ワニなつノート

要望書の書き方と、親の覚悟と、子どもの笑顔

要望書の書き方と、親の覚悟と、子どもの笑顔


↑今日のブログタイトルは、「検索対策」です(o|o)

ブログの検索ワードで見ると、「要望書」「要望書の書き方」という単語で、ここを訪れる人がいます。また「転籍」「転校」「普通学級」という単語もよくあります。

そうしてここを訪れた人に、今日のブログをどうしても読んでほしいと思います。
要望書と、子どもを守る親の覚悟は、きっと子どもの笑顔につながります。
これは、その証明書のようなものです。

本当のタイトルは、《ハルくんとちーちゃんとあーちゃんとすてきな仲間たち》と言います。
3人とも、一年半くらい前に出会った子どもたちです。
3人とも「要望書」を提出しました。

ハルくんは、『養護学校から、地域の小学校・普通学級への転校』の要望書。

あーちゃんは、『普通学級での親の付き添いをなくす』ための要望書。

ちーちゃんは、『就学時健康診断を受けずに、普通学級に入学』するための要望書。

要望書と親の覚悟は、こんなふうに子どもたちの笑顔につながります。

     piyo      piyo     piyo


《ハルくんとちーちゃんとあーちゃんと
すてきな仲間たち》



①《hrくんは小学校3年生》


【ボール投げ】

ボール投げをしました。
ソフトボールを投げて、どれだけ飛んだか測ります。

hrは眠っていました。クラス全員が投げ終わってもまだ眠っていました。
子どもたちが起こそうとして、hrの鼻やほっぺをいじりました。そこはみんなよく知っているhrのウィークポイント。それでもなかなか目を覚ましません。

「hrくーん」とみんなが呼びました。
「おーい、hrくーん」と呼ぶみんなの声はいつしか
「hーrーくん、hーrーくん、hーrーくん」という声援に変わっていきました。

やっと目が開きました。先生か補助員さんに手伝ってもらってボールを投げました。
ポトリと足元に落ちました。みんなみたいに遠くに飛ばせなかったけど、みんなみたいにボール投げができました。

この時の様子を、補助員さんから聞きました。
想像すると、自然と顔が緩んでしまいます。見てみたかったなぁと思いました。

              baseball


【全校朝会】

全校朝会がありました。
全校児童が体育館に集まりました。
校長先生が粛々とお話しされます。

ケタケタ…ケタケタケタケタ…ケタケタ…ケタケタケタケタ…
hrの楽しげな笑い声。校長先生はニコニコ。笑顔でお話を続けられました。

下校の時に、校長先生が、「あの時は調子くるっちゃったなー」と、なんだか楽しそうに教えてくださいました。保健の先生も子どもたちも、みんな楽しそうに教えてくれました。

家に帰ったお兄ちゃんに聞いてみると、「そうなんだよ。校長先生、まじめな話をニヤニヤして話してたんだよ」と、やっぱり楽しそう。想像しただけで、私も楽しくなりました。


              baseball

【マット運動】

体育の時間にマット運動をしました。

hrは、普段車いすに乗っていることが多いです。
先生は、自由にたくさん身体を動かせるようにと、hr用のマットを用意してくださいました。

でもhrは、専用のマットではなく、みんなのいるマットの方へ向かっていきました。這ってずんずん向かっていきました。

みんなのマットに到着すると、マットの上でコロンッ。横になって、転がりました。
「hrくん、できるじゃん!」
子どもたちはそう言って、たくさんの子がhrの隣で転がりだしました。

担任の先生と補助員さんと子どもたちが、この日も楽しそうに教えてくれました。

子どもたちの世界。それを温かく見つめる先生と補助員さん。
そこは私が入れる空間ではありません。
けれど、hrがちゃんと子どもの世界でやっているんだなぁと想えることが、ただ嬉しいです。

                baseball

【隣のおじさんと運動会と幸せ】

庭にたくさん生えたドクダミをお茶にしてみようと採っていると、
「お嬢さんは何をしとるかね」と、声がしました。
もちろん、お嬢さんとは私のことですっ!

