ワニなつノート

エピソード2015(その1)


エピソード2015(その1)



春に「一時保護」という名目で、16才の子を三カ月ほど預かった。

車で15分くらいの距離に住んでいたけれど、その子のことは知らなかった。
(それはまぁ当たり前のことだけど…。)

その子は中学から不登校で、高校には行きたかったけど受験には受からなかった。
その後も、高校に行く手立てを見つけたかったけれど、誰にも相談できなかった。
どこに相談すればいいのか。
誰に相談すればいいのか。
一人の中学生が見つけるのは難しい。
中学を卒業してしまった子どもがひとりで見つけるのはもっと難しい。

中学を卒業してしまえば、これからの人生をどう歩めばいいのか、どう歩めるのか、誰にも相談することも、話すことすら難しい。

偶然にも、母親の入院という事態の余波で、たまたまケースワーカーから児童相談所につながり、ここで、その子の声を、その子のことばを少しだけ聞くことができたけれど。

誰にも相談できず、誰にも話もできず、見えない明日に戸惑っている子はたくさんいるんだろう。

15、16、17の子が高校に所属せず、
頼れる親がいないとき、
子どもを守る手立ては、この社会には限りなく少ない。
小学校にも通えない子がいる「貧しい国」より、たぶん貧しい。

なぜなら、もっとも孤独に苦しんでいる子どもの存在を、ほとんどの大人がみたことがないから。

99%の中卒者が進学する中で、その残りの子どもの中から、さらに「定員が空いていても、門前払い」される子どもが、この国に何人いるか。
誰もしらない。
見たこともない。

知らない子、見たこともない子、
いない子どもの心配をする大人も、またいない。
ここは、そういう社会。
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