地球防衛軍エリートの心の闇

 必殺の0,1秒に登場した参謀本部所属のヒロタ隊員は射撃の名手で、
ソガのライバルである。
 射撃大会で予想通りソガと同点決勝に持ち込み勝ったものの、実は
ペガ星人の手助けを受けての事だった。
 ただ彼は前夜‘優勝できるなら友達を裏切っても、悪魔に魂を売っても
いい’と言っていたらしい。
 それをペガ星人から叶えてもらったのだから、星人の言う事を聞かざるを
えない。
‘星人の助けを借りての優勝’という事がバレると、プライドの高いヒロタに
とって屈辱以外の何物でもなくなる。

 そして自分の陰謀に気付いたソガを捕らえ、星人の円盤に連行して拘束
し強制催眠をかける。
‘俺は絶対そんな催眠術にはかからん、かかってたまるか!’と抵抗する
ソガを見つめるヒロタの目が、心なしか自責の念に包まれている感じが
する。

 リヒター博士暗殺計画に失敗し、博士を人質に取ったヒロタは追いかけて
きたソガに拳銃での決闘を申し込む。
 ここで重用なのが、ヒロタは博士を殺すように洗脳されていたはずだ。
 にも拘らず博士を人質にソガに決闘を申し込んだのは、ヒロタ自身の自責
の心があり‘純粋にソガと雌雄を決したい’という気持ち以外に、例えソガに
勝って博士を暗殺しても‘裏切り者’の汚名を背負って生きるのにはプライド
が高すぎた。 

 もっともプライドが高いからこそ‘悪魔に魂を売ってでも優勝したい’という
心の闇に支配されたのだろう。
 自分の功名心のためにプラスチク星人にマグマライザーを乗っ取られ、
多数の犠牲者を出してしまったアオキ隊員と同じような感じである。

 エリートにはエリートゆえの葛藤があるのだ。
 ラストでソガが、ヒロタの遺体の胸に互いの拳銃を交差させて置くシーン
が秀悦だが

‘心の闇など誰でも持っている’

と言うソガのヒロタを悼むセリフが聞こえてきそうである。

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コメント
 
 
 
心の… (ゆう)
2008-06-11 23:55:17
確かに、こーじさんの仰る通りですよねぇ。
先日起きた事件を、訳知り顔で解説する世のニュース解説者や評論家には少し違和感というか何と言うか…。

心の闇なんて誰でもが抱えております。

それを実行に移すか移さぬかの違いだけ(但し、ここには大きな隔たりがあると言うのは言う迄もありませんが…)で、誰もが不安に苛まれていると言う事は否めない事実なんでは無いでしょうか?

あ、そうそう。『必殺の~』の話ですよね。
すいません。

『必殺の~』のヒロタ、『栄光は~』の青木、
そして『ひとりぼっちの地球人』の一の宮には何となく、同じ匂いを感じましたねぇ。
 
 
 
さすがです! (こーじ)
2008-06-12 22:58:50
>ゆう様
 そう‘必殺の0,1秒’のヒロタや‘栄光は誰れのために’のアオキ、‘ひとりぼっちの地球人’の一宮など
天才ゆえの心の闇を侵略者に利用されるEPですね。

 実際に某真理教の幹部なども、このパターンですよ。
 
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