Blog of 俺 by 俺 for 俺

自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

親が思う以上に子供は親を見ている『明日の食卓』

2021年05月31日 23時51分13秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:19/100
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
サスペンス
家族
親子関係

【あらすじ】
フリーライターで2人の息子を育てる石橋留美子(菅野美穂)。
シングルマザーで大阪に暮らすフリーターの石橋加奈(高畑充希)。
年下の夫と優等生の息子に囲まれ、
一見何不自由なく幸せを手に入れている石橋あすみ(尾野真千子)。

なんの接点もない3人だが、
唯一の共通点は、
「ユウ」という息子がいること。
彼女たちは「ユウ」を育てながら、
忙しく幸せな日々を送っていた。

しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。
苦労はあっても、
息子への愛に偽りはなかったはずなのに、
どこで歯車が狂ってしまったのか。

3つの石橋家がたどり着く運命とは……?

【感想】
100本目。
今年、邦画豊作じゃない?
これは胸をえぐられるような映画だったよ。
子を持つ親、
特にお母さんな人はかなり共感できそうだから、
覚悟した方がいいかも。

もともとの小説は読んでいないのだけれど、
この映画のすごいなって思ったところは、
出てくる家族のリアルさ。
本当にそこらへんにいそうだなって設定に
共感できる人は多そう。
三者三様ではあるけれど、
どこかしらに自分も属するんじゃないかっていう
最大公約数的なポジショニングがうまい。

留美子は、フリー?のカメラマンの夫と2人の息子と団地住まい。
夫婦共に仕事に融通が利くタイプで、
収入的にはこの3家族の中ではちょうど真ん中ぐらいかな。

加奈は、ワーキングプアの母子家庭。
コンビニとクリーニング店を掛け持ちして働いており、
お世辞にもいい暮らしとは言えない状況。

あすみは、ボンボンの夫と結婚し、
地方にある夫の実家の隣に自分たちの家も建て、
経済的には何不自由ない暮らしができている主婦。

この3家族は接点こそないものの、
みんな人当たりもよく、
子供に十分な愛情を注ぎ、
自分たちなりに幸せに生活してる。
一見すると、どこにも歯車が狂いそうな要素はない。

なのに、小さなところから
ピシッて亀裂が入っちゃうんだよ。
それがだんだん大きくなって、
やがて家庭が崩壊していく過程に心が痛む。

3家族の話が並行して進んではいるものの、
1家族あたりの話が濃厚で、
それだけで1本映画になるんじゃないかっていうぐらい。
いずれも家族のちょっとした歪みが、
取り返しのつかないことになっていくんだけど、
どれも身近にあっておかしくない内容だから、
余計に感情移入しやすかった。

さらに、母親たちと子供たちの迫真の演技が凄まじくて、
ものすごく魂が揺さぶられる感じがした。
もう感情が振り切れて、
心の叫びが出ちゃってるところは圧倒された。

で、この映画で一番注目すべきは、
子供たちだと思うんだよ。
作中でいろんな事件が起こるんだけど、
その直接的な犯人は子供たち。

でも、彼らが悪いのかって言ったら、
一概にそうとは言い切れない部分もある。
むしろ、悪いのは大人たちじゃないかなって気さえするんだよなー。
子供たちがそうなってしまう環境を作ったのは親だから。

見てるんだよ、子供は。
親が思っている以上に。
その表情、言葉、行動、態度。
子供はそれらを敏感に感じ取って、
親に気を遣い、
時に自分を責める。
そういうのが積もり積もって、
悲劇の発端へとつながっていく。

僕には子供はいないけれど、
常に見られているという意識を持ち、
子供としっかり向き合うことが
大事なのかもなって思える内容だった。

ちなみに、4人目のユウもいるんだけど、
もはや最初の3家族だけで十分な気もするので、
少なくとも映画版ではそこまで重要じゃないのかなって、
個人的には感じた。

何にせよ、親である人には観て欲しい映画。

映画『明日の食卓』公式サイト

2021年5月28日(金)。衝撃の小説を瀬々敬久監督が社会派エンタテイメントとして映画化!!決して他人事ではない―母と子のドラマがここにある...

 

泣かせにきてるけど、やっぱり泣いてしまう『ハチとパルマの物語』

2021年05月30日 23時59分08秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:30/99
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
忠犬ハチ公
少年と犬

【あらすじ】
旧ソ連の空港でのできごと。
飼い主と共にプラハに行く予定だった
ジャーマンシェパードのパルマは、
搭乗のための書類不備で乗機を拒否される。
飼い主は仕方なく、
こっそりパルマを滑走路に放つ。

パルマは空港に住み着き、
毎日滑走路で飛行機を見上げ、
2年間も飼い主の帰りを待ち続けた。
その姿はやがて空港のシンボルとなり、
人々の心を打つ。

時を同じくして、
9歳のコーリャ少年が空港に現れる。
彼は母親を亡くし、
パイロットである父親に引き取られるのだが、
一度は自分を捨てた父親に、
心を閉こうとしない。
コーリャとパルマは孤独な者同士、
すぐに仲良くなった。

ある日、空港に日本人に連れられた秋田犬が現れる。
飛行機への搭乗を待つ秋田犬に、
パルマは仲間を見つけたかのように走り寄るが、
その傍らには優しい主人がいる。

2人を見送るパルマの眼に
寂しさが宿っていることにコーリャは気付く。
彼はパルマに自分の姿を投影し、
「飼い主のもとへ戻してあげたい」と行動を起こす。

そしていよいよパルマと飼い主の再会の日。
パルマは嬉しそうだが、
なぜかコーリャのもとを離れようとしない…。

【感想】
ズルいよ、犬は。
しかも犬と少年って。
泣かせにきてるようなものじゃんか(笑)
しかも、これ実話ときた。

『ハチ公物語』(1987)もそうだけど、
そういうエピソードとその映画の影響だよね、
犬は忠実で人間と信頼関係が築けるって思うの。

この映画も、
犬が主人の帰りを待ち続ける
その健気さにやっぱり泣いてしまったよ。
いや、特に犬好きってわけじゃないよ?
ただ、今回は同じ孤独な境遇にある少年も重なってくるし、
彼と父親の関係という人間ドラマも交じってくるからね。。。

犬の紡ぎ出すドタバタ劇に笑い、
置かれた境遇と少年との絆による感動劇は、
なんだんだで涙を誘うので、
涙腺ゆるい人はハンカチ必須。

まあ、人によっては
「これみよがしに泣かせにきてるストーリーに反吐が出るぜ!」
って思うだろうけど、、、
実際感動作ではあると思うよ(笑)

犬と少年、少年と父親って2つの軸があるから、
ちょっと感情的に分散されてしまう部分はあるけれど。

こういうのって、
犬が言葉を話せないことをいいことに、
人間が持つ勝手なイメージを
押し付けてるように捉えられなくないけど、
実際犬はどう思ってるんだろう。

てか、もはや犬の数だけこういう話ありそうだな、世界中に(笑)

それにしても、観客の年齢層が、
高齢者と家族連れに二極化していたのも、
動物モノの特徴だろうか(笑)

日露共同作品映画『ハチとパルマの物語』公式サイト

2021年初夏公開「ハチとパルマの物語」公式サイト。2年もの間、実際にモスクワの空港で飼い主を待ち続けた忠犬パルマ。意外なキッカケで結ばれる...

