オクトシティー正直村

おかしいな?変だな?と思った事を綴った駄文

北朝鮮のミサイル発射の顛末

2006年08月27日 | Weblog


北朝鮮が7発のミサイルを発射して日本中大騒ぎである。

 しかし、ここは冷静に考える必要がある。北朝鮮対日本の関係だけで判断して、北朝鮮と敵対してもあまり意味がないというか得策ではない。米国対北朝鮮、欧州対北朝鮮、中国対北朝鮮、ロシア対北朝鮮、アジア諸国対北朝鮮、国連対北朝鮮等という中で判断する必要がある。小泉首相は「何にもプラスにならない」と言い切ったが、この事件を境に世界中が動き始め、プラスのものマイナスのものが生じつつある。現に日本はミサイルを迎撃できると言われているペトリオットのPAC3を緊急調達した。アジアの近隣諸国でも何らかの対応を強いられるのだろう。当然北朝鮮は今回発射したようなミサイルを対外的に売り込むのであろう。共産圏も自由圏も兵器産業はホクホク顔である。

日本対米国の関係についても、

 日本と米国だけの関係で考えてはいけない気がする。米国は当然のように世界の各国の中の日本と言う捉え方をしている。日本だけのために対北朝鮮外交をする考え方は最初からない。そうであれば、日本も米国との関係だけで北朝鮮外交を考えるのでなく、世界各国の中の一部としての米国と言う見方をしなければならないと思う。そこで重要なのはどう考えてもアジア諸国との関係である。いくら米国と親密な関係にあってもアジア諸国の中で日本が孤立しては日本の外交・安全保障は足元から崩れてしまう。そういう点で現在の日本の外交は考え直す時期に来ていると思う。米国もアジア諸国の安定を維持する目的で日本との関係を保っている。日本にその役割を果たしてもらいたいのが本音であろうと思うが、現在のところ国連の常任理事国である中国を第1優先に外交を展開している。

国連対北朝鮮の関係はどうであろう。

 国連は(United Nations)であり、第2次世界大戦後に戦勝国(米・英・ソ)と敵の枢軸国(日・独・伊)の関係の中で設立された。戦勝国が連合国であり、枢軸国は当然のこと平和友好国とは認められず、国連には加盟できなかった。当時は日本は現在米国が言うところの「悪の枢軸」だったのである。日本は1956年に北朝鮮は1991年に国連に加盟している。北朝鮮が加盟が遅いのは、1950年の朝鮮戦争が原因である。北朝鮮はこの時国連から「平和破壊者」と断じられ、38度線を境に攻防を繰り返し、1953年に休戦協定が成立し現在に至っている。この時北朝鮮に義勇軍を送り込んで援助したのが中国である。北朝鮮と国連の関係はこんなものであり、国際協力のために加盟しているだけで、多分国連の決議に同意するつもりはないだろう。米国も同じ考えのため、中国に北朝鮮への説得を要請したが結果は失敗した。

欧州対北朝鮮の関係はどうだろう。

 欧州は世界規模で今回のミサイル騒動を見ていると思う。現在世界で影響力を持っているのは米国である。欧州は湾岸戦争以来の米国の影響力をこれ以上強化したくないと思っているはずである。少なくとも現状維持を望んでいる。そのためには国連が世界平和のために引き続き機能してもらいたいと思っている。北朝鮮に対する国連の強制力が有効でないことが露呈するのはまずいことになる。国連に代わって米国が影響力を増大させる懸念がある(イラク紛争のときもそうであった)。何にも増して世界平和が維持されないと世界経済に与える影響が大きくなり、アジアの紛争は欧州に何のメリットもない。

日本対北朝鮮の関係はどうだろう。

 今回のミサイル騒動で直接の脅威に最もさらされているのは日本である。そういう意味で今回の日本の対応はこれまで以上に反応が迅速で具体的かつ強硬であった。戦後の日本で初めてではないかと思う。国連の決議案を提出したのも画期的である。昔枢軸国といわれ連合国の敵であった日本が国連に決議案を突きつけたのである。やっと日本も国際社会に仲間入りできた瞬間かもしれない。しかもその決議案が修正はされたものの可決したのである。北朝鮮の立場は非常に不利になり、世界を敵に回す状況に陥っている。

さて、ここで解決の方向へ道筋をつけなければならない。

 北朝鮮を世界から孤立させるだけでは解決にならない。日本は過去に経験しているはずである。ABCD(米・英・中・蘭)包囲網による対日経済制裁により、国力が残存する間に軍事による解決を図った日本は国際連盟を脱退し、その後は太平洋戦争へと突入していった。この頃の日本と同じような状況を北朝鮮に見ることができる。ここで最悪の事態にならないようにするための方策を考えなければならない。過ちは繰り返してはならない。日本としては十分に自国の意向を北朝鮮に伝えており、北朝鮮との対話の道は開いている。これ以上感情的に両国の溝を深めるのは得策ではない。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と徹底して北朝鮮を攻め立てても解決の糸目はない。冷静に客観的かつ論理的にどう対処すれば良いかを考えなければならない。やり方はいくらでもある。


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