日常

東京国立近代美術館

2009-07-07 23:35:12 | 芸術
東京国立近代美術館に行ってきた。

ゴーギャン展を見るのがメイン。(2009年7月3日(金)~9月23日(水)まで)

ボストン美術館(←浮世絵の収集で世界的に有名)が所蔵している《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》(1897) っていう、晩年のゴーギャンが集大成として描いた絵があって、それを一度見たいと思ったのです。
タイトルからしてすごいけど。


その絵も勿論迫力あってすごかったけど、メインに据えた絵の陳列があまりにもったいぶりすぎてて、展示する側の「こういう風に見せたい!」っていう自意識が過剰な気がして、そこが気になりすぎて素直に絵を見れんかった。

そんなこともあり、個人的には死ぬ直前に描いたっていう、一番最後に飾られた絵のほうが好きでしたね。


なんか馬に人が乗っていて、後ろに自然があって・・・っていう、ほんとそれだけの簡単な絵なんですけどね。僕は好きでした。

「あ、これいい!」と思って、作品の解説を見たら(あまり普段は飛ばして読まないんだけど・・)
「晩年のゴーギャンの線は貧弱で、人のデッサンなどは全盛期の見る影もないが、自然の表現は素晴らしい・・・・」みたいな解説が書いてあって、人のデッサンのタッチが荒くなっているのが、この解説を書いた人は気に入らない様子。


でも、むしろ死ぬ直前に、自分の意思どおり描けないようなタッチになってしまっているからこそ、自分を越えた線のように見えて、人の評価とか賞賛とか・・何ものにもとらわれてない線のタッチへと変化しながら収束していっているように見えて、自分の奥底に響くものを感じたのですよ。


この辺は、普段の自分が、何に対して何を感じているかによって、見る絵から感じる事柄も違うんだろうなーって思いましたね。



ゴーギャン展のチケットで、常設展も見れたので、『所蔵作品展「近代日本の美術」』ってのも見てきましたけど、ゴーギャン展よりも何故かこっちの方の絵をより多く覚えてる。

常設展は、国立西洋美術館同様、すごくお勧め!

日本画もすばらしかったなー。緑色の表現なんて、今眼を瞑っても残像のようにはっきり覚えているほどいい色だったなー。
顔料の淡く鮮やかな色って不思議だー。

川田喜久治さんの「ラスト・コスモロジー」っていう写真シリーズも、鳥肌たつほどすばらしかった。

戦争画だけど、藤田嗣治の「血戦ガダルカナル」って絵も、呆然と立ちすくんで見てしまった。
そういえば、岡本太郎の絵も一つだけ飾ってあった。

あと、この美術館に併設されてる「クイーン・アリス アクア」ってのもお洒落なんですよ。入ってなくて外から見ただけですけど。

とにかく、東京国立近代美術館は、すぐ隣が皇居っていう立地だし、眺めも空気の匂いも最高なのです。
なんか東京っぽくない清清しさで、近くの皇居の芝生でノンビリしたり、側の公園でノンビリすると最高だと思いますよ。古本屋の神保町もすぐ近くだしね。


今後、見に行こうかと注目している企画展としてはこんな感じ。
行けるといいなー。

1:『特別展「黄金の都シカン」』国立科学博物館(7/14-10/12)
2:『美しきアジアの玉手箱―シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展』サントリー美術館(7/25-9/6)
3:『ドキュメンタリー作家 土本典昭』東京国立近代美術館フィルムセンター (6/30-8/30)
4:『セバスチャン・サルガド AFRICA』東京都写真美術館(10/24-12/13)
5:『かたちは、うつる―国立西洋美術館所蔵版画展』国立西洋美術館(7/7-8/16)
6:『伊勢神宮と神々の美術』東京国立博物館(7/14-9/6)

6 コメント

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ちょいと、一言 (maki)
2009-07-07 23:44:30
!!いっちゃった?
ゴーギャンいっちゃったの?
これはうらやましい!!
私も会期中に絶対行こうと思っていたの。

しかも、ちょっと本題ずれますが、その所蔵作品展「近代日本の美術」も、かなり興味ありますね。
何をかくそう、藤田嗣治サン大ファンなのですよ。東京国立近代美術館て、PICASO展やったりと結構有名どこが来るんだけど、実は実はその「サブ」でやってる日本画展とか、かなりいいのよね。
昔私も全然期待せず、しかし日本が常設展に感激して、結局そちらのほうの本をごっそり買って帰ったのを覚えています。

いやぁ、私も絶対行くネ!
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makiさん (la strada)
2009-07-08 07:00:20
まきさーん。
よかったらゴーギャン一緒いこー!
(いなばさんのコメント欄を
掲示板のように使う人・・・笑。
そういえば、昔存在していた駅の
黒板の掲示板って懐かしい。)

東京はアートが実はあふれててすごいなぁ。
「実は」っていうのが味噌ですが。
気づかなければ気づかない
求めれば実はいくらでもあるのだ!
というそのスタンスがね。
日本人の感性と、そのセンサーはすごいと
改めて思います。

