野球は五輪に執着するべきでない

パリ五輪、野球ソフトや空手落選　追加種目の候補を発表

　先日2024パリ五輪の追加種目候補から野球が除外された事が国
内では波紋を呼んでおり、特に野球関係者からは相当ショックだと
いうコメントが並んでいた。

　正直言って個人的にはこれまでの経緯から見て野球の復活は東京
限定だろうと考えていたから‘やっぱり’という思いの方が大きい
わけで、とりあえずWBCがあるから五輪に拘らなくてもいいので
はと思っていた事から‘何を今さら’という感じである。

　そもそも五輪種目というのはプロとして興行できない競技を総合
大会として行う形になっており、サッカーやテニスにゴルフなどは
W杯優勝や賞金王などの方が金メダルよりも価値は高いわけで必ず
しも五輪種目でなくてもいいしレギュラーシーズンを中断してまで
参加する必要もない。

　ご存知のように野球は北中米アメリカ圏と東アジア&オセアニア
ではメジャーではあるものの、ヨーロッパを含めた他の地域では道
具代の負担やルールの難解さから普及は難しいものがあった。

　だから92バルセロナで正式種目になってから5大会16年もの
間に残念ながらヨーロッパやアフリカで普及しなかったし、アメリ
カや日本のトップも野球の普及に関してはそこまで熱心ではなかっ
た感が強い。

　しかもMLBは五輪に選手派遣をしないわけだからIOCの役員に
対するイメージも悪く、日本だけが東京のようにレギュラーシーズ
ンを中断してプロが参加しても歯牙にもかけられないだろう。

　最近はIOCもサマランチ時代の膨張策が開催国の経済的負担に
なるという事から種目だけでなく参加人員の削減に舵を切っており、
そのあおりで東京の野球も参加国が北京までの8から6に減らされ
ているのだから6カ国参加の大会で優勝して喜べるかという感も強
かったのだ。

　幸いにして野球の場合は運営的に不満はあるもののWBCという
国別対抗の大会があり参加国も多いしMLBの選手達も参加しやす
いのだから、IOC役員に尻尾を振って何かと制約の多い五輪にし
がみつくよりもWBCのグレードを上げる方に専念した方がいい
のではないかと思うのだが。