パ・リーグCS第2ステージを振り返る

　昨日行われたパ・リーグCSの第2ステージでファイターズが
快勝し、見事に日本シリーズ進出を決めた。
　実は福岡在住でありながら、私的に見てみたいカードだった。
　というのがマリーンズは一昨年ホークスを破ったのと同じ、
ファイターズも昨年ホークスを破ったのと同じシチュエーション
だったのだ。
　通常2位通過で勝ち抜いて勢いを付けて臨むのと、休養十分で
臨むのとどちらが有利かを見てみたかったわけだ。
　昨年の1勝アドバンテージがない代わりに全試合ホームゲーム。
　またマリーンズは小林宏、成瀬の2枚看板がG1で使えなくても
久保や渡辺、小野、清水など使える投手は多いし、打線は上。
　一方投手陣が看板のファイターズは、休養十分のためベストコ
ンディションで臨めるので大いに楽しみだった。

　一昨年のマリーンズは、試合カンの戻らないホークス相手に連
勝して優位に立った。
　しかし今年はG1で2回にマリーンズが1点先制するが、その裏に
集中打で4点を挙げて逆転し5－2で完勝。
ただダルビッシュが完投しているのでG5にもつれた場合、中4日で
どうだろうか？と思った。

　G2は先制された直後の2回に2本のHRで流れを戻したマリーンズが
8－1で圧勝。左のエース・武田勝を攻略し、小林宏がホークスとの
第1ステージでKOされた汚名返上した形になる。
　鍵を握るG3はグリンー渡辺のマッチアップ、ただドームで勝てな
い渡辺のジンクスが出てしまい6回まで1－0の緊迫した試合が7回に
2点目が入って、マリーンズの気持ちが切れた形で一気に6点を挙げ
7－0で王手をかける。
　
　ここで王手をかけられたマリーンズは、中4日の防御率1位投手の
成瀬ではなく小野を登板させる。
　一種の賭けだったが、小野がピンチを迎えながら踏ん張り1点に
抑える。マリーンズもスウィーニー相手にチャンスを作りながら
点が取れず嫌なムードだったが、先制された直後に代わった武田勝
から里崎が逆転2ランを放って流れを戻したのだ。
　9回にもマイケルを打ち込んで3点追加し勝負を決めた。

　実はヒルマン監督は’G4で決めたかったのではないか’と思う。
　というのがG5は成瀬が中7日と万全な状態で登板するのに対し、
ダルビッシュがG1で完投したのに中4日で登板するのだ。
　王手をかけてから決め損ねた上に中7日の成瀬が登板して来る
のだから、G4で決めたかったはずだ。
　そうでないとリードされていながら、武田久ーマイケルという
リレーはしないだろう。
　
　そして中1日空けて迎えたG5だが、ダルビッシュがそれなりに
だったのに対し成瀬は立ち上がりは好調だったものの2回に不調
だったセギノールからヒットを打たれ歯車が狂う。
　2アウト後に小谷野のレフトオーバーで、セギノールが還れず
無得点だった時は成瀬にツキがあったと思えた。
　しかし3回に1アウトから森本が歩き2アウト後、稲葉の止めた
バットに当たった打球が内野安打になる。続くセギノールは、
2－3から打った打球はセンターに飛びセンターフライかと思われ
たもののオーバーフェンスする先制3ラン。
　これでほぼ勝負は決まった。
　気持ちの切れた成瀬は4回に鶴岡からセンターオーバーを打たれ
4失点で降板。その後、小林宏から2点を奪い6－2で逃げ切った。
　
　貧打と言われたファイターズだが、4安打に抑えられたG2以外は
G1とG3では13安打、G4、G5でも11安打を放っているのだ。
　特にチャンスで畳みかける集中打は見事だった。
　この集中力こそチーム打率が低くても優勝できた要因だろう。
　そして、この畳みかける集中打を呼び込んだ力こそ札幌ドームを
埋めた満員の大観衆に違いない。
　やはりホームアドバンテージは存在したし、地元ファンだけで
満員にできる札幌・千葉・福岡の3チームがクライマックスシリーズ
に残ったのは必然だったのだ。