岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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子守唄の歌:尾崎左永子の短歌

2022年09月18日 20時35分55秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・子守唄聴かせし日すでに遠くして子は冬の帆立てて操りゆけり

 「夕霧峠」所収。

 子の親離れの歌である。「愚母賢母」の歌とちがい、「娘」を(こ)と読まさずに「子」と表現している。子守唄を聞かせた幼児期を回想しているからだ。

 焦点は下の句の「冬の帆立てて操りゆけり」の表現。「夏の帆」ではなく、冷涼感がある。子が親離れをする寂しさを象徴しているようだ。

 これは比喩だが、どこの海かは「捨象」されている。「表現の限定」がここでも効いている。

 「NHK歌壇」では、司会者も作者も「下の句に焦点がある」という趣旨のコメントをしていた。



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