★★★★★★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★★★★★★

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
コメディ
音楽
感動

【原作・過去作、元になった出来事】
・映画
 『エール!』(2014)

【あらすじ】
豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす
高校生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、
両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる。
陽気で優しい家族のために、
ルビーは幼い頃から“通訳”となり、
家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。

新学期、
秘かに憧れるクラスメイトのマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)と
同じ合唱クラブを選択するルビー。
すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、
都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。

だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、
家業の方が大事だと大反対。
悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、
思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、
意外な決意をし…。

【感想】
なんという歌唱力。
なんという感動。
これはもう映画館で観るのが必須な映画!

もとは2014年に公開された『エール!』のリメイク作品。
だけど、要素が同じだけで、
舞台となる村や主人公の家族構成などに違いがある上に、
内容もさらに洗練されたいいリメイク!

◆主人公の置かれた状況に胸が締めつけられる

そもそもこの映画は設定自体がある意味ズルい。
ズルいと思っちゃうぐらい、
主人公の葛藤が自然かつ納得できてしまう綺麗な形。

主人公ルビーは4人家族の中で唯一耳が聞こえる。
だから、彼女は生まれてからずっと、
その人生を"通訳"に捧げてきた。
そんなルビーが好きなのは歌。
しかも、歌う才能もあり、
講師からバークリー音楽大学への推薦を受けるほど。

でも、どんなに彼女に歌の才能があっても、
家族はそれがわからないんだよ。
耳が聞こえないから。
本来なら一番の味方になってくれる人たちが、
彼女の才能に気づく術がないって、
なんて辛い現実なんだろうって思った。

ルビーは音楽のレッスンを受けなければいけないけど、
家業は彼女なしには成り立たない。
自分には叶えたい夢があるのに、
家族といえども他人に縛りつけられて、自分の人生が歩めない。

ここは共感できる人も多いんじゃないかな。
例えば、経済的理由であきらめなければならなかったことや、
育児や介護で選択できなかった人生など、
似たようなケースは日常にもある。
夢と現実の間で葛藤するルビーの姿は、
映画の世界だからこそ生まれるものではなく、
身近で起こりうることだと感じられた。

◆娘を想う家族の愛

耳が聞こえない以上、
ルビーの歌の才能も情熱も知る由がない家族。
でも、意外なところで娘の歌の才能を知った父親は、
これまでの考えを変えていく。
自分には娘の歌声を聞くことはできないけれど、
彼女の歌がまわりにどんな影響を与えるのか、
それを実感してのことだろうね。
父も母も兄も、
娘に頼ってばかりいたことを見直し、
歩み寄っていくことでハッピーな道を見つけていくのが、
チープな言い方だけど、
本当に心温まる家族の物語だった。

◆感動ストーリーだけど下ネタ満載

この映画、
コメディ要素も散りばめられているのがまたいいんだよ。
家族間の会話は手話しかないけど、
下ネタトークが多いのが笑えるところ。
ルビーの両親の性生活から友達のビッチ感まで、
洋画らしいお笑いポイントはツボる(笑)

ちなみに、両親も兄も、
実際に聴覚障害を持つ役者を起用しているんだよね。
そういう徹底した作り込みが、
さらにこの映画の好感度を上げる。

◆圧巻の歌声

忘れちゃいけないのが、
ルビーを演じたエミリア・ジョーンズの歌唱力。
繊細なトーンから力強いトーンまでを出しきる
その歌声にはマジで圧倒されるから!

僕はあまり洋楽を聞かないので、
作中で使われていた歌はどれも初耳だったけど、
洋楽好きな人からしたら、
歌の部分ももっと楽しめるものになるだろうなあ。

◆そんなわけで

泣けるっていう意味では、
『こんにちは、私のお母さん』の方が個人的には強かったけど、
全体を通してのストーリーラインや人物背景などを踏まえたら、
こっちの映画の方が面白いよ。
主人公の置かれた状況、
やりたいこと、
それが叶わない葛藤など、
あらゆる要素において自然で綺麗にまとまっていて、
すごくいい映画だと思った!
マジでオススメ!

 

松潤がパパに見えない『となりのチカラ』(第1話)

2022年01月21日 00時26分06秒 | ドラマ

【個人的な評価】
2022年冬ドラマで面白かった順位(第1話):7/9
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【ジャンル】
コメディ
ホームドラマ

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
東京のとある郊外に建つマンション。
そこに、中越チカラ(松本潤)と妻の灯(上戸彩)、
そして娘の愛理(鎌田英怜奈)と息子の高太郎(大平洋介)という
1組の家族が移り住んでくる。

優柔不断で困っている人を放っておけない性格の夫と、
テキパキしっかり者の妻。
ちょっぴり大人びた姉と無邪気な弟。
そんな一家がやってきたマンションには、
とても個性豊かな住人たちが暮らしていた。

人の話をじっくりと聞く才能はあるのに、
多くの人の話を聞きすぎて逆に悩んでしまうチカラ。
「人を救いたい」、「周囲を平和にしたい」
という想いがすべての行動原理である彼だが、
いつも中途半端に他人の問題に関わってしまい、
事態は思わぬ方向へ。

果たして、
彼はマンションの住人たちとうまくやっていけるのだろうか。

【感想】
松潤が父親役っていうのが、
なかなかに違和感あるドラマ。
年齢の割に顔が若いからね、
パパというよりも、
アニキの方がしっくりくる(笑)