顔を上げると垣根ごしに隣りのおじさんがいました。
おじさんは80歳くらいで、白髪、耳が聞こえにくい。
「ド・ク・ダ・ミ、とっ・て・ます」
大きく、ゆっくり話します。ほうか、ほうかと頷くおじさん。

おじさんはいつもhrに
「おい、hr、元気か」と声をかけてくれます。

そして、以前はよく「かわいそうにな」
「今頃、みんなと走回っとる頃なのにな」と、
かなしそうな顔でつぶやいていました。


晴天の下、今年も運動会がありました。
徒競走は、歩行器で、短めの距離を少し手伝ってもらいながら走りました。
走りやすいように、先生がマットを用意してくださいました。
みんなの応援の中で、hrはがんばりました。

帽子とりでは、初めて!hrの帽子を取りに来る子がいて、
結局取られてしまったのですが、
思わず私は手を叩いて喜んでしまいました。

控えの席で待っている時は、みんなからほっぺをプニプニされ、hrは「やめてよ~」と言わんばかりに手を動かし、足や脇をコチョコチョされると、たまらず笑っていました。

車椅子の足をのせるところにちょこんと乗っている子もいて、hrの周りはいつもにぎやかでした。

そんな光景を見ていたお祖父ちゃんは、
「hrはみんなにいじられとるなぁ」と目を細めて嬉しそうに話し、
お祖母ちゃんは、「hrは幸せだ」と言っていました。

この日は、ここ一番の暑さで、途中ぐた~としましたが、休憩をとりながら、最後までがんばりました。赤く焼けた顔が、少し大人びて見えました。


ふつうの日。
hrは友達に車椅子を押してもらって、別の友達と手をつなぎながら下校していました。
向こうから隣りのおじさんが犬を連れて歩いてきました。

「おい、hr、元気か」
いつものあいさつ。
おじさんはしばらくhrと会話をし、最後に一言。
「お前は幸せだなぁ」

おじさんの顔は、もう、かなしそうではありませんでした。


「幸せだな」と言いました。
運動会でみんなといるhr、友達と一緒に下校するhrを見て。
仮にhrが歩き、しゃべれるようになったとします。
その時、私たちが口にするのは「幸せだね」ではなく「よかったね」でしょう。

つまり、幸せは何かができるようになることとは別のところにあるのではないでしょうか。ありのままに生きていけること。幸せを感じるのはそういうところにあるような気がします。お祖父ちゃんが嬉しそうに眺め、お祖母ちゃんやおじさんが「幸せだな」と言ったのは、そういうことを見て感じたからだと思うのです。

hrが歩いたりしゃべったりしたら嬉しいです。嬉しいに決まっています。でも、そうした幸せの上になければ、ただ虚しいように思えます。
「いろいろなことができる=幸福、自信」という囚われや、「これができなければ幸せになれない」という怖れから脱して、その反対にあるものを私は選びたいです。hrに対しても、長男に対しても。そして全ての子どもたちに、そういう眼差しを持っていたいです。


     penguin      penguin      penguin


② 《ちーちゃんは小学校1年生》

【chihiroの入学式】

入学式。午前中は長女の中学の入学式にchihiroも私達と出席、
午後は小学校の入学式でした。
疲れているだろうに、ウロウロもせず椅子に座っている小さな背中に、涙が出ます。

通学班での初登校。
ちゃんと歩くか?教室に行くか?心配で心配で、四女を連れて出かけました。

予定では(?)通学班を軽く尾行のはずでしたが、引率に…。
逃げ足はスプリンタ―並に速いのに歩くのはとんでもなく遅い、途中手提げバッグを捨てる、拾っている間にランドセルを捨て逃走する。(この一連の動きは速いっ(泣)

