軽音楽談話室(廃屋)

「琥珀色に魅入られてしまった人生・・」

Musica do Mundo / Milton Nascimento

2014-12-03 02:00:00 | 音楽
Milton Nascimento

1. Para Lennon e McCartney
2. O Que Sera
3. Travessia
4. Credo
5. Fe Cega, Faca Amolada
6. Nada Sera Como Antes
7. Volver a los 17
8. Maria, Maria
9. O Trem Azul
10. Cais
11. Nascente
12. Paula e Bebeto
13. Tudo que Voce Podia Ser
14. Me Deixa em Paz
15. Cravo e Canela
16. Circo Marimbondo
1998

ミルトン・ナシメントのブラジル・オデオンから発売されていたベスト盤です。初期の傑作6作品から選りすぐりの名曲達がタップリと詰まっています。・・・だったら6枚を全て聴けば足りることだと思いますが、聞きやすい曲の配置とナイスな選曲で個人的には大変気に入っています。取り合えずミルトン初心者にはお勧めのベストですね。

1曲目 70年の「Milton」からの曲。力強いボーカルが以外と印象的、バックバンド、ソン・イマジナーリオの演奏もタイトで力強い。特にキーボード奏者ゼー・ホドリクスのオルガンが暴れまくっています。ドラスティックで外連味タップリの曲。

2曲目 一転シットリとした名曲76年の「Geraes」からの曲、ユッタリと哀愁漂うアコギとストリングスの上を悲しげに漂うミルトンとGrupo Agua(パスコアール直系のグループとは別?)のボーカルが秀逸、染み入りますねぇ・・・いまの季節にピッタリ、ミナスの風景が見えるようです。何時聞いてもホロッと来る曲ですね。

3曲目 イントロのギターのフレーズを聞いたとたん心が熱く、そして和みます。言わずと知れた「トラベシア」以前のブログのサブタイトルは「トラベシアを聴きながら」でした。ブラジル音楽最高峰の曲だと個人的には思っています。対抗馬にジスモンチがいますが・・・若い頃は有無を言わせずジスモンチでしたが、年取るとミルトンの方が上回ってきました。ユッタリとブラジル内部ミナス・ジェライア州の雄大さをひしひしと感じさせる曲、このバージョンはデビューアルバム(黒いジャケットに白くギターを持ったミルトンが浮き出しているような・・後の「トラベシア」と言うアルバムも同じ)の曲だと思うのですが、何となくバージョンが微妙に違っているような気もします。何千回聞いても素晴らしい超名曲。

4曲目 ミナス出身の気心の知れたミュージシャン達との作品「街角クラブ」の続編「Clube Da Esquina 2 」のオープニングを飾る曲。フェードインが長く、そしてコーラスが聞こえ、極太のベース(トニーニョ・オルタ)がプリプリと響き渡る。明るく伸びやかなミルトンのボーカルと、土着的なアコースティック・サウンドとの絡みが素朴な雰囲気を醸し出す。

5曲目 75年の「Minas」からの曲。明るく弾けるようなミルトンのボーカルと、朋友ベト・ゲチスのボーカルが寄り添いながら絡み合いながら漂う。バックの演奏も垢抜けていて実はテクニカル。「幸せ感」が嬉しそうに弾けているような曲。

6曲目 名作の誉れ高き72年発表の「街角クラブ(Clube Da Esquina)」のラス前の曲、5曲目同様ボーカルでベト・ゲチスが参加しています。ボーカルはシットリと哀愁を帯び優しく切なく清流のように流れます。雰囲気を重視したボーカルパートに対して、味わい深いバックの演奏が光ります。よく考えればこのメンバーは凄すぎですね。後のブラジル音楽界を牽引するメンバー、この作品ではベースを担当していますがパット・メセニーに影響を与えたトニーニョ・オルタ、マルチキーボード奏者のヴァグネル・チゾ、ロー・ボルジェスにエグベルト・ジスモンチの作品で活躍していたドラムのホベルチーニョ・シルバ、ある意味「神」の領域に達したミュージシャンばかり。この作品聴きながら考える事ではないのですが・・・ベスト盤聞くより街角クラブ2作品聞いた方が・・・・・

7曲目 アルゼンチンのフォルクローレ歌手メルセデス・ソーサがボーカルで参加している名曲、76年の「Geraes」からの曲です。シットリとした生ギターの爪弾きの上をソーサのボーカルが哀愁200%で漂い、続くミルトンのボーカルも、とても悲しげで切なげで涙を誘う。2人のボーカルがシットリとユニゾンする3コーラス目はこの世の物とは思えないほどの美しさと悲しみに満ち満ちています。ブレイク後のユッタリと呟くようなソーサのパートからのラストは逆に明るささえ感じられるのが不思議です。南米大陸の悲しみを全て凝縮したような途轍もない名曲、心はドップリと落ち込みます。街角クラブ二作以外ではアルバム「ジェライス」と前作の「ミナス」はいずれ単独で登場願わなければなりませんね。

8曲目 一転明るめな曲ですが哀愁は60%含まれています。「Clube Da Esquina 2」に収録されていた「マリア・マリア」これも名曲。明るいギターにタイトなリズム、清々しいミルトンのボーカルが明るく漂いコーラスも優しく響き渡る。間奏的な雰囲気を変えたスキャットパートから再び後半の雰囲気を持ち上げていく展開はとてもプログレ的。

9曲目 街角クラブに入っていた曲ですが、ボーカルはロー・ボルジェス。ミディアム少し遅いテンポの気怠い雰囲気が漂う演奏、ローのボーカルも気怠い気怠い。サビはコーラスと一緒に雲の上を漂います。何となく虚ろな雰囲気は一発決めているような・・・その辺はジャーマン・カルト・プログレ的?

