稀勢の里の新横綱優勝は、「甘い昇進」批判を打ち消す“特効薬”になった
先週の日曜日に終わった大相撲春場所は新横綱の稀勢の里が13日
目の日馬富士戦で破れただけでなく、左腕を負傷し休場すら噂され
た状態から千秋楽に照ノ富士に本割と決定戦で連勝し新横綱として
の初優勝を飾った。
それにしても稀勢の里という力士は期待を裏切ってくれると実感
する。
11年前に新三役に昇進して叩き上げ力士という事もあり大関はお
ろか横綱にも近いうちに昇進するのではとファンは期待したのだが
大関に昇進したのは4年半後の12年で、そこから横綱昇進まで更に
5年かかり横綱の白鵬や日馬富士に鶴竜らにも先に昇進されるなど
期待を裏切り続けて来た。
横綱に昇進するには優勝が必要不可欠なのだが毎場所のように
優勝争いに加わるものの、ここ一番で悉く敗れて優勝を逃す場所
が続きファンをイラ付かせた。
当時は日本出身力士の優勝が10年途絶えていたわけだが、この
状態に風穴を開けたのは意外にもライバルだった琴奨菊。
昨年の初場所に琴奨菊が優勝した事から刺激を受けたのか春&夏
場所で優勝争いを演じるものの、ここでも勝負弱さをいかんなく
発揮して優勝を逃す始末で秋場所では遂に10勝止まりで今度こそ
綱取りのチャンスはなくなったかに思われた。
ところが今年の初場所で優勝し、あっという間に昇進したのだ
から一部のファンからは九州場所の準優勝成績が優勝争いをして
ないのに…という声もあったのだ。
しかし期待を裏切って初場所で優勝し場所後に待望の横綱昇進を
果たした今場所は新横綱ならではの行事に忙殺され調整不足だろう
から今場所は優勝争いさえすればと思っていたら、プレッシャーも
なんのその快調に勝ち続け12日目まで12連勝を飾る。
一方の白鵬は途中休場し日馬富士や鶴竜らの横綱も優勝争いから
脱落しているので独走で上手くいけば全勝優勝もと思われていた13
日目に日馬富士から敗れただけでなく、左腕を痛めて救急車で搬送
され14日目には鶴竜からいいところなく敗れたし照ノ富士が1敗を
キープしていたので星の上でも逆転を許す事になり手負いの状態で
千秋楽に連勝するのは至難の業だと思われていた。
ところが本割で勝って決定戦に持ち込んだだけでなく決定戦でも
勝ったのだから凄い事だし、これぞ横綱という面目躍如で大関まで
のウィークポイントだったここ一番での勝負弱さが消えていたのだ
から驚く。
やはり横綱の地位というのが稀勢の里を更に強くしたのだろうか
と思うのだが、白鵬の衰えや日馬富士や鶴竜の安定感のなさを考慮
すると今さらながら稀勢の里が横綱に昇進していてよかったと実感
するのだった。