それでもなんとか学校に到着。
ここで別れられず下駄箱へ、更に教室まで。
担任の先生がいらしたことを見届け、ようやく教室を出ました。

足が重く、胸がドキドキして涙が溢れてきます。
『大丈夫かな…大丈夫かな…』この言葉が延々と頭の中を巡ります。
遅いこと、できないこと、わからないことで困ってはいないか…寂しい思いをしていないか…一人ぽつんとしているのではないか…と、何も手につきません。


翌日の登校、今日は教室までは行かないと決めて出かけました。
下駄箱まで来て、上履きをはいたchihiroに「教室はあそこだよ」と言うと、バイバイと笑顔で手をふって、振り返りもせずに1組の教室へ入って行きました。
すぐに「・はよう」と言うchihiroのうれしそうな声。

少し待ちましたが、教室から出ては来ませんでした。

校舎を出て正門まで向かう道で、何度も何度も振り返りましたが、chihiroの姿はありません。涙が出てくるので、『大丈夫』のおまじないを自分にかけます。

かわいくて、かわいくて、かわいくて…、けれどそれは、私の不安でchihiroを縛りつけてしまうことじゃない、私の中の可哀想に閉じ込めることじゃないとわかったから、だから保育園、幼稚園を終えた後もみんなの中へ送り出したんだよねと、ちっとも大丈夫じゃない私に言い聞かせます。

どこへも行かないように強く手を握って、私の行きたい所へひっぱって行っていた頃のchihiroではもうない、今は6歳の子ども。
行方不明になるのは、今年に入って頻繁になりました。
…あんな風に行ってしまうのは、私の手を離して一人で行ってみたい、もっと行ってみたい、どこまでも行ってみたいchihiroの気持ち。

私が与えたものではなく、いろんなものを自分で見つけたい、感じたいchihiroの思いを伝えているのではないかと、ふと考えるようになりました。

頭の中で不安への対処をいくらシミュレーションしてみても、不安が尽きることはありません。それよりも、こうした思いと経験を積み重ねた先に『大丈夫』があり、いつか『委ねるという信頼』を手にするのかなと思えます。私も誰かに『大丈夫!』を伝えられますように、やっとはじめの一歩です。

               sakura


【ランドセル】

「ちーちゃんのランドセルがなくなったー!」とAちゃんが5年生の下駄箱で叫んでいたそうで、聞けばchihiroのランドセルが登校後に無くなり、それに気づいた同じ幼稚園出身の5人くらいの子ども達が探していたとのこと。

ランドセルを隠したという子がわかり、「5年生の下駄箱に隠した」と聞き、その子を連れて集まっていたのでした。
けれどランドセルは見つからず、幼稚園の友達が隠したという子に怒っていた、中でもAちゃんが「どこに隠したの !?」と、とても怒っていたと。

Aちゃんとは幼稚園の頃、仲が良かったとか、世話をやいていた子の一人という印象はなく、chihiroとのエピソードを聞いた覚えのない女の子でした。

意外で驚きましたが、友人も「驚いたよ。でも…一緒だったからだよね」。
話しを聞きながら涙で声が詰まりました。

                 tulip


【はなれてみてる】

同じ幼稚園出身で同級生のお母さんに会うと、つい「どうかなぁ?」と聞いてしまいます。

「うん、私もちーちゃんどうしてる? Bはどうしてるの?って聞いた。
Bは『みてる』って。『はなれてみてる』って。ちーちゃんができることはわかってるから、それでだめな時は、行くみたい。」

『はなれて、見てる』

6歳の子どもが、一緒に育ってきた友だちが伝えてくれる大切なこと。

                 item1


【赤ちゃんじゃないよ】

傘も捨てるかも…の雨の日は憂鬱です。
先日は朝から雨、「正門から一年生の昇降口までは送らなきゃ」と思っている四年生の次女はもっと憂欝らしく、昇降口も異なるため「遅くなっちゃうから、お母さん送ってくれる?!」と、前夜から必死。

