市川森一作品の魅力を初めて感じたV3から来た男

　50年前の67年12月24日にOAされたのはウルトラセブン13話
V3から来た男。

　登場する宇宙人はアイロス星人だがセブンと星人の戦いは付け足
しのようなもので、キリヤマ隊長の士官学校時代の同期生・クラタ
隊長が登場し固い男の友情が描かれ個人的には最終回を除けば好き
なEPの中の5本の指に入る名作だ。

　エリートで沈着冷静なキリヤマと現場叩き上げで熱いクラタとい
う対照的な2人が久しぶりに手を組んでアイロス星人の円盤と戦い、
見事なコンビネーションで星人の円盤を撃墜するのだが星人の円盤
から撃墜され戦死した部下達へのクラタの想いが見事に現されてい
る。

　このEPの脚本は快獣ブースカでデビューした市川森一がウルトラ
シリーズで初めて担当した作品で、宇宙ステーションの隊長という
設定は後の帰ってきたウルトラマンでもベムスターから捕食される
MATステーションの梶隊長という形で同じく南廣が演じていたし
ウルトラマンティガでも京本正樹が宇宙ステーションのハヤテ隊長
として南廣キャラを継承している。

　ちなみにこの2つは市川森一が共に途中参加した最初のEPで、
妙にインパクトが強かった。

　市川森一の単独作品はウルトラセブンで5本だがキリヤマとクラ
タのコンビは35話のザンパ星人編でも復活しているし24話のカナ
ン星人編はフルハシ、29話のプロテ星人編ではソガを37話のマゼ
ラン星人編ではダンを完全な主役としてバックボーンを掘り下げた
作品になっている。

　後に大河ドラマをはじめ名作ドラマの脚本を手がける市川森一の
作品をウルトラで味わえたのは、そういう意味ではラッキーだった
と思うのだ。