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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

流される人生でも何が起こるかわからない『フォレスト・ガンプ/一期一会 4Kニューマスター版』

2022年03月31日 23時05分57秒 | 映画

【個人的な評価】
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
ヒューマンドラマ

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 ウィンストン・グルーム『フォレスト・ガンプ』(1986)

【あらすじ】
アラバマ州グリンボウの田舎で
女手ひとつで育てられたフォレスト・ガンプ(トム・ハンクス)。
小学校に入ったものの、
勉強が苦手で脚にギブスをはめたフォレストはバカにされてばかり。
遊んでくれるのはスクールバスで一緒になった優しい女の子、
ジェニー(ロビン・ライト)だけだった。

ある日、同級生たちにいじめられていたフォレストは、
「走って!」というジェニーの声で猛然と駆け出す。
それも脚のギブスが吹き飛ぶほどのスピードで。

アメフト全米代表、ベトナム戦争、
卓球世界選手権出場、エビ漁船船長、
そのままフォレストは風のような速さで自らの人生を駆け抜けてゆく。

【感想】
1994年のアメリカ映画。
実は初鑑賞なんだけど、
今ね、やってるんだよ、
4K版として、映画館で。
かつて感動した人も、
まだ観てない人も劇場へGOです。
そして、公開時のトム・ハンクスと
今の自分と同じ年じゃんかっていう衝撃(笑)

◆流されることで開けていく人生

この映画、
個人的にはなかなかはっきりしないところが多かったなという印象。
過去を回想する形で、
フォレスト・ガンプの人生の軌跡を観ていくことになるのだけど、
これが意外と淡々と進んでいくから。
彼の何気ない思い出話がずっと続くので、
「で?」と思ってしまうところもあった。

けれど、ひとつ言えることは、
流されるだけでも人生何が起こるかわからないってこと。
フォレスト・ガンプって、
知能指数が劣ることが影響しているかはわからないけど、
あんまり自分でああしたいこうしたいっていう
意志はなかったように思う。

ただ、ジェニーに「走って!」と言われたあの日から、
彼の人生は大きく変わった。
いじめっ子たちから全速力で逃げているだけだったけど、
その足の速さを見込まれて、
アメフトの全米代表になり、
卒業式で勧誘された陸軍に入り、
病院で出会った卓球に才能を発揮し、
同僚と語ったエビ漁業で一山当てる。
どれもこれも、
彼がやろうと思ってやったことではなく、
流されるままに生きてきたらこうなったというだけ。

振り返ってみると、
なかなか面白い人生だなと思うけど、
すべては走ったことがきっかけ。
流されていく中で特技を繰り返すことで、
開けていく人生もあるんだなあと思った。

◆ジェニーのメンヘラっぷり

キャラクターとしてよくわからなかったのが
ジェニーなんだよね。
フォレストの幼馴染なんだけど、
彼に好意を抱いているにも関わらず、
2度も彼の前から姿を消すのよ。
彼との将来に不安を覚えたから?
それとも、彼の誠実な人柄を見ていると、
自分が汚く感じてしまうから?
何も言わずにいなくなる割には、
フォレストが有名になるタイミングで、
ひょっこり現れるからね、
なんか胡散臭さを感じてしまったけど。
ちょっとメンヘラっぽい感じはする(笑)

◆時代を反映したパロティ

この映画、
ちょいちょい現実のパロディが入っているのも注目したいところ。
フォレストの母親が営む民宿に、
若かりし頃のエルヴィス・プレスリーがいたり。
フォレストがウォーターゲート事件の発端となる
ウォーターゲート・ビルへの侵入事件を目撃したり。
他にも、ニクソン大統領やジョン・F・ケネディ大統領、
ジョン・レノンとのVFXを使っての共演もあり、
1994年の映像技術でここまでできるんだと驚く。

◆映画を観るだけではわからない設定

幼少期のジェニーが父親から性的虐待を受けていたとか、
終盤のジェニーはエイズにかかっていたとか、
映画本編では言われてないんだよね。
でも、後から調べるとそういう設定だって書かれてる。
察しろってことなのかもしれないけど、
何やら訳ありだってのは気づくものの、
細かな状況まではわかんねぇっす(笑)

◆そんなわけで

原作小説とはだいぶ異なる設定らしいけど、
映画は映画で面白いので、
劇場でやっているこの時期に観てみるとよいかも。


久能の素朴な疑問やつらつら述べる自分の考えが痛快だった『ミステリと言う勿れ』

2022年03月29日 00時51分26秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2022年冬ドラマで面白かった順位:1/9👑
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★★
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★★☆

【ジャンル】
ミステリー
推理

【原作・過去作、元になった出来事】
・漫画
 田村由美『ミステリと言う勿れ』(2016-)

【あらすじ】
秋も深まるとある日、
自宅で大好物のカレー作りをしている
大学生・久能整(菅田将暉)の元に刑事がやってきた。
近所の公園で殺人事件があり、
遺体で発見されたのは整の大学の同級生だという。
どうやら警察は整に疑いの目を向けているようで、
任意同行を求められてしまう。

取り調べ室で事情聴取が行われるが、
話が脱線しがちな上、
警察の矛盾点をズバズバと突いてくる、
一筋縄ではいかない整に刑事たちは振り回される。

しかし、そんな彼の推理のおかげで事件は解決。
ようやく解放される久能。

が、話はここで終わらない。
その手腕を見込まれた久能は、
事件があるたびに刑事たちから協力を要請されるハメに…。

【感想】
まだ全部のドラマ終わってないけど、
今季一番面白いのはこれだった。
月9枠で一番面白いって、
『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016)以来かも。

◆久能整のキャラクターがピカイチすぎた

ただのミステリードラマではあるんだけど、
久能のキャラクターがひたすらよかったよねえ。
持ち前の知識と鋭い観察眼で、
他人の矛盾をズバズバ突きまくる。
さらに、彼の持論や素朴な疑問も面白い。
殺人やいじめなどについて
つらつら話すエピソードがあったけれど、
正論でありながらも、
誰かを傷つけることなく、
「なるほど、確かに」
と思わせるところが好感持てた。

あと、「なぜ"闘病"と言うのか」、
「なぜバージンロードは父親と歩くのか」など、
言われてみればなんでだろう?
と思うような疑問についても、
彼なりのしかも納得できる意見が聞けるのは興味深かった。

◆ライカが切ない

第5話から登場したライカ(門脇麦)。
基本1話完結型の話の中で、
準レギュラーみたいな扱いだったから、
印象に残っている人も多いのでは。
彼女の出生の秘密は、
虐待の末に生まれた別人格という悲しい背景があるけれど、
久能との関係は切なかったな。
ミステリードラマなのに、
ここだけメッチャ純愛で。
今まで人を好きになったことがない久能が、
初めて気になる人だったのに。。。
しかも、死別でもなければ、
行方不明でもない、
姿形は残るのに人格だけなくなってしまうという
やるせなすぎる設定。

あと、彼女とのエピソードですごいのは、
コミュニケーションの取り方。
『自省録』という本の中にある文字を、
数字暗号にして伝えるんだけど、
あんなに早口で言われてるのに、
すべて拾いきれる久能の耳と記憶力のよさよ。

◆光るラスト2話の存在感

このドラマで素晴らしいなと思ったのは、
話数の構成。
久能を主軸とした話は
第10話でライカとの別れでほぼ終わってたと思う。
そこで、残りの伏線を回収するために、
第11話では風呂光(伊藤沙莉)が、
第12話では我路(永山瑛太)がメインになって動いてて、
面白い展開だなと思った。

