貴景勝に求められる‘もう一工夫’  

 無観客で行われた今年の大相撲春場所が終わり11勝4敗だった
関脇・朝乃山が場所後に大関昇進を果たした一方、唯一の大関・
貴景勝が千秋楽で朝乃山に完敗した事で7勝8敗という成績に終わ
り来場所は2度目のカド番大関になる。

 春場所では横綱の白鵬が鶴竜との千秋楽相星決戦を制して44回
目の優勝を飾ったとはいえ両横綱とも30代半ばを迎えるため、衰
えてもレベルアップするのは厳しいので20代の大関の誕生が熱望
されていたので朝乃山の大関昇進は待望だが気になるのが貴景勝
の元気のなさ。

 今場所の貴景勝は確かに千秋楽に敗れて負け越したわけだが、
それよりも気になるのが元気のなさ。

 もともと貴景勝は典型的な押し相撲だし徹底的に押しに拘って
いるようで、昨年の暮れにOAされた大相撲この1年でも‘押しに拘
っていきたい’と語っていた。

 ただ今場所の相撲を見ていると押しに拘るのはいいがマワシを
取っての相撲は考えてないかのような戦いぶりで、相手からマワ
シを取られるとなす術ないという形で敗れる姿が目に付くのだ。

 これが三役格力士ならマワシを取らずに勝つ事に拘る姿勢は個性
として悪くはないのだが、年齢的にも将来 横綱を狙える貴景勝が
マワシを取られたら勝てないスタイルで戦うのは厳しいものがある
と思う。

 かつて速攻相撲を得意としていた横綱・柏戸は押し一本のスタイ
ルに対し度々うっちゃりを食っていた事から多くの親方衆が四つ相
撲を取る事を勧めていた中、師匠の伊勢ノ海親方は長所を伸ばす方
針で押しに拘らさせ大関&横綱に昇進している。

 ただし柏戸は押し中心の速攻相撲ではあるがマワシはしっかりと
取っていたわけで、貴景勝のように自らもマワシを取らないという
スタイルは珍しい。

 正直言って自分がマワシを取らないスタイルは個性だから悪くは
ないと思うものの、相手からマワシを取られたら終わりでは大関と
して困る。

 春場所も好調だった合い口の悪い御嶽海に負けるのは仕方ないが
他に負けた相手の春場所の成績を見ると阿炎以外は全員勝ち越して
いる一方で、鶴竜と朝乃山に御嶽海以外は8勝7敗でギリギリの成績
だったし特に大栄翔など初日からの3連敗から貴景勝に勝った事に
よって勝ち越したのだから何とも勿体ない話。

 そういう意味で押し相撲に拘るのはいいがマワシを取っての押し
相撲も修得する時期に来ているのではないかと思うし、それができ
ないと横綱どころかカド番を行ったり来たりするようになってしま
うのではないかと危惧するものである。

 

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