Blog of 俺 by 俺 for 俺

自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

同じ国の人がホロコーストに加担していたという衝撃の事実を描いた『ホロコーストの罪人』

2021年08月31日 20時55分49秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:123/180
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
実話ベース
第二次世界大戦
ホロコースト

【あらすじ】
第二次世界大戦中、
ユダヤ人一家のブラウデ家は、
ボクサーの息子チャールズ(ヤーコブ・オフテブロ)が
非ユダヤ人女性のラグンヒル(クリスティン・クヤトゥ・ソープ)と結婚し、
幸せな日々を送っていた。

だが、ナチス・ドイツがノルウェーに侵攻すると状況は一変する。
ユダヤ人は身分証明書に
ユダヤ人の印「J」のスタンプが押され、
チャールズら男性はベルグ収容所へと連れて行かれ、
厳しい監視のもと、
強制労働を強いられた。

一方、取り残された母とチャールズの妻は
夫や息子たちの帰りを待ちながらも、
資産を接収されるなど徐々に圧力を強めてくる政府に身の危険を感じ、
スウェーデンへの逃亡を準備していた。

しかし、1942年11月、
ノルウェー秘密国家警察である
クヌート・ロッド(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)の指揮のもと、
警官とタクシー運転手らによって、
ノルウェーに住むユダヤ人全員がオスロ港へと強制移送された。

何も知らずに港に連れてこられた人々の前に待ち構えていたのは、
アウシュヴィッツへと向かう船“ドナウ号”だったー。

【感想】
今年公開のホロコースト系映画4本目。
本作もまた史実をベースにした作品。
暗い雰囲気の中、淡々と進んで行く。
なので、映画としては、
昨日観た『沈黙のレジスタンス』の方が面白いかなー。

ただ、この映画の最大のポイントは、
同胞によるホロコースト加担っていう点。
773人のノルウェー在住のユダヤ人が
アウシュヴィッツに移送されるという悲しい史実。
その援助をしていたのが、
同じノルウェーに住む秘密警察や市民だったんだよ。
秘密警察のロッドも、
隣人から「ユダヤ人に何かあるの?」って聞かれるだけど、
「何もないよ」と涼しい顔で返す。
他人なんて信じられなくなって当然の状況。

ベルグ収容所に移送されたチャールズたちは、
そこで強制労働をさせられる。
狭い粗末な建物に大人数の男たちが押し込まれ、
朝早くから寒い中での肉体労働。
大した食事も与えられず、
口答えしたものは暴力を受けるという悲惨さ。

その後、チャールズ以外の家族はアウシュヴィッツへと移送。
なぜチャールズだけ残されたかって?
それは彼の奥さんがアーリア人だったから。
ナチスは「アーリア人こそ優れた人種」という思想だったので、
最悪の事態は免れた。
家族とは離れ離れになってしまったけどね。。。

ラストシーンはすごかった。
アウシュヴィッツに移送された多くの人々。
おそらく、ほとんどがエキストラじゃないかな。
全員素っ裸。
男性も女性も老人も子供も。
「消毒のため」と言われて、
服はすべて脱がされる。
そのまま兵士に煽られるがまま向かった先が、、、
ガス室。。。
そこだけ一切の音がなくなる演出は
映画館で観てこその迫力だった。。。

この悲劇が起こってから実に70年。
2012年にノルウェー政府は
自国民がホロコーストに加担したことを正式に謝罪したようだ。

本当に惨い歴史。
結局亡くなったユダヤ人の数だって正確なところはわからないまま。
ホロコースト含め、
ヒトラーの人柄や第二次世界大戦の経緯を調べると、
情報量が多くてパンクする。
それだけ、多くのことが複雑に絡み合っている。
一度どこかで体系的に学び直したい。

映画『ホロコーストの罪人』公式サイト

映画『ホロコーストの罪人』公式サイト

 

パントマイムの神様による知られざる救出劇『沈黙のレジスタンス ~ユダヤ孤児を救った芸術家~』

2021年08月30日 22時54分00秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:63/179
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
実話ベース
第二次世界大戦
ホロコースト

【あらすじ】
1938年フランス。
アーティストとして生きることを夢見るマルセル(ジェシー・アイゼンバーグ)は、
昼間は精肉店で働き、
夜はキャバレーでパントマイムを披露していた。

第二次世界大戦が激化する中、
彼は兄のアラン(フェリックス・モアティ)と従兄弟のジョルジュ(ゲーザ・ルーリグ)、
想いを寄せるエマ(クレマンス・ポエジー)と共に、
ナチに親を殺されたユダヤ人の子供たち123人の世話をする。

悲しみと緊張に包まれた子供たちにパントマイムで笑顔を取り戻し、
彼らと固い絆を結ぶマルセル。
だが、ナチの勢力は日に日に増大し、
1942年、遂にドイツ軍がフランス全土を占領する。

マルセルは、険しく危険なアルプスの山を越えて、
子供たちを安全なスイスへと逃がそうと決意するのだが──。

【感想】
今年に入って3本目のホロコーストの史実に基づいた映画。
本作の主人公はマルセル・マルソー。
実在した人物で、「パントマイムの神様」と称されるアーティストだ。
彼の知られざる青年期のレジスタンス活動を描いたのが本作。
子供に焦点が当たっているので、
子供がいる人はより一層感情移入できそうな話だった。

こういう実話ベースの映画は淡々と進んで行く作品が多い。
しかし、本作はストーリーに起伏があって
映画としても十分に面白かった。

子供の目の前で両親が無残にも殺される衝撃。
ナチスから逃げ惑う恐怖。
マルセルと子供たちの触れ合いによる感動。
いろんな感情が刺激される点でとても見ごたえがある!

特に印象的だったのが2点。
まずはマルセルの"思考の転換"。
彼が想いを寄せるエマの妹がナチスに殺され、
復讐を誓うエマ。
他にも多くの人が殺されている中、
やり返したい気持ちはとても共感できる。
現実にもナチスに復讐したかったユダヤ人はたくさんいたはず。

ところが、マルセルはその怒りを敵に向けることはしなかった。
彼は敵に復讐したい気持ちを、
子供を守ることへとシフトさせたから。
やり返したところで、人が死んで終わり。
でも、子供を守れば、
彼らはやがて新しい家族を作り、
世代が続いていく。
煮えたぎる怒りを抑え、
冷静に未来を見据えていたんだよ。

もしレジスタンスに、
ナチスと同等かそれ以上の武力があったのなら、
やり返していたかもしれない。
武力で劣る彼らがやるべきことは、
真っ向から勝負を挑むことじゃない。
小さな命を未来へとつなげることだった。
仲間が理不尽に殺されているこの状況でだよ。
マルセルの判断と決断はなかなかできることじゃないなと感じた。