最近のドラマって、
よく「第一部、完」みたいなのが
第4話とか5話ぐらいであったりするけど、
そもそも一部と二部に分かれている感じがまったくしなくて。
今回のドラマのように、
登場人物やメインで動く人がガラッと変われば、
それだけで新鮮な気持ちになれるんだけど。

特に最終回で感心したのが、
その脚本力の高さ。
前半と後半で2つのエピソードが走ってるから、
いくら15分拡大とはいえ、
尺はかなり限られてるんだよ。
なのに、しっかり収めたからね。
前半の久能の新幹線のエピソードなんか、
時間も空間も限られている中で、
しっかりドラマとして成立させていたところが秀逸。
後半の我路のエピソードは、
寄木細工の工房でのやり取りが泣けた。。。

◆そんなわけで

なんか続きがありそうな予感はするけど、
とにかく面白いドラマだった。
久能のキャラクターに救われました。
BGMがクラシック音楽ばかりなのもよかった。


宇宙船内で起こる人間社会の縮図が恐ろしい『ヴォイジャー』

2022年03月28日 23時21分32秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:28/49
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
SF
サスペンス
スリラー

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
地球温暖化による飢饉が人類を襲い、
科学者たちは居住可能な新たな惑星を探した。
そして2063年。
可能性を秘めた惑星を発見し、
探査隊を派遣することになる。
航行にかかる期間は86年。
乗員は訓練を受けた30人の子供たちと、
彼らの教官であるリチャード(コリン・ファレル)が同乗した。
子供たちは船内で成長して子孫を残し、
惑星に到達するのは彼らの孫の世代だ。
子供たちはリチャードに従順に従い、
航行は順調かに見えた。

10年後。
クリストファー(タイ・シェリダン)と
ザック(フィオン・ホワイトヘッド)は、
彼らが毎日飲む薬によって
人間としての欲望が抑制されていることを知る。
さらに、反発した乗員たちは本能の赴くままに行動するようになり、
ある事件をきっかけに船内の統制が崩壊していく―。

【感想】
世間の評価は低いものの、
個人的にはけっこう楽しめた映画。
これまでの宇宙を舞台にした映画とは、
またちょっと違う感じでして。
洋画では頻繁に宇宙を舞台にした映画が作られる。
大体が惑星探索におけるヒューマンドラマか、
エイリアンと戦うアクションかだけど。
今回はそのどちらでもないのがよかった。

◆人間は「管理」されるべきか「自由」にさせるべきかの対比

惑星にたどり着くのは今から86年後。
いくらミッションを達成させるのが
今回選ばれた子供たちの"孫"の世代だとしても、
その第一世代も一定の健康状態を保ち、
生命活動を維持しなくてはならない。
物資も限られている中、
それを可能にするには「適切な管理」が必要。
大きなトラブルを起こさず、
無駄にエネルギーを消費せず、
極力ヒューマンエラーを抑える。
そこですべきことが「欲望の抑制」。
日頃から薬を与えて、
あらゆる欲望レベルを最低限に抑えておく。
これがなかなか面白い設定じゃないかと思って。
感情を失くすのではなく、
欲望がなくなれば、
そもそも感情も出てこないよねっていう発想。
その欲望も"抑えてる"だけだから、
元に戻るリスクもあるってこと。

ひょんなことから、
その秘密を知ったのがクリストファーとザック。
彼らは意図的に薬を拒否し、
通常の人間と同等の欲望レベルにまで回復。
まさに、「適切な管理」から逃れ、
「自由」を手にした瞬間だなと思った。

ここからがこの映画の面白いところ。
他のメンバーも薬を飲まなくなったことで、
同時多発的にみんながいろんな欲望に目覚める。
船内を走り回り、
好きなように食事を摂り、
異性に対する興味まで。
それで怪我したり、
食糧がなくなったり、
意図しない妊娠なんかが起きたら、
86年後までもたないよねってことで
管理されていたはずなんだけど。

◆人間社会の縮図の誕生

目覚めた欲望は留まることを知らず、
自己承認欲求やそれが叶わないことによる嫉妬など、
より高次元の欲望も出てきて船内はカオス状態。
そこで、"とある事件"をきっかけに、
グループが二分してしまう。
ザック率いる「好きなようにやろうぜ」という改革派と、
クリストファー率いる「任務遂行のために規則を守ろう」という保守派。
まさに、どのコミュニティでもありそうな構図が、
狭い密室の宇宙船内で出来上がっちゃったわけ。

僕自身、
徹底された管理下に置かれるのは
好きではない性分ではあるけど、
ここでの改革派はだいぶ過激なので、
この映画を観る限りでは保守派の方に肩入れしたいけど(笑)
しかも、その改革派を引っ張るザックがまたイラつく役どころ。
デマを流して人々を困惑させ、
自分の陣営に引き込むといった小賢しい手を使う。
「そこまでする必要あるかな?」
とやや動機に違和感はあるものの、
この対立構造は後半を盛り上げる
いいストーリー展開だったと思う。

◆そんなわけで

舞台は宇宙だけど、
SFよりはサスペンスやスリラーに近いかな。
だから、宇宙である必要はあまり感じないけど(笑)
この両陣営の争いがどう決着するかは、
ぜひ映画館で観て欲しい。

それにしても、
最初に選ばれた30人って、
自分たちは目的地を目にすることなく生涯を終えちゃうんだよ。
彼らに求められているのは、
孫まで残す生殖機能のみだから、
人としての人生を考えると、
なかなか悲しい運命ともいえそう。



「午前十時の映画祭11」で面白かったランキング

2022年03月28日 20時56分57秒 | 映画
1. ターミネーター2(1991)
2. ターミネーター(1984)
3. ザ・ロック(1996)
4. 天使にラブ・ソングを…(1992)
5. アンタッチャブル(1987)
6. グラディエーター(2000)
7. ノッティングヒルの恋人(1999)
8. 2001年宇宙の旅(1968)
9. グッドフェローズ(1990)
10. イングリッシュ・ペイシェント(1996)
11. マディソン郡の橋(1995)
12. ティファニーで朝食を(1961)
13. スタンド・バイ・ミー(1986)
14. 隠し砦の三悪人(1958)
15. ユージュアル・サスペクツ(1995)
16. ナイトメア・ビフォア・クリスマス(1993)
17. シカゴ(2002)
18. モスラ(1961)
19. ファイト・クラブ(1999)
20. イージー★ライダー(1969)
21. 座頭市物語(1962)
22. 赤ひげ(1965)
23. ファーゴ(1996)
24. シャイニング(1980)
25. 未来世紀ブラジル(1985)
26. ロミオ+ジュリエット(1996)
27. 真昼の決闘(1952)

「午前十時の映画祭7」から観始めて、
5回目のフル鑑賞。
歴史に残る名作の数々というだけあって、
どれもすごく面白かったんだけど、
今回一番だったのはやっぱり『ターミネーター2』(1991)。
まあ、これは『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)が公開されるまで、
ずっと生涯1位だったのでちょっと特別かな(笑)

マイケル・ベイ監督によるテンポのいい『ザ・ロック』(1996)や、
歌が素晴らしかった『天使にラブソングを…』(1992)など、
トップ10に入る映画は全部オススメしたい。

昔の映画はいろいろ感慨深いよ。
今はシルバー世代に入りつつある役者さんたちの
若かりし頃の姿もそうだけど、
彼らがロマンチックなラブストーリーを繰り広げてるのも
新鮮に感じる。
『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)の
レイフ・ファインズとクリスティン・スコット・トーマスや、
『マディソン郡の橋』(1995)の
クリント・イーストウッドとメリル・ストリープとか、
不倫街道まっしぐらだし(笑)

