「運河の会」年末記念会(忘年会) 於)アルカディア市ヶ谷(私学会館)
「運河の会」年末記念会とは、いわゆる忘年会だ。『短歌新聞』の「結社の力」で、高野公彦が言った、会員の懇親の場であるとともに、一年間に、刊行された、会員の「歌集出版祝賀会」でもある。歌集出版のお祝いを、個別に行わずに、歌意全体で年末に一度にするのは、地方の会員の祝賀も出来るので、合理的だ。
6月の「全国集会」と、12月の「年末記念会」が、地方の会員と交流が出来る貴重な時間だ。特に「全国集会」で会えなかった会員と合えたのは、嬉しかった。
「運河賞」は今年は該当作がなかったのは、残念だが来年こそと密かに期している会員もいることだろう。
印象的だったのは、『30周年記念 運河作品集』の祝賀だった。会員のなかで、歌集を出版していないひとも、作品を広く世に問う場が出来たからだ。意義ある取り組みだったと思う。通読したが、作品の主題が明確であり「斉藤茂吉と佐藤佐太郎に学ぶ」という、佐瀬本雄代表の「あとがき」があり、会の旗幟が鮮明な作品集だった。この歌集は、神田の古書店の店頭に並んでおり、社会的評価の高いものとなったようだ。
祝賀対象の歌集は会場にも置いてあり、手元にない物は当日会場で入手した。いずれ書評で紹介したいと思う。
発言の機会があったので、このブログの「書評『佐藤佐太郎秀歌私見』尾崎左永子著」を読み上げた。是非多くの会員に読んでもらいたいと思う。研究書でなく、実践的な「佐藤佐太郎論」であり、創作の心構えの参考となるものだ。
会の終了後、別室で2次会があった。ここでは、新設された「佐藤佐太郎賞」が話題となった。受賞は「塔」の松村正直だが、新仮名表記だ。佐藤佐太郎は、旧仮名表記なので、「賞としてどうなのか。」という声を聞いた。だが僕は、いずれ短歌は新仮名表記が、主流になると思う。
旧仮名、新仮名の基準は、72年前の終戦をはさんでのこと。「新仮名」は、取り立てて、新仮名というまでもないものとなっている。しかも新仮名の場合は「思ほへず」「ゑ(詠嘆の助詞)」など、21世紀の現在では、古風に過ぎる言葉を、使えなくなる。これは逆に、短歌にとってプラスにはたらくものだと思う。
それゆえ僕は「運河の会」では、少数派の新仮名表記を選んだ。新仮名を選ぶのは、短歌の可能性を拡げるものだと思う。
会場で、来年の全国集会の場所が発表された。2015年5月に、石川県で開催される。日本海を見て、叙景歌が何首かできるだろう。