もうひとつは、ナチス親衛隊中尉だったクラウス・バルビー(マティアス・シュアヴィクホファー)。
彼は"リヨンの虐殺者"と呼ばれるほど残忍な人物だったらしい。
ウィキペディアでは、
「ヴィシー政権下のリヨンで反独レジスタンスを鎮圧する任務に就いており、
 8,000人以上を強制移送により死に追いやり、
 4,000人以上の殺害に関与し、
 15,000人以上のレジスタンスに拷問を加えた責任者」
と記載されていた。

映画の中でもその非道っぷりがよく描かれている。
「疑わしきは即殺害」と言わんばかりに、
騒動を起こした容疑者は全員射殺。
エマへの拷問は、
彼女自身にではなく、
その妹の皮を剥ぐという鬼畜さ。

そんな彼にも綺麗な奥さんと、
生まれたばかりのかわいい赤ちゃんがいるんだよね。。。
裏では人を殺しまくっているのに、
子供の前では優しい父親。
その対比がものすごく怖い。
最上級のサイコパスじゃねぇかって。

ホロコーストでは実に150万人以上の子供たちの命が奪われたそう。
ユダヤ人を救った人たちの映画はいろいろあるけど、
圧倒的に救えなかった命の方が多い。
もはや自分が生まれる前の話ではあるけれど、
こういう過去があったということは人として知っておきたい。

『沈黙のレジスタンス ~ユダヤ孤児を救った芸術家~』公式サイト

8月27日(金)TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー!

『沈黙のレジスタンス ~ユダヤ孤児を救った芸術家~』公式サイト

 

大事なところの説明が何もなく「???」だった『アーヤと魔女』

2021年08月28日 20時59分30秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:155/178
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アニメ
ジブリ
魔女

【あらすじ】
「子どもの家」で育った10歳の少女・アーヤは、
何でも思い通りに、
何の不自由もなく暮らしていた。

そんなアーヤの前の現れたのは、
ベラ・ヤーガと名乗るド派手な女と、
マンドレークという長身男の怪しげな2人組。
アーヤは彼らの家に引き取られることになる。

魔法を教えてもらうことを条件に、
ベラ・ヤーガの助手として働き始めるアーヤ。
でも、こき使われるばかりで、
ひとつも魔法を教えてもらえない。

生まれて初めて自分の思い通りにならないことを悟ったアーヤは、
魔法の秘密を知る使い魔の黒猫・トーマスの力を借り、
反撃を始める……!

【感想】
これは一体どうしたことだろう。。。
ジブリ最新作として期待していくと、
手痛いしっぺ返しを食らうことになる映画(笑)

キャラクターデザインも作品の雰囲気も、
これまでのジブリとはだいぶ違う。
でも、一番のツッコミどころは、
大事なところの説明が何もないことだ。

母親がアーヤを捨てた理由は?
捨てておいてなぜ会いに来た?
彼女が12人の魔女から追われている理由は?
アーヤの母親たちがバンドを解散した経緯は?

肝心なところは一切語られず。
ただ淡々とアーヤのこき使われている日常が映し出されるのみ。
これじゃストーリーもキャラクターもよさが全然伝わって来ない。

しかも、アニメーション自体は25年前の
『トイ・ストーリー』(1996)と同じぐらいのクオリティ。
まあ絵本っぽい感じはするので、
子供は楽しめるのかもしれないけど。。。

事前にテレビシリーズがあるか、
この後に続きをやるか。
この物語の補完的なものがないと、
この映画単体だけではあまりにも穴だらけな気がする。
決してつまらないわけではないんだけど、、、
単純にわからないんだよね。

原作読んでからの方がよかったか。
でも、後で調べて知ったのだけど、
この作品、そもそも未完のまま作者が亡くなったようで。
となると、原作でもここまでなのかな。

あと、原作者は『ハウルの動く城』を書いている人でもありました。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ。

『劇場版 アーヤと魔女』公式サイト

「私のどこが、ダメですか?」—— GOROが挑むジブリ初のフル3DCG作品『劇場版 アーヤと魔女』大ヒット上映中!

『劇場版 アーヤと魔女』公式サイト

 

一生が一日で終わる世にも奇妙な恐怖のビーチ『オールド』

2021年08月28日 16時26分18秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:62/177
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
スリラー
世にも奇妙な物語


【あらすじ】
休暇で人里離れた美しいビーチを訪れた複数の家族。
楽しいひと時を過ごしていた矢先、
ひとりの母親が突然姿を消した息子を探している——。

「私の息子を見かけませんでしたか?」
「ママ、僕はここにいるよ!」

母親が息子の姿に気付かないのも無理はなかった。
なんと6歳だった息子は、
少し目を離した隙に少年から青年へと急成長を遂げていたのだ。
一体このビーチで何が起こっているのか?

海岸に打ち上げられた女性の死体、
次々に意識を失う人々、
砂浜に残された謎のメッセージ——。

不可思議な出来事に直面する彼らは、
やがて自らが急速に年老いていく事に気づく…。
果たして、極限状態に追い込まれた彼らの運命は?

【感想】
スケールのデカい"世にも奇妙な物語"って感じの映画!
ツッコミどころはあるにせよ、設定が面白かった!

まず、ロケーションがいいよね。
あおーいそら、しろーいくも、ひろーいうみ。
この上なく夏らしい風景。

でもそこで起こるのは、
現実では考えられないことの数々。
そのビーチ、なんと時間の経過が早まるのだ。
30分で1年が過ぎる。
つまり、24時間経つとほぼ50年経つことになる。

特に子供の変化が顕著。
小さかった子供たちはあっという間に大人の姿へ。
それはお腹の中にいる子供にも影響を及ぼす。

さらに、ビーチから外へ出ようとすると意識を失う。
このままだと1日後には全滅。
完全に逃げ道を塞がれた絶体絶命の状態。

ビーチにいる人々に起こる不可思議な現象。
それをきっかけにして起こる人間同士の不和。
そこから伝わる不安、緊張、恐怖は
夏映画にふさわしいヒヤッと感がある。

また、時間が早く進む分、
その大切さを噛みしめることもできる。
大人たちも老眼や難聴を急速に患うことで、
老いを感じずにはいられない。
今まで言えなかったことや思っていたこと。
死期を悟り、それらを伝えるシーンはちょっと心温まる。
スリラー映画の中における唯一のヒューマンドラマなシーンだったなー。

108分と尺も短いので、
サクッと観られるのもいい。
『世にも奇妙な物語』が好きならオススメできる。

映画『オールド』公式サイト

『シックス・センス』のM.ナイト・シャマラン監督が放つ、謎解きタイムスリラー。バカンスで訪れた美しいビーチで、[時間]が異常なスピードで加速...