そして、2022年4月1日(金)からは、
「午前十時の映画祭12」がスタート!
素晴らしい過去の名作と出会えますように。

身も心も焦がすような純粋な愛ゆえに不倫すら厭わなかった『イングリッシュ・ペイシェント』

2022年03月26日 22時32分16秒 | 映画

【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:10/27
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
ラブストーリー
不倫
戦争

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 マイケル・オンダーチェ『イギリス人の愚者』(1992)

【あらすじ】
1944年、第二次大戦末期のイタリア。
飛行機事故で全身に火傷を負い、
生死をさまよう男が野戦病院に運び込まれた。

看護婦のハナ(ジュリエット・ビノシュ)は部隊を離れ、
廃墟の修道院で男の看護を続けていたが、
記憶を失くしていた男は、
断片的に甦る過去を話し始める。
アルマシー(レイフ・ファインズ)という名のその男は、
サハラ砂漠で地図を作っていたが、
そこでキャサリン(クリスティン・スコット・トーマス)という
人妻と出会い―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1996年のアメリカ映画。
これでラスト。
有終の美を飾るにふさわしい面白さだった。

レイフ・ファインズやジュリエット・ビノシュなど、
今やベテランとして活躍する役者さんたちも、
公開当時は30代前半〜半ばぐらい。
レイフ・ファインズが、
ケビン・コスナーを思わせるかっこよさで。
ジュリエット・ビノシュが、
つるんとしたゆで卵みたいな美しさで。
クリスティン・スコット・トーマスが、
なんだかキャメロン・ディアスにちょっと似てて。

昔の映画を観ると、
今ではシニア層になりつつある役者さんたちが、
若かりし頃にロマンチック全開の
ラブストーリーなんかをやってる姿を見れるのはエモい。

◆最近目にしない愛欲にまみれた男女の絡み

物語はアルマシーが過去を回想する形で進んでいく。
彼は考古学の調査をしているんだけど、
同僚のジェフリー(コリン・ファース)の妻キャサリンに心奪われちゃう。
最初はアルマシーを拒絶していたキャサリンだけど、
徐々に距離が縮まっていき、ついに一線を超える、、、!

ここがもうすごかった。
アルマシーの欲望が強すぎて、
キャサリンの服破っちゃうから。
で、事が済んだ後に縫うっていう、
ちょっと笑っちゃう展開。
いや、縫うなら普通に脱がせなよって(笑)

その後も2人は事あるごとに逢瀬を重ねるんだけど、
アルマシーのセリフがキザを通り越して
若干気持ち悪いっていう(笑)
「君の味が口の中に残ってる」って。
食べたの?
ねえ食べたの?
いや、これぐらいツッコミどころのあるセリフの方が印象に残るし、
そんな意味わからないことを口にしてしまうほど、
心から相手を欲してるんだなって思うから、
僕は好きだけど。

軍人がクリスマスソングを歌う聖なるときでさえも、
構わず物陰で体を重ねるし、
その直後にキャサリンの夫と対面したりして、
もういつバレるのかっていうスリルもあった(笑)

◆言動が一致しない男

両者共に心から惹かれて合ってはいるんだけど、
アルマシーは最初に寝た後に
「僕は所有したくないしされたくない」という、
割り切った関係を望むようなことを言うんだよ。
なのに、途中から所有欲が出てきちゃって、
「これ以上関係は続けられないから別れましょう」
と言うキャサリンに、
「イヤだ。君は僕のものだ」
って駄々をこねるから子供かって(笑)
人の心は移り変わるとはいえ、
言ってることとやってることが矛盾してて、
ここも笑っちゃうところ。

◆歳を取らないウィレム・デフォー

今年に入って、
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)と
『ナイトメア・アリー』(2021)の2作品で見たウィレム・デフォー。
今から25年以上も前の本作にも出てるんだけど、
見た目がまったく変わってないのよ。
時を止めてるのかってぐらい変化がほぼない。
しかも演技力も相変わらずすごいから、
この人の安定したハイクオリティなアウトプットには
本当に驚かされる。

◆そんなわけで

不倫してまでお互いに相手を求めまくるほどの
気持ちの強さをビンビン感じるラブストーリー。
アルマシーのエピソードが強すぎて、
ハナのエピソードがやや弱いのが気になるけど、
クリスティン・スコット・トーマスとジュリエット・ビノシュの
体当たり演技はぜひ観て欲しい。

 

いつか来るそのときのために。『妻、小学生になる。』

2022年03月26日 00時27分35秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2022年冬ドラマで面白かった順位:3/8
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
ホームドラマ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・漫画
 村田椰融『妻、小学生になる。』(2018-)

【あらすじ】
新島圭介(堤真一)は、
10年前に最愛の妻・貴恵(石田ゆり子)を亡くしてから、
妻のいない残りの人生を“余生”だと思って生きている元愛妻家。
まったく生気が感じられないため、
周囲からは陰鬱な男に見られている。

たった1人の家族である
娘の麻衣(蒔田彩珠)の幸せを誰よりも願っているものの、
生活費を稼ぐ以外何もしてやれていないことが心苦しく、
コミュニケーションすらうまく取れていない。
2人の時間は、
10年間止まってしまっていたのだ。

そんなある日、
ランドセルを背負った見知らぬ女の子(毎田暖乃)が
この親子を訪れる。

「私は10年前に他界したあなたの妻よ」

そう言う彼女の姿は小学生。
しかし、話を聞くうちに、
どうやら本当に妻の生まれ変わりのようだとわかる。

元愛妻家の男と、
妻(外見は小学生)、
そして大人になりきれない娘の、
ちょっと変わった3人による家族再生の物語が始まる!


【感想】
失くしたもの(死者)と向き合うことで、
未来を見つめていく感動ドラマだった。
正直、要素としてはそれほど珍しい話でもない。
『地獄先生ぬ~べ~』や『学校の怪談2』(1996)でも
同じようなエピソードはあったので。
ただ、できることならぜひ実現したい設定だなと
改めて思える話だったかな。

◆失ったものに目を向けて家族再生へと繋げる展開

この物語の一番の肝は、
第9話のラストで圭介が言った
「これからは、失くしたものじゃなく、
 ママがくれたものを見つめて生きていかないか」
というセリフに集約されるんじゃないかな。
前に誰かが言ってたけど、
「人生は集めたものじゃなくて、与えたもので決まる」と。
貴恵が与えてくれたものを胸に、
前を向いて歩いていくってのが、
このドラマの一番のメッセージだよね。

大切な人を失った悲しみは、
基本晴れることはないと思ってる。
自分だって、
6年前に亡くなった祖母のことを思い出しては、
いまだに涙が出るときもあるし。
そのたびに、「もっとああしておけば」
と後悔の念に苛まれる。
どんなに幸せな人生を送ったとしても、
残された人は多くの場合、
そうやって後悔することはあるんじゃないかな。

このドラマの新島家もまさにそうで、
10年前に事故で貴恵が亡くなって以来、
圭介も麻衣も生きる気力を失っていた。
貴恵は万理華の体を借りて蘇るものの、
いつかは返さないといけないから、
圭介たちはある意味2度、
大切な人を失うようなものなんだよね。

でも、2回目の貴恵との生活を通じて気づく。
いつまでも貴恵にばかり頼ってはいられないと。
死者を想う気持ちは大切だけど、
ただ想うだけでは過去から抜け出せないのといっしょ。
生きている人は未来に向かって進む必要があるのに、
その歩みを止めてしまっていることになるから。

果たしてそれが、
死者が残された人たちに願うことだろうか。
圭介も麻衣も、
前を向いて歩くことができるようになったのは、
貴恵と奇跡のような時間を過ごしたおかげ。
ただ、彼らが現実の世界の住人と違うのは、
死んだ人の言葉を直に聞けたこと。
自分が何をすべきか、
道標になってくれる存在がいたのは大きい。
自分も死んだばーちゃんで再現したい(笑)

