NYヤンキースの田中将大が右肘じん帯の部分断裂で離脱してから
2週間近くが経ち、これまで多方面から いろいろな原因分析が語られ
ている。
マスコミは直接的な原因をスプリットの投げ過ぎという事にしたい
のだろうが、野茂英雄もストレートとフォークを武器にしていたので
むしろ甲子園の優勝投手が故障するというスパイラルに嵌った形では
ないか。
高校野球に金属バットが導入されて今年で40年目を迎えるのだが
全試合完封した投手は不在で、1失点での優勝投手は74銚子商・土屋
と89帝京・吉岡に92西日本短付・森尾の3人だし いずれも上のカテ
ゴリーでは活躍できないで終わっている。
夏の甲子園の優勝投手がプロで100勝したのは85桑田と98松坂の
2人で、いずれも肘を痛めて手術している。
かつてはエースが中心打者としても活躍するスタイルが中心だった
のでエースに過度な負担を強いる事から上のカテゴリーで活躍しづら
かったのだろうが、桑田がプレーしていた頃のPL学園は清原ら野手
達も充実していたので桑田不在でも優勝できるチームだったし松坂の
横浜も同じ状況だけでなく松坂が3年の春夏の2度しか甲子園でプレ
ーしてない。
にも拘らず桑田が卒業して10年後の95年、松坂も卒業して11年
後の09年から肘に違和感を訴えているので甲子園で投げ過ぎのダメ
ージはあったという事だろう。
ちなみに田中将大は意外にも甲子園での完投は2年春の戸畑戦と、
3年夏の南陽工戦の2試合で残りは継投での優勝だから桑田や松坂に
比べ投げ過ぎという事は無いだろうと考えていたが田中ですら肘を痛
めたというのは問題だ。
以前スポニチの連載で新浦寿夫が準優勝ではあったが6試合を投げ
きった事から腰を痛めたという話や、牛島和彦も3年の春以降は腰を
痛めていたという話が載っていたのを見ると短いインターバルで投げ
続けるスタイルというのは投手に相当なダメージが溜まる事が分かる。
おりしも中学の体育の実技本に‘投手は1試合70球以内で交代する
のが望ましい’と載っていたのを見ると中学ぐらいから球数制限を受
ける投手が続出するだろうし、打力レベルの向上もあって1人の投手
だけで甲子園を目指す事自体が無謀な事だという意識が学校関係者や
投手達にも芽生えてくるはず。
ここまで夏の甲子園の優勝投手が肘などを痛めるという事は短い
期間での5~6試合が投手の肘などにダメージを溜める事を証明して
いるので間違っても予選から全試合完投する投手などが出てもマス
コミは批判こそすれ賞賛だけはやってはいけないだろう。