日露共同作品映画『ハチとパルマの物語』公式サイト

 

感動の逆転劇『ローズメイカー 奇跡のバラ』

2021年05月30日 23時35分41秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:25/98
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
スパイ

バラ農家
逆転劇

【あらすじ】
フランス郊外。
あふれる才能と魔法のような指で新種のバラを開発し、
数々の賞に輝いてきたエヴ(カトリーヌ・フロ)。
だが、数年前から巨大企業のラマルゼル社に賞も顧客も奪われ、
亡き父が遺してくれたバラ園も今では倒産寸前に。

助手のヴェラ(オリヴィア・コート)が何とか立て直そうと、
職業訓練所から格安で前科者のフレッド(メラン・オルメタ)、
定職に就けないサミール(ファツァー・ブヤメッド)、
異様に内気なナデージュ(マリー・プショー)を雇う。
しかし、3人は全くの素人で、
手助けどころか一晩で200株のバラをダメにしてしまう。

そんな中、エヴに新種のアイディアが閃いた。
交配に必要なバラが
ラマルゼル社のバラ園にしかないと知ったエヴは、
フレッドにある“特技”を披露させる。

パリの新品種コンクールまであと1年、
はみだし者たちの壮大な奮闘が幕を開ける──!

【感想】
タイトルからオチは想像できてしまうのだけど、
その過程がとても感動的で面白かった。

倒産寸前からの逆転劇とオーソドックスな流れなものの、
舞台がバラ農家というのが新しい。
バラには数多くの種類があり、
品評会があり、
交配のやり方や収穫スケジュールまでわかるという、
ある意味バラの勉強にもなる(笑)

どん底からの復活ストーリーは感動や爽快感を伴い、
個人的には好きなのだけれど、
今作では前科者のフレッドが、
主人公のエヴ以上に注目すべきキャラクターだった。

倒産を避けるための秘策には
新種開発しか残された道がないのだけど、
もうなりふりかまってられないから、
フレッドのある“特技”に頼らざるを得ないと言うのが笑える(笑)

さらに、彼には悲しい過去と
驚くべき才能という相反する2つの背景があり、
彼の未来のためにその背中を押してあげる
エヴの母親のような優しさや
ラストの演出には涙が出る。・゜・(ノД`)・゜・。

感動ストーリーを味わいたい方はぜひ。

映画『ローズメイカー 奇跡のバラ』公式サイト

愛すべき〈はみだし者たち〉の感動サクセス・ストーリー!バラがすべての頑固なバラ育種家と、世間から見放されたド素人3人組―。ありえない出会いか...

映画『ローズメイカー 奇跡のバラ』公式サイト

 

女性の自立と尊厳を確立する?『5月の花嫁学校』

2021年05月29日 21時17分15秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:72/97
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
コメディ
フェミニズム

【あらすじ】
1967年、フランスのアルザス地方。
小さな村にあるヴァン・デル・ベック家政学校に、
18人の少女たちが入学した。
校長はピンクのスーツを粋に着こなすポーレット(ジュリエット・ビノシュ)。
経営者は夫のロベール(フランソワ・ベルレアン)だ。

ある日、莫大な隠れ借金を遺してロベールが急死した。
ポーレットは破産寸前の学校を救うために、
取引先の銀行に駆け込むも、
そこで待ち構えていたのは、
第2次世界大戦で彼女と死に別れたはずの恋人、
アンドレ(エドゥアール・ベール)だった。
30年振りの再会に興奮を隠せない彼は、
ポーレットを破産危機から救出し、
心の奥に閉まっていた情熱に火をつけたのだった。

折しもパリを始めフランス全土では、
社会変革を求める五月革命が勃発していた。
抗議運動が広がっていくのを目の当たりにしたポーレットたちは、
これまでの自分たちの考えに疑問を抱き始め、
ある行動に出ることを決意する。

【感想】
抑圧された女性たちが、
その存在意義を自ら再認識し、
自由を手にしようとするフェミニズムな映画。
だけど、ものすごく惜しい感じがした。
テーマも設定も面白いのに、
流れがあんまりよくないかなという印象。

時代的なものもあり、
ここでの女性観はものすごく古臭い。
“花嫁学校”(今でもあるのかな)と言うぐらいなので、
女性は夫に付き添い、
夫を立て、
気品よく家事全般をこなす
良妻賢母が理想とされているのだ。
彼女らは料理から裁縫、
紅茶の淹れ方まで事細かく指導を受ける。

とはいえ、ゆーてもまだ10代のうら若き少女たち。
本当に立派な花嫁になりたくて入る子はあまりおらず、
外出時にはタバコも吸うし、
ヤッたヤらないの話に花も咲かせるし、
もはや男子とあまり変わらない(笑)

そんな彼女たちの
キャイキャイした生活を微笑ましく眺めつつ、
未亡人となった校長が、
かつての恋人と逢引きを重ねるのも面白い。

もういい歳ではあるけれど、
花嫁学校の生徒たち以上に元気で、
盛りのついた獣のように求め合う姿は、
良妻賢母を掲げる校長とは思えぬ乱れっぷり。

それが、とある生徒に起きた悲劇を境に、
校長の考えが一変。
「結婚なんかで縛られてたまるか!
 女ももっと自由であるべきだ!」
と唐突な方向転換。

ラスト10分、
それまでの流れとはまったく違う形で、
パリに向かいながら、
女性の存在意義について、
ミュージカル調で熱く激しく主張し出すのだ。
ここは、『天空の結婚式』と同じような展開(笑)

最後まで観ると、
花嫁学校という舞台はあってないようなものにも思えるし、
女性の自由と尊厳を訴える主張も唐突すぎて、
ちょっとびっくりだし、
だいぶ印象変わる。

テーマも設定もよかっただけに、
いきなりぶつ切りされたような展開は好みが分かれそうかなー。
ジルベルト(ヨランド・モロー)のその後も宙ぶらりんなのも気になる。
まあ、コメディと捉えれば楽しめるかも?

あと、ジュリエット・ビノシュは黒木瞳に見える(笑)

映画『5月の花嫁学校』公式サイト

フランス初登場1位の大ヒット!! ジュリエット・ビノシュ主演最新作!!本年度セザール賞受賞!! 5月28日(金)よりヒューマントラストシネマ...