あと、貴恵が成仏するときは、
あらかじめお別れを言ってくれるのはいいよね。
普通は死って突然やってくるから。
だからこそ、まわりの人は大切にしなくちゃいけないんだけど。
いつか来るそのときのために。

◆天才子役現れる

貴恵の魂が乗り移った万理華を演じた
毎田暖乃の演技はすごかった。
3ヶ月間、自分の母親のような年齢の役を演じ続けたのだから。
ドラマや映画でたまにすごい子役いるなって思うときはあるけど、
どれもスポットが多い。
今回は1クール演じ続けたからね、
なんというかもう本当にすごいなって。

◆そんなわけで

実は泣けはしなかったんだよね。。。
妻を亡くすという実感が湧かなくて
とはいえ、亡くした人との関わりを通じて、
未来を向けるようになるいい話だった。
もしこれが妻じゃなくて祖母だったら、
自分の経験もあって号泣してたかもしれない。


車が何台あっても足りないぐらい次々廃車になっていくマイケル・ベイ節炸裂の『アンビュランス』

2022年03月25日 18時11分16秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:26/48
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★★
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
アクション
カーチェイス

【原作・過去作、元になった出来事】
・映画
 『アンビュランス』(2005)

【あらすじ】
アメリカ、ロサンゼルス。
ウィル(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)は、
妻の手術のために23万1,000ドルが必要となる。

その費用を借りるため、
ウィルは養子縁組の兄弟であり、
犯罪者のダニー(ジェイク・ギレンホール)に連絡を取る。
そこでダニーは3,200万ドルの銀行強盗に参加することを依頼。
犯罪に手を貸すことに躊躇するウィルだったが、
背に腹は代えられず、
渋々承諾。

しかし、強盗に参加するも失敗に終わり、
あろうことか彼らは逃走用に救急車を奪い、
人質として救急救命士と瀕死の警察官を乗せて逃走することに…。

【感想】
正直、ツッコミどころはありまくりだったんだけど、
さすがハリウッドの"破壊王"の異名を持つマイケル・ベイ監督。
見せ方がうまかった。
圧倒的な破壊映像で乗り切ってるのが相変わらずすごい(笑)
2005年の『25ミニッツ』という
デンマーク映画のリメイクらしいんだけど、
そのオリジナル版の作品は見つけられず。

◆王道の中にあるちょっと変わった設定

この映画、設定がなかなか面白い。
銀行強盗からの逃走ってのはよくある話だけど、
逃走車が救急車で、
そこには救急救命士と
ウィルが撃って瀕死の警察官が乗ってるっていう。
さっさと近くの病院に
ポーンと降ろしちゃえばよかったのではと思いつつ、
何時間も逃走が続く状態。
捕まるわけにはいかないので、
病院にも行けず、
救急車内でやれる範囲内での治療を行う
なかなかの無理ゲー映画。

しかも、逃げてるからスピードも速くて、
車内メッチャ揺れてて。
そんな状態の中で、
AEDによる心肺蘇生や、
ウィルからの輸血など、
その場しのぎの治療しかしてないのに、
最後の方、
警察官がちょっと元気になってて笑っちゃった(笑)
普通だったら死んでるような。。。

◆ゴミのように廃車になっていく車たち

マイケル・ベイ監督と言えば、
とにかくスピード感溢れる展開や大興奮のド派手アクションがウリ。
『ザ・ロック』(1996)や『アルマゲドン』(1998)、
『パールハーバー』(2001)といった単品作品から、
『バッドボーイズ』シリーズや
『ミュータント・タートルズ』シリーズ、
『トランスフォーマー』シリーズなども手掛けている。
個人的には、どんな監督でも当たり外れはあるから、
特定の監督のファンってことはないんだけど、
マイケル・ベイ監督のアクションだけは本当に大好きで。
この映画でもそれは如何なく発揮されていた。

常識離れしたハンドルさばきで
逃げ惑う救急車に翻弄され、
激突したり横転したりで
次々とスクラップになっていくパトカーたち。
「普通に追いかけるだけでそんなんなる?!」
って言いたくなるけど、
面白いほどにぶっ壊れていくシーンはスカッとする。
さらに、今回はドローンでの空撮も多用されていて、
特に高いところからの急転直下のカメラワークは迫力あった!
これはもう邦画では絶対に観られない、
ハリウッドならではのアクションだね。

◆どうやったらかっこよく映るかがわかってる撮り方

本作の主人公はウィルとダニーの2人で、
救命救急士のキャム(エイザ・ゴンザレス)は
準主役みたいな立ち位置。
なのに、ラストで胸を張って歩くキャムの姿、
完全に主役だったね。
スローモーションにして
「これまでのトラブル、全部あたしが片を付けました」
と言わんばかりのドヤ感。
「あれ、この人が主役だったっけ?」
って思わせる見せ方がうまかった(笑)

◆クライマックスが長すぎる

ひとつ難点を上げるとするならば、
クライマックスの長さ。
開始後30分経ったところから逃走劇が始まるんだけど、
それが残り90分近くも続くのよ。
さすがに大迫力のカーチェイスも、
そんなに続くとだれてくる。
だから、途中ちょっと飽きちゃった(笑)
何でもかんでも長くやればいいってもんじゃないな
ってのは強く感じたところ。

◆そんなわけで

ツッコミどころはあるものの、
それをカバーするぐらいのド派手な映像は圧巻。
これはやっぱり映画館で観てこそだよなって思う。
ストーリー性やキャラクター背景はあっさり目だけど、
迫力を求めるなら観てみてもいいかも。


ギレルモ監督にしては珍しい作風の現実的なサイコスリラー『ナイトメア・アリー』

2022年03月25日 12時46分38秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:25/47
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
サイコスリラー

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 ウィリアム・リンゼイ・グレシャム『ナイトメア・アリー 悪夢小路』(1946)

・映画
 『悪魔の往く町』(1947)

【あらすじ】
ショービジネスでの成功を夢見る野心溢れる
青年スタン(ブラッドリー・クーパー)がたどり着いたのは、
人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座。

そこで読唇術の技を身につけたスタンは、
人を惹きつける才能と天性のカリスマ性を武器に
トップの興行師(ショーマン)となるが、
その先には想像もつかない闇が待ち受けていた。

【感想】
ギレルモ・デル・トロ監督最新作の
サイコスリラー映画。
予告だけだとイマイチどんな話かわからなかったけど、
人生のアクセルを踏み込みすぎた
スタンの栄光と末路を描いた内容。

ちなみに、原作小説は未読。
また、1947年版の映画も
配信およびDVDレンタルがなかったので未鑑賞。

◆ファンタジー要素が一切ない意外性

ギレルモ監督が『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)で
アカデミー作品賞、監督賞を受賞したのは記憶に新しい。
それに代表されるように、
彼の作品ってファンタジーや特撮っぽい作品が多いんだよ。
『ヘルボーイ』シリーズや『ホビット』シリーズ、
『パシフィック・リム』シリーズなど。
さらに、日本の特撮やアニメ、
マンガにも詳しいようで。

そんな彼が手掛ける映画なので、
てっきりダークファンタジーかなと思っていたんだけど、
これがまた全然違ってね。
カーニバルを舞台に、
ショービズで成功しようと夢見るスタンの
栄枯盛衰を描いたサイコスリラー。
半魚人や巨大ロボットといった空想的なものは一切なく、
現実的な路線。
これはけっこう意外でした。

