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軽音楽談話室(廃屋)

「琥珀色に魅入られてしまった人生・・」

20th Jun Togawa / 戸川純

2014-08-18 02:00:00 | 音楽
戸川純

ホッピー神山:Piano、Loop Guitar
窪田晴男:Guitar
デニス・ガン:Guitar
ナスノミツル:Bass
中原信雄:Bass
スティーブ衛藤:Percussion
エミ・エレオノーラ:Accordion
大友良英:Noise Guitar
沢井原兒:Clarinet
坂本弘道:Cello、Electric Cello

1.ラジオのように (ブリジット・フォンテーヌ)
2.終曲 (Phew)
3.Joe Le Taxi (ヴァネッサ・パラディ)
4.Because The Night (パティ・スミス)
5.Casablanca Moon (スラップ・ハッピー)
6.All Tomorrow's Parties (ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)
2000

膨大な未発表曲が収録されている戸川純の集大成「Togawa Legend Self Select Best & Rare 1979-2008」を紹介しようと意気込んでいましたが・・・・・未だ手つかず・・・ここで勢いを付けねばと、好きな作品を1枚登場させます。これを切っ掛けに・・・羽ばたけるのか????

戸川純20周年記念のカヴァー集です。フレンチポップの名曲からUKアンダーグラウンドの覇者、USAパンクの女王に、苦手なスラップ・ハッピー・・・このメンツの曲をカヴァーすること自体が「異常」としか言いようがありません。そしてもう一つのメンツ・・・バック凄すぎでしょう・・・

1曲目 フランスのアバンギャルド・ミュージックの歌手「ブリジット・フォンテーヌ」の名曲「Comme a la radio」です。アンニュイにポツポツと呟くような元曲と比較すると、この曲では戸川純の妖気が渦巻いています。太古の呪いを再現するような土着的なリズム、乗り移ったように元曲を再現する純ちゃんのボーカルはちゃんと歌になっています。やはり腐っても腐敗しても「歌手」。元曲の後ろを固めるアート・アンサンブルに負けじとバックの強者どもの演奏が鬼気としていますので、これはこれで名演。聴き応えのある演奏です。

2曲目 「Phew」日本のアヴァンギャルド・パンク・シンガーだそうですが、残念ながら知りません。「アンダーグラウンドシーンで戸川純と双璧をなす」らしいのですが・・・ユーチューブで聞いてみましたが、確かに存在感が凄い。と言うよりは存在する次元が異なるのではないでしょうか。フィルターを通したような無機質な歌い声は好みではないかも知れません。純ちゃんヴァージョンの方が人間味にあふれています、それは純ちゃんにとっては褒め言葉ではありませんが。この曲もバックの演奏が秀逸、スペイシーでプログレッシブ、混沌とした音世界、その上を純ちゃんのボーカルが彷徨い歩きます。

3曲目 フランスの歌手「ヴァネッサ・パラディ」のデビュー曲「夢見るジョー」ですね。舌足らずで甘えまくっている少女の様なヴァネッサのボーカルに比べると、純ちゃんヴァージョンは・・・下卑た感じが漂うのは何故でしょう、「少女」ではなく「娼女」と言った感じでしょうか、妖艶さを纏いながら聞き手の心にガッチリと絡みついてくるようなボーカルです。そう、このボーカルの雰囲気、少女のように歌い方ながら百戦錬磨の娼婦のような雰囲気を漂わせる純ちゃん特有のボーカル、このボーカルに取り憑かれてしまうと戸川純ワールドから絶対に抜け出すことは出来ません、私のように。演奏の方は元曲のアーバン・レゲエっぽいシットリとしたリズムと比較すると、デジタルっぽくはなっていますが雰囲気は異にはしていません。

4曲目 パティ・スミスのこの曲は記憶がありますが、タイトな演奏の典型的なアメリカン・ロックであったはず、パンクではありませんね。でも「パンクの女王」だそうです。中性的というか姐御肌の漂う冷徹でスリムなミュージシャンという印象があります。で、純ちゃんヴァージョンは・・・演奏が飛びすぎ、ノイズミュージックのような金属音というか無機質感がこれでもかと漂う混沌とした音世界、かろうじてベースラインとボーカルラインが曲を維持しています。悲しみにまみれたようなボーカルが力強く漂う・・・異様な世界です。純ちゃんにしては珍しくマックスを維持し続ける歌い方、後半教会オルガンが漂いいよいよ異様な次元に突入、これは凄すぎる演奏・・・プログレッシャー御用達の名演です。

5曲目 私の天敵スラップ・ハッピーの正確に言えば3枚目のアルバム?「Casablanca Moon」からタイトルナンバー、ボーカルは言わずと知れたダグマー・クラウゼ、元曲はフレンチ・タンゴ仕立てのポップナンバーで大変聞きやすい内容、まだ苦手なスラップ・ハッピーもといダグマー・クラウゼではありませんでした。純ちゃんヴァージョンは、当然の如くこれでもかと趣向を凝らされた演奏、黒猫のタンゴにメタルギターが交差した様な演奏、ボーカルはなんか変?妙にアレンジされてドイツ語のような朝鮮語のような、得体の知れないボーカルのアタックがコミカルのような、思いっきり巫山戯ているような・・・・声色を次々と変化させたシアトリカルなボーカルを堪能出来ます。逝ってますね・・・

6曲目 重いなぁ・・・・ヴェルヴェットとニコですよ・・・ニコ・・・今の若い人は知っています?アンディ・ウォーホルのバナナ・ジャケット。サイケでアンダーグラウンド、60年代の雰囲気がプンプンと漂う感じですが、純ちゃんヴァージョンの演奏は全く真逆と言うよりは実はベクトルは同じ演奏。アコースティックが淡々と漂う元曲と、無機質なノイズ・ミュージックが淡々と漂う雰囲気はかなり似ています。ボーカルは??純ちゃんのイメージするニコの雰囲気だと思うのですが、擦れ声で無機質感がタップリ、彼女らしくない歌い方ですね。曲のレベル的には元曲と肩を並べています。

じゃないかなと思っていましたが、間違いなくプログレの大名盤です。プログレッシャー御用達、天変地異に備えて一家に一枚常備しましょう。

当然ですが純ちゃんも弾けていますが、何と言っても演奏が凄い。彼女のライブラリーの中で一番プログレ色の強いアルバムですね。久しぶりにプログレ魂が燻り始めました。


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