10曲目 同じく街角クラブに入っていたシットリと切ない曲、切なげなアコギのアルペジオと静かに響くオルガン、エコーの効いたパーカッションがユッタリと曲を導き、ボーカルはどこまでも切なく悲しく。後半ピアノで場面展開、ピアノのコードとミルトンのスキャットが異世界への扉へと聞き手を導きます。

11曲目 街角クラブ2に収録されていたナンバー。切ないストリングスとアコギの響きに導かれ「ブラジルの声」と言われたミルトン・ナシメントのボーカルが天に昇ります。優しく切なく湿感・外連味タップリに登り詰めるボーカルはまさにブラジルの広大な台地に響き渡る「ブラジルの声」。間奏のストリングスもこれでもかと雰囲気を盛り上げ、フラヴィオ・ヴェントゥリーニのファルセットも切なくミルトンのボーカルを包み込む。これは間違いなく聞き手は昇天するでしょう。バックのピアノとギターのアルペジオのタイミングの面し方が曲に妙なウェーブ感を付加しています。名曲。

12曲目 75年の「Minas」からの曲、これも代表的なナンバーですね。アコギだけをバックのボーカルバートから、子供達のコーラスをフューチャーしたパート。3コーラス+力強い終奏だけのシンプルな曲ですが、印象的なメロディーと素朴で素敵な雰囲気が大変心地よい曲です。カエターノ・ヴェローソとの共演ですが彼はギターでしょうか。

13曲目 トラベシアの次に好きかも知れません。街角クラブのオープニングを飾る歴史的な名曲「トゥード・キ・ヴォセ・ポヂア・セール」です。アコギバックで切々と歌うミルトンのボーカルはとても艶っぽく心に染みいります。トニーニョのギターもシットリと寄り添うように。リズムが加わり切なさに温かさが加わります。前向きに突き進むような勢いのあるボーカルが素晴らしく、最後のファルセットのスキャットも異界っぽくって素晴らしいのですが・・・難を言えば曲が短すぎます。

14曲目 これも街角クラブに収録。アライヂ・コスタのボーカルがメインのジャズ・ナンバー。ボサ・ギターをバックに大らかに響き渡るコスタのボーカル、ミルトンのスキャットは優しく見守るように。リムショットも心地よいピアノ・トリオの素敵な演奏に変わり雰囲気が一気にジャズ・バーに。後半ミルトンがボーカルを担当しますが、ジャズの雰囲気がかなり薄らぐのは、ミルトンのボーカルの存在感のためでしょうね。良い曲だ。

15曲目 これも大好きな曲ですね、当然街角クラブの収録ナンバー。ミナスの空を漂う様な口笛が印象的なイントロから、とても明るく楽しげなナンバーが始まります。ミナスの台地を飛び回っているような楽しげに踊っているような、ロー・ボルジェスとミルトンのボーカルが絡み合いながら交差しながら、幸せに満ち満ちた素敵なナンバーです。

16曲目 ラストを飾るに相応しい76年の「Geraes」からのナンバーです。「クレメンチーナ・ヂ・ジーザス」をフューチャー(オッサンみたいな声ですが女性)した明るく楽しいサンバ・ナンバー、サンバ・パーカッション群が狂い鳴り、トニーニョのベースがブイブイと唸りまくる。ミルトン的な雰囲気はあまり味わえませんが楽しげな曲です。サンバは個人的には・・・・

ミルトン・ナシメントでベストと来れば覚悟はしていましたが・・・・長尺過ぎだ・・

ミルトン・ナシメント初心者にも中級者でも上級者だろうと楽しめるベスト盤です。3曲ぐらい被りでもう1枚ぐらいベスト盤選曲できそうですが・・このアルバムは絶対のお勧めです。

元々ミナスの音楽がとてもプログレ的・ヨーロッパ的と言う事で聞き始めたのですが、ミルトン・ナシメントを聞き始めのめり込んでしまったら、そんなことはすっかり忘れてしまいました。プログレ的な目線で語ることが大変失礼な「独自」の音楽世界です。


このジャケ写は大変お気に入りです。場所はミナス(だったら最高・・)モヤッとした朝霧の中をユッタリと歩むミルトンの衒いのない姿が最高です。色合いも抜群。





コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 露天神社(大阪府大阪市北区... | トップ | 坐摩神社(大阪府大阪市中央... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

音楽」カテゴリの最新記事