◆人生のアクセルの踏みどころの難しさ

この映画では、
暗い過去を抱えながらも、
パフォーマーとしての成功を夢見る
スタンの生き様が面白いポイント。
公式サイトのあらすじでは"青年"ってなってるけど、
演じたブラッドリー・クーパーは47歳だから、
青年って表現は適格じゃないと思うけど(笑)
透視術?を学び、持ち前の"華"を武器に、
トップにまで登りつめる彼だけど、
その先をどうしていくかっていうのが非常に興味深かった。

もちろん、あそこまでの地位になったら、
さらにその上を目指したくなるのはわかる。
わかるけど、彼はそこで手を出してはいけない領域に入っちゃった。
そこでキーパーソンとなったのが、
リリス博士(ケイト・ブランシェット)。
彼女は心理学者だけど、
人の心に漬け込み、
精神を揺さぶるという点においては、
スタンと同様の能力を有する存在と言えるだろうね。

その出会いから、
思いも寄らない方向へと物語が進んで行く。
途中、引き返せるチャンスはいくつかあったのに、
スタンは自身の過去におけるトラウマもあってか、
どんどんアクセル踏んじゃう。
「あそこで冷静になっていれば」って思うんだけど、
人生においてどこでアクセルを踏むべきか
っていうのは難しいなと思った。

◆圧倒的な存在感のケイト・ブランシェット

後半から登場するリリス博士。
彼女を演じたケイト・ブランシェットがさ、
これがもう本作のダークな世界観にバチハマりしてるんだよ!
"妖美"っていう言葉、
彼女のためにあるんじゃないかってぐらい、
ミステリアスでエロくて美しい。
後半の主人公は彼女なんじゃないかって思うほどの存在感。
生まれ変わったら、
ケイト・ブランシェットになりたい。

◆そんなわけで

これまでのギレルモ監督の作品とは打って変わって、
現実的な路線っていう意外性ある映画。
スタンの栄光と衰退の移り変わりを観るのも楽しいけど、
個人的にはケイト・ブランシェットの美しさだけでも
観る価値がある作品だと思った。

 

認知症の父を介護する娘の健気な姿に心打たれる『選ばなかったみち』

2022年03月23日 22時02分21秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:33/46
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
認知症

【原作・過去作、元になった出来事】
イギリスを代表する女性監督サリー・ポッターの弟が、
若年性認知症と診断され、
監督自身が介護で寄り添った経験をもとに
書き下ろされた物語。

【あらすじ】
ニューヨークに住む
メキシコ人移民レオ(ハビエル・バルデム)は作家であったが、
認知症を患い、
誰かの助けがなければ生活はままならず、
娘モリー(エル・ファニング)やヘルパーとの意思疎通も
困難な状況になっていた。

ある朝、モリーはレオを病院に連れ出そうとアパートを訪れる。
モリーが隣にいながらもレオは、
初恋の女性と出会った故郷メキシコや、
作家生活に行き詰まり一人旅をしたギリシャを脳内で往来し、
モリーとはまったく別々の景色をみるのだった―。

【感想】
タイトルから「もしも」の世界を描いた話かと思いきや。
認知症の父と介護する娘のヒューマンドラマでした。

◆介護する娘の姿が健気すぎて泣ける

この映画で一番注目したいのは、
何と言っても娘モリーだよ。
両親が離婚しているため、
介護に関しては母親はほとんどノータッチの様子。
ヘルパーさんの助けはありつつも、
身内では彼女一人で面倒を見ている生活。
父レオは意思疎通も図れないばかりか、
お漏らしもしちゃうし、
他人の犬を、
自分がかつて飼っていた愛犬と混同して
連れて行こうとするなど、
非常に手のかかる状態だ。

にも関わらず、嫌な顔ひとつ見せず、
父を非難することもなく、
まるで赤ちゃんをあやすかのように、
明るく優しく接している姿がね、、、
本当にいい子だなって。
まだ若いし自分の時間だって欲しいだろうに。
まあ、終盤はとあることが原因で
堪忍袋の緒が切れてしまうんだけど、
それでも父への愛が変わらなかったことには感動するよ。

それにしても、演じたエル・ファニングも役の幅が広い。
『マレフィセント』(2015)ではオーロラ姫、
『アバウト・レイ 16歳の決断』(2015)ではトランスジェンダー。
『ネオン・デーモン』(2016)ではやべぇモデル、
『ティーンスピリット』(2018)では歌手を目指す少女など。

◆認知症という題材の割には悲壮感がない

この映画、
認知症の父とその介護をする娘ってことで、
悲しい話かと思いきや、
実際はそうじゃない。
もちろん、介護の大変さは痛いほど伝わってくる。
でも、先にも書いた通り、
娘は父へ変わらぬ愛を捧げるし、
父は父でまるで冒険をしているかのような感じなんだよ。

父の頭の中には、
常に過去の思い出の世界が広がっていて、
そこでの言動がそのまま現実に反映されていることが多い。
だから、基本的には彼が見ている世界っていうのは、
思い出の世界が主軸になっているんじゃないかな。
楽しかったことも辛かったこともひっくるめて、
自分にとって印象深く残っている思い出こそが、
今の自分の世界のすべて。
それを、娘が優しく寄り添うことで、
時々現実の世界に引き戻されている印象を受けた。
まさに、思い出の世界と現実の世界を
行ったり来たりしているような感じ。
それ自体は悲観することでも何でもなく、
本人からしたらそれこそが日常なんだろうな。

◆そんなわけで

認知症を扱った映画と言えば、
個人的には『ファーザー』(2020)がものすごく印象に残っている。
あれは認知症の人の視点で描かれた世界が秀逸な作品だった。
この映画も、
認知症であるレオの頭の中では
何が起こっているのかが垣間見えるので、
少し似ているかもしれないな。
レオを演じたハビエル・バルデムの演技が、
思わず見入ってしまうほどのリアリティなので、
一見の価値はある映画。



残された限りある時間で些細な幸せをいっぱい噛みしめた『余命10年』

2022年03月22日 20時04分45秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:40/45
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
ラブストーリー
感動

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 小坂流加『余命10年』(2007)

【あらすじ】
数万人に1人という
不治の病で余命が10年であることを知った
20歳の茉莉(小松菜奈)。
彼女は生きることに執着しないよう、
恋だけはしないと心に決めて生きていた。

そんなとき、同窓会で再会したのは、
かつて同級生だった和人(坂口健太郎)。
別々の人生を歩んでいた2人は、
この出会いをきっかけに急接近することに——。

もう会ってはいけないと思いながら、
自らが病に侵されていることを隠して、
どこにでもいる男女のように
和人と楽しいときを重ねてしまう茉莉。

「これ以上カズくんといたら、死ぬのが怖くなる」。

思い出の数が増えるたびに失われていく残された時間。
2人が最後に選んだ道とは……?

