自分が特別である意味

自分が特別であることを確認するためには、何かと比較することが必要である。

　その比較するものは、自分以外の他人である。しかも、他人は通常不特定多数を対象とする。あるグループが特別であって、自分がその中にいるとしても、特別を目指す人は、そのグループの中での特別を目指す。常に周囲の他人を意識しているのが特別を目指す者でもある。そして他人との比較において自分を特別な者として認識することにより自分を特別視し、そのような状態を目指して一生懸命努力することになる。

特別を嫌がって他人と同調することを目指す人は、

　結局は、自分の特別な部分をなくそうと努力する。よく考えてみると、もともと自分は特別なのである。特別が何もなければ敢えて無理に他人に同調させる必要はないはずである。何が特別なのかも明確ではないが、とにかく他人との比較において特別な部分を他人に合わせようと一生懸命努力していることになる。それでも自分の特別な部分は残って、最終的にはやはり自分は特別なのである。

特別を目指す人も目指さない人も、

　不特定多数の他人に振り回されていることになる。自分自身と不特定多数とどちらを重要視するかは明らかだと思う。当然「自分自身」である。まずは特別な自分自身が存在して、その周りに不特定多数の他人が存在しているのである。いくら人間が社会的な動物であると言っても、そのことに何も変わりないと思う。そこを出発点にして考えればいろいろな悩みが解決できるのではないかと思う。

不特定多数の他人を無視するわけではない。

　不特定多数の個人も同じ考えを持っているのである。また、不特定多数の個人もそれぞれにもともと特別な存在なのである。自分より上でも下でもないし、自分と同じでもない。その特別な存在をお互いに主張し合えばいいのである。そして、お互いが切磋琢磨することによりお互いがより良い状態へと向上してゆくのである。他人に同調するわけでもないし、他人を無視するわけでもない。

他人を参考にこそすれ自分は自分である。

　最終的に高めてゆくのは自分なのである。たとえ、自分が特別であったとしても、さらに上を目指すためには、不特定多数の他人の存在は重要なのであり、自分だけが特別だと思い込んでいるのは狭い料簡に過ぎない。他人に自分を合わせようとしている人は、自分に自信がないのであり、もともと本来自分が持っている特別なものを殺しているだけである。大いに特別なものを大事にして主張すべきなのである。

自分の持つ特別なものは大切にしたいものである。

　自分を見つめなおすことでもあり、他人を見つめなおすことでもある。決して自分と他人を比較することでもないし、自分を他人に同調させることでもない。善いものは自分の中に取り入れ、悪いものは排除してゆかなければならない。その進む方向により良い自分が実現できる。一人一人にしてみれば、それはお互い様であり、その社会性の中で人間は成長してゆく。優越感や劣等感や妬みや僻みやいじめや虐待なんて歪んだ競争心であって、本当の求めるところではない。淡々と生きようではないか。