うさとmother-pearl

目指せ道楽三昧高等遊民的日常

お大尽と簪

2007年10月15日 | ことばを巡る色色
日曜は名古屋に所用があった。仕事関連だったけれど、済ませた後は休日。車を豊田鞍ヶ池まで走らせた。10.11月は、トヨタ自動車の創業70年記念で、鞍ヶ池にある豊田喜一郎氏の別邸が公開されている。設計は鈴木禎次氏。

公開はこの10月の土日のみ。一階部分だけの公開で、ガウディを模したという地下やら、和室を持つ2階も見たかったなあとちょっぴり不満。豊田さんって徳川家康に似てるなって、ふと思う。戦国武将が傾いたり金ぴかしたり侘び寂びしたりしてる間に、鳴くまで待っていたんだな。故に太平の豊田王国、豊田幕府を築き上げたのかな。
私は、へそ曲がりなので「へうげもの」が好きだけれど、鞍ヶ池記念館の美しく刈られた芝生の小山、アテンダントのおねえさんは優しく丁寧で、その意味で豊田さんを尊敬する。お商売の形もいろいろあるということだ。

鞍ヶ池を出て、もう一度名古屋方面に向かう。そうして長久手の名都美術館へ。只今は、「櫛簪秀品展」 それはそれはたくさんの簪を見せていただく。今まで意識していなかったのだけれど、日本髪は多くの簪で留められ結われ櫛で飾られる。それは冠をパーツに分け、髪でフォルムを作り上げていくということだったんだ!これほど複雑に髪を結う文化というのも、なかなか稀有のものなのだということに初めて気付いた。櫛簪のみでなく、それを加えた結髪自体がゲージツのようなものであるのだ。マリーアントワネットの鳥かごを飾り込んだ数十センチある髪型に負けず劣らずファンタスティックなものだ。
そうして名都美術館。素晴らしい日本画コレクションだった。昭和のお大尽は大観とか松園とか平山郁夫とかのコレクションがおなじみのラインだ。きっと社長室に飾りやすいのだろう。ネームバリューもリーゾナブル。「この絵は大観ですぞ」といえば、「ははぁー」ということになり、簡単である。画廊さんのいいカモだったろうなと思わせる「社長コレクション」だが、名都美術館の松園さんはワンランク上のものだった。利益超過だから、ちょっと画廊に出かけて買いました、という物とは全然違っていた。建物が新しいのは私としては少し残念だけれど。うーん、林テレンプさん。お目が高い。
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7 コメント

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ワンランク上 (けんちゃん)
2007-10-15 20:50:57
豊田さんのワンランク上という意味でしょうか。この言葉を私自身も良く使うけど注意しなくてはと思いました。
ちょっと格が違うんだな~ってな時に使ってました。
美術の世界では下請けの方が上を行っているのですね。
昔林テレンプさんと取引があり、大須によく出かけていた事思い出しました。
うさと流お大尽遊びいいですね~
ところでヤッホーが聞こえてきませんでしたが、私に聞くゆとりが無かったのかな!?
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ランク (家主うさと)
2007-10-15 23:28:25
けんちゃん
集めた絵を見ると、その人がどうやって集めたかが少し見えてくるときがあります。本当にいい絵、というのは、お財布持って画廊に出かけるとか、札束でひっぱたくとかでは集まらないと私は思います。同じ画家の物であっても、心を動かす絵を手に入れるには、確かな目と時間と労力が必要です。そうでなければ、「それなりのコレクション」しかできないものです。その意味で、名都美術館さんのコレクションは立派な物で、「ワンランク上」の、そんな労力とか、絵への執着が見えるものでした。コレクターとしては、尊敬できるコレクションでした。特定の「社長コレクション」との比較ではないのです。さぞかし、苦労をして、そうして楽しんで蒐集なさったろうなあ、と思えるものでした。

叫んだよ、ヤッホー。鞍ヶ池から岐阜まではちょいと遠かったろうか。
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お大尽 (ほたる)
2007-10-16 19:46:13
突然、岐阜シティ・タワー43のことで投稿しまして、また投稿してしまいますが、僕は岐阜の『後楽荘』であの立派な庭と金華山(岐阜城)を眺めながら食事をすると、お大尽になったかのようなき持ちになります。
高層マンションではまだ、そのお大尽の気分は味わってはいませんが、信長が岐阜城の天守閣から眺めた時の気分の一端に触れた気もしています…
しかし、地震がきたら、火事になったらなど不安もあって、妙な気持ちです…
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後楽荘ファンの集い (家主うさと)
2007-10-17 09:09:49
ほたるさん。
先ほどのけんちゃんも、なんと、2ヶ月に一度の会を後楽荘さんで持たれているとのことです。私も、後楽荘さん、素敵だと思います。やはりお大尽はこうでなくっちゃ、って思いになりますよね。
次回は萬松館さんにもお出かけくださいませ。天下布武のお城に抱かれたところですよ。
私は伺ったことがないのですが、水琴亭さんも「お大尽」アイテム。
世の中のお大尽の皆様、このうさと、お座敷がかかればいつでも出かけますので、御贔屓に。
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後楽荘 (ほたる)
2007-10-17 19:08:58
けんちゃんさんは2ヵ月に一度ですか…凄い!

僕は女将さんが『ピアノライブ』など面白い企画をされるので、案内のDMを頂くと行きます。
また、思い切って昨年は当院の忘年会を後楽荘でやりました。
昨年は合計3回行きました。

萬松館さんと水琴亭さんもはもう10年以上前にそれぞれ1回だけ業者の“接待”で行く機会がありましたが、最近は行ってません。
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アリコ (けんちゃん)
2007-10-18 00:04:51
月待ちライブですね。もうすぐです。アリコさん10月8日に後楽荘にみえてたんです。
いろいろと縁があって、後楽荘のご主人とは同級生、ライブを企画している古田菜穂子さんは弟と同級生なんです。
今度のライブも行かれますか?
私も萬松館へは芸者遊びで20年前、水琴亭は結納でそれぞれ1回こっきりの利用でした。
プロの芸者はどんな客にも合わせられる技術を持つことを知りました。水琴亭ではお吸い物の美味しさが忘れられません。来月10日には横浜三渓園に行く予定です。
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こちらでも (家主うさと)
2007-10-18 16:19:15
こちらでも、盛り上がってますね。
てえことは、私だけか、水琴亭未体験。
後楽荘さんもお二方ともご常連。
遅れをとっている!ざんねん。

え?三渓園?
例の、ですね。いいなあ。行きたいなあ。
家をコレクション。桁違いなお大尽ですね。愉快なことです。
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