『特別展 小川晴暘(おがわせいよう)と飛鳥園100年の旅』 4.3★/5 奈良県立美術館 仏像やお堂の写真と中国の雲岡石窟の図画が素晴らしい!!
奈良県立美術館にて特別展『小川晴暘と飛鳥園 100年の旅』を観たが、素晴らしかった。
仏像やお堂があれほどまでに魂を込められて撮れるのか感心し、その場を動くことができない。
近くでも見ても、写真群の全体像を観ても、心は写真たちにとらわれ、魅了された。
わたくしは、仏像の写真でこんなに感動したのは初めてのことであった。
同時に、写真にも魂を込められることを知り、仏像の写真も美しいことを知った。
心を惹かれたのは仏像の写真だけではない。
雲崗石窟の全体像の写真と部分の写真。
雲崗石窟は一度行ったが、団体ツアーを利用したので、こんなにも大掛かりで横長で素晴らしい遺跡であるとは想像すらしていなかった。
全体像の写真はそれは貴重で、右端には石窟近くの村も写され、子供たちが遊ぶ様子も映し出されていた。
こういった貴重な遺跡に加え、周りの様子まで描く写真家は、素晴らしいと感じた。
また、雲崗石窟の全体像が丹念に絵図で描き出されていた。
何枚もに分かれた雲崗石窟の全体像の絵図は、細やかであり力強く、また忠実に描きだそうとする心意気がこちらに伝わってきた。
この作品は、素晴らしい!
一時間でも二時間でも見ていたいという大作であった。
このように忠実に描こうとする絵図の対策は、いったいどれくらいの時間を要して完成されたのであろうか、、
そのことが気になった。
雲崗石窟に愛情を注ぎ、長期間雲崗石窟を見て回り、研究者としての姿勢も併せ持たれたと感じ、作者に憧れさえ感じた。
この作品展は、私にとっては興味深く感じた。
できるならば、期間内にもう一度訪れたいと感じた。
以下は奈良県立美術館公式HPより引用
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特別展 小川晴暘と飛鳥園100年の旅
小川晴暘
2024年4月20日(土)〜6月23日(日)
奈良県立美術館にて特別展『小川晴暘と飛鳥園 100年の旅』を開催いたします。 レンズを通して見つめ続けた、人々の祈り。その100年の歩み。
奈良を中心に各地の仏像を撮った写真家・小川晴暘(おがわせいよう)(1894-1960)。彼が創立した仏像撮影専門の写真館・「飛鳥園」は2022年に創立100年を迎えました。
兵庫県姫路市に生まれた小川晴暘は、画家を志して上京しますが、奈良で仏像などの文化遺産に感銘を受けたのを機に写真に傾注するようになります。
1922年、美術史家・書家・歌人として知られる會津八ーの勧めで奈良に「飛鳥園」を創業し、奈良の仏像や寺院を中心に文化財・文化遺産の撮影に精力を傾けました。
撮影だけでなく東洋美術の研究にも熱中し、奈良に居を移した志賀直哉や京都大学総長も務めた濱田青陵をはじめ、文化人・知識人との交流も深めました。
さらに日本のみならず、中国の雲岡石窟、韓国の石窟庵、仏国寺、インドネシアのボロブドゥール遺跡、カンボジアのアンコール・ワットなど、アジアの文化遺産の調査・撮影も積極的に行いました。
小川晴暘の写真は、常識を覆す大胆な発想と画才にも恵まれたことでも分かる美への強いこだわりと感性によって、仏像を主題に神秘的な写真空間を生み出すことに成功し、文化財の記録・資料という枠を超えて、仏像写真を芸術の域にまで昇華させた画期的なものでした。
小川晴暘は1960年に逝去しますが、写真館飛鳥園の活動は小川光三、小川光太郎へと引き継がれ、その活動は現在も奈良の地で続いています。
本展は、小川晴暘・光三親子の写真作品を中心に、文化財保護活動を支えると同時に仏像写真を芸術の域に高めた飛鳥園の活動を振り返ります。
飛鳥園に保存されている写真に加え、小川晴暘が調査の際に遺したスケッチや拓本、晴暘が発刊した『仏教美術』などの古美術研究専門誌や文献資料もあわせ、古美術・文化遺産を愛した小川晴暘という人物の姿にも迫ります。
また、現在も活動を続ける飛鳥園が近年撮った写真もまじえ、飛鳥園という「眼」がレンズを通して切り取った100年のまなざしを感じていただく展覧会です。
2024年4月20日(土)〜6月23日(日)
主催:奈良県立美術館、毎日新聞社
特別協力:飛鳥園 後援:奈良テレビ放送、奈良新聞社、西日本旅客鉄道株式会社、近畿日本鉄道株式会社、奈良交通株式会社、公益社団法人奈良市観光協会