【感想】
原作小説は未読です。
観客が若い子ばかりで肩身狭かった(笑)
しかも、自分以外ほとんどの人が号泣してて、
これもまた肩身が狭かった(笑)
メッチャ泣けるんだろうなというのはわかるんだけど、
個人的には涙が全然流れず。。。

◆生きることをあきらめている無欲な主人公

この映画、言ってしまえば
『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)タイプの話。
主人公もしくはその相手が病気で……っていう。
2000年代からその手の映画が多く作られたこともあってか、
そういうのをたくさん観てきた人からしたら、
正直観飽きてしまってるかもしれない。
まあ、今の若い子からしたら、
これがその子たちにとっての『セカチュー』足りえるんだろうけど。

今回は主人公の茉莉が
絶対に治らない病気にかかっているため、
冒頭からすでにオチが決まっている形。
そのオチに向かって、
茉莉がどういうドラマを紡いでいくんだと思うのだけど、
死がほぼ確定しているからか、
基本無欲なのよ。
その場その場の出来事は楽しんでいるけれど、
あれがしたいこれがしたいっていう意思表示もない。
ある意味、未来をあきらめているとも受け取れる。

実際に彼女の立場になったら、
同じような気持ちになるんだろうなっていう点ではリアルだけど、
映画として観るとちょっと面白みに欠けるかなあと。

◆和人の扱いがもったいない

そんな彼女を変えたのが、
和人との出会い。
最初は彼と深い仲になることに抵抗があった茉莉だけど、
和人の粘り強さ?によって、
彼との仲を深めていく。

和人自身も人生が思うようにいかずに、
自ら死のうとするぐらいには追い詰められてるんだよ。
ただ、ここがあっさりしすぎてて感情移入しづらい(笑)
どうやら父親と反りが合わない?ようだけど、
そこには全然触れられていなくてね。
彼の人物背景がもう少しわかったなら、
キャラクターとしてもっと魅力的に映ったと思うんだよなあ。

◆サブキャラをもっと活かして欲しかった

未来があるのにすぐ死のうとする和人に、
生きたくても生きられない茉莉は苛立ちを感じる。
だから、この2人って最初はあんまり合わなかったはずなんだよね。
それが、お互いにちょっとずつ前を向こうってことで、
距離が近づいていって。
自然な流れではあったけど、
ラブストーリーにしてはあまりにも淡々と進んでいくから、
全体的に印象深いところもそんなになかったかなあ。

こういうときこそ、
サブキャラをもっと活用して欲しい気もする。
茉莉の友達の沙苗(奈緒)と
和人の友達のタケル(山田裕貴)が、
もっと茉莉と和人の背中を押したり押さなかったり
っていう活躍があってもよかったかも。

◆終盤は涙の洪水ポイントかも

個人的にはなかなかハマれない要素が多いものの、
終盤はうるっとくる。
ようやく茉莉も自分の本音を言えるようになったり、
彼女の和人に対する感謝の気持ちがわかったり。
特に茉莉の妄想シーンは泣けた。

◆そんなわけで

オーソドックスな悲しいラブストーリーってことで
目新しさはないけれど、
とにかく泣きたい、感動したいっていう人は観てもいいかも。
ただ、過去に同様の映画を
たくさん観て涙しまくった人からしたら、
同じような展開にマンネリを感じる可能性も(笑)


最終回のチート感に「???」だった『ドクターホワイト』

2022年03月21日 23時55分33秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2022年冬ドラマで面白かった順位:6/7
 ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【ジャンル】
サスペンス
医療ドラマ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 樹林伸『ドクター・ホワイト』シリーズ(2015-)

【あらすじ】
医療ジャーナリストの狩岡将貴(柄本佑)は、
ある朝、日課のランニング中に、
公園で倒れている女性(浜辺美波)を見つける。
透き通るような肌と整った顔立ちを持つその女性は、
素肌にたった一枚、
白衣だけを身に着けていた。

幼なじみの内科医・高森麻里亜(瀧本美織)に助けを求めて
病院へ運び込むと、
目を覚ました女性は自らを「白夜」と名乗った。
さらに、検査結果を見ずに将貴の不調の理由を言い当てたり、
急患に対する外科の診断を「誤診です」と指摘する。
その口ぶりはまるで医療関係者のようだったが、
驚異的な医学知識とは裏腹に、
白夜はそれ以外の記憶をすべて失っていた。

将貴は、行く当てのない白夜を
ひとまず自宅へと連れて帰る。
事故で両親を亡くし、
将貴と2人暮らしをしている妹の晴汝(岡崎紗絵)は、
白夜を歓迎し、
何かと世話を焼く。

その後も、次々と患者に対して的確な診断を下す白夜。
しかし、そんな彼女には"ある秘密"が隠されていることを、
このときはまだ誰も知る由もなかった。

【感想】
記憶はないのに医療知識だけやたらある、
そんな不思議な女性が主人公の医療サスペンスドラマ。
ジャンル的には『逃亡医F』っぽさもあるけど、
こっちの方がもう少しコメディ要素もあったかな。

◆基本的には心温まるヒューマンドラマ

基本1話完結型で進んで行く本作。
1話完結のエピソードは、
熱意ある医師と病気に苦しむ患者の
心温まるヒューマンドラマっていう感じで、
他の医療ドラマとそこまで大差なかった印象。

個人的には第4話が好きだった。
佐久間(高橋文哉)と
恩師の鳥羽(橋爪淳)のエピソードは泣けたね。。。
佐久間の感情むき出しのシーンが特に。。。

◆最終話で「え?」という困惑

1話完結型の中でも、
白夜に隠された秘密と彼女を追う魔の手に関しては、
並行してずっと水面下で話が繋がっていた。

で、これが問題なのよ。
なぜ彼女は急に将貴の前に現れたのか。
なぜ彼女は医療の知識だけ膨大にあるのか。
それは、彼女の出生に関わることなんだけど。

そもそも、将貴が海江田(石橋凌)を追い詰めたのも、
物証が何もない中で、
憶測だけで乗り込むっていう無謀さ(笑)
完全に勢いで行ったね。
あれ、白夜が自分のことを語らなかったら、
完全にスベッてたんじゃないかって。

で、その白夜の正体が。。。
ネタバレになっちゃうから、
あんまりはっきりは書かないけど、
何の匂わせもなしに、
いきなりポーンと明かされちゃって。
「え?そんな設定?」って。
衝撃の事実っちゃ衝撃の事実だけど、、、
よく練られたストーリーから生まれる衝撃ではなく、
どちらかと言えば、
クイズ番組で「最終問題100万点」みたいなチート感ある衝撃(笑)
ある意味夢のある話ではあるけど、、、
"あの2人"、年齢差あるのかな。
見た目は同じだったけど、
白夜だって成長スピードは普通の人間と同じだから、
タイムラグはあるよね、、、?
てか、白夜も結局同じ病気になる可能性があるのでは、、、とか、
なんかいろいろ疑問が残ったな。。。

とはいえ、その設定ならまあ納得はできる、
白夜のこれまでの言動に。
これは医療現場を通して、
白夜が人間らしさを学ぶ物語でもあるから。

◆そんなわけで

最終回でのネタばらしが唐突すぎて、
ちょっと理解追いつかず、
もう少し前々から匂わせても
よかったんじゃないかなーと思ったドラマ。
『逃亡医F』同様、
医療ドラマとサスペンスドラマの嚙み合わせが、
そこまでうまくいっていないように感じた。


日曜劇場史上最も海上保安庁をかっこよく描いていた『DCU Deep Crime Unit 〜手錠を持ったダイバー〜』

2022年03月21日 18時17分28秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2022年冬ドラマで面白かった順位:1/6👑
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★★☆
    音楽:★★★★☆

【ジャンル】
ミステリー
サスペンス
アクション
刑事ドラマ
ダイビング

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
2022年、海上保安庁に「潜水特殊捜査隊」、
通称「DCU」が発足した。
DCU設立の目的は、
島国である日本において、
海や河川で発生する事件の解決や、
水際からやってくるテロなどからの防衛。
いわば、水際捜査に特化したエキスパート集団だ。

隊長となったのは、
50歳を迎えた新名正義(阿部寛)。
メンバーには海保のエリート・西野斗真(高橋光臣)、
女性初の潜水士となった成合隆子(中村アン)らがいた。
そして、過去に水難事件で新名に命を救われた瀬能陽生(横浜流星)の姿も。
DCUは海上・水中だけではなく、
陸上の捜査権限も与えられることになったのだが、
そのことが警察関係者との間に溝を生んでいた。

