オセロ １２

　筆者は「人間の思考と、現在のコンピュータの思考はちがう」という点をくりかえし強調する。これが思考プログラミングの考え方のスタート地点となる。

「人間は体調や心理状態も影響して、コンピュータのようにいつも同じ能力 を発揮できるわけではありません。人間は必ずミスをします。人間の思考は 直感的で、『正解ではないかも知れないが、大体あっている』という大雑把な考え方をすることがよくあります。 これを『ヒューリスティック (発見的)な思考』といいますが、実はこの大雑把な考え方が、複雑なゲームにおいて、人間が コンピュータより優位に立てる理由の1つなのです。」

　では、ゲームでコンピュータが人間の思考に勝つためにはどうすればいいのか。

オセロ １１

　本読み。森田和郎・国枝交子・津田伸秀『思考ゲームプログラミング』（1986年、アスキー）。

　本書は４つの章で構成される。

１．思考ゲームとコンピュータ

２．思考プログラミングの基礎

３．思考プログラミングの手法

４．プログラムリスト

１．思考ゲームとコンピュータ

「最近、ハードウェアの発達によってコン ピュータの演算能力は飛躍的に向上しま した。 チェス・オセロ・将棋などの難解な思考ゲームのプログラミングが、パーソナルコンピュータでも盛んに行われるようになっています。いまのところゲームをするコンピュータ の思考方法は人間の思考とは違っていますが、チェスのプログラムなどはすでに人間のエキスパートに匹敵する強さになっています。この章では思考ゲームとコンピュータについて、また人間とコンピュータの思考方法の違いについて考えてみましょう。」