映画『オールド』公式サイト

 

主人公に誰も手を貸さない孤独に満ちた『真昼の決闘』

2021年08月28日 11時58分09秒 | 映画


【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:12/12
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
西部劇
孤独

【あらすじ】
保安官ウィル・ケーン(ゲイリー・クーパー)は、
結婚を機に退職し、
新妻エイミー(グレース・ケリー)と町を出ることになっていた。

だが、式の途中、
ケーンがかつて逮捕した無法者のフランク・ミラー(イアン・マクドナルド)が釈放され、
仲間たちと復讐に帰って来るという知らせが入る。

ケーンは一味と決着を付ける決意を固めたものの、
町の誰もが仕返しを恐れ、
保安官への協力を拒む。

そんな中、正午きっかりに列車が到着し、
ミラーたち4人のガンマンが駅に集まった。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1952年のアメリカ映画。

ある意味恐ろしい内容だった。
だって、主人公を誰も助けないのだから。

ケーンがかつて逮捕したフランク・ミラーが釈放され、
復讐しに来る。
これを迎え撃とうと協力者を募るも、
誰一人として手を貸さない。

別にケーン自身が嫌われているわけではない。
自分も命を狙われることを恐れたり、
単にそこまでするほど興味がなかったり。
理由は人それぞれだけど、
町中の全員が協力の申し出を断る。

そういう意味で、
本作は当時から画期的な映画だったらしい。
それまでの西部劇は無敵のヒーローを描くのが通例だった。
だから、誰にも助けてもらえず、
孤独に苛まれる主人公というのは異例だったと。
これ以降、西部劇の主人公の描かれ方が変わったらしいよ。

確かに保安官でもないのに、
一般市民が命を懸けるのは並大抵のことではない。
でも、映画だからね、
協力して作戦を練る姿勢などは見せてもいいはず。
なのに、みんなスルー。
いつもケーンにお世話になっているのに、
恩を仇で返すようだった。
断られ続けたときのケーンのやるせない表情ときたら。

人って意外と他人のことには無関心。
いつだって自分が一番かわいい。
そんなメッセージを感じ取れる映画。
なんとか決闘には勝利するも、
ケーンの目には人を信じない眼差しだけが残っていた。
70年経った今でも通じる内容だと思う。

また、この映画は85分なんだけど、
作中でも同じぐらいの時間の進み。
リアルタイム劇なんだとか。
長い映画史の中でもそうそうない手法。

それにしても、当時22歳のグレース・ケリーの美しさが眩しくて。
品があって可憐で。
そりゃモナコ王妃になりますね。

そして、ゲイリー・クーパーの渋さね。
先日亡くなられた千葉真一さんも
尊敬する俳優の一人として挙げていそう。

ちなみに、この撮影中にゲイリー・クーパーとグレース・ケリーは
そういう関係だったらしい。
30歳の年齢差もなんのその(笑)

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

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興奮と感動が詰まったワーナーキャラ勢ぞろいの超絶お祭りバスケ映画『スペース・プレイヤーズ』

2021年08月27日 23時28分08秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:22/176
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
コメディ
アニメ
スポーツ
バスケットボール
ワーナーキャラ

【あらすじ】
バスケ界のキング、レブロン・ジェームズ。
彼はバスケのことになると人一倍厳しくなり、
それを息子にも押し付けてしまう一面があった。

次男のドム(セドリック・ジョー)はバスケよりもゲーム作りが好きだったが、
父親になかなか認めてもらえない。

ある日、レブロンを登場させる映画を作ろうと、
レブロンとドムはワーナー・ブラザースに呼び出される。
そこで、ひょんなことから親子喧嘩になってしまった2人は、
映画スタジオの巨大なサーバールームに迷い込む。
それは、そのサーバールームを支配する
自我を持ったアルゴリズム"アル・G・リズム"の策略だった。

大人気キャラクターたちが存在する
無限のバーチャルワールドに吸い込まれてしまうドム。
果たして、レブロンは捕らわれた息子を取り戻すことができるのか?!

プレイヤーは自分自身!
映画の最強キャラクターを仲間にして、究極のバスケ対決が今始まる!

【感想】
『スペース・ジャム』(1996)から25年ぶりの続編。
前作では、当時33歳だった若き日のマイケル・ジョーダンが出演。

今作の主人公はレブロン・ジェームズ。
NBAを見ていないとピンと来ないかもしれない。
1984年生まれのプロバスケットボール選手。
現在はNBAのロサンゼルス・レイカーズに所属。
数々の最年少記録、歴代記録を更新しており、
"KING"の愛称がつくほどの実力者。
一部からは"マイケル・ジョーダンの能力を持ったマジック・ジョンソン"
と言われているとか。
そんな彼が製作にも携わっている今回の映画。

世間の評価はあまり高くないようだけど、
僕はこの映画を推したいなー。
ワーナーキャラ総出演ってだけあって、
やっぱり見映えするのよ。
バッグス・バニーを始めとしたルーニー・テューンズの面々。
キング・コングやグレムリン。
バットマンやワンダーウーマンも。
(まあ、ルーニー・テューンズ以外の扱いはかなり少ないけどw)

さらに、いろんな映画のワンシーンに
バッグス・バニーたちが入り込むのも面白い。
『マトリックス』や『オースティン・パワーズ』、
『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』など。
映画好きならたまらない演出。
ハリウッド映画ってこういう"オールスターモノ"で
盛り上げてくるのがうまいんだよなー。

ストーリーも前作より共感できる作りだったのはよかった!
前作は、マイケル・ジョーダンがワーナーキャラと
わちゃわちゃしてるのがメインだったから。
まあ今作も前作以上にわちゃわちゃしてはいるんだけど(笑)

メッセージとして「自分らしさを大切にすること」
っていうのがわかりやすい。
息子はバスケよりもゲームを作りたいんだよね。
今回、レブロンたちが行うバスケ対決は、
その息子が作ったゲームが舞台。
そこでのプレイを通じて、
レブロンは息子が自分の好きなことを認めて欲しかったことを知る。
そして、バスケで成功した自分の価値観を
息子に押し付けようとしていた過ちに気づく。

バスケ対決でも、
最初はバッグス・バニーたちに自分のやり方を強要していた。
それで前半はボロ負けだったんだけど、
「ルーニー・テューンズらしさ」
を認めたことで挽回していく流れはよかったな。
まあ、ありきたりなストーリー展開だけど、
ちょっと感動するシーンもあるし、僕は好き。

とにかく、バスケシーンは圧巻よ?
もはやバスケじゃないけど(笑)
単にゴールして得点がもらえるだけじゃない。
大ジャンプやスライディングなど、
かっこよく決めると
「スタイル・ポイント」と言って追加ボーナスがある。
流れる時間を変えたり、
ボールを増やしたりと、
何でもアリ。
それもまたルーニー・テューンズらしくていいんだけど(笑)

2Dアニメと3Dアニメと実写の融合がものすごいので、
観るなら映画館がオススメ。
基本アニメ調で進んで行くから、
子供でも、いや、むしろ子供の方が楽しめると思う。

映画『スペース・プレイヤーズ』公式サイト。大ヒット上映中!