映画『5月の花嫁学校』公式サイト

 

葛飾北斎の生き様を描いた『HOKUSAI』

2021年05月29日 17時01分26秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:85/96
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
伝記映画
葛飾北斎
江戸時代
浮世絵

【あらすじ】
腕はいいが、
食うことすらままならない生活を送っていた葛飾北斎(柳楽優弥)は、
ある日、人気浮世絵版元(プロデューサー)の蔦屋重三郎(阿部寛)に目を付けられる。

しかし、絵を描くことの本質を捉えられていない北斎は、
なかなか重三郎から認められない。
さらには、喜多川歌麿(玉木宏)や東洲斎写楽(浦上晟周)など、
ライバルたちにも完璧に打ちのめされ、
先を越されてしまう。

“俺はなぜ絵を描いているんだ?何を描きたいんだ?”
もがき苦しみ、
生死の境まで行き着き、
大自然の中で気づいた本当の自分らしさ。
北斎は重三郎の後押しによって、
遂に唯一無二の独創性を手にするのであった。

ある日、北斎は戯作者・柳亭種彦(永山瑛太)と運命的な出会いを果たす。
武士でありながらご禁制の戯作を生み出し続ける種彦に共鳴し、
2人はよきパートナーとなっていく。

70歳を迎えたある日、
北斎は脳卒中で倒れ、
命は助かったものの肝心の右手に痺れが残る。
それでも、北斎は立ち止まらず、
旅に出て冨嶽三十六景を描き上げるのだった。

そんな北斎のもとに、
種彦が幕府に処分されたという訃報が入る。
信念を貫き散った友のため、
怒りに打ち震える北斎だったが、
「こんな日だから、絵を描く」と筆をとり、
その後も生涯、
ひたすら絵を描き続ける。

描き続けた人生の先に、
北斎が見つけた本当に大切なものとは…?

【感想】
んん。。。
なんか、淡々としすぎてて、
全然入ってこなかった(笑)

葛飾北斎といえば、
『富嶽三十六景』で有名な江戸時代の浮世絵師。

以下、ウィキペディア情報だけど、
アメリカの雑誌である『ライフ』が1999年に行った企画
「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で、
日本人として唯一86位にランクインした人物だ。

厳密にいえば違うのだろうけど、
一般の感覚からすると、
いわゆるアスペそのもので、
絵に対してはずば抜けた興味と集中を示すものの、
それ以外には無頓着。

その証拠に家は汚く、
衣類もみすぼらしい。
茶すら自分では淹れず、
人に対してもそっけない態度で、
人に会っても一礼すらしたことはないそうだ。

画工料は通常の倍だったそうだが、
お金はそこらへんに放っておいたため、
米屋などが請求に来たら勝手に取っていくほどで、
そのため貧しかったらしい(笑)

そんな人物ではあるものの、
映画でわかったのは、
とりあえず「三度の飯よりも絵が好き」ということだけ。
他の要素は、
観ればまあそうだろうなと思うものの、
大して触れられていないので、
キャラクターとして印象に残るかというと、
そうではないかなー。

まあ、基本絵ばっか描いていたっぽいから、
史実に忠実な映画にすると、
ほぼ話として成立しないのかもしれない。
やはり、物語の魅力的な人物は、
いかに他人と関わるかということかな(笑)

教訓になりそうだなと思ったのは、
彼が大成した理由のひとつに、
戦うフィールドを変えたってことが挙げられる。
人物画ではライバルに勝てず、
風景画を描いたことで今の地位を築いたから。

様々な絵師が存在した当時の時代背景は、
今考えると恐ろしい。
浮世絵は当時の娯楽そのもの。
それが「政に悪影響だ」と幕府から弾圧されるというのは、
楽しみを奪われるようなものだ。

そんな表現の自由もあったもんじゃない中、
「ただ描きたい」という理由だけで、
欲望の赴くまま筆を走らせた彼の強い想いは、
むしろ尊敬と感謝の念しかない。
彼が描き続けたからこそ、
その後の画家に大きな影響を与えたし、
そこから今の娯楽につながった部分もあるだろうから。

総じて、人物としては偉大だし、
絵もすごかったけど、
映画としてはやや物足りない印象かなー。
全部で四章立てで、
二章と三章で一気に40年も時が流れるから
唐突すぎるのも気になる。
これ、『テスラ エジソンが恐れた天才』みたいに、
ナレーション入れるか、
誰かの回想みたいな形で進めた方が
もっとわかりやすかったかも。

でも、こういう文化人の伝記映画って、
邦画ではあまり観ないから、
今後もっと増えて欲しいと思う。
黒澤明とか手塚治虫とか、
観たいよ。

映画『HOKUSAI』公式サイト 気持ちを込めて公開中

九十年の生涯で描いた作品三万点以上。孤高の絵師”葛飾北斎”の生き様が、今初めて描かれるー。出演:柳楽優弥 & 田中泯 & 阿部寛 & 永山瑛...

 

夢のようなラブロマンス『ノッティングヒルの恋人』

2021年05月29日 16時58分14秒 | 映画


【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:3/5
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ラブストーリー
大女優との恋愛

【あらすじ】
ロンドン西部の街、ノッティングヒル。
バツイチのウィリアム(ヒュー・グラント)は、
そこで旅行書の専門店を営んでいた。

ある日、ハリウッドのスター女優アナ・スコット(ジュリア・ロバーツ)が突然店を訪れる。
驚くウィリアムを後にしてアナは店を出るが、
すぐその後、ウィリアムと街角で衝突、
服をドリンクで汚してしまう。

ウィリアムはアナをアパートに連れ帰って服を乾かすが、
アナは不器用なウィリアムの人柄に誠実さを感じ、
徐々に2人の距離が縮まっていく。

しかし、片や書店の主人、片や世間を賑わす大物女優。
住む世界が違いすぎる2人の運命とは。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1999年のアメリカ映画。

いやー、これマジでいいラブストーリーだよね。
冴えない本屋の店主と大女優の恋愛という、
まるで妄想のような設定。

昨年、アマプラで鑑賞したんだけど、
やっぱり映画館で観ると全然違う。
集中して観れる分、
より没入できるから、
感動もなおさら強い。

開始後5分でいきなりアナからキスするという
少女漫画もびっくりな展開で、
夢のような日々が続いていくのがロマンチック。

ウィリアムが雑誌の編集者と偽って、
しどろもどろするシーンや、
彼の妹の誕生日パーティーにドタ参して、
まわりが面食らうシーン、
ウィリアムの同居人のスパイク(リス・エヴァンス)のキャラクターなど、
笑いの要素が多いのも好きだなー。

あと、アナとの関係が公になって関係が悪化し、
距離ができてしまったとき、
ウィリアムがノッティングヒルの通りを渡りながら、
四季が移ろいでいく演出も素敵だなって思う。

そういう2人の培ってきた関係性があるからこそ、
ラスト20分のスリリングな展開と、
最後の記者会見のシーンは感動しすぎて
涙なしには観れなかった。・゜・(ノД`)・゜・。

しかし、アナは出会ったばかりの
ウィリアムの何にそこまで惹かれたんだろう。
一目惚れって感じでもなさそうだったけど、
自分を女優ではなく、
ひとりの女性として見てくれそうだと感じたからかなー。

それにしても、今の僕は当時のジュリア・ロバーツよりも歳を取り、
むしろあと2年でヒュー・グラントと同い年になってしまうのだけど、、、
あと2年で彼のようになれるのかと言われたら、
アブソリュートリーノーだね(泣)
あのタレ目はズルい。。。

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

 

あおり運転どころの騒ぎじゃない『アオラレ』

2021年05月28日 23時10分28秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:11/95
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
スリラー
スプラッター
カーアクション
あおり運転
ターミネーター2

