週刊少年マガジンで連載されているボクシングマンガ・はじめの
一歩が大きなターニングポイントを迎えようとしている。
日本王者となって各国の王者を倒していき世界タイトル奪取への
試金石として迎えた2位アルフレッド・ゴンサレス戦で死闘の末に
KO負けを喫した後、パンチドランカーの疑惑をかけられたものの
杞憂に終わりフィリピン王者のアントニオ・ゲバラとの再起戦を行
うのだがダウン応酬の末にKO負けし再起に失敗する。
問題は試合中に一歩のパンチドランカー疑惑が再燃し一歩自身も
それを認識しているという事。
一歩がアルフレッド・ゴンサレス戦に敗れた後‘次に負けたら引
退’と決意しての試合だったし、会長もパンチドランカー疑惑のあ
る選手には引退させる旨の話をしていたので話の流れからして引退
という形になるのだが…
はじめの一歩の連載は森川ジョージが高橋直人-マーク堀越戦を
見て逆転KOという存在を再認識してという話があるわけで、実際
はじめの一歩に登場する鴨川源治会長は高橋直人の阿部幸四郎会長
をモデルにしているし一歩のライバル宮田一郎は高橋直人がモデル
となっている。
ちなみに高橋直人は世界挑戦の前哨戦となったノーリー・ジョッ
キージム戦で6度のダウンを喫して判定負けした後に、一旦再起戦
を飾るものの次戦でKO負けをし脳内出血を起こしていた事が判明
して引退となっただけでなくパンチドランカーになっていた事も引
退後に自ら告白していた。
それを考えると作者は一歩に高橋直人的な結末を迎えさせるのか
と思ったりするが、その裏には長期連載ゆえの頭打ち感がるのかも
しれない。
はじめの一歩は平成元年の89年に連載が始まってから来年で30
周年を迎える長寿作品だが以前も記したように1試合の描写が凄く
丁寧に描かれているし、一歩の試合だけでなくライバルの宮田一郎
やジムの先輩の鷹村守に青木勝&木村達也や後輩の板垣学の試合ま
でが同じテンションなのだから読者としてはたまらない。
こういった作品の結末は世界王者になるかライバル宮田と決戦を
するのが定番なので、宮田戦が流れた時点で世界を獲った一歩が他
団体王者となった宮田との統一戦という結末になるのかと思ったり
もしていた。
ただ一歩の場合ここ数年は作者急病のため休載や減ページなどが
増え作者の体調が優れないと思わせる雰囲気があるので、先述した
ような結末までに辿り着くのは難しいと判断したのではないかと思
ってしまうのだ。
正直言って あしたのジョーの頃のボクシング界ならばパンチドラ
ンカー症状を圧して試合をするのは違和感がなかったが、選手の健
康管理が厳しい昨今において特にはじめの一歩の世界観からしてパ
ンチドランカーとして認識した時点で終わりに近いと思えてしまう。