「ドカベン」完結へ…46年間、断続的に連載
先日のスポーツ紙に野球マンガの名作・ドカベンが、今月一杯で
連載を終了するという記事が載っていた。
作者の水島新司氏は既に79歳との事で年齢的にも厳しくなって
いるのは分かるし連載開始が72年だから足かけ46年にもわたる
ので‘長い間ご苦労様’と言いたい反面、個人的にはドカベンは
高校野球編で十分だし長く続け過ぎたという感も拭えない。
思えばドカベンの連載が始まった70年代は梶原一騎の巨人の星
や侍ジャイアンツだけでなくアストロ球団のような○○魔球や○○
打法といった荒唐無稽な作品が多い中で、ちばあきおのキャプテン
のようなリアル感の強い野球マンガが登場しており派手な魔球など
登場させなくても十分に面白い事が証明された。
梶原一騎系の野球マンガは投手が主人公だったのに対して当時と
しては地味だったキャッチャーが主人公という画期的な設定だけで
なく、主人公を取り巻く岩鬼正美や里中智に殿馬一人らのキャラが
生き生き活躍するというのは珍しかった。
後から聞いた話だが梶原一騎は野球のルールをロクに知らなかっ
たので投手と打者の一騎打ち的な内容の野球マンガが多かった中で、
ドカベンをはじめとした水島作品はルールの盲点を突いたプレーの
話などがあり読んでいて大いに勉強になったしダイヤのAをはじめ
今の野球マンガの作者は野球に精通してないとダメという概念を持
ち込んでくれていた。
ドカベンが最終回で終わった後も球道くんや一球さんら他の作品
の登場キャラを集めた水島高校野球マンガの集大成である大甲子園
が引き続き連載され、最終的に明訓が優勝し山田太郎達の3年夏が
終わって高校編が終了し大団円と思いきやプロ野球編が始まったの
には驚いた。
山田がライオンズで岩鬼がホークスなど、水島高校野球マンガの
登場キャラがプロ野球12球団に散らばってのプロ野球編だから大
いに話題になったし読んでみたのだが意外にワクワク感がない。
個人的に思うのはドカベンは高校野球のような一発勝負だからこ
そ面白かったわけで、プロ野球のように毎日試合があると負けても
次があるだけでなく登場キャラが多いので山田だけを中心に描くわ
けにいかないから間延びするという欠点もある。
更に01年にイチローがシアトルに移籍してからはMLB的な価値
観が根付くようになった反面、作者の水島氏は決してMLBは好き
ではないとの事だったので価値観の齟齬が出てくる。
基本的に水島作品の終着点は日本一だから高校野球なら日本一を
最終目標にしても悪くない一方、現在のプロでは世界一を目指すと
いうのが最終目標になっているのを考えるとドカベンは20世紀の
高校野球マンガの名作だと思えてしまう。