うさとmother-pearl

目指せ道楽三昧高等遊民的日常

紛れ込んだ毒

2007年11月08日 | ことばを巡る色色
薬害肝炎訴訟に和解勧告というニュースを見た。フィブリノゲンというのは止血剤で、大きな手術という稀な体験のみでなく、出産時の大量出血という比較的頻度の高い場合にも用いられる。つまり、誰もが、経験する可能性、つまり原告側に名を連ねる可能性のある出来事である。あなたも私も、知らずに止血剤を打たれる母、その夫、その子、その友になる事件である。そして、厚生労働省の公開している医療機関一覧を見て、少なからず驚愕した(クリックして、どうぞお住まいの都道府県の医療機関をご覧ください) 私が目にする、あの公立病院も、あの産婦人科も、名前がついている。誰にもその危険は、近くにある、そうして不幸にして身の中にある場合もあるのだ。
フィブリノゲンを作っていた製薬会社は、今はなくなってしまった「ミドリ十字」(現在は田辺三菱製薬)である。あの、血液製剤で薬害エイズを引き起こした会社である。どちらも安全性が保証されない血液を使い、危険性が指摘された後もその薬は使用され続けた。「ミドリ十字」は、関東軍防疫給水部の人々によって作られた会社である。それは、京都大学医学部の学閥に絡み、そうして暗黒の731部隊に繋がる。かれらは731部隊の「実験結果」を米軍に売ることにより戦争犯罪裁判を逃れたわけだが、その後の彼らは、このように、市井で「実験」を繰り返した。ある時は名古屋の児童施設で、ある時は自衛隊で。彼らの「実験」への渇望は麻薬のように彼らの精神を蝕んでいたのかも知れない。混合ワクチンによる無菌性髄膜炎。上記の薬害エイズ、薬害肝炎。
なぜ、厚生省、厚生労働省はそれを止められなかったか。
それは、厚生省、厚生労働省と彼らが密接に繋がっているからである。日本医師会とも、である。そうして、官僚の天下り先となり、市民の安全は蔑ろにされた。薬を使って病となる矛盾。罪深き者が医を、政と利で操る矛盾。彼ら「同士」が、密やかに、大胆に、この国の人一人一人の健やかさを握っている。
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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご無沙汰です (matsubara)
2007-11-08 20:55:24
お久しぶりです。
ミドリ十字のことは私も2007.4.14に少しふれています。暇な時見てね。
話は古いですが、去年ようやく放送大学研修旅行で新美南吉記念館に行きましたし、先日のTVも見ました。うさとさんを思い出しながら・・・
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天下り=癒着 (けんちゃん)
2007-11-08 21:28:59
密室で行われる検査、試験。公的機関から全て排除しなければ永久に続くこの手の弊害。食品問題から建築材料問題に波及し、ニチアスから東洋ゴムへと次々に伝播していってます。
MSDS調査依頼が殺到して日常業務が大変になってきています。
信用するということはどういうことかを考える毎日です。
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ミドリ (家主うさと)
2007-11-09 14:19:58
matsubara様 こちらこそご無沙汰しております。
ミドリ十字、やはり問題が多いですね。
因縁めいた物もありますが、やはり、それが許されている土壌こそが改められるべきですよね。

半田でわたしのことを思い出してくださったとのこと。うれしうございます。一度、彼岸花の時期にでもご一緒したいですね。
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お役所 (家主うさと)
2007-11-09 14:23:56
けんちゃん
商売人は何とか利を上げたいもの。それは仕方がない、だからこそ、官があるはずなのに、なんの「濾過」もできないばかりか、お仲間ばかりには甘いザルの目だよね。素人に「自己責任」というのは、政・官の怠慢だと、思うよ。専門職の信用は、政・官こそが保障すべきだよね。
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信頼関係の崩壊 (ほたる)
2007-11-09 20:40:20
千葉の市川の建築中の高層マンションで、鉄筋不足!! 
NHK-TVの報道によれば、行政のチェック機能が機能せず、清水建設だから“間違いない”と疑いもせず、現場も見ずに“信用”して机の上だけの検査でOKを出していた。今回、鉄筋不足が判ったのは、売る側が、いわゆる“優良”のお墨付き(なんと言う認定だったか忘れました)を貰いたくて、それを与える民間機関(その名前も忘れました)がチェックして判明したとのこと。この検査は当然、義務ではないので、今回“優良”マークが欲しいと売る側が思わなかったら、そのまま建築続行し、鉄筋不足は判らないままになるところだったそうです。

食品関係の最近の諸問題についても、スーパーなど、販売する業者が、仕入れ先業者の表示が、信頼関係では信用できない(例えば、本マグロの刺身と表示されていても、実はミナミマグロ(インドマグロ)だったりする)ので、DNA検査をしてくれる民間検査期間に依頼して表示が正しいかチェックする流れが出てきたとのこと。

うさとさんの今回の話題は医療(ミドリ十字関連)でしたので、医療に戻ると、医療機関は大病院でも医薬品のチェック機能は持ってません。まして個人の開業医で検査機能など持てません。『厚労省が認可した薬なのだから』と製薬メーカーを信ずるしかありませんよ。
厚労省・社会保険庁は医者には保険医指導といって、『医療費削減』のために、かなり理不尽な“指導・監査”をしてきます。
薬の使用については特に“正当性があるか”厳しくチェックしてきます(医学的な正当性じゃなく、保険の決まりとの正当性です)。医者の出す薬は多すぎる、医者は薬で儲けてると言われますが、薬では儲からないと断言できます。その訳の説明は長くなりますから省きますが、儲けているのは製薬メーカーです。
しかし、製薬メーカーを信じられなくなったら、もう医療は行えません。