【あらすじ】
美容師のレイチェル(カレン・ピストリアス)は今日も朝寝坊。
慌てて息子のカイル(ガブリエル・ペイトマン)を
学校へ送りながら職場へと向かうが、
高速道路は大渋滞。
度重なる遅刻に、ついにクビとなってしまう。

最悪の気分のまま下道を走るが、
信号待ちで止まると、
前の車は青になっても発進しない。
クラクションを鳴らしても動かない。
イラついたレイチェルが追い越すと、
次の信号で横並びになったときに、
ドライバーの男から「運転マナーがなっていない」と言われる。
彼はレイチェルに謝罪を求めるが、
彼女は拒絶して車を出す。

息子を学校に送り届けた後、
ガソリンスタンドの売店で
さっきの男に尾けられていることに気づく。
レイチェルは嫌な予感がするが、
時すでに遅し。

信じられない執念に駆り立てられた男の“あおり運転”が、
ノンストップで始まるのだった──。

【感想】
たった2回のクラクションが、
命の危機を呼び寄せようとは、
誰が想像しただろうか。
『アオラレ』ってタイトル、
ぬるすぎだよ。
そんな甘っちょろい言葉で片付けられないほど、
この映画は常軌を逸していた。

おあり運転?
いやいや、これは『ターミネーター2』(1992)で
ジョン・コナーを執拗に追いかけるT-1000以上に執念深い男の話だよ。
すべてを破壊し、すべてを殺そうとする
ラッセル・クロウ(なんと役名なし!)のサイコっぷりが凄まじい。

彼もいろいろあったらしく、
鬱憤が溜まりまくってる役どころなんだけど、
その背景について詳しく語られることはない。
だからこそ、このサイコ野郎の極みっぷりに対して、
「え、なんで?なんでこうなるん?」っていうぐらい、
頭の中には?マークがいっぱいになる。

でも、その振り切り方がよかった!
ストーリーはシンプルどころか、
もはやあってないようなものって感じすらするんだけど、
キャラクターに全パラメータを注いだのがこの映画の魅力だよ。
ただただ、レイチェルを執拗に追いかけまわし、
彼女に関わる人をその手にかけようとする鬼畜っぷり。

設定やキャラに振り切りすぎた構成にB級感を感じつつも、
むしろその振り切りっぷりに
怖さよりも滑稽さが浮かび上がってきて、
ちょっと笑ってしまう(笑)
ラッセル・クロウのチートすぎる強さに、
憧れさえ持っちゃうからね。

好きだよ、こういうよくわからない方向に振り切った映画。

ただ、アメリカで自動車を運転しようとは
まったく思わなくなる(笑)

映画『アオラレ』 | 5.28(fri)ROADSHOW

ロックダウン後、世界中でまさかのNO.1ヒット!ラッセル・クロウ主演、究極の恐怖と爽快な展開にアドレナリン出まくりの、ノンストップ・アクショ...

映画『アオラレ』 | 5.28(fri)ROADSHOW

 

ファッションとロックとわんちゃんの『クルエラ』

2021年05月27日 20時16分07秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:1/94👑
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ディズニー
ヴィラン
101匹わんちゃん
ファッション
プラダを着た悪魔
ハーレイ・クイン
ターミネーター

【あらすじ】
パンクムーブメントが吹き荒れる70年代のロンドン。
親を亡くした少女エステラ(エマ・ストーン)は、
反骨精神と独創的な才能を活かし、
ファッション・デザイナーになることを決意。
ロンドンで最も有名な百貨店リバティに潜り込む。

そんなある日、
伝説的なカリスマ・デザイナーのバロネス(エマ・トンプソン)との出会いによって、
エステラはファッショナブルで破壊的かつ復讐心に満ちた
”クルエラ”の姿へ染まっていく──。

なぜ少女は悪名高き”ヴィラン”に変貌したのか?

【感想】
くおおおお。。。
これは映画館で観て欲しい。
否、映画館で観ないとダメだ。。。
明日からディズニープラスで配信されるけど、
映画館の大きなスクリーンと整った音響設備で体感して欲しいよ、
あのファッショナブルな世界観は。
都内だと唯一、新宿シネマカリテで上映してます。

これは、『101匹わんちゃん』(1961)に登場した
ディズニー・ヴィランズのひとり、
クルエラを題材にした、
彼女の前日譚。
ファッションデザイナーを目指していた彼女が、
なぜヴィランに堕ちてしまったのか、
その経緯を知ることができる。
まさに、アナキン・スカイウォーカーが闇落ちして
ダース・ベイダーへと成り果てた感覚を思い起こさせる内容だ。

ストーリー自体はネタバレになるので、
ぜひその目で観て欲しいんだけど、
この映画の最大の見どころは何と言ってもファッションだよね。

クルエラの反骨精神に溢れたロックなファッションが
メチャクチャかっこいいんだよ!!
彼女一人でファッションショーを行えるんじゃないか
っていうぐらいのセンスに溢れたファッションの数々は
見ているだけで興奮できる。

その格好で常軌を逸した行動をするもんだから、
ちょっとハーレイ・クインを見ているかのような気分にもなるんだよね(笑)
個人的には、『ターミネーター』(1984)への
オマージュと思われるシーンを入れてくれたことに、
大大大感激したけども!!

しかも、存在感があるのはクルエラだけじゃないんだよ。
カリスマデザイナーであるバロネスの
煌びやかなドレッシー姿も圧巻のクオリティ。
彼女の自信に満ち溢れすぎている人柄も相まって、
まさに『プラダを着た悪魔』(2006)のミランダを彷彿とさせるのだ。

そして、この映画では音楽も外せない。
洋楽を聴かないのでタイトルがわからないのだけれど、
過去に他の映画やCMなどで聴いたことのある有名な曲や、
そのアレンジ版がここぞとばかりに使われ、
映画全体を盛り上げている。

ここまで目と耳に訴えかける映画を、
どうして映画館以外で観ることができようか。
もう一度言うけど、
映画館で観てこその映画だと思うので、
早く劇場再開して欲しいよ。。。
エマ・ストーンのハマりっぷりを、
大きなスクリーンで目に焼きつけずに死んだら、
あの世で後悔する。

ちなみに、『101匹わんちゃん』を観ていなかったら、
事前に観ることをオススメする。
ディズニープラスにあるから。
僕もこの前初めてちゃんと観たのだけど、
これを観ているのと観ていないのとでは、
今作のラストで受ける印象がきっと変わるはず。

ホントにね、やってくれるよね、ディズニーは。
ちゃんと拾ってくれるんだから。
好き。

実写映画『クルエラ』公式サイト|ディズニー公式

2021年5月27日(木)映画館 & 5月28日(金)ディズニープラス プレミア アクセス公開 実写映画『クルエラ』公式サイト。エマ・ストー...