様々な水際捜査を行う中で、
国際テロ組織ブラックバタフライの暗躍を知るDCUのメンバーたち。
さらに、新名のかつての同僚・成合(吉川晃司)との因縁や、
瀬能の父が残した遠隔システムの設計図を巡る戦い、
海上保安庁内にいる内通者の存在と直面する。

果たして、DCUは大きな陰謀を暴くことができるのか。

【感想】
ハリウッドとタッグを組んだだけあって、
すごい金がかかってそうだなと思うドラマだった。
最終回が特によかったよ。
それまではやや中だるみした印象もあったけど、
最終回ですべての決着がついたことで、
すっきり清々しい気分になれた
(まあ解決してない問題も1つあるけどw)。

◆1話完結型かと思いきやダイナミックな展開へ

最初は事件の捜査が水際に変わっただけで、
これまでの刑事ドラマと
そんな変わらないのではと思ってたんだよね。
まあ、必ずあるダイビングのシーンは見ごたえあったけど。

それが、今思い返せば
第2話のロペス(直行フェルナンデス)の登場から、
壮大なストーリーの始まりだったのよ。
彼は国際テロ組織のブラックバタフライの一員。
そこから、DCUのあるメンバーに起こる悲劇や、
死んだと思われていた成合の関与、
身内にいる内通者など、
あれよあれよといろんな思惑が交じり合い、
スケールの大きな話になっていった。

特に最終回では、
瀬能の過去や彼の父が亡くなった経緯が判明し、
ずっと誰だかわからなかったまさかすぎる
内通者の存在も明らかになって、
すべてがに決着がつく展開に興奮した!

◆ハリウッドらしい展開だけどやや物足りないところも

どんどん話のスケールがデカくなっていくところや、
海保といった国家公務員をかっこよく描く手法は
ハリウッド的だなあと思う。
日本も刑事ドラマは多いけど、
ハリウッド的なヒーローっぽいかっこよさは
あまり感じないから(笑)
それで言うと、
向こうは軍隊をかっこよく描いた映画も多い
(マイケル・ベイ作品とか特に)。

また、序盤に味方メンバーのひとりを
早々にリタイアさせてしまうってのも印象深い。
その人は主要キャラの身内ってことで、
登場人物の中でもかなり重要なポジションだったので、
あの展開はかなり衝撃だった。

そういう意味でも、
これまでの日本のドラマとは
また違った見ごたえを感じるところもあったけど、
個人的にはもう少しアクション寄りでもよかったかなあって思った。
国際テロ組織が関与しながらも、
その全貌は明かされず、
バトルシーンもほぼなし。
ハリウッドだったらもう
銃撃戦のオンパレードだったろうなーって(笑)
まあ、銃社会じゃない日本においては、
アクションよりもサスペンスやミステリーに寄せた方が
受け入れられやすいってのはあるかもしれないけど。

◆そんなわけで

もう少しテンポよくして
スピード感溢れる感じでもよかったかなと思いつつ、
総じて面白いドラマだった。

ただ、ブラックバタフライの
全貌が明かされていないので、
続編はありそうだし、
映画化してもよさそう。

 

出張オペドラマだった『逃亡医F』

2022年03月20日 01時04分42秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2022年冬ドラマで面白かった順位:5/5
 ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【ジャンル】
サスペンス
医療ドラマ

【原作・過去作、元になった出来事】
・漫画
 伊月慶悟(原作)・佐藤マコト(作画)『逃亡医F』(2007-2008)

【あらすじ】
天才的なオペ技術を持つ
帝都医大の脳外科医・藤木圭介(成田凌)。
前途洋々な未来が待っていたはずの藤木はその日、
同僚で恋人の研究医・八神妙子(桜庭ななみ)を
病院の屋上から突き落として殺害したという
“無実の罪(冤罪)”を着せられ、
天才医師から一転、
警察に追われる殺人犯へと転落する……。

愛する人を殺した真犯人を突き止め、
復讐するため、
金も地位も名前も捨てて決死の逃亡を図る。
ただ一つ捨てられなかった"医手一律"の精神を胸に――。

追手が迫りくる中、
逃亡の先々で医師の手を必要とする弱者の存在。
そのとき、彼は動く。
ただ目の前の命を助けるために――。

【感想】
サスペンス調の医療ドラマだったな。
ただなんていうか、、、
「結局何だったんだ?」っていう印象が強い。。。

◆その場にあるものでオペしちゃう違和感

殺人容疑をかけられ、
逃げ惑う藤木。
その行く先々で、
なぜか必ず誰かが大きな怪我をする。
でも、いろんな事情があって病院には行けない。
そもそも藤木も追われている身だから、
人は呼びたくない。

ってことで、天才脳外科医の腕の見せ所。
そこらへんにあるものを使って
チャチャっとオペ。
ブラックジャックかってぐらいの手さばき。
そんなこと可能なの?って。
衛生環境悪くない?って。
それがほぼ毎週行われるから、
あまりにも出来すぎた話に
イマイチピンと来なかった。。。
美香子とか腕取れかかってたのに
よくくっついたなと(笑)

しかも、オペ中必ず昭和の歌謡曲を聴くから、「なぜそんな昔の歌を?」という謎設定。

◆言動が一致しない藤木と佐々木のキャラクター

藤木は散々人の命を救っておきながら、
最終回で「人の生き死にに深く関わることは卑しい」と言う。
自分の都合よりも、
他人の命を優先するほどの熱血さがあるのに。
言ってることとやってることに差があるなあって。
その考えがあるなら、
もっと前の段階で匂わせて欲しかった気も。
ちょっと唐突すぎる。

ラスボスの佐々木(安田顕)もね。
散々悪どいことをしていたものの、
欲していたのは地位や名誉よりも
「数百万人の命」。
「いや、いいやつじゃん」って思うんだけど。
とはいえ、そのために人体実験でたくさんの人を殺しているから、
ダメなのか。
それなら、もっと金や名誉など
私利私欲を追求してクソ野郎に徹して欲しかった。
あんなに悪そうな感じにしといて、
単純に命を救いたいっていう、
ちょっと混乱する設定。
薄気味悪いキャラクターはよかったんだけどね。
その割に前半はほとんど出番がなく、
ややもったいなかったかな。

◆そんなわけで

医療ドラマとサスペンスを掛け合わせた設定だったけど、
うまく嚙み合っていないように感じられて、
個人的には刺さらなかった。
烏丸京子(前田敦子)の立ち位置もわかりづらいし。
これは原作漫画読んでから観た方がよかったかも。


『北斗の拳』をモチーフにしたおバカな純情アクションラブコメ『KAPPEI カッペイ』

2022年03月18日 22時48分26秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:35/44
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
ラブコメ
アクション

【原作・過去作、元になった出来事】
・漫画
 若杉公徳『KAPPEI』(2011-2014)

【あらすじ】
1999年7月に世界が滅亡するという
ノストラダムスの大予言を信じ、
乱世の救世主となるべく、
人里離れた地で、
殺人拳・無戒殺風拳(むかいさっぷうけん)の修行に
人生を捧げてきた男・勝平(伊藤英明)。

だが、世界が滅亡する気配など一向に感じられないまま、
師範(古田新太)から突如「解散」を命じられた終末の戦士たちは、
それぞれ東京の地へと流れ着く。

右も左もわからぬ大都会で、
気弱な大学生・啓太(西畑大吾)を助けたことをきっかけに、
天真爛漫な女子大生・山瀬ハル(上白石萌歌)と出会い、
人生で初めて“恋”を知る勝平。