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掲示板的でごめんね、カンリニンさんよ (maki)
2009-07-08 10:37:03
>La strada さま
よしきた!行こう行こう!
(ほんと、ごめんなさいね、掲示板的な使い方。)
これは楽しみだねえ。
一緒に行って、出てきてから”せーの”で感想交換しよう。
たくさんの日本以外の文化に触れているla stradaさんから紡ぎだされる感想を、生で聞くのを楽しみにしています。
いなば氏、ご一緒にもう一回どう?ナンテネ~~
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ご自由にお使い下さい! (いなば)
2009-07-08 10:57:22
どうぞどうぞ掲示板的に使ってください!
ノープロブレム。
公園の砂場でキャッキャと遊ぶのをイメージしとるんで。

わしは近くの北の丸公園で日光浴でもして待ってますよ。
土日とかだと人が多くてまともに見れないかも。
ゴーギャン展は、量が少なくて少し期待はずれだったんだけど、逆に常設展のほうがすごかったなー。すごく印象に残ってる。


近くに皇居もあって、「宮内庁三の丸尚蔵館」も近いよねー。それこそ伊藤若冲はここにあるはず。

神保町なんかも、La stradaさんが本格的に通えば狂喜乱舞するはずよ。ほんと宝の山でワンダーランドだから!!
http://jimbou.info/

LaStradaさんも書いてるけど、東京って探せばいっぱい面白い人が面白いことやってるのよね。
ちょっと外に飛び出して自分を開くと、色々気付くことがあります。


東京国立近代美術館とか皇居のあたりって信じられないくらい緑に溢れてて、ほんと和むわ~
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Unknown (chopihapi)
2009-08-19 16:35:53
ブログ訪問がご無沙汰してまして、1ヵ月半遅れで拝見し、
「あ、私も行こうと思っていたのだった」
と思い出し、先週行ってきました^^

みなさんの常設展の評価が高かったので、時間に余裕を持って両方観てきました~
常設展も観られて得というか、観ないと損というか、みなさんおっしゃる通りゴーギャン展よりもボリュームがあってジャンルも幅広く充実している印象を受けました。

藤田嗣治の絵は迫力がありましたね。
苦しい感じであまりじっくり観られませんでしたが。フランスっぽいお洒落な絵のイメージしか無かったのですが、こういう絵も描く人物だったのですね。

ゴーギャン展は混んでいたし、普段も解説はあまり読まないのですが、ふふふ^^解説者の好き嫌いが反映されてるんですね~
次回からは解説もちゃんと読んでみよう。

途中休憩した常設展の休憩所からは皇居の緑と夕陽を反射するビルが見られて、そんな景色も楽しめました。

ブログでご紹介くださってありがとうございました。期限が過ぎるまで気付かず見過ごしてしまったかもしれません。
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田中一村はあの色彩が素晴らしい。 (いなば)
2009-08-21 00:44:43
>>>>>>>>chopihapi様

ゴーギャン展、行きましたかー。
ブログも読ませてもらいましたよ。

僕は常設展が異常に気に行っちゃって、思わずそこのことばっかり書いちゃいましたが、もちのろんで、ゴーギャンの絵も重厚ですよね。
ああいう絵って何か見慣れた気がするけど、きっとゴーギャンに影響受けた人が似たようなタッチで描いていて、だから何か見た気がするんでしょうね。


chopihapiさんが少し触れてた田中一村、僕も大好きです。
うちは母方が奄美大島の血も混じっていて、晩年に奄美大島の自然の美に魅せられ、そこで死んでいった田中一村のことは、よく死んだ婆ちゃんからも聞きました。
奄美の生活とか、何気ない風景とか・・・そういうのを情熱込めて命かけて描いたっていう意味で、ゴーギャンは確かに似ているかもしれませんね。



坂本繁二郎の絵はいいですよね。
完全に自我が抜けた感じというか。

もう夢と現のアワイの世界ですよね。
数学者の岡潔さんも、ピカソの絵は人間の無明の限りだと言って否定的な評価してますが、坂本繁二郎さんの絵は絶賛していますし。


藤田嗣治、僕も「血戦ガダルカナル」って戦争画は驚きましたね。
あんなの書いちゃうんだー!と思って。
パリのおしゃれな絵が多い印象が勝手にあったので。
フジタの中で、やはり日本の戦争っていうのは避けて通れないテーマなんでしょうね。まあ、あの時代に生きた人だったら、本来当然のことなんでしょうけど・・・。



常設展の休憩所、分かります!あそこ何気にすごくいい空間ですよね。ほんと勿体ないほど素晴らしい景色だと思った。僕も、あそこで30分くらい文庫本読んで休憩しましたし。
東京国立近代美術館は上野とかと少し離れてるけど、皇居の横で緑が多くていいとこ!



それにしても、このたわいないブログも、こんな形でお役に立てるとは光栄です!
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