「社会を作るとは、自分が理解されているのを知ること」
ずっと前に読んで、よく分からないまま、
しまっておいた言葉。
それが、「コミュニケーションの前に、コミュニオンがある」
という言葉につながり、
ようやく、少しずつ言葉にできるようになりました。
「社会を作るとは、自分が理解されているのを知ること」
赤ちゃんは、お母さんを、ことばで理解するだろうか?
この子は、お兄ちゃんを、ことばで理解したのだろうか?
ことばより前に、「いること」がありました。
理解の前に、「一緒にいること」がありました。
赤ちゃんにとって、
自分が「家族の一人」であることを「理解」するより前に、
家族が、赤ちゃんを「家族の一人」だと「理解」するのが、
いつも先にありました。
「ようこそ。やっと会えたね。
これからはずっといっしょね。
あなたは今日から家族の一員よ」
その「理解」がなければ、
赤ちゃん一人で「理解できる」ことは何もありません。
親に捨てられ、
受け止める人に出会えず、
何もないときには、
何もないことだけを、正しく理解していくしか道はありません。
そうして、何もないことだけを、
正しく理解してしまうのでしょう。
□ □ □
「理解とは、模倣すること。」
模倣するためには、モデルがいなくてはなりません。
だから、まずそこに一緒にいること。
みんな、そうだったのに、
障害のある子どもだけを、
分けてしまうのはなぜなのだろう。
違う生き物のように、理解の中から、
コミュニオンの中から、
分けてしまうのは、どうしてなんだろう。
子どもに、いろんなことを「理解」してほしいと望むとき、
私たちはどうすればいいのか。
社会のこと、学校のこと、人と人との関係のこと、
そうしたことを「理解」してほしいと望むとき、
私たちは子どもに何を準備しなければならないのか。
子どもは、生まれてから、「言葉」より前に、
多くのことを「体験」から理解していきます。
「理解」するとは、「模倣すること」です。
一羽が飛び立つと、一斉に飛び立つ鳥のように。
一匹のプレーリードッグが隠れると、一斉に隠れるように。
では、この子が「模倣する」ためには、どうすればいいか。
それには、まず何より、モデルをちゃんと見せることです。
理解してほしいものを、まず見せること。
模倣してほしいものを、まず見せること。
社会を、学校を、友だちを、
仲間がやっていることを見せること。
モデルがなければ、私たちは誰も、
それを「理解」することができませんでした。
自分が不可能だったやり方を、
子どもに押し付けてはいけません。
「コミュニケーションの前に、コミュニオンがある。」
ペンギンはペンギンのなかにいなくては、
泳ぐことさえ分からない。
狼は狼のなかにいなくては、
狼であることが分からない。
だから、この社会で、
膨大な量の観察学習をしてもらうこと。
その中で、こだわりの溶ける時間と、
壁が消える体験をくりかえして、
子どもは大人になっていきます。
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