ワニなつノート

㊙定員内不合格根絶計画(其の十二)

㊙定員内不合格根絶計画(其の十二)

「この国の大人たちは、なぜ、
子どもたちが安心して学べる環境を
作ろうとはしないのだろうか?」

昨日、腹立ちまぎれに、
こんな言葉でまとめてしまいましたが、
これじゃあ、何にも言ってないのと一緒ですね。

子どもが抱く夢や希望、その動機を尊重すること。
子どもがなりたいもの、したいことの実現のために
学ぶ機会、体験する機会を与える人と場所を準備すること。
そうして子どもたちが、大人になっていくことを
待ち望めるような教育環境を、
ていねいにつくり上げていくこと。

そうしたことのためにがんばっている大人はたくさんいます。
問題は、そういう大人の努力を、許せない、
我慢ならないと感じる大人が膨大な数に上るということなのです。

幼い子どもが水ぶろに入れられて殺されれば、
みんな怒って見せます。

四年生の女の子が、食事も薬も与えられず、
ベランダで殺されば、
文部科学省の銭谷真美事務次官が、
「大変痛ましい事件。(聖香さんから教諭に)
虐待をうかがわせる発言が
あったにもかかわらず、事件を防げなかった。
学校の対応は十分ではなかった」
と批判します。

大阪市の平松邦夫市長も、
「踏み込んだ対応をとっていたらと悔やまれる」と言います。
市教委は、幼稚園・小・中・高校の校園長を緊急に集め、
長期欠席の児童宅への家庭訪問などを指示します。

でも、その隣では、
この国の最高裁判所の裁判官五人が、全員一致で、
【大の大人が、6~7歳の子どもの胸元を右手でつかんで
体を壁に押し当て大声で「もう、すんなよ」と脅すこと】
を、教師の教育的指導の範囲であると、認めるのです。

「悪ふざけしないよう指導するためで、
罰として肉体的苦痛を与えるためではない」と。

それこそが、「子どもの屈辱をわかってやる感覚」が
ないということの表明です。

『子どもの教育と指導の試み』(Jズルツァー著)には、
次のように書かれています。

「2歳か3歳になるかならずのうちに
行わねばならぬ大切な教育は、
両親および上長に対する絶対の服従と、
なんでも子どもらしくやり、不満を持たないことの習得である。

この二つは教育効果をあげるために欠くべからざる
性質であることはもちろん、これがあるとないとでは
教育そのものの質がまったく違ってきてしまう。

秩序と法に対する服従を子どもの心に植えつけるのに
これ以上の手立てはない。

服従は重要である。
本来教育の目的は服従の習得にあると言ってよい。

国家を統治する地位に就くべき高貴の方々が統治術を学ばれる時、
自ら服従を学ぶという形で学ばれるということは、広く知られている。
従うことを知らぬ者は治めることも知らぬ。………。】


1748年の教育書です。

260年前の教育書の教えを、
今も忠実に守っている人が大勢います。
2009年、日本の最高裁判所の賢く「高貴の方々」も、
こうした教えを忠実に守っているとしか私には思えません。


☆☆☆☆☆☆

どうしても話がこっちへ行ってしまって、
なかなか「定員内不合格」の話にもどれません(@_@;)


でも、「子どもの気持ちと自由と安心を大事にしようとすること」
を認めることができない大人はたくさんいるのです。
そうした考えを、「許せない」「甘やかしていけない」と
感じる人たちの心のなかは、
「両親および上長に対する絶対の服従と、
なんでも子どもらしくやり、不満を持たないことの習得」を、
完璧に教育されたからだと知っておくことは
大事なことだと思います。

そうしないと、「教育の話」、「受験制度の話」、
「障害児教育の話」、「支援の話」、のように、
思わされてしまうからです。

さて、今日の本題に入ります。

広島の校長の「定員内不合格」の理屈とは、
まったく違う話です。

今年は、いわゆる不況の影響で、
公立高校への受験生が激増しました。

そうしたなかでの大阪の話です。
二つの新聞記事を紹介します。


① 毎日新聞 2009年3月28日 地方版


【高校入試:公立高校2次募集、
定時制など167人不合格 /大阪 】


教職員組合「夜間は全入」を要求
--安い授業料、不況で人気

公立高校の前・後期入試で、定員に満たなかった学校が
実施した2次募集の結果が27日発表され、
夜間課程の定時制と多部制単位制3部の不合格者が
167人に上ることが分かった。

不況下で、授業料が安い定時制に人気が集まったことなどが
背景にある。2次募集は年度内最後の公立高校入試で、
緊急措置を求める声も上がっている。【平川哲也】

府教委によると、2次募集は、全日制、多部制単位制3部、
定時制の24校に841人が受験し、656人が合格した。
一方、夜間課程19校には571人の募集に756人が出願し、
受験時の倍率は前年度0・90ポイント増の1・32倍に達した。
このため、学校と府教委が協議。
定員を上回る589人を合格させた。


定時制は、経済的に全日制進学が困難な生徒の学習の場を
保障してきた経緯がある。
夜間課程の志願者が増えた背景には、
府による私学助成削減で私立高校の半数以上が
授業料を値上げしたことなどがあるとみられる。


こうした経緯を踏まえ、府立高校教職員組合(筆保勝委員長)は
「夜間定時制は、中卒生の『最後の砦(とりで)』。
高校進学を希望する生徒たちの教育を受ける権利を保障すべきだ」
と主張。

府教委に対し、夜間課程への
進学希望者を全員受け入れる緊急措置を要求した。



② 朝日新聞 2009年3月30日

【定時制高校に出願急増 
不合格者続出で補欠募集 大阪】

入学志願者が殺到し、計167人の不合格者が出ていた
大阪府内の公立高校定時制(単位制含む)について、
府教委は30日、補欠募集の詳細を発表した。

補欠入学は従来、定員に満たない学校・学科だけで認めていたが、
前例のない定員超えで、異例の措置に踏み切った。

募集枠は12校12学科で計167人。

出願期間や試験日程は学校ごとで異なるが、
早いところでは4月6日に試験がある。

27日に合格発表があった2次募集では、
府内19校21学科で募集人員計571人に対し、
756人が出願していた。

補欠募集にあたっては、
各学校でどれだけ受け入れが可能かなどを調べ、募集枠を決めた。
同教委担当者は「多くの不合格者が出たので、
もう一度機会を設けることにした」と説明、
不合格者数と補欠募集の総数が一致したのは偶然だ、としている。






この大阪の件で、私が知っているのは、
この二つの新聞記事だけです。
もし、どなたかこれに関する情報があれば教えてください。


子どもたちが安心して学べる環境を
作ろうとする人が、ここにはいました。
4月に入ってからの、
異例の措置に踏み切った人がいたのです。

私たちの求めていることは、
やはり、あたりまえのことなのだと思います。
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