そんな勝平の前に、
かつて共に修行に明けくれた、
守(大貫勇輔)・正義(山本耕史)・英雄(小澤征悦)ら
最強の漢(オトコ)たちも現れて…。

【感想】
おバカ全開で楽しめる映画だった(笑)
終末の戦士とか、みんな役者としてのキャラ崩壊しちゃってるから(笑)
原作漫画が全6巻しかない上にサクサク読めちゃうので、
漫画を読んでから観に行ったけど、
それを読んでても読んでなくても関係ないぐらいには、
わかりやすいストーリー。
原作との相違点はあるけれど、
6巻分全部2時間の尺に突っ込んでます(笑)

◆終末の戦士たちの鋼の肉体、ガラスのハートのギャップが笑える

この映画で一番面白いのは、
何と言っても勝平を始めとした終末の戦士たちのキャラ。
生まれた頃からずーっと人里離れたところで
修行漬けの日々だったので、
世間のことを何も知らないの。
それこそ、「女性」という存在すら初めて目にするほど。

彼らは解散した後、
それぞれの道を歩んでいくんだけど、
みんな揃いも揃って恋愛にうつつを抜かすんだよ。
女性なんて初めて見るのに。
男性と比べて、
胸やお尻が膨らんでいることすら初めて知るのに。

映画では主に勝平のエピソードがメインなんだけど、
ひたすら修行をしてきた身だから、
とにかく目標に向かって一直線。
あの手この手で意中の女性との距離を縮めようと必死。
戦士ってだけあって、
全盛期のシュワちゃんみたいな肉体をしてるんだけど、
精神がメチャクチャ弱くてね。
片想いの苦しさや失恋のショックに耐性がないから、
屈強な男に見えて、
妙にナヨナヨしてるところもあって。
映画では40代、
原作では30代とけっこうないい歳なんだけど、
中学生かってぐらいの恋愛偏差値しかないのが笑える(笑)
そのギャップを楽しむのが、
この映画を楽しむポイントかな。

◆面白さ的には原作の方に軍配が上がる

原作を読んでいても読んでいなくても、
話の理解には大して差はないってさっき書いた。
とはいえ、6巻分を2時間に突っ込むからね、
どうしても映画はかなり駆け足になる。
けっこう唐突な展開も多いから、
そこは原作を読んでいた方が腹落ちはしやすいかも。

あと、原作の方が下ネタが多い(笑)
これはもう中学生男子が喜びそうな内容のオンパレードなので、
実写化はできないだろうな。。。(笑)

ただ、キャスティングはけっこう原作に近いなって思ったし、
無駄に凝ったCGのエフェクトなんかも
コメディとしていい味出してた。
個人的には、守を演じた大貫勇輔が好きだったなー。
『ルパンの娘』の円城寺さんを思わせる展開が終盤にあるので、
ファンの人は楽しみにしていて欲しい。

◆そんなわけで

原作を読んでいないと、
急ぎ足な展開に内容の薄さを感じてしまうかもしれないけど、
バカバカしい映画を観たいならピッタリかも。
終末の戦士たちは、
もう少し筋肉質だったらキャラへの愛がもっと増したかも(笑)


事件の裏に隠された真実が面白かった『ゴシップ 彼女が知りたい本当の○○』

2022年03月18日 00時23分52秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2022年冬ドラマで面白かった順位:2/4
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【ジャンル】
サスペンス
ヒューマンドラマ
ネットニュース

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
大手出版社『クスノキ出版』の経理部に所属する瀬古凛々子(黒木華)は、
他人の気持ちを理解したり、
場の空気を読んだりすることは苦手。
しかし、この世界や他者を知りたいという欲求は強く、
優れた洞察力を生かして
ちょっとした矛盾や誤りを見抜く能力に長けている。

そんな凛々子の能力を認め、
彼女の協力で同期のライバルを蹴落として
執行役員となった仁和正樹(安藤政信)は、
凛々子にある仕事を命じる。
それは、クスノキ出版が運営するニュースサイト
『カンフルNEWS』の立て直しだった。

『カンフルNEWS』は、
他社のニュースやブログ記事のコメントをコピペしただけの
“コタツ記事”ばかりを発信しており、
PVは月間50万程度、
広告もろくにつかないというお荷物部署状態だった。

凛々子は、月間5000万PVという目標を掲げ、
そのために「ゴシップで攻める」という戦略を立てる。

彼女を始め、
編集部員たちの努力の甲斐あって、
なんとか目標は達成するものの、
その裏には大きな陰謀がうごめいていた…。

【感想】
現代っぽく、
ニュースサイトの編集部が舞台となったドラマ。
『知らなくてイイコト』(2020)と同じような流れなので、
正直目新しさがあったわけではないんだけど、
回を追うごとに面白くなっていったと思う。

◆徹底した取材力と事件の裏に隠された真実の意外性がよかった

「所詮は三流ニュースサイト」ということで、
社内はおろか社外からもバカにされるようなポジション。
でも、凛々子が編集長になってからが大きな転換期を迎える。
月間5000万PVを叩き出すために、
注目されやすいゴシップネタで攻めることを決定。
ただ、たかがゴシップとはいえ、
取材は徹底的に行う。
裏が取れていないものは記事にせず、
きちんとした聞き込みや証拠集めなど、
客観的事実を明確にしてからの記事配信。
これは、凛々子の
「ちょっとした矛盾や誤りを見抜く能力に長けている」
という性格だからこそ徹底できるんだろうなと。

事件の真相を追っている最中は
軽いサスペンス感も味わえるのだけど、
このドラマでよかったのは、
真実がわかった後。
ネタをつかんだ当初には
想像もしなかった事実が隠されていることが多い。
心温まるときもあれば、
取材対象者にとって悲しい結末になることもあったけど、
世間で騒がれていることの裏側が知れるオチは面白かった。

◆凛々子の意外と泣けるエピソードと心に残るセリフ

主人公の凛々子って、
メチャクチャ『エヴァ』の綾波レイっぽかったんだよね。
いつも無表情で、
人の気持ちを理解することが苦手で、
口癖が「ザワザワする」って。
それ「ポカポカする」へのオマージュだろって思うんだけど。

ただ、彼女の過去が明らかになる第6話。
高校時代、唯一の友達だった人とのエピソードは
不覚にも泣いてしまって。
あんな無表情な彼女だからこそ、
こういう友情エピソードはギャップになるんだよね。

ギャップで言うと、
第4話で彼女が根津(溝端淳平)に語ったセリフも心に残る。
「あなたにできる仕事は他の人にもできる。
 そうでないと会社は成り立たない。
 でも、"あなたでよかった"、そう言われる仕事はきっとある」って。
人の気持ちに無頓着そうな彼女が、
そんなこと言うんだって驚いた。

◆仁和の立ち位置が微妙

凛々子を『カンフルNEWS』の編集長に推した
執行役員の仁和。
演じた安藤政信の演技はとてもよかったんだけど、
キャラクターとしてわかりづらくて。。。
彼は彼で、
クスノキ出版を大手IT会社に吸収合併させるために、
会社の価値を高める目的があった。
そのために、凛々子を利用したんだけど、、、
もともと2人は知り合いで。
彼女の母親が仁和の恩師。
凛々子が若い頃にその母親が亡くなったことで、
何かと凛々子に目をかけてきたのだけど。。。
なんで最後ああいう形になるかなーって。
そもそも、そんなにドラマ本編に深入りしてこなかったんだよね、
仁和って。
もっと凛々子との絡みが多かったら、
いろいろ納得がいったのかもしれないけど。

◆そんなわけで

多少気になるところはあるものの、
個人的には総じて楽しめたかなあ。
『知らなくてイイコト』とかぶるっちゃかぶるけど(笑)
こっちの方がもっとライトな感じでした。