urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

萩尾望都『トーマの心臓』小学館文庫

2005年11月12日 | comic
いまさらこんな評価の確定しまくった名作について、俺風情が一体何を語り得ると言うのか。道化てみようか。 オスカーかっこE! さて。 隙がない。流麗な絵と構図、詩情溢れるセリフと心理描写、丹念なエピソード構築、作者の美意識に基づいてあまりにも堅固に構築されている。たまにあるいかにも少女マンガライクなコメディ描写(ヘルベルトは実際そのためのキャラだな)が緩衝になってはいても、読んでいてどこか息苦しい . . . 本文を読む

フジファブリック 『FAB FOX』

2005年11月11日 | listening
うーん。これはかっこええよー。スパルタに続いて、今年のアルバム2位やね。 名曲揃いの既発シングル見れば分かるよーに、中心人物の志村って人はポップセンスに相当長けた人だと思うんだけど、アルバムになると途端にそこにネジレが加わってくるんだよね。声もクセあるし。前作だとそれがちょっと濃いって言うか、なんか「俺ら面白いことやってんぜ」って感じの過剰さを感じたんだけど、このアルバムではそのネジレ加減が素直 . . . 本文を読む

ACIDMAN 「world symphony」

2005年11月11日 | listening
で、ACT SINGLEですが、まさにACTな曲です。 「風、冴ゆる」かこっちか、ってぐらいに性急。アシッドマン的には珍しい曲でしょう。ロック的な快感にどこまでも忠実な楽曲です。初期衝動的ではありますが、しかし歌詞は大木らしい偏差値高そうなアシッドマンの詞でした。 大木のシャウトはあまり好きな声質ではないのですが(スローな曲の方がセクシー)、今回は巻き舌全開だし、《倒れた老木と アカシアの芽生え/ . . . 本文を読む

森絵都『アーモンド入りチョコレートのワルツ』角川文庫

2005年11月10日 | reading
ネタバレ一応注意。 担当教官のとこに卒論のレジュメ持ってったらボロボロだった。一時間話して、その後遅刻してバイト。んで今帰宅。喉が痛い。風邪だ多分。朝から左手の中指が痙攣してるし…。 もう、ブログ書いて寝る。 さて、切り替えましょうね。たまにこういうのが無性に読みたくなる俺、フェミニンモード(←キモい)。 それぞれクラシックに材を得た短編が三つ。結論から言いますが、素晴らしい小説でした。文章 . . . 本文を読む

THA BLUE HERB 「未来は俺等の手の中」

2005年11月09日 | listening
最近ヒップホップに惹かれつつある自分を認識しています。ブルーハーブがヘビーローテーション。とは言え持ってる皿は一枚だけだぜ。 なので買ってきた。ブルーハーツトリビュート用に書き下ろしておきながら、「曲も詞も全然違う」という思考停止な理由で弾かれ、結局自分のレーベルからシングルで切ったという一枚。逆に弾かれて良かったって気はするけど。 前友達がカラオケで唄ってて、「OK余裕」はネタ的にも爆笑だった . . . 本文を読む

東京60WATTS 『月夜にムーンウォーク』

2005年11月09日 | listening
卒論とかやるの疲れた。もうブログ書いて寝る。 つーことで待望の60WATTS、ミニアルバムで再始動。マジ待ってた。エイベックスなのはこの際目を瞑ろう。 哀愁のフォークロックも、やんちゃなファンク歌謡も、東京土着のブルースも、WATTSのキャラは全部出てる。新たな名詞代わりってとこかな。表題曲も、ユーモアと生活感に溢れたブルース「陽のあたらない部屋」も、とてもいい曲だけど、「外は寒いから」「目白通 . . . 本文を読む

天藤真『大誘拐』角川文庫

2005年11月08日 | reading
ネタバレ注意。 ミス研11月読書会課題本…のはずです。推しといてなんですが、ごめんなさい、本格じゃありませんでした。 広義の誘拐ミステリ。マスコミを利用した衆人環視の誘拐事件で、歌野晶午『ガラス張りの誘拐』の元ネタはここでしょうが、スケールの大きさ(身代金百億)、犯行のエレガントさという点で圧勝。 作者は故人で、これも生まれる前の作品ですが(つか俺の生年と没年が一緒)、文章もキャラ造型も意外と古 . . . 本文を読む

