ぼけヴォケ!

認知症患者と介護家族はいかにしてボケツッコミスキルを入手したか。
慢性骨髄性白血病発症。目指せ分子遺伝子学的寛解維持。

ストーリーテリング。

2009-10-02 | Weblog
よめじょ探し、さらに進行中。


昼まであろうが真夜中であろうが。
自室から出てきたが最後、うろうろうろうろといない人を捜し回るBooじーちゃ。


「Booじーちゃ!よめじょなんておらんよ。とっくに死んでおらんわね」
みかねたおかんさまが暴露した。


譫妄を否定するのは、症状の悪化を招くだけと言われる。
そうかといって、片っ端から肯定なぞできないのだが。


衝撃の事実に、しばらく停止していたBooじーちゃ。


「おらの後家さん探しにいかんばならん!」


……再起動しちゃったよ。


どうやら、Booじーちゃ。語では後家さん=後妻を意味するらしい。


1.よめじょ=つれあいは、どうやら死んでいるようだ。
   ↓
2.しかし、自分が探しているのは自分のつれあいである。
   ↓
3.つまり、自分には新しいつれあいがいる。


こんな三段論法が脳内で構築されたか、Booじーちゃ。
「二歳の女の子もおる!」と言い張りなさる。
八十六のじーちゃんに二歳の子どもがいてたまるかい。
「なんて名前の人よ?」と聞けば。
「知らん」「忘れた」のオンパレード。


暴走に強制終了をかけるべく、おかんさまがのたまった。


「後家さんならねえ、おまんに名前も覚えてもらえないから出て行ったわ!」
「おまんにねえ、愛想尽かして出て行ったから、連絡先も教えてもらえなかったんでわからんわ!」


…………。


初期化されつつあるBooじーちゃ。の脳内に、どんな与太話を詰め込む気ですかおかんさま。


「本気で後妻がいたと信じ込んだらどうする気だ」と。
まぢめにうろたえるおとんさまをよそに。
目をランランと光らせるおかんさま。


「介護なんてねえ、こんな楽しみでもないとやってられないわよ!」


…………ナルホド。





日本海溝レベルには、疲労もストレスもつもり至ったおかんさまの心情に深く共感するとともに。
「こんな人間に介護されたかねーよなー」と。
マリアナ海溝並みにはしみじみと思い至った中秋の名月近い夜である。
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