重低音のBlue Canary

♪ 思いつくままを、つたない文と photo で …

ED。

2007-03-01 | つれずれ


未熟なのでこの程度の写真しか撮れませんでしたが、
名古屋地方は、今日も夕焼けがきれいでしたよ。

少し大げさかも知れませんが、「落日燃ゆ」の言葉を思い出しながら、
山陰に沈んでゆく夕陽を、
最後まで見届けていました。



突然白状してしまいますが、
実は、
調子が、あまりよくありません。

身体が、というより、気持ちの。

………。
かれこれ半年ほど前からになるでしょうか。


落語家の三遊亭円楽さんが先月25日、引退を宣言しましたよね。

一昨年10月、脳梗塞で倒れ、
けれども懸命にリハビリを続けた結果、
昨年10月には再び高座に復帰し、
その日は進退を賭けて高座に臨み、
人情話「芝浜」45分間かけて口演したのだそうです。

けれども……。
終演後の記者会見で語っていましたね。

「ダメですね。もうちょっと喋れるかと思ったけど、ダメです。こんな噺をお客さまの前でやるのは情けないです」

「まだまだ、とおっしゃってくれる声もありますが、それに甘えるのは私自身が許しません。これ以上、恥を掻きたくないですから」と。


お気の毒だとは思いますが、
正しい決断だと思いますよ。

「引き際の美学」と褒め称えていた新聞・テレビが少なくありませんでしたが、
見え透いた社交辞令は、かえって失礼ではないかと、私は思いながら見聞きしていました。

彼の引退は、それほど大げさなものではなく、
男として、大人として、ごく普通の退き方なんじゃないですかね。


――などと、
74歳という、人生の大先輩の引退を、そんなふうに言い切ってしまうからには、
当然、
自分ももうそろそろなのかなあと、
実は半年ほど前から自問自答を続けていますし、

にもかかわらず、
いまだに決断できずに日々をやり過ごしている自分に、
正直腹が立ち、
情けなく思ってもいます。

その意味では、
引退を決意した円楽さんは立派で、心底、尊敬します。


私の場合、
何か特別なきっかけがあって引き際を考え始めたわけではありません。

小さいながらも情報紙のコラムを担当するという仕事に
疲れたわけでも、
嫌になったわけでも、ありません。

むしろ、
許されるならもっともっと書き続けていたいと思っていますし、
幸せなことに会社も、その役割を全面的に任せてくれています。


でもね、
自分の、モノを見る感度が最近、
鈍ってきているような気がして、ならないんですよね。

「最近、文章が丸くなられましたね」と後輩に言われてショックを受け、
デスクの前に「怒!」の言葉を貼って自分を奮い立たせようと頑張っていますが、
歯がゆいほどに、
気持ちが燃え上がりません。


言葉を選ばずに言えば、
まだ重度ではないにせよ書き屋としての「ED(機能不全)的症状」を、自覚し始めています。

もちろんそんな症状を劇的に改善する特効薬「バイアグラ」など、ありません。
だから、
経験・キャリアと、ほんの少しのテクニックを使って、
そうとは悟られないように工夫しながら、
書き続けているような毎日――。

それでいいんだろうか……と自分に問い掛ける時間が、
最近少しずつ増えています。


これが単なる「春の憂鬱」なら、よいのだけれど……
――などと、心の中で呟きながら、
美しく染まりゆく夕焼けに、
今日もカメラを向けていました。




今日のブログは、
文字通り公開「日記」の、
「独り言」です。

どうか、
お気になさらないでください。


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