加藤千恵『たぶん絶対』マーブルブックス

2005年11月07日 | reading
ネタバレ(引用)注意。 小早川さんに貸していただきました。ありがとうございます。 加藤千恵の第二歌集。 正直前作の方がキレはあったと思う。凛とした女子高生の表現から、艶かしい女子大生の表現になりましたね。 《卵から生まれたのだと思ってた そっちのほうがいいと思ってる》 前作で、僕は彼女の「強い」表現に感じ入ったのでしたが、この作品集ではその「強さ」の向かうべき対象がよりはっきりしています。 . . . 本文を読む

BRAHMAN 『A FORLORN HOPE』

2005年11月06日 | listening
いっぱしのロックリスナのような顔をしてブログを書いておきながら、ブラフマンを聴くのが初めてです、すいません。 それまでのメロコア的な路線からの転換作と捉えられてるんでしょうか、このアルバム。ゲオで安かったんで買ってきたんですけど(ぶっちゃけ)。メロコアへの親和性も感じさせますが、そう括るには基調としてハードだし、フォーク、カントリー、大陸中央部的なエスニック性、いろいろ面白い要素が混じってきてて . . . 本文を読む

荒木飛呂彦『STEEL BALL RUN⑥』集英社ジャンプコミックス

2005年11月06日 | comic
なんか意外と早く6巻出たね。つか投げ込み冊子のジャンプコミックスの発行予定のとこに名前がないのを見て、「ああ、そういやウルトラジャンプだった…」と一抹の寂しさ。別にいいけど。 今回は吸血鬼から恐竜(!)へと華麗なる転身を遂げたお馴染みディオとのバトルがメインです。非常に単純な活劇スタンドバトルで、三部の頃のノリを思い出しました。こういうのもいいよね。 ストーリーとしては、ディオの過去の話が多少重 . . . 本文を読む

法月綸太郎編『法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー』角川文庫

2005年11月06日 | reading
ネタバレ注意。 タイトル通り、法月綸太郎チョイスによる短編十二編のアンソロジーです。有栖川のにも北村のにも触手が伸びなかったのに、法月は新刊で出た瞬間に読むとはこれいかに(あまりにも明白)。 クイーンやノックス、さらには西村京太郎(ド本格)といったスタンダードな本格も収められているのですが、それよりもウディ・アレンやボルヘスといった畑違いの作家のものの方が、「奇妙な味」が出てて読んでて面白かった . . . 本文を読む

名古屋大学ミステリィ研究会『韓国キムチの謎』

2005年11月05日 | other
ネタバレ注意。 で、今日このオリジナル国名シリーズネタについて喋っていたお二人へ。 キムチが犯人の偽装工作だと見破るっていう箇所なんですが。被害者は一回手首を切って自殺未遂してたってのはどうでしょう。 「ん? というのはどういうことなんや、火村」 「当たり前の話だろう。キムチの汁は傷口に染みるんだ」  火村はキャメルの紫煙を吐いて言った。 「まるで苦い恋の記憶みたいにな」 みたいな。 ええ . . . 本文を読む

note "お前らはずっとそこにいて構わない"

2005年11月04日 | other
深夜。ナイナイのオールナイトを聴きながらボクシング観戦。 ○大場浩平(日本Sフライ級4位) 判定 ホセ・アンヘル・ベランサ(メキシコ)● デビュー以来十三連勝。連続KOは六試合で途切れましたが、相手が今までで最強の相手(世界ランカー)だったこと、減量苦を考えれば良い結果だったと言えるでしょう。つか当初生で観に行こうと思ってたんだけど、ボクシングってチケット高価いね…ってことでテレビ観戦。 序 . . . 本文を読む

真保裕一『連鎖』講談社文庫

2005年11月03日 | reading
ネタバレ注意。 加藤千恵を褒め倒したので、今回は毒舌モード。 真保裕一は何気に初めて読んだ気がするけど、デビュー作、最初に言っとくと、ダメだった。乱歩賞作品で面白かったのってマジに『テロリストのパラソル』と『13階段』だけなんだが。まあ読んでないのもたくさんあるけど。 それなりに評価できるところがあるとすれば、食品Gメン(だっけ)という題材の目新しさと、多少本格っぽいトリックが用いられている . . . 本文を読む

加藤千恵『ハッピーアイスクリーム』中公文庫

2005年11月02日 | reading
ネタバレ…感想文中に作品を多く引用しています。注意。 桝野浩一が好きなので、彼が見出した歌人ってことでこの文庫本を買って、そして今頃読んだんだけど… やばい。 凄くいい。正直桝野浩一よりキレてると思う。 この第一歌集を出した時、作者は女子高生で、表紙ピンクだし売り出し方もそれに見合ったものになってたんだと思う。でも「女子高生歌人」ってイメージに見合う瑞々しさはあるけど、なんだろ、思春期的な . . . 本文を読む