お客さんと先日62歳で亡くなった藤圭子の話をしていて印象に残ったのが
‘よく あんな暗い歌がヒットしたな’という事。
たしかに暗く陰鬱な歌が多く今ならヒットは難しいだろうが何事も時代の要求と
いうのがあるわけで、60年代後半から70年代前半の昭和40年代は こういう
歌が受けた時代という事だろう。
実際に怪奇大作戦5話の劇中で歌われた死神の子守唄も同じく陰鬱な歌で、
後年ビデオでコレを聴いた時には驚いたものだ。
死神の子守唄は歌手の高木京子が歌ったヒット曲で劇中で起こる殺人事件は、
この歌詞に見立てて行われていく。
実は高木京子は戦時中に体内被曝の影響で白血病を患っているため兄である
天才科学者の吉野貞夫が白血病を治す事ができる放射線・スペクトルG線の
開発に着手し人体実験を強行していた。
スペクトルG線を出すには原爆以上の熱量が必要なのだが吉野は それを冷凍
化の方向で実用する事を思い付き、動物実験を行った後に通り魔の如く若い
女達をスペクトルG線を放射する冷凍銃を