大ヒット上映中! 映画『スペース・プレイヤーズ』公式サイト。WB超人気キャラオールスターズ×NBA最強プレイヤー:レブロン・ジェームズが挑...

ワーナー・ブラザース映画

 

「いいから早く告れや」というツッコミしかない『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』

2021年08月26日 21時25分03秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:171/175
   ストーリー:★☆☆☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ラブコメ
学園モノ

【あらすじ】
将来を期待されたエリートたちが集う私立・秀知院学園。
その最高ランクに位置する生徒会において、
学園史上最も白熱する戦いとなった
『第68期生徒会長選挙』。
白銀御行(平野紫燿)と四宮かぐや(橋本環奈)の選挙戦は終結したものの、
2人の恋愛頭脳戦には決着がつかないまま幕を閉じた。

会計・石上優(佐野勇斗)、
書記・藤原千花(浅川梨奈)に、
新メンバー・会計監査の伊井野ミコ(影山優佳)を加え、
再び集結した生徒会。
変わらず好き合っているものの、
いまだ「告白したほうが負けである!」という呪縛から逃れられず、
神聖なる生徒会室で“いかにして相手に告白させるか”の恋愛バトルを、
相も変わらず繰り広げていた……。

そして迎える学園の2大イベント、
《体育祭》と《文化祭》。
今度こそ相手に“告らせる”ことができるのか!?

【感想】
2作目にして"ファイナル"って。。。
「これで最後なら観に行こうかな」
って煽りしか感じない(笑)

本作は2秒で終わる話を
2時間に引き延ばした間延びしまくりな映画。
これは前作同様、
主演のファンでも限りは楽しむことはできないかもなー。

サブタイトルの"天才たちの恋愛頭脳戦"っていうのもだいぶ盛っている。
天才さを感じる要素はゼロ。
さらに、"恋愛頭脳戦"とは言いつつも、
特に頭脳を使っているようなところもない(笑)
ないどころか、御行とかぐやの乳繰り合いは前作より少なめな印象。
もはやこの映画の意味って気もしなくもないけど(笑)

その代わり、今作では石上にスポットが当たっている。
彼の過去と人となりが知れるっていう点ではよかったかな。

漫画原作というだけあって、
コミカルな要素が多いのも特徴。
しかし、僕にはこの映画の笑いが
一切ハマらないんだよね。。。
テロップやエフェクトといった各演出が、
全部スベリ倒しているように感じる。
無駄な妄想シーンも多く、
ちょっとやりすぎなんだよね。
セリフですぐ済むようなものが、
5分ぐらいの茶番になるから長くて。。。
せめて笑える内容だったらいいんだけど。
前作の「ちんちん」って連呼している方がまだ笑えたかな(笑)

ラブコメって、
相手が自分のことを好きかどうかわからないから面白いと思うんだよね。
この映画のように、
すでに両想いが確定していると、
「あとは勝手にやってくれ」って思っちゃう。
他に恋のライバルがいればまだ楽しめるのかもしれないけど。
総じて、「はよ告れや」っていうツッコミしかない(笑)

唯一よかったのは、
エンドクレジットのダンスシーンかな。
キンプリの歌に合わせて、
生徒会のキャストが躍るところ。
偶然にもみんな何かしらのアイドルグループに入ってるから、
キレがよかった。
もはや本編ですらないけど(笑)

あと、個人的には応援団長役だった
板橋駿谷という役者を推したい。
『サマーフィルムに乗って』にも出てたけど、
けっこう学園モノで目にするんだよね。
自分と同い年だから、
他のキャストと比べてもひとまわり年齢が違うのよ。
その中で、若さあふれる役どころを演じているのは応援したくなる。

映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』公式サイト

出演:平野紫耀 橋本環奈 監督:河合勇人『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』2021.8.20 公開!

映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』公式サイト

 

特撮×スプラッター×コメディ×愛という最大級の混ぜるな危険を実現させた奇作『サイコ・ゴアマン』

2021年08月25日 21時49分53秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:73/174
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
特撮
スプラッター
コメディ
家族愛

【あらすじ】
太古より庭に埋められていた銀河の破壊者<残虐宇宙人>。
少女ミミ(ニタ=ジョゼ・ハンナ)は偶然彼を掘り当て、
封印を解いてしまった。
すかさず容赦ない殺戮の限りを尽くす宇宙人だったが、
極悪な性格のミミに自身を操ることが可能な宝石を奪われていた。

かくして、無慈悲にして計り知れぬ力を誇る暗黒の覇者は、
サイコ・ゴアマンと名付けられ、
少女に大変な仕打ちを受けることとなる。

一方、残虐宇宙人の覚醒を察知した
ガイガックス星の正義の勢力<テンプル騎士団>は宇宙会議を開催、
最強怪人パンドラを地球に送り込むが――。

【感想】
これは、、、なんて言ったらいいんだろう(笑)
圧倒的な幕の内弁当。
でもよく見ると具はひとつみたいな。
詰め込みすぎてパンパンに膨れ上がった旅行かばん。
でも中身はおもちゃしか入っていないみたいな。
他人から見たらカオスにしか見えないこの状況。
しかし、それらは「監督の好きなモノ」
というひとつの信念で貫かれている。
オタクな人はそこに心地よさを感じるかもしれない。

とにかく、「意味がわからない」、「気が触れている」、
そんな表現がピッタリなのは間違いない。
全体的に日本の80年代~90年代の
特撮作品のような懐かしさとチープさ。
年齢的にそこに温かみを感じるんだ。

とはいえ、メインは死と破壊によって成り立っている残虐宇宙人。
首は飛ぶわ、
体は溶けるわ、
相手の体から骨を抜き取って剣を作るわで、
無駄にスプラッター。
洋画には時々あるよね、
こういうポップにグッチャグチャになるやつ。
「そうはならんだろ」っていう
ありえなさがもはやギャグなんだけど(笑)

気の強すぎる少女ミミと
残虐宇宙人のコントのような掛け合い。
なんか、日本のラノベやアニメでありそうな設定だよ。
萌えテイストの少女と破壊の限りを尽くす悪魔の組み合わせって。

こんな相反するような要素のオンパレードで、
わけのわからなさしか残らない。
でも、それをひとつにまとめて
オチまでつけちゃう監督の天才っぷりがすごいよ。
こういう「よくわからないけど、なんかすげー」って映画、好き。
好き嫌いは分かれそうだけど、
僕はツボりました。

数々の映画賞を受賞するような
美しいセリフやシーンで紡がれた映画もいいよ。
マーベルみたいに
人々を楽しませることに特化したエンタメ作品もいいよ。

でも、そういう"整った"ものばかりじゃなくてさ。
自分の好きなモノばかり詰め込んで、
栄養偏ったようなジャンキーな作品もおいしいよね。

『サイコ・ゴアマン』オフィシャルサイト

『サイコ・ゴアマン』オフィシャルサイト

 

映画を観ているよりも絵画を観ているような感覚になる『ジュゼップ 戦場の画家』

2021年08月24日 23時34分14秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:135/173
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
アニメーション
スペイン内戦
画家

【あらすじ】
1939年2月、スペイン内戦の戦火を逃れた大勢の難民が隣国フランスに押し寄せた。

しかし、フランス政府によって強制的に収容所に閉じ込められた彼らは、
劣悪な環境のもとで寒さ、飢え、病魔に苦しむはめに。

難民の1人である画家のジュゼップ・バルトリは、
それが人間らしさを保つ唯一の手段であるかのように、
建物の壁や地面に黙々と絵を描き続けていった。

若きフランス人憲兵セルジュは、
そんなジュゼップに鉛筆と紙を与え、
2人は固い友情で結ばれていく。

やがてジュゼップが消息不明の婚約者マリアとの再会を夢見ていることを知ったセルジュは、
彼の切なる願いを叶えるためにマリアの捜索を行うのだが……。

【感想】
実在した画家の半生を描いた映画。
史実を淡々と描く映画なので、
絵画史の勉強に近いかなー。

ジュゼップ・バルトリ。
この名前を知っている人はどれぐらいいるだろう。
同世代の画家なら、
作中にも登場するフリーダ・カーロの方がまだ知られているかもしれない。
同じ時期に作品を発表した人ならば、
ピカソだっている。
それに比べたら、
日本ではほぼ無名に近いだろう。
僕も名前すら聞いたことがなかった。

彼の何がすごいかと言ったら、
常に絵を描き続けたことだ。
「そりゃ画家なんだからそうだろう」とは思う。
でも、彼がいたところは強制収容所。
劣悪な環境での生活。
憲兵からの暴力。
餓死、凍死、病死と常に隣り合わせ。
そんな命の危機にさらされている中で、
彼は暇さえあれば描き続けた。
執念さえ感じるほどに。

本作では、実際にジュゼップが強制収容所で描いた絵もたくさん登場する。
鉛筆1本で描いたからだろうか。
海外の画家が描いたという感じはあまりしなくて。
むしろ、日本の漫画に近いような印象だった。

また、こういうジャンルの映画ではめずらしく、
アニメーションという手法を取っている。
それも日本のアニメのようにヌルヌル動くような感じではない。
一見すると、下書きに色をつけたような薄めのタッチ。
コマ送りをしているかのような動き。
まるで紙芝居のような雰囲気だった。
そこに出てくるジュゼップの残した作品の数々。
もはや映画を観ているというより、
絵画鑑賞をしている感覚に近かったなー。

戦場を生き抜いた画家の人生。
そして、彼の生き様とも言える作品の数々。
絵に興味がある人は観てもいいかもしれない。

映画『ジュゼップ 戦場の画家』公式サイト

文部科学省選定(青年向き)文部科学省特別選定(成人向き)セザール賞長編アニメーション賞、リュミエール賞アニメーション賞&音楽賞受賞など、世界...

映画『ジュゼップ 戦場の画家』公式サイト

 

映画を観ているよりも読書をしているような感覚になる『ドライブ・マイ・カー』

2021年08月23日 23時41分22秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:81/172
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
ロードムービー
死別
舞台
演劇
芝居

【あらすじ】
舞台俳優であり演出家の家福(西島秀俊)は、
愛する妻の音(霧島れいか)と満ち足りた日々を送っていた。
しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう――。

2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、
ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦透子)と出会う。
さらに、かつて音から紹介された
俳優・高槻(岡田将生)の姿をオーディションで見つけるが…。

喪失感と“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福。
みさきと過ごし、
お互いの過去を明かす中で、
家福はそれまで目を背けてきたあることに気づかされていく。

人を愛する痛みと尊さ、
信じることの難しさと強さ、
生きることの苦しさと美しさ。
最愛の妻を失った男が葛藤の果てに辿りつく先とは――。

【感想】
第74回カンヌ国際映画祭で
日本人初の脚本賞を含む4つの賞を受賞した話題作。
原作の小説は読んでいないけれど、
人物描写と風景の美しさが印象的な映画。

ただ、僕のように普段まったく読書をしない人には
向かない映画かもしれない。
っていうぐらいには、
映画を観ているよりは本を読んでいる感覚が強い。
一番特徴的だと感じるのはセリフが長いことかな。
全部がそうではないけれど、
けっこう長めのやり取りが多い。
そのためか、映画全体の尺も3時間と邦画にしては長い。

その長さで淡々と進んで行くのだけど、
不思議と飽きずに見入ってしまう魅力がある。
それは、家福と妻の音、高槻の関係性ゆえだ。
音は夫を愛しながらも、
複数の男と性的関係を結んでいる。
高槻もそのひとり。
家福は音と高槻が自宅で行為に及んでいるところを発見するも、
そのことを咎めない。
だから、気になって気になって仕方なかった。
「いつ言うのか」
「なぜこうも冷静でいられるのか」
そこへの好奇心が、
アクションもない3時間という長丁場を
簡単に乗り越えさせてくれた。

多くの人がそんな現場を目の当たりにしたら怒り狂うだろう。
その場で怒鳴り込むかもしれない。
こっそりスマホで撮って後でゆすりの材料にするかもしれない。

家福はそうしなかった。
彼は妻を失うことを何よりも恐れたから。
そのことを言って、
今までの関係じゃいられなくなることを望まなかったから。

でも、妻は夫のことを愛してはいたんだよね。
それも家福はわかっていたんだろう。
だから、その揺るぎない愛情を信じた。
体は売っても魂は売っていないと思いたかったんじゃないかなー。
パワーバランス的に家福の方が下な気がしてならない(笑)

呼吸するように愛を囁き、
呼吸するように相手を裏切る。
そんな妻を愛し続けられる人もなかなかいなそうだけど。
自分も同じ価値観を持っているか、
相手に興味がないか、
ただの変態でもない限り。

後半の車中での家福と高槻のシーンは一番辛かったな。。。
家福の知らない秘密を、
高槻が知っていたというシーン。
なんでセフレのお前が知ってるんだって。
その情景を想像するだけで、
胸が痛かった。。。

そんな逆境の中にいた家福。
でも、ドライバーのみさきとお互いの過去を話すことで気づくんだよ。
もっと妻と、そして自分と向き合えばよかったって。
他人は他人である以上、
どんなに愛していても理解はできない。
けれど、少しでもわかるためには、
自分と向き合うことも必要だと思えたかな。

ちなみにこの映画、
タイトル的にロードムービーがメインかと思うじゃないすか。
実は、主人公の家福が演出家ということもあり、
舞台での芝居がメイン。
つまり、劇中劇で、
演目はチェーホフの『ワーニャ伯父さん』。
キャストもいろんなアジアの国の人で構成されている。
だから、使われる言語もバラバラ。
他の国の言葉は基本的に字幕。
その練習風景を見ているのも面白かった。

個人的には、映画祭で賞を獲るような映画って
そこまで好みじゃないのよ。
文学的、詩的で、エンタメ性が薄いから(笑)
でも、やはり賞を獲るだけあって、
美しい描写や濃密なキャラクター性はある。
そういうのが好きな人なら、
より楽しめるんじゃないかと。

映画『ドライブ・マイ・カー』公式サイト

映画『ドライブ・マイ・カー』公式サイト

 

少年2人のひと夏の恋と永遠の別れを描いた純愛ラブストーリー『Summer of 85』

2021年08月21日 22時27分11秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:131/171
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ラブストーリー
同性愛
死別

【あらすじ】
セーリングを楽しもうとヨットで1人沖に出た
16歳のアレックス(フェリックス・ルフェーヴル)は、
突然の嵐に見舞われ、転覆してしまう。
そんな彼に手を差し伸べたのは、
ヨットで近くを通りかかった18歳のダヴィド(バンジャマン・ヴォワザン)。
運命の出会いを果たした2人だが、
その6週間後にダヴィドは交通事故で命を落としてしまう。

永遠の別れが訪れることなど知る由もない2人は急速に惹かれ合い、
友情を超え、
やがて恋愛感情で結ばれるようになる。
アレックスにとってはこれが初めての恋だった。
互いに深く想い合う中、
ダヴィドの提案によって
「どちらかが先に死んだら、残された方はその墓の上で踊る」
という誓いを立てる2人。

しかし、ケイト(フィリッピーヌ・ヴェルジュ)の出現を機に、
恋焦がれた日々は突如終わりを迎える。
嫉妬に狂うアレックスとは対照的に、
その愛情の重さにうんざりするダヴィド。

2人の気持ちはすれ違ったまま、
追い打ちをかけるように事故が発生し、
ダヴィドは帰らぬ人となってしまう。
悲しみと絶望に暮れ、
生きる希望を失ったアレックスを突き動かしたのは、
ダヴィドとあの夜に交わした誓いだった─。

【感想】
フィルマークスではかなりの高評価なこの映画。
正直、僕はそこまで、、、だったけど、
美しい描写が印象的な話だ。

少年同士の色恋沙汰を描いたラブストーリー。
特徴的だなと思うのは、同性愛の描かれ方。
ほとんどの映画では「道ならぬ恋」といった扱いが目立つ。
当人たちも「自分は間違っているんじゃないか」と苦悩することも多い。

しかし、本作ではそんな描写は一切ない。
普通に男女が恋に落ちるぐらい自然に、
少年2人が恋に落ちている。
もはや男女という分け方の概念がないぐらいに。
舞台は1985年。
今よりもLGBTは生きづらい時代だったかもしれない。
その点、描かれ方はとても現代的だなと感じる。

ストーリー自体はとてもシンプル。
アレックスとダヴィドが恋に落ちる。
やがてダヴィドはケイトに心惹かれ、
アレックスから離れる。
それに嫉妬したアレックスが彼の元を飛び出し、
追いかけたダヴィドが……。
という感じ。

アレックスはダヴィドに対する独占欲が強かった。
一方、ダヴィドは気軽に遊びたかった。
そういう方向性のズレが悲劇を生んだ。
まあ、日常生活における恋愛でもよくある話かな(笑)

人間ドラマ自体はけっこうあっさりしてたんだよね。
なので、個人的には感情移入はできず。
ロマンチックさもそこまで感じられなかった。

ただ、アレックスがケイトに諭される場面は共感できたかなー。
「アナタは実際は恋をしていなかったんだよ」
「顔と体は理想だったかもしれないけど、心は理想じゃなかった」
「アナタが思うダヴィドはいなかったんだよ」
って。

恋愛のように「相手がいて成り立つこと」って難しいよね。
自分だけががんばっても、
想いを募らせても、
意味がないから。
面倒な部分もある反面、
人としての深みは増していくかもしれないけど。

アレックスにとってはこれが初恋だった様子。
この先の彼の人生にとって、
大きな意味を持つ恋愛だったと考えると感慨深いな。

映画『Summer of 85』公式サイト

【絶賛公開中】フランソワ・オゾン監督、原点回帰で新境地!少年たちの刹那の恋に魂が震えるピュア・ラブストーリー

映画『Summer of 85』公式サイト

 

杉咲花が朽木ルキアで九尾の狐だった『妖怪大戦争 ガーディアンズ』

2021年08月20日 21時54分22秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:146/170
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
妖怪
大魔神
子供向け

【あらすじ】
フォッサマグナに眠る古代の化石たちが1つに結集し、
巨大な妖怪獣へと姿を変えた!
向かう先は東京。
このまま妖怪獣の進撃を許せば、
人間も妖怪たちもタダでは済まない。

この危機に妖怪たちは、
伝説の武神『大魔神』の力を借りるため、
伝説の妖怪ハンターの血を受け継ぐ
気弱な少年・渡辺ケイ(寺田心)に白羽の矢を立てる。

しかし、ひょんなことから、
ケイと間違えて弟のダイ(猪股怜生)が妖怪たちに連れ去られてしまう!
ダイを助けるため、
ケイは謎の妖怪剣士・狐面の女(杉咲花)の導きで
大魔神のもとへ向かう。

果たして、選ばれた少年・ケイは弟を救い、
大魔神をよみがえらせ、
妖怪獣を止めることができるのか?

【感想】
30年前の僕だったらハマっていたかもしれない。
終わった後に、
小学生低学年ぐらいの子供が
「おもしれー!」って言ってたから。
今の僕としては、
まあ過去シリーズの中では一番よかったかなと(笑)

これは孫と祖父母で観に行くのがいいかもしれないなー。
親子よりもね。
ちなみに、ここで言う祖父母とは1960年前後生まれの人を指す。
なぜなら、この映画、
オリジナル版は1968年に公開されたものだから。
しかも『大魔神』も出る。
こっちは1966年に公開された特撮映画。
当時子供だった人がハマったかもしれないと考えると、
孫と祖父母かなって。

本作をより楽しむために、
僕は「妖怪三部作」と「大魔神三部作」を観て予習。
おかげでそこそこ楽しむことはできたかも。

お話自体は古代にまでさかのぼる。
大昔に海底が隆起して陸地となったフォッサマグナ。
そこに住んでいた海洋生物たちは、
死んで化石となったものの、
海に帰りたいという怨念から巨大な妖怪獣へと変貌。
そいつが日本列島を横断すると、
ルート的に"ある封印"を壊してしまう。
そうなると世界が滅亡しかねないため、
その横断を阻止するのが目的。
世界各地から妖怪が現れ、大魔神も復活して大暴れ!
そんな感じ。

でもさ、過去の怨念で1つになるぐらいの力を持つ化石だよ?
海まで空を飛んで行くぐらい楽勝では?
と思わないでもないけど(笑)
わざわざ陸地を横断する必要性。。。

そんなツッコミどころは所々にある。
とはいえ、それを踏まえても、
世界観や話のわかりやすさはよかったかと!

でもね、大きなお友達が唸るエピソードもあるんよ。
シリーズを通して観てきた人へのサプライズと言うべきか。
前作の『妖怪大戦争』(2005)で
主人公の少年を演じた神木隆之介が、
今作では先生役で登場。
特に本編には絡んでこないものの、
彼には大きな秘密がある。
それこそ、先に書いた"ある封印"に大きく関わってくるのよ。
前作観た人はハッってするだろうな。

しかしながら、そこは今作では完全にスルー (笑)
もしかしたら続編があるのかも、、、?!
他にも前作から続投のキャストが何人かいるのよ。
それを見つけるのも楽しいかと。

あと、タイトルにも書いたけど、
狐面の女を演じた杉咲花ね!
これが『BLEACH』の朽木ルキアにしか見えなくて。
でも、正体は九尾の狐っていう。
『NARUTO』かって。
ここだけジャンプ感あるんで、
ファンなら少し反応するかも(笑)

話はシンプルだし、
洋画のような超絶アクションがあるわけでもない。
だから、映画好きが好きそうな要素はあんまりないかな(笑)
ホント、夏休みの子供との思い出作りにぜひって感じでした。

映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』公式サイト

令和の時代、あの妖怪映画が帰ってくる!新たな冒険がド派手に始まる!!主演:寺田心×監督:三池崇史

映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』公式サイト

 

やっべえ家族から義理の娘と孫を連れ戻すサイコスリラー『すべてが変わった日』

2021年08月17日 23時41分57秒 | 映画


2021年日本公開映画で面白かった順位:107/169
【個人的な評価】
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
サイコスリラー
サイコパス家族

【あらすじ】
1963年、モンタナ州の牧場。
元保安官のジョージ・ブラックリッジ(ケビン・コスナー)は、
妻のマーガレット(ダイアン・レイン)、
息子のジェームズ(ライアン・ブルース)、
その妻のローナ(ケイリー・カーター)、
生まれたばかりの孫のジミーと幸せに暮らしていた。
しかしある日、
ジェームズが落馬して首の骨を折り、
この世を去るという悲劇に見舞われてしまう。

3年後、
ローナはドニー・ウィーボーイ(ウィル・ブリテン)という若者と再婚。
マーガレットはスーパーの駐車場で、
些細なことで苛立ったドニーが
ローナの頰を叩いているのを目撃してショックを受ける。
心配したマーガレットはケーキを焼いて、
ローナたちが住む家を訪ねるものの、
3人はすでに引っ越していた。

胸騒ぎを感じたマーガレットは、
ノースダコタ州にあるドニーの実家に向かったという
ローナとジミーを取り戻すことを決意。
ジョージと共に車に乗り込み、
救出の旅に出るのだった。

ローナたちの暮らす屋敷に住んでいたのは、
女家長ブランチ・ウィーボーイ(レスリー・マンヴィル)が
暴力と支配欲ですべてを仕切る異様な一家だった。
常識が通用しない一家を相手に、
マーガレットとジョージは義理の娘と孫を取り戻そうとするが……。

【感想】
世の中いろんな家族がいるとは思う。
しかしこれは、、、
実際にいたら即縁を切りたいなと思うやべぇ家族だ。
このウィーボーイ家というのは。

のどかな牧場で幸せに暮らす
ジョージたち家族に突如降りかかる不幸。
息子が落馬事故で亡くなるのだけど、
それはただのきっかけに過ぎない。
問題は、義理の娘が再婚した相手だった。

ちょっとしたDV野郎かなって思ったらとんでもない。
彼はまだ生ぬるい方で、
その家族がとんでもないサイコパス野郎の集まり。
とはいえ、言葉ではなかなか説明しづらいんだけどw

もともと義理の娘と孫が連れ去られているという
パワーバランスも関係しているとは思う。
でも、言動の節々から怪しい感じがプンプンしてくる。

ジョージたちの質問には基本答えない。
うまくはぐらかすところに不信感が募る。
そして、屋敷に着いたときにドニーの家族から振られる質問。
「なんで車にキーをかけるんだい?」って。
「いや、普通かけるだろ」って思うよね。
そこを聞いてくる時点で常識の通じなさが伝わってくる。
むしろ、キーかけてなかったら
なんかするつもりだったのかっていう不安が。。。

ようやく孫のジミーに再会し、
マーガレットが抱きかかえた瞬間も怖かった。
「抱き癖がつくと自分で歩かなくなるからすぐ降ろせ」
と詰め寄るドニー。
百歩譲って子育てには各家庭の方針があることは認める。
ただ、ここに至るまでにウィーボーイ家は
やべぇ家族だって認識が生まれてる。
だからあらゆる発言に疑心暗鬼しかない。

すべてはここの女家長のブランチが悪い。
暴力と暴言による家族の支配。
そんな環境で育てられた子供たちも当然
暴力と暴言による支配が当たり前になる。

そんな家族から義理の娘と孫を取り戻すのがミッション。
ここは『ファイナル・プラン』や『ドント・ブリーズ2』
を彷彿とさせる展開。
ケビン・コスナーによる"仕返しおじさん"炸裂!

後味はかなり悪いけど、
やべぇ家族の一部始終を観たかったらぜひ(笑)

映画『すべてが変わった日』公式サイト

1963年、元保安官のジョージ・ブラックリッジと妻のマーガレットは、落馬の事故で息子のジェームズを失う。3年後、息子のジミーを育てていた義理...

映画『すべてが変わった日』公式サイト - 1963年、モンタナ州の牧場。元保安官のジョージ・ブラックリッジと妻のマーガレットは、落馬の事故で息子のジェームズを失う。3年後、未亡人として幼い息子のジミーを育てていた 義理の娘のローナが、ドニー・ウィーボーイと再婚。暴力的なドニーがローナとジミーを連れてノースダコタ州の実家に引っ越したと知ったマーガレットは、義理の娘と孫を取り戻すことを決意する。 しかしジョージとマーガレットを待ち受けていたのは、暴力と支配欲ですべてを仕切る異様な女家長、ブランチ・ウィーボーイだった……。

 

伝統や慣習に阻まれ、生まれたばかりの我が子と離れなければならない母親の苦悩を描いた『モロッコ、彼女たちの朝』

2021年08月17日 18時57分53秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:80/168
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
イスラム社会
女性の権利
未婚の母

【あらすじ】
臨月のお腹を抱えてカサブランカの路地をさまようサミア(ニスリン・エラディ)。
イスラーム社会では未婚の母はタブー。
美容師の仕事も住まいも失った。

ある晩、路上で眠るサミアを家に招き入れたのは、
小さなパン屋を営むアブラ(ルブナ・アザバル)だった。
アブラは夫の死後、
幼い娘のワルダとの生活を守るために、
心を閉ざして働き続けてきた。
パン作りが得意でおしゃれ好きなサミアの登場は、
孤独だった親子の生活に光をもたらす。

商売は波に乗り、
町中が祭りの興奮に包まれたある日、
サミアに陣痛が始まった。
生まれ来る子の幸せを願い、
養子に出すと覚悟していた彼女だが……。

【感想】
これは重いテーマ。
母親目線からしたらその辛さをより強く感じるかもしれない。
とにかくサミアの置かれた状況が過酷すぎて。

仕事も失い、住む場所もない。
街中を彷徨い、
仕事や住む場所を求める続けるものの、
断られてばかり。
ようやくアブラの家に招き入れられるも、
最初は肩身の狭い想いを強いられる。

それは、サミアが未婚で身重だから。

これはモロッコという国の状況を知らないと理解しづらいかもしれない。
詳しくは以下のインタビューに書かれています。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86207?page=1&imp=0

モロッコでは婚外セックスや中絶は違法とされている国。
さらに、婚外子や未婚の母というのは、
家族やコミュニティから疎まれる存在。
あらゆる場面で差別を受けてしまうのだそう。

そんな環境で子供を生んでも
「罪の子」とされてしまう。
サミアに限らず、
生まれてすぐに我が子を養子に出さざるを得ないケースはよくあるそうだ。

「どうせ養子に出すのだから」
そう言って、我が子が泣きわめいても放置していたサミア。
しかし、やはり母性には抗えない。
授乳を行い、我が子に触れ、
その幸せを噛み締める。
本当はいっしょにいたい。
でも、伝統や慣習がそれを許さない。
そういう国があることを、
この映画は教えてくれた。

そんな状況にあっても、
サミアに救いの手を差し伸べたアブラの優しさは身に沁みる。
彼女は夫を亡くし、
娘と2人暮らし。

モロッコでは、
女性が埋葬や葬儀に参列できないという伝統があるそう。
アブラも夫の葬儀に出られず、
最後の別れができなかった悲しさを口にする。

そんなこともあって心を閉ざしていたアブラ。
しかし、サミアと生活を共にすることで、
彼女もまた、
人間らしさを取り戻していく。
この保守的な国の中でも、
人との触れ合いこそが変化や成長のきっかけだと気づかせてくれる。

日本でも女性の立場を巡る問題はよく取り沙汰される。
ただ、国によってはもっと強く抑圧された環境にいる人も存在するのだ。
それも、“伝統”や“慣習”という、
一部の人が大昔に作った、
今となってはその存在理由すらよくわからないものに支配されて。

伝統や慣習自体は否定されるべきものではないけれど、
誰かが生きづらさを感じているのであれば、
少しずつ改善していける社会になるべきだし、
そのためにはどうしたらいいのだろうと考えさせられる映画だった。

映画『モロッコ、彼女たちの朝』公式サイト

第92回アカデミー賞®モロッコ代表。第72回カンヌ国際映画祭 ある視点部門 正式出品。心の奥にやわらかく触れる、実話から生まれた“...

映画『モロッコ、彼女たちの朝』公式サイト

 

盲目じーさんによるスプラッターなリベンジ映画『ドント・ブリーズ2』

2021年08月16日 22時16分22秒 | 映画


2021年日本公開映画で面白かった順位:101/167
【個人的な評価】
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ホラー
スリラー
スプラッター
アクション
盲目の老人

【あらすじ】
人気のない郊外の古びた屋敷に住む盲目の老人。
彼はその屋敷で1人の少女を大切に育て、
2人だけで静かに暮らしていた――。
その男こそ、
8年前に強盗に押し入られた被害者ではあるが、
実は強盗団を惨殺した過去を持つ、あの盲目の老人だった…。

ある日、謎の武装集団が老人の屋敷に静かに忍び込む。
その目的は少女――。
暗闇の中、家の内部構造を全てを知り尽くした老人は、
屋敷内で全員の抹殺を試みるも、
訓練されていた敵には歯が立たず、火を放たれる。
命からがら炎の中から逃げ出したが、
そこに少女の姿はない。
老人は己の手で大切に育てた少女を取り戻すため、
武装集団の後を追う…。

老人は無事に少女を助け出すことができるのか。

【感想】
正直、「んー」って(笑)
これはこれで、それなりのスリルやスプラッターを楽しむことはできる。
ただ、前作と比べると、
かなり方向性が変わっちゃったかな。
個人的には、そこが少し残念。

前作は、盲目老人の家に強盗目的で
忍び込んだ若者たちが返り討ちに遭う話。
音を立ててはいけない中で、
急に出てくる老人にビビりまくり。
BGMの使い方もよくて、
「静」の中に潜む恐怖を増大させる秀逸な映画だった。

今作は、前作のそういうところもやや残してはいるものの、
基本はバトルメイン。
家の中で所狭しと殴り合う構図は、
もはや『ドント・ブリーズ』じゃなくてもいいような(笑)
満身創痍になりながらも敵をフルボッコにしていく流れは
『Mr.ノーバディ』に近しいものはあるかも。

とにかく、強すぎなんだよ、老人。
目が見えない分、聴覚が発達しているんだろう。
音で敵の位置を察知するものの、
かなり細かいところまで把握するっていう。
攻撃のヒット率の高さが異常。
「いやもう見えてるだろ、それ」って(笑)
前作で恐怖の対象だった老人を今回は少し応援したくなるけど。

前作の設定の秀逸さを踏まえると、
普通の映画になってしまった印象。
まさに『新 感染半島 ファイナル・ステージ』のような残念さは否めない。

これ、続編作るなら、
エピソードゼロの方がいい気がする。
老人が娘を失うエピソード。
そこが描かれないと、
あそこまで少女にこだわる背景がわかりづらいかなー。

ちょっとヒヤッとしたいなら観てもいいかもです。

映画『ドント・ブリーズ2』8月13日(金)全国ロードショー | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

あれから8年——、 あの盲目老人は、何故か少女を大切に育てていた。ある日その少女が誘拐され……

映画『ドント・ブリーズ2』8月13日(金)全国ロードショー | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