オクトシティー正直村

おかしいな?変だな?と思った事を綴った駄文

「オモテ」と「ウラ」、「ハレ」と「ケ」

2009年01月24日 | Weblog

昔、職業選択の基準に「3K」と言う言葉があった。

 きつい、汚い、危険、の三つのKを称して「3K」といった。それに「暗い」を加えて「4K」とも言われ、このような職業は敬遠され、OA機器に囲まれたデスクワーク中心の近代的な華やかな職業を好んで選択していた。高度成長期の頃は「3K」や「4K」をはずしても就職先は溢れるほどあったのである。その「3K」をはずして就職した人達が今「リストラ」に遭遇している。当然と言えば当然である。バブルがあってはじめて大量のデスクワーク中心の仕事があったのである。デスクワークだけでは産業も経済も成り立たない。バブルがはじければ真っ先にリストラの対象になる。

ところが、「3K」はリストラできない。

 人間の生活には「不潔さ」「醜さ」「危険」はつきもので、これらを忌み嫌い自分から隔離し排除してもいずれ誰かがこの「3K」を受け持たなければならない。「3K」は高度成長期に敬遠されていた職業であり、どちらかというと人材は不足していると思う。「3K」の典型的なものは廃棄物処理業であろう。廃棄物処理業に光を当てて論ずる人は少ない。また、廃棄物処理業で注目を集めるような人も少ない。片隅でひっそりと肩身の狭い思いをして黙々と働いているという感じが強い。当然近代化もあまり進んでいない。よって常に「3K」がついてまわる。これでは片手落ちだと思う。廃棄物処理業も立派な職業であり、人間の生活に必要不可欠のものである。また、地球環境問題が騒がれる中で廃棄物処理業のあり方は重要な検討事項であると思う。ただ単に一方的に一部の人に押しつけてそれで済ましているのは許されない。

金銭収支でなく「物資収支」という言葉がある。

 98年版の現代用語の基礎知識によると、日本は約6億トンの資源を輸入し、国内で約11億トンの砂利や岩石を掘り出している。物資収入の合計は17億トンである。その内3億トンは燃料として消費し、12億トンが製品として生産され、その内の8千万トンが輸出される。産業廃棄物は3億トンであるが、その内1億トンは回収利用される。そしてゴミなどの一般廃棄物が1億トンである。国内に残るのは11.2億トンの製品と3億トンの廃棄物である。11.2億トンの製品もいずれかは老朽化して大量の廃棄物となる。右肩上がりの経済は、大量の廃棄物と、大量のいずれかは廃棄物となる製品を造り続けていたのである。

人間の製造した「モノ」はライフサイクルで考えなければならない。

 これまでは造りっぱなしであった。しかも次から次へと新しいものに取って代わり古いものは無造作に捨てられた。その捨てられた古いもののことなんて考えもしなかったし、右から左へと受け流してきた。その処理に携わるのが廃棄物処理業者であるが、廃棄物処理業者は「廃棄物」を「処理」するわけではない。ほとんどの「廃棄物」は「廃棄」するだけである。その廃棄された廃棄物を本当に「処理」しているのは自然の浄化作用である。要するに人間は自然の浄化作用に依存してやりたい放題をやってきたのである。そして自然の浄化作用も限度を迎えつつある。

これからの「廃棄物処理」は本当に「廃棄物」を「処理」しなければならない。

 「廃棄物」を「廃棄」するだけでは自然破壊は目に見えている。幼稚園でもゴミをむやみに捨ててはいけないことは一般常識として教えているはずである。それなのに自然環境に対してはゴミを無造作に捨てることを何とも思っていない。ただ、ゴミを人間の目に見えないところに隠しただけで自然環境にとってはゴミが捨てられたことには変わりなく大迷惑である。この廃棄物を人間が本当に「処理」してやらなければならない。「処理」するとは、有用なものは再資源化し、不要なものは処分しなければならない。基本的には自然界にあるもので不要なものは一切ないはずである。ただ、「処理」に対する費用対効果(儲け)が少ないために人間が手を抜いているだけである。

これから人間が製造するものは、「処理」する費用も念頭におかねばならない。

 耐用命数1年のモノを千円で売るよりも、耐用命数10年のモノを一万円で売ることが重要である。少なくともゴミは十分の一になる。そして10年後に廃棄されてもまた資源として再利用できるものでなければならない。使い捨てなんてゴミの山を築いているようなもので言語道断である。大量生産、大量消費、大量廃棄から少量生産、少量消費、少量廃棄にしなければならない。そのためには生産物そのものが耐久性と信頼性がありしかも循環性のあるモノでなければならない。そして廃棄物処理業は重要な産業の担い手として脚光を浴び地位も役割も向上することになる。廃棄物処理工場は製品の製造工場と同等の施設と設備を保有することになる。

これからは「3K」を見直さなければならない。

 「3K」と言われる職業はまだまだある。警察、医療、消防、警備、防衛、土木建設、修理・解体、農林水産業、老人介護、清掃業などなどである。生産部門や金融・流通・サービス部門は「生み出す」側でこれまで十分すぎるくらい脚光を浴びてきたが、「3K」の職業はいずれもこれまでにあまり脚光を浴びずに縁の下の力持ちで黙々と頑張ってきた職業である。これからはこの「3K」を見直し価値を認め改善を図っていかないと循環サイクルの片側が機能しないことになり、全体システムとしては機能不全を起こしてしまう。「3K」はこれまでの価値観ではどう考えても後ろ向きの感覚しか持てないが、この価値観は是非とも変えていかなければならない。

このことにより右肩上がりの経済成長が滞っても何も問題ない。

 今まで右肩上がりで、右肩上がりを前提に経済活動をやっていたのを修正すればいいのである。今までの延長線で経済活動を続行し昔と同じ右肩上がりの経済成長を強引に維持させようとするほうが考え方としてはおかしい。現に事実としてこれまでのやり方が間違っていたもしくは長期的な視野に欠けていたのが指摘され、改善を求められているのに、これを無視して旧態依然たる手法を死守しようとするのは過去の間違いの二の舞、三の舞であり改善も向上もない。

世の中は「オモテ」もあれば「ウラ」もあり「ハレ」もあれば「ケ」もある。

 常に「オモテ」や「ハレ」ばかりを追い求めることは許されない。反対に「ウラ」や「ケ」があってはじめて「オモテ」や「ハレ」があるのである。「オモテ」や「ハレ」ばかりを追い求める人はいずれかは「ウラ」や「ケ」の壁にぶち当たることになる。そして、「オモテ」や「ハレ」と思っていたものが、ただの普通のくだらないものに成り下がってしまう。そこにはぬるま湯に首までどっぷり浸かって周りに甘え依存しきった赤ん坊みたいな生き方しか見えない。


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