その日は私も正門を一緒に通り、途中で幼稚園の頃大の仲良しだったCちゃんに会い、二人は手をつないで昇降口まで。

背の小さなchihiroの傘があたって、シャツの右腕が濡れていくCちゃんの笑顔と、chihiroの笑顔。

そして昇降口に到着。きまりでは下駄箱のずっと手前で外靴を脱がなければなりませんが、床は随分濡れてしまっていて、chihiroは中々脱ぎません。

やはり困っている子ども達はたくさんいて、「今日は雨だから、濡れている所までは靴で上がっちゃっていいよ」と声をかけました。でもchihiroは『きまり』の場所に立ったままで靴を脱ぎません。

靴を脱ぎ終えたCちゃんは、傍でずっと待っています。

近くにいた、やはり幼稚園が一緒だった男の子が
「しょうがないよ、ちーちゃんは赤ちゃんなんだから」。

すると隣にいた女の子が、男の子の方にクルッと顔を向けて一瞬黙ったあと
「え!?赤ちゃんじゃないよ」。

やっと長靴を脱ぎ、笑顔で手を振りながら、Cちゃんと下駄箱へ向かう姿を見送りました。


     kujira      kujira      kujira


③《あーちゃんは小学校4年生》


【あーちゃんの席替え】


《1年生》

いつも娘の席は固定席で、他の子どもたちだけが席替え…ってことがほとんどだった。
付き添いしていた頃はずっと窓際の後ろの席だった。

ある時、総合の授業で班で話し合いがあって、隣にお友だちのいる席に移動してとっても嬉しそうな顔をしていた。
「ハイ 自分の席に戻って!」と担任の先生が言っても、「ココがいい!」と言わんばかりにその席に留まってその席の子が困っていたことがあった。


《2年生》

始業式に登校した時、配置を間違えて隣に友だちの机があった時も嬉しそうにニコニコしていた。
その時は担任が嫌な顔をして、体育館での始業式から戻ってくると、友達の席は元通りになおされて…。

またぽつんと娘の席の隣に私の椅子が置かれていて、娘はガッカリした顔をしていた。

娘も席替えしてほしいとお願いしたけれど、隣にお母さんがいるからあの席以外は難しいと願いが叶うことはなかった。

2年の3学期、私が付き添いをやめて、娘の席は窓際の一番後ろから、教室の一番前の入り口付近に変わった。

「今度は隣に友だちがいるね」と娘に話しながら帰ったけれど、一番前なのにずっと一人ぼっちの席だった。

それでも見回せば友だちの顔を眺められる。
一番後ろから一番前の席に変わって景色は変わったことだろう。


《3年生》

担任が変わって娘の席は窓際の一番後ろから、先生の教壇のまん前に変わって、隣に友だちが座っていた。

驚いて戸惑いながらも恐る恐る席に座った。
 学校の帰りに興奮気味に
「お友だち!お友だち!…なんだよ」
と、その嬉しさを私に教えてくれた。

席替えの時も大きく席が移動することはなかったけれど、一つ隣に移動したり、一つ後ろに移動したり席替えの楽しさを末娘も体験していた。


《4年生》 (新しい学校へ転校)

担任の先生から、「最近やっと落ち着いてきたみたいで、なんとかなりそうです」と。
先日、娘は一人席替えを決行したんだとか…。
あれ、まぁ~!なんと大胆な。

クラスの中で波長のあうお友だちの隣の席を選んで自らお引越ししたんだそうで、それから落ち着いて授業も頑張ったと。
これまでの経験を元に考えると、その前にクラスの席替えがあったのかな?

末娘は新しい学校で自分の気持ちを主張している。
「私はココがいい!」と主張しはじめた。
担任の先生や友だちに自分の気持ちを伝え、コミュニケーションのきっかけを作っている。
がんばれ、がんばれ!
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「特別支援教育からの転校・転籍」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事