ディズニー公式

 

可憐な少女たちが和太鼓を叩きまくるギャップある画に萌える『藍に響け』

2021年05月26日 23時38分40秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:75/93
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
青春
部活
友情
和太鼓

【あらすじ】
松沢環(紺野彩夏)はミッション系お嬢様学校へ通い、
幼馴染みの佐伯美鈴(小西桜子)とは
富裕層らしい日常を過ごしていた。
しかし、父の会社が倒産し、
バレエも辞めることになる。

友人にも言えず、
行き場のない想いを抱える環は、
ふと聞こえてきた音の振動に吸い寄せられる。
そこでは、新島マリア(久保田紗友)が和太鼓を叩いていた。
その音は力強く豊かで彼女自身の心を表すようだった。
声帯損傷で言葉を話せないが明るく、
和太鼓を自分の言葉のように叩くマリア。

マリアの積極的な誘いにより、
いつしか心が動かされ、
和太鼓部の扉を開いた環だったが……。

【感想】
和太鼓を通じて友情が育まれる部活系映画。
集団でやる音楽系のクラブ活動をしていた人は、
共感度が高いかもしれないなー。

この映画は、環とマリアの対比が絶妙なんよ。
言葉は話せるのに、
言いたいことをなかなか言えない環。
言いたいことがあるのに、
声帯損傷で声が出せないマリア。
2人とも、
心の内にたぎる想いはあるのに、
それを表に出すことができないでいる。

それを、和太鼓の打ち込みを繰り返すことで、
心を通わせるという青春ストーリーは、
若さと青さがほとばしっていて微笑ましい。

ただ、前半はちょっと退屈なんだよね(笑)
特に、環が自分の意志や気持ちを伝えられない状態が続くから、
「もっとはっきりせい!」ともどかしく感じてしまう。

雰囲気的に、
『ウォーターボーイズ』系かと思うけど、
コメディではないし、
テンポよく進むわけでもなく、
淡々としているから、
感情移入もしづらくて。

面白いのは後半に入ってから。
教師であるシスターニッチェ(筒井真理子)がコーチに就任するんだけど、
全国を目指すがゆえの想像を絶する厳しさについていけない生徒も出てきて。

環も最初は素人だったのに、
元々バレエをやってたから、
ストイックな性格も相まって、
上達が早く、
ついていけない生徒に
「努力が足らないんじゃない?」
って言い出す始末。

こういう集団競技では、
まわりとのモチベーションの差は必ずついてまわる問題だよなあ。
性格もスキルもバラバラの中、
全員が全員、
ストイックになりきれるわけでもないし、
誰よりもうまくなりたいのか、
楽しくやりたいのかっていうスタンスの差もある。

僕は個人競技に身を置いていたけれど、
高校時代の部活のときは、
体調不良を理由に練習を休む人に、
「体調管理ができないのって気持ちが足らないんじゃない?」
っていう先輩もいたので、
昔をふと思い出した(笑)

まあ、チームマネジメントをどうするかっていう映画ではないので、
そのチーム内不和みたいなのは、
メイン2人の仲直りによって誤魔化されていたけれども、
ラストの地区予選のシーンはかっこよかったね。
可憐な少女たちが、
声を荒げ、
力強く和太鼓を叩く姿のギャップがまぶしかった。

終わり方はやや中途半端な印象だったけれど、
部活系映画が好きな人は観てもいいかも。

ちなみに、僕は『太鼓の達人』ぐらいしかやったことないけど、
和太鼓ってみんな同じ楽器を使うから、
集団でやったときに合わせるのすごく大変そう。
ちょっとでもズレると目立ちそうだから。
そして、手の豆やら腱鞘炎やらに悩まされそうだ。。。

映画『藍に響け』公式サイト

2021年5月21日(金)より新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイント、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開|私たちは まだ 夢中になれる。紺野彩...

映画『藍に響け』公式サイト

 

野生児を育てる元僧侶の狂気を描いた『野良人間 獣に育てられた子どもたち』

2021年05月26日 00時13分52秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:92/92🤯
   ストーリー:★☆☆☆☆
  キャラクター:★☆☆☆☆
      映像:★★☆☆☆
      音楽:★☆☆☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ホラー
サスペンス
ミステリー
ドキュメンタリー風

【あらすじ】
犯罪大国メキシコ。
そこでは、1日約300人、
年間約10万人が誘拐され、
3万人近くが命を落とすと言われている。
身代金目的だけでなく、
人身売買や臓器売買の犠牲となっている
その犠牲者の多くが幼い子どもたちである…。

1987年、南西部の都市オアハカ郊外の
人里離れた山岳地帯の民家で火災が発生し、
家屋は全焼、
焼け跡から1本のビデオテープが発見される。

その後紛失するが、
2017年に見つかり、
約30年ぶりに真相が明らかになる。
ビデオに映っていたのは、
まるで野獣のように野生化した子どもたちだった。

30年前、そこで一体何が行われ、
何が起きたのか?
なぜ、子どもたちは野生化し、
どうやって獣のように生きてきたのか?

【感想】
現状のワースト1位です(笑)

正直よくわからない映画だった。
理由はいくつかあるんだけど、
まず、画のタッチと中身がリンクしていないってのが大きかったかなー。

映画の構成としては、
現代のインタビュー映像と、
VHSビデオに記録された過去の映像が半々ぐらいで流れる。
ビデオには、元僧侶が野生児たちを更生する様子が記録されているんけど、
『リング』や『パラノーマル・アクティビティ』の影響からか、
ビデオテープってホラー要素を強く感じるんだよね。

この映画も、実際にホラーっぽい雰囲気は漂ってるんだけど、、、
ホラーじゃないっていう。。。
ただの人間観察の記録でしかないから、
完全にビビり損(笑)

次に、結局この野生児が何なのかっていう謎が放置されっぱなし。
サブタイトルが『獣に育てられた子どもたち』っていうからさ、
てっきりオオカミか何かに育てられた子どもたちを保護したのかと思いきや、
どうやら人間(親?)によって山の中に捨てられたっぽい、、、?

その理由もわからないし、
どうやって生き抜いてきたのかもわからない。
そんな彼らを保護して、
人目を忍んで個人的に更生させようとする元僧侶なんだけど、
絶対警察に行った方がよかったのではって、
ずっと疑問が頭に張りついたまま。
そこがなんか気持ち悪かった。

あとは、これがフィクションなのかノンフィクションなのかが
わかりづらいってところ。
実話ベースではあるらしく、
ドキュメンタリー風に作られているのがリアルではあるんだけど、
「ありえないだろ」っていう部分も多くて、
イマイチのめり込めなかったんだよね。
これがガチのドキュメンタリーだったら衝撃だとは思うんだけど。。。

この映画、野生児たちの存在よりも、
元僧侶が肝なんだよね、多分。
最初は、子どもたちをこんな目に遭わせた人に憤りを感じ、
親身になって彼らに教育を施そうとする
真面目で優しい人物には映る。

それが、途中から精神がおかしくなってきたのか、
神について語り始め、
子どもたちにも「神の羊飼いになりなさい」
と強制する始末。

副題の「獣」って元僧侶のことなんだろうなー。
自分の理想とするものがあって、
だんだん他のことが見えなくなり、
そこに妄信してしまう人物へと変化してしまう
怖さを描きたかったのかなって。

いろいろ深読みすれば、
もっとわかる部分もあるのかもしれないけど、、、
普通に観るだけでは、
まったくもって内容がわからない映画。
「ロッテン・トマト驚異の100%」
っていう評判だったから、
どんな衝撃作かと思いきや、、、
これはだいぶアテが外れた。。。

『野良人間』公式サイト

5月21日(金)全国公開『野良人間/獣に育てられた子どもたち』公式サイト|“野生の人間”こと「野良人間」にまつわる衝撃の記録――。メキシコ全...