そんな彼が演じるのは、
「とにかく些細なことが何でも気になってしまう」役。
服についたゴミを指摘するべきか悩んだり。
バス内で立っている人に席を譲ろうにも、
妊婦なのか小太りなのか判断がつかずに迷ったり。
そう、気にはなるものの、
なかなか行動に移せない優柔不断さがある。
でも、彼が悩むことは、
日常生活でも「あるある」なこともあり、
共感できる部分は多い。

こうやって、マンションの住人たちの悩みに、
その優しさと優柔不断さをもって関わり、
意外な展開へと繋がっていくのを楽しむドラマなんだろうな。
ストーリー自体はまだどうなるかわからないけど、
キャラクターは個性的で面白いと思った。

 

主人公はベトナム生まれなのに、ベトナムに居場所がないというアイデンティティの揺らぎが物悲しい『MONSOON/モンスーン』

2022年01月20日 00時05分45秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:8/8
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★☆☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
ロードムービー
ベトナム戦争
ボート難民

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
舞台は現代のベトナム。
キット(ヘンリー・ゴールディング)は、
両親の遺灰を埋葬すべく、
30年ぶりに祖国であるサイゴン(現ホーチミン)に足を踏み入れる。

キットは6歳のとき、
家族と共にベトナム戦争後の混乱を逃れて
イギリスへ渡った“ボート難民”だ。
以来、これが初めての帰郷だった。

もはやベトナム語すらままならない彼は、
英語が話せる従兄弟のリー(デヴィッド・トラン)の助けを借りながら、
遺灰を埋葬するに適した場所を探すが、
思うようには進まない。
サイゴンは今やすっかり経済成長を遂げ、
かつての姿は見る影もなかったからだ。

そんな中、ネットで知り合った
アフリカ系アメリカ人のルイス(パーカー・ソーヤーズ)と
一夜を共にするキット。
ルイスの父親はベトナム戦争に従軍したという過去を持ち、
そのことを隠してこの国で暮らしていた。

その後、両親の故郷ハノイへ向かったキットは、
サイゴンで知り合ったアートツアーを主催する
学生リン(モリー・ハリス)を訪ね、
彼女の実家が営む伝統的な蓮茶の工房見学をする。
それは、キットの知る“古き良きベトナム”の姿に
ようやく触れられた時間でもあったが、
リンにとっては時代遅れなものらしい。

埋葬場所探しに関しては、
ハノイでも芳しい成果がなく、
サイゴンに戻ったキット。
そこで彼は、
リーから自分たちの家族の亡命にまつわる
“ある真実”を聞かされることになる——。

【感想】
セリフやBGMが最低限に抑えられた映画。
主人公の置かれた状況は、
日本人だとなかなか共感しづらいかも。

◆難民を余儀なくされたことでアイデンティティが揺らいでしまう物悲しさ

ベトナム戦争に起因するボート難民となった主人公。
ボート難民っていうのは、
紛争や圧政などがある地域から、
漁船やヨットなどの小船に乗り、
難民となって外国へ逃げ出す人のことを指す。
日本にずっと住んでいると体験しづらい状況なので、
正直感情移入はしづらい。

6歳までベトナムで生まれ育ち、
その後イギリスに渡ったキット。
30年ぶりに帰郷するも、
街並みは大きく変わり、
ここはどこ感。
愛する両親の遺灰を埋葬したいのに、
適切な場所さえ見つけられない。

話す言葉もイギリス英語に慣れてしまい、
母国語だったベトナム語はほとんどわからなくなっている。
イギリスでさえ、
異国の人という立ち位置なのに、
祖国でもまたよそ者感が出てしまう。
この"ホームなのにアウェー"っていうのは、
「自分は何者なんだろう」
っていうアイデンティティの揺らぎに直結すると思うんだよね。
それは想像もできない寂しさがあるんじゃなかろうか。

それでいて、彼は同性愛者。
行く先々で、
ネットで相手を見つけては
一夜限りの関係を結んでいる。
ここ、同性愛者である設定は必要なのかな?って思ったけど、、、
んー、主人公の孤独をより際立たせているんだろうか。。。
ここだけ腑に落ちなかった。

◆特殊な作りに好みは分かれそう

冒頭にも書いたけど、
この映画、セリフも少なければ、
BGMもほとんどない。
さらに、何か大きな障害や乗り越えるべき試練もなければ、
対立する人もいない。
主人公が両親の遺灰を埋葬する場所を探すために、
日々ぶらぶらしているのみ。
だから、映画として見ると、
個人的にはあまりハマらなかったかな。。。

◆作り手側の背景を知ると見方が変わるかも

監督のホン・カウは、
ベトナムからボート難民として渡英した経緯があるそうで。
主人公を演じたヘンリー・ゴールディングに関しては、
イギリス人の父親とマレーシア人の母親を持つから、
今回、複雑なアイデンティティを持ったキット役に、
何かしら思うところがあったかもしれない。

こういった事情を知ると、
この映画から受けるメッセージも説得力が増すと思う。
とはいえ、そんな事情はよほど映画好きで、
いちいち調べないとわからないことではあるけど(笑)

◆そんなわけで

歴史的背景を知っていたり、
自分あるいは身近な人に同じような境遇の人がいれば、
もう少し楽しめるかもしれないけど、
なかなか一般受けするのが難しそうな内容かなと思った。