今の日本医師会が、彼ら(政・官)と密着しているとは思えませんが(だって、僕らは官僚からいじめられっぱなしで、ヤクザまがいの言葉の恫喝で理不尽な指導を受けた後に自殺した“良心的”医師が何人もいます)、日本医師会が、いわば町内会・自治会が行政の雑用的末端作業をやってるだけの組織に陥ってる所が多いように、医師会も、政・官の雑用的末端組織と化しているとしか思えません。
僕は、医師会は、医療界において政・官の“お目付け役”的存在でなければならないはずと思ってます。そして、僕も、一時期、地域医師会の理事をしましたが、あまりにも馬鹿馬鹿しくて強引に辞任しました。

今や、どの業界も『信頼関係の崩壊』が露見しているのではないでしょうか。
(長くてすみませんでした)
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誠実ということ (家主うさと)
2007-11-10 00:46:45
日本から、誠とか誠とかはなくなってしまったのかもしれません。
残念ながら、日本医師会も政・官と癒着していると私は思います。団体というのは交渉力を強化するための物だけれど、現代の日本にとっての交渉は、やはり、残念ながら、閨閥房閥学閥の密室のものに成り下がっているからです。密室で決められた天の声に下部が従う構造である限り、日本ミライズやミドリ十字やは生まれ続けるんでしょう。それは誠実な構成員とは全く別物であるということです。
再びいろいろ考えさせていただきました。また、これについては書きたいと思います。ありがとうございました。
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官官接待民民接待民官接待官民接待 (けんちゃん)
2007-11-10 09:20:02
接待の最終目的は利潤の追求。国と地方の接待は以前より随分少なくなったことは料亭の利用状況から把握できます。これを官官接待と言っていた。他県よりもより有利に地政を運営すべく国費を引っ張ってくる意味合いがあった。これは会社内での接待のようなもの。税金を使うことは会社経費を使って上司にゴマスリするようなこと。あってはならない。
地方分権を進めているがやはり国税に頼らざるを得ない地方は陳情するしかない。陳情する際、移動や宿泊に関する最低限の経費は仕方がないが、食事や遊行費があってはならない。本質を歪めてしまう。

政治家も行政に携る人も情熱を持って公平な見地で討論できる人でなくてはならない。
民間でも然り。実力以上のものをキーマンへの接待で歪めて獲得しても世のため会社のためにならぬことを自覚すべきと思う。
接待と呼ぶかどうかは別にして、上司が部下を自腹で接待し息抜きをさせ明日への活力を復活させるような形が望ましいと思う。

事故責任と自己責任
生死に関わる医療現場に於いて、薬害問題は食品と違い自己責任で賞味・消費期限切れの商品を判断して食すというレベルの問題ではない。薬を嗅いでこれはやばいから使わないでくれ、色がおかしいから使わないでくれと判断できるレベルで無いということだ。
ミスがあったなら事後の厳重なる責任審判を関係者は仰ぐべき。罰則強化で戒律を高めるしかないのかな。
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医師会 (ほたる)
2007-11-10 12:17:13
なるほど、『密室で決められた天の声に下部が従う構造である限り、・・・それは誠実な構成員とは全く別物であるということです。』
仰る通り、日本医師会の“お偉方”は医師会の“誠実な構成員とは全く別物”のような方ばかりだと思います。
で、中央の日本医師会で決定したこと→都道府県医師会→そして、地方の末端組織である(例えば岐阜市医師会)という流れで押し付けられてくる。まして、僕の所属する地域医師会は岐阜市よりもっと小さい組織で、極めて地域のしがらみが強く、健全な組織とは思えません。

そう言う意味で『日本医師会も政・官と癒着している』と言えるのかもしれませんね。本当は馬鹿げた医師会から抜けたいけど、そうすると子供の予防注射の行政からの補助も受けられなくなります。患者さんは他院なら只で受けられる予防注射を高額な実費を払ってまで打って欲しいなどとは思わないので、当院は経営破綻してしまう…
医師会に入らなくても食って行けるのは『美容整形や美容皮膚科、眼科医を附属させることが義務付けられてるコンタクトレンズ屋の眼科医』など…あるいは、大都会で特殊な病気のエキスパートとして金持ち層だけを保険を使わない自費診療のみの医者になるか…
岐阜のような地方の町医者では政・官と癒着している医師会であっても入ってなければ…です。
(ぼやいてごめんなさい)
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なつかし (家主うさと)
2007-11-10 22:44:24
けんちゃん。
久しぶりの長いコメント、ありがとう。
かつてのけんちゃんのコメントは、長かったよねぇ。
なんだか、懐かしい思いで読ませていただきました。

「罰則強化」
この薬害も、被害者への補償は税金から出て行くということか?かのマスゾエ氏は慈悲深そうに、何とかするといっているけど、あったりまえだ。関係官僚が弁済すべきじゃないのか?
本当に、ミスだったのか、本当は、わかっていたのではないのか?
こうやって、血税は官官接待のように、消えていくのですね。世直しは、難しいですね。
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絡み取る (家主うさと)
2007-11-10 22:56:41
ほたるさん 今日もお仕事、お疲れ様です。
予防接種には、そういうからくりがあるんですね。
誰だかは、「痛みを伴ったカイカク」といったけれど、本当に変わるべき人たちは、痛くも痒くもなく、利権を享受し続けているんでしょうね。
監督官庁との癒着というのは、最も許されないことですよね。結局、末端の国民が最も甚大な不利益を被ることになる。
本当に人は利益に弱い。だからこそ、「お偉方」こそ、きれいでいることが、上に立つものの任であるはずですのにね。
でも、きっと、考え続け、疑問を出し続け、それをどこかで言い続けること、諦めずにそうすることだけは、していかなければと思います。
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