テーマⅡ
「普通学級に当たり前に居続けるために知っておきたい大切なこと」
(あるいは普通学級を手放さないために知っておきたい大切なこと)
《消える子どもたち》
むかし、私が二、三十代のころ、ふつう学級に入るためには闘う覚悟が必要だった。
就学時検診を拒否し
要望書を提出し
教育長室に押しかけ
お弁当持ちで廊下に座り込み
幾日も話し合いを続け
時に市役所や駅前で「地域の小学校に入りたい」とビラ配りもした。
いまは、どれもいらない。
就学時検診を受けても、就学相談に行っても、普通学級に入学できる。
もう何「普通学級に入学できない」という相談は、私のところには来ない。
ただ、昔と変わらないことがある。
それは、ふつう学級に居続けることが難しいということ。
ふつう学級に入学した子どもが途中で消える。
それは、昔も今も変わらない。
最初のハードルは最初の一年が終わり、2年生になるとき。
そして、3年、4年、5年、6年、
なにより、普通学級の子どもたちは中学で消える。
◇
せっかく、普通学級に入ったのに、どうして途中であきらめてしまうんだろう。
そう感じることが何度もあった。
でも、それぞれに「事情」はある。
親が決めたことなら、私にはどうしようもない。
だからそのことは、考えないようにしてきた。
◇
《「障害」の壁》
2年生になると勉強が難しくなる。
3年生になると勉強が難しくなる。
4年生になると勉強が難しくなる。
5年生になると勉強が難しくなる。
6年生になると勉強が難しくなる。
中学生になると勉強が難しくなる。
語られる理由は、いつも「障害」があるから「難しくなること」だった。
「障害」があるから、ぶつかる「壁」として語られてきた。
漢字が…、かけ算が…、繰り上がりが…、分数が…。
3年生は…、高学年は…、中学は…。
中間期末試験がある…、高校受験がある…。
だ・か・ら・無理でしょ。
そ・ろ・そ・ろ、限界でしょ。
だって、障・害・なんだから。
無理をさせたらか・わ・い・そ・う。
親なんだから、障害児の気持ちを考えてあげなくちゃ。
親なんだから、障害児の将来を考えてあげなくちゃ。
親なんだから、障害児の学べる中身を考えてあげなくちゃ。
◇
《「障害」が理由ではない》
親が特学と決めてしまったら、私にできることはない。
だから、考えないようにしてきた。
たとえ、子どもの気持ちが、親と違うところにあったとしても、
私にはどうすることもできない。
だから、それ以上、考えないようにしてきた。
…考えないようにはしてきたが、「障害」が理由の一つだと、私は考えていた。
それに、昨日、気づいた。
子どもに「障害」があるから、そういう判断をする親がいるのだと考えていた。
でも、違う。
それが間違いだと、はっきりと分かった。
(つづく)
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