闘い、守った尊厳=感動呼んだ五輪開会式―モハメド・アリ氏死去
今日の昼過ぎに元世界ヘビー級王者のモハメド・アリが亡くなった
というニュースが流れていた。
今日のスポーツ紙に呼吸に関する問題で入院したという記事が載って
おり、別のメディアでは人工呼吸器を装着しているような記事もあった
ので元々パーキンソン病を患っている事から‘そろそろヤバいのか’と
思っていたから驚きはしないのだが・・・・
モハメド・アリはローマ五輪のLヘビー級金メダリストでありプロ
入りすると世界ヘビー級タイトルを3度獲得して通算19度防衛した
だけでなく、人種差別に反対して徴兵拒否をしたためライセンス剥奪
の憂き目に遭い全盛時にブランクを作るなど社会的にも影響を与えて
いた。
カシアス・クレイと名乗っていた時代から大口を叩くなど‘ホラ吹き
クレイ’と呼ばれていたし、金メダルを取ったものの人種差別を受けた
ため金メダルを川に捨ててプロ入りしたなどというエピソードには事
欠かない。
本職のボクシングでも技術的には単なるパンチ力自慢的なところが
あったヘビー級において‘蝶のように舞い、蜂のように刺す’といわれ
るスピードとカウンターを持ち込み‘スピードとリズムはパワーに勝
る’という価値観を決定付けた。
またわざとロープに詰って打たせて消耗させカウンターを打ち込んで
倒す‘ロープ・ア・ドープ’や強固にガードを固めて前進する‘ロシア
タンク’などの戦法も考え出しており、特に‘ロープ・ア・ドープ’は
当時としては高齢の32歳で無敗のジョージ・フォアマンをKOして王
座に返り咲くキンシャサの奇跡を呼び起こしたとして有名だ。
以前ジョー小泉氏がボクシング讃歌の中でアリがボクシング界へ貢献
したのは非ボクシングファンをもボクシングに引き付けた事や、昨年フ
ロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオ戦に代表されるメガファ
イトの礎を築いた事に先述したような打たせずに打つスピード&テク
ニックによる戦いを主流にした事など。
大口叩きや徴兵拒否ゆえ私の祖父の世代をはじめ一部の層からは
決してよくは思われなかったが、今では殆どが賞賛の声というのも
アリの功績を物語っている。
惜しむなくは晩年にカムバックしてラリー・ホームズ戦やトレバー
・ バービック戦という余計な2試合をやったダメージが原因でパーキン
ソン病を患ったとされており、それゆえ不自由な生活を送っていたもの
のライバルのケン・ノートンやジョー・フレイジャーよりも長生きして
いるのだ。
これでヘビー級黄金の70年代を彩った4人のうち残るはジョージ・
フォアマンのみになったわけで、70年代も遠くなったと実感するもの
である。