『野良人間』公式サイト

 

自分の人生の最後はどうありたいかを考える『いのちの停車場』

2021年05月23日 17時33分48秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:62/91
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
在宅医療

【あらすじ】
東京の救命救急センターで働いていた
医師・白石咲和子(吉永小百合)は、
ある事件の責任をとって退職し、実家の金沢に帰郷する。

そこで、久々に再会した父(田中泯)と暮らしながら、
「まほろば診療所」で在宅医として再出発をする。

「まほろば」の院長である仙川徹(西田敏行)は、
いつも陽気な人柄で患者たちから慕われており、
訪問看護師の星野麻世(広瀬すず)は、
亡くなった姉の子を育てながら、
自分を救ってくれた仙川の下で働いている。

2人は、近隣に住むたった5名の患者を中心に、
患者の生き方を尊重する治療を行っており、
これまで「命を救う」現場で戦ってきた咲和子は考え方の違いに困惑する。

そこへ、東京から咲和子を追いかけてきた
医大卒業生の野呂聖二(松坂桃李)も加わり、
「まほろば」のメンバーに。
野呂は医師になるか悩んでおり、
そして麻世もまた、
あるトラウマに苦しんでいた。

様々な事情から在宅医療を選択し、
治療が困難な患者たちと出会っていく中で、
咲和子は「まほろば」の一員として、
その人らしい生き方を、
患者やその家族と共に考えるようになっていく。
野呂や麻世も「まほろば」を通じて、
自分の夢や希望を見つけ、
歩みはじめた。
生きる力を照らし出す「まほろば」で
自分の居場所を見つけた咲和子。

そのとき、父が病に倒れる。
父はどうすることもできない痛みに苦しみ、
あることを咲和子に頼もうとしていた―。

【感想】
想像以上に面白くて、
涙なしには観れない映画だった。。。

東京で救急医として、
患者の病気やケガを「治す」ことが
当たり前の状況で生きてきた咲和子からすると、
なるべく「いつもと変わらない生活」を選び、
患者との向き合いが決して治療だけに限定されない、
むしろ「治療よりも優先すべきことがある」在宅医の環境は、
180度異なるもの。

それを目の当たりにしたとき、
医者の役目って治療だけじゃないのかもしれないなって感じたし、
もし自分が治療が困難な病にかかったらどうするかなーって思った。

1分1秒でも長く生きたいがために、
お金と手間をかけて最先端医療で少ない可能性に賭けるか、
別にあきらめるわけじゃないけれど、
必要最低限の処置で自然に身を任せるか。

まあ、時間とお金が吐いて捨てるほどあるなら
前者の選択肢もありかなとは思うけど、
残された家族のことも考えると、なかなか、ね。

この映画では、
様々な患者を描いているけれど、
患者本人だけでなく、
彼らを取り巻く家族にも焦点が当てられているのがよかった。
患者本人だけだと、
実際に病気になった人にしか共感が得られなさそうだけど、
家族であればより多くの人に共感が生まれるだろうから。

30代後半ともなれば、
少なくとも祖父母世代のお別れには
立ち会っている人もいると思うので、
僕もいろいろ思い出した。
自分の経験とは関係ないけれど、
個人的には泉谷しげるとその妻のエピソードが一番、、、きたわ。。。

ストーリー自体は特に目新しさがあるわけではないのだけれど、
やっぱりキャストの演技力に圧倒されるのがこの映画のウリだろうな。
吉永小百合に西田敏行、田中泯っていう大ベテラン勢。
特に、吉永小百合の年齢を感じさせない凛とした雰囲気は
スクリーン越しでもすごいと思った。

若手も松坂桃李の演技はよかったなー。
ちょっと笑えるポジションなのが、
この暗く悲しい雰囲気にいいスパイスを与えていたから。
戦隊ヒーロー出身で、
ここまで幅広い役を演じて、
しかも露出が多いのって彼ぐらいじゃなかろうか。

ラストの終わり方もね、
解釈が分かれそうなんだけど、
どちらにとっても納得できる形なのは、
いい演出だったよ。

ただ、年齢設定がちょっと気になりまして。。。(笑)
吉永小百合と田中泯って
同じ1945年3月生まれだから同い年なんだよね。
でも、作中では親子の役。
そうなると、吉永小百合が50代ぐらいの位置づけなのかなって。
そうなると石田ゆり子とのバランスが、、、っていう(笑)

映画「いのちの停車場」公式サイト

4人の医師たちが紡ぐ、感涙のヒューマン医療巨編、誕生。大ヒット上映中!

映画「いのちの停車場」公式サイト

 

OLたちが血だらけになってボコボコに殴り合う『地獄の花園』

2021年05月21日 20時48分30秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:54/90
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
コメディ
ヤンキー
喧嘩
OL

【あらすじ】
素敵なOLライフを夢見る普通のOL・直子(永野芽郁)の職場に、
カリスマヤンキーOL・蘭(広瀬アリス)が中途採用で入って来た。

超絶ケンカが強い蘭は、そっちの世界では有名人で、
直子の会社は全国のヤンキーOLたちから狙われることに。

地上最強OLの座をかけた戦国時代の幕が上がる中、
果たして直子は素敵なOLライフを掴み取れるのか!?

【感想】
世界観がとても面白い映画だった。
ここでは、ヤンキーという生き物が
さも当たり前のように存在している世界。
それもOL限定で。
どこの会社にも若手社員がいて、
ベテラン社員がいてっていう流れで、
ヤンキーOLがしれっといるのだ。

彼女らは普通にお茶を汲み、コピーを取り、、、
ガン飛ばし合って、
殴り合って、
派閥争いを繰り返し、
テッペンを目指しているのだ。
『ろくでなしブルース』とか『クローズ』とか、
男子高校生がそのままOLになった感じ。

派閥争いでのし上がろうとみんなが躍起になっている中、
中途入社してきた蘭がチートレベルの強さで、
まわりを華麗になぎ倒していく流れは、
まさに少年漫画の典型的なパターンでスカッとするものがある。
男の子は好きかもしれないね、こういう展開(笑)

そういうシンプルな話もさることながら、
とにかくキャラが立ちまくってるのがこの映画のウリ。
今人気の女優さんたちが、
ド派手な髪色・髪型で、
常にガン飛ばしている画はそれだけで笑える。

他にも、女装した遠藤憲一は
千葉県で有名なジャガーにしか見えなかったし、
小池栄子のラスボス感もドハマりしていたのが印象に残る(笑)

個人的に好きな作風ではあったけれど、
ここがよかったらもっと好きになれたかもという点が2つ。

ひとつはアクション。
もともとそこまでガッツリやるつもりはなかったのかもしれないけど、
ハリウッド映画や韓国映画、
中国映画の本格的なアクションをずっと観てきた身からすると、
本作のアクションシーンは手足を振り回しているだけの
「ケンカごっこ」に見えてしまうところがある。

まあ、カメラワークや効果音でそれっぽく見せているし、
普段、ドラマで恋愛モノやコメディを
メインに活躍している女優さんたちが、
ボカスカやっているのは新鮮ではあるけど。

蘭がスマホ見ながら、
相手の拳をシュパッって止めるところは
かっこよすぎて身悶えたし(笑)

とはいえ、もしここが『るろうに剣心』や『HiGH&LOW』ばりに
ガッツリアクションになっていたら、
個人的にはもっと好きになっただろうなー。

もうひとつは終盤の展開。
ネタバレになるので詳しくは書けないけれど、
ヤンキーOLの派閥争いがあって、
蘭が最強ってことがわかって、、、
ってところまではよかったんだけど、
終盤の展開がね。。。
無理矢理『ベスト・キッド』の要素入れたなって(笑)

流れとしては自然ではあるんだけど、
この映画、キャラクターがやや出オチみたいなところがあるので、
そのキャラクターもわかって、
しかもアクションにそこまで期待できないとなると、
ちょっとお腹いっぱい感はあったかも。

なんにせよ、ヤンキーOLたちが
血だらけで殴り合う画は非常にシュールなので、
それだけでも一見の価値アリ(笑)

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古書を取り巻く環境から目が離せない『ブックセラーズ』

2021年05月19日 21時26分31秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:46/89
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ドキュメンタリー

古書
古本
希少本
骨董品
美術品
コレクター

【あらすじ】
社会の多様化やデジタル化で、
本をめぐる世界は大きく変わった。
書店は、本は、
未来に生き残れるのだろうか。

いや、本の魅力は絶対になくならない。
本を愛する人たちのそんな思いに応えてくれるのが本作だ。

世界最大規模のNYブックフェアの裏側から、
業界で名を知られたブックディーラー、
書店主、コレクターから伝説の人物まで、
登場する人々の本への愛情、
ユニークなキャラクターには誰もが心惹かれるだろう。

インタビューに登場するNY派の錚々たる作家たちや、
ビル・ゲイツによって史上最高額で競り落とされた
ダ・ヴィンチのレスター手稿やボルヘスの手稿、
『不思議の国のアリス』のオリジナル原稿など、
希少本が多数紹介されるのもたまらない魅力だ。

本を愛するすべての人に届けたい一級品のドキュメンタリーである。

【感想】
古書をめぐる様々な歴史や問題を扱った、
実に興味深いドキュメンタリー映画。

ちなみに、恥ずかしながら、
僕はまったくと言っていいほど、
本を読まない。
大学生ぐらいまではまあまあ読んでいたけれど、
社会人になってから13年、
自主的に読んだ本は2冊(泣)

物心ついたときから映画やドラマ、
ゲームに囲まれたせいか、
活字がどうも苦手で、
あらゆるコミュニケーションはイメージ伝達できればいいのにって思う(笑)

さて、この映画は本を扱ってはいるけれど、
読書を薦めるものではない。
あくまでも、"モノとして"の本の価値に迫った内容だ。
なので、『開運!なんでも鑑定団』に出てくるような
骨董品を思い浮かべてもらった方がいいかもしれない。
僕もコレクターではないけれど、
何かとモノを集めがちなので、
割と親近感を持ってこの映画を楽しむことができた。

舞台となっているニューヨークでは、
書店の数がどんどん減っている。
そんな中で、ディーラーと呼ばれる人たちは、
価値ある古書を見つけては、
保存や売買に勤しんでいる。

本はまさに先人たちの知の集合体で、
その中身には大きな価値があるけれど、
ここでは本の内容云々ではなく、
いかに昔のもので、
保存状態がよく、
まだ世に出回っていないかが重要になる。
それこそ、『不思議の国のアリス』の初版本や、
『若草物語』の作者が偽名で書いた小説、
ダ・ヴィンチの手稿などだ。

最近では、有名な本の初版本よりも、
手書きで書かれた手紙などに価値があるようで、
ダ・ヴィンチの手稿はビル・ゲイツが2,800万ドル(約28.4億円)で落札するほど。
それと比べると見劣りしてしまうが、
『007 カジノ・ロワイヤル』の初版本も13万ドルするという。

本なんて、中身自体は今やデータで読める時代だけれど、
モノとしての価値はまた別にあるよね。
僕も、ゲームはダウンロードして遊べるのに、
わざわざパッケージ版を買うもの。
これは単純に所有欲を満たすためだけど、
遠い未来になってから振り返ったとき、
形がある方が歴史を感じやすいと思うんだよな。
そこにロマンを感じて、
何かとモノを捨てられずにいるんだけど(笑)

また、インターネットの登場で、
消費者はいろんな本を手にしやすくなったけど、
やっぱりディーラー泣かせではあるらしい。
これまでは自分たちが足を運んで買い付けしていたものが、
個人間で簡単に取引されてしまうから。

他に興味深かったのは、
アーカイブとコレクションの違いにも触れられていたこと。
これは単純に情報量の差で、
前者はひとつ残らずすべて存在しているのに対し、
後者は少し欠けている場合に使われるよう。
なので、コレクションも突き詰めればアーカイブになるっていうのは、
今僕が持っているモノたちも、
いずれ歴史的価値を持つかもしれないと思ってニヤリとした(笑)

それでね、本って面白いのよ!
魚の化石を実寸大で載せている巨大本とか、
本物のマンモスの毛を入れている本とか、
宝石をあしらった表紙の本とか、
人間の皮で装丁された本とか。
文庫や新書とはまったく異なる、
骨董品やインテリアとしての側面が強い本がたくさんあって、
これは読書が好きじゃなくても欲しいと思った。

まさに、崇高なまんだらけって感じ(笑)
神田の古本街も特集して欲しいなー。

映画『ブックセラーズ』公式サイト

映画『ブックセラーズ』公式サイト

 

タイトル詐欺感が否めない『プロジェクトV』

2021年05月16日 23時43分36秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:72/88
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
コメディ
カンフー
カーチェイス

【あらすじ】
トン・ウンテン(ジャッキー・チェン)によって設立された“ヴァンガード”は、
世界中のクライアントにセキュリティサービスを提供する民間の国際特殊護衛部隊。

旧正月を迎えたロンドンのチャイナタウンで、
“ヴァンガード”のクライアントである
実業家チョン・クォックラップ(ジャクソン・ルー)が誘拐される。
チョンを救出するため、
トンはヴァンガードのメンバーである
ロイ・ジャンユー(ヤン・ヤン)、チョン・ホイシュン(アレン)、ミヤ(ムチミヤ)を派遣する。

一方チョンは、
ビジネスパートナーのマシムが
実は中東の過激派の首領であることに気付き、
ロンドン警察に通報していた。
マシムが米軍の攻撃によって殺されると、
マシムの息子のオマルはチョンを捕らえるよう命じる。
チョンはマシムの莫大な財産の在り処を知っていたのだ。

ヴァンガードに救出されたチョンは、
疎遠になっている自分の娘で
野生動物保護活動家のファリダ(シュ・ルオハン)も
守って欲しいと懇願する。
ヴァンガードはより大きなチームを組んで
アフリカへ飛ぶことになるが―。

【感想】
久しぶりのジャッキー・チェン映画だったんだけど、
かなりタイトルで煽ってると思った(笑)

いやー、続編かと思って、
『プロジェクトA』(1983)および『プロジェクトA2/史上最大の標的』(1987)を事前に観たのだけど、
なんの関係もなかったわ。

関係ないどころか、
肝心のジャッキー・チェンのアクションも少なくて。。。
主演にはなってるものの、
どちらかと言えば、
ヤン・ヤンとアレンの2人の方がメインだったなー。

まあ、それはそれでいいんだけど、
『プロジェクトA』を観た後だと、
生身の格闘アクションがかなり見劣りしてしまった印象。

ジャッキー・チェンの、
あの椅子やテーブルなど
身のまわりにあるものを利用したアクションや、
それらをぶっ壊しまくりながら
シュババッって繰り出す攻撃の数々を
また観れるんだと期待してたんだけども。

彼自身のそういうシーンはあまりなく、
あっても技のキレは昔ほどなく(笑)
しかも、途中から銃撃戦やカーチェイスなどが加わり、
それもCGが多用されているから、
中国版『ワイルド・スピード』とか『007』かなって思っちゃった。
ヤン・ヤンの中途半端なロマンスも蛇足な感じがしたし。。。

ハリウッド映画の要素が強かったのが、
個人的には惹かれなかったんだよな。
いや、そういうのは大好きだし、
もちろん映像自体はすごい。
ハリウッドに負けまいとするクオリティは
邦画より断然スケールが大きいものではあるけれど、
『プロジェクトV』って邦題がついてるなら、
やっぱりそこはカンフーというか、
ジャッキー・チェンの生身の超絶格闘アクションが観たかった。
中国映画ならではっていう要素がなかったのが残念だったかな。

所々、『プロジェクトA』および『A2』への
オマージュと取れるシーンはあったんだけどねー。

とはいえ、ジャッキー・チェンも格闘シーンは少なかったけど、
それ以外で体はかなり張っていたようで。
激流シーンでは彼が乗っていた水上バイクが横転し、
しばらく浮き上がれなかったという命の危機もあったらしい。
それは、エンドクレジットで流れるメイキングでわかるのだけど。

いまだに体を張り続ける彼は、
やっぱり僕の中で永遠の憧れだけど、
もう少し彼のカンフーシーンを取り入れて欲しかった。
もう年齢的に厳しいのかな。。。

カンフーはブルース・リーがその存在を知らしめ、
そこにコメディ要素を取り入れて
より広く面白さを伝えたのがジャッキー・チェンだと思ってる。
で、今その次を担っているのはドニー・イェンかなー。

映画『プロジェクトV』公式サイト

絶賛上映中 映画『プロジェクトV』公式サイト 全世界大ヒット超大作 オールタイムアクションレジェンド ジャッキー・チェンの集大成

映画『プロジェクトV』公式サイト

 

不倫なのに純愛、不倫だからこそ純愛『マディソン郡の橋』

2021年05月16日 20時40分05秒 | 映画


【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:3/4
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ラブストーリー
不倫

【あらすじ】
アイオワ州マディソン郡。
母フランチェスカ(メリル・ストリープ)の葬儀に集まった
長男マイケル(ヴィクター・スレザック)と妹キャロリン(アニー・コーリー)は、
母が彼らに宛てた手紙と日記を読み始める。

1965年、秋。
夫と子供たちが子牛の品評会のため隣州に出かけ、
フランチェスカは4日間、
一人で過ごすことに。
そこにカメラマンのキンケイド(クリント・イーストウッド)が道を尋ねてきた。

珍しい屋根付きのローズマン橋の写真を撮りに来た
という彼に惹かれていくフランチェスカ。
彼女はその晩、彼を夕食に誘い、
2人の関係が徐々に近づいていくのだが……。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1995年のアメリカ映画。

メリル・ストリープは『恋におちて』(1984)でも不倫する役だったけど、
昔の彼女ってラブストーリーの常連なんだよね。

で、この映画なんだけど、
もうね、泣いたよ。
あまりにも純愛で。

関係上は不倫になってしまうし、
その行為自体を肯定はしないよ。
でも、すぐヤッたヤらないの話になる
ハリウッドのラブストーリーにおいて、
しかも熟年のいい歳した男女が、
ここまでプラトニックさを出すとは。

それは映像描写の細かさにも表れていて。
車の中で、ダッシュボードを開けようと手を伸ばしたキンケイドの手が、
ほんの少しフランチェスカの脚に触れるのだけど、
そこでもう彼女は意識しちゃうんだよ。
まだ出会って10分も経っていないのに。

イタリアで生まれ、
アイオワ州の田舎に引っ越してきた彼女からしたら、
写真家で世界を飛びまわるキンケイドは
、さぞ魅力的に映ったんだろう。

別にフランチェスカ自身、
生活に不満はないんだよね。
愛する家族と優しいご近所さんに囲まれて、
望んだ未来(それが何かは語られないけど)とは違うものの、
幸せではあると。

でも、現状に大きな不満はなくとも、
外部からやってきた、
自分とは住む世界が違う存在は、
それだけで輝いて見えるんだろうな。
特に、他に刺激のない日々を過ごしている身からしたら。

この映画のいいところって、
4日間という限られた時間の中で、
事に及ぶまでの過程がもどかしくも清廉な部分だと思った。

向こうってすぐ口と口がくっつくじゃん。
体と体が重なるじゃん。
この映画では、お互いの息遣いが感じられる距離感になっても、
なかなか一線を越えないのよ。

フランチェスカはやはり家庭がある身だし、
小さな町の中で不倫して白い目で見られているルーシーの話もあるから、
今一歩踏み出せない。

なんだけど、心の中はもう思春期かってぐらい
浮き足立っているんだけどね(笑)
早い段階で、
鏡で自分の体を見て、
「まだいけるかしら」と確かめるし、
新しいドレスも買うし。

キンケイドに関しては、
年齢がそうさせるのか、
世界を飛びまわる性分がそうさせるのかはわからないけど、
「君を困らせる立場にはしたくない」と、
無理に事に及ぼうとはしない。
この分をわきまえた紳士から出る最上級の気遣いは、
同じ男から見てもマジでイケメンだと思った。

そんな2人が、
焦らして焦らしてようやく結ばれるのは、
今の自分よりもだいぶ年上ながらも、
とても微笑ましかったなあ。

それだけに、ラストの展開がとても悲しい。
これだけ愛し合って、
一度は2人で駆け落ちしようとするも、
フランチェスカが踏み切れなかったのがね、、、
なんとも。。。

結局、家族に対して後悔は残るし、
そうなるとこの素敵な愛自体も間違ったものだと思っちゃうから、
綺麗なままで残しておきたいと。

だから、彼女の死後、
「人生のすべてを家族に捧げたから、せめて残りの身は彼に捧げたい」と、
橋の上から遺灰を撒いて欲しいというのが、
彼女にできる唯一にして最大限の彼への償いと愛情表現だったかと思うと、
すごくロマンチック。

結婚したり、
離婚したりすると、
相手に望むものがよりクリアになるから、
不倫やら再婚やらの方が
純愛にしやすいのかなと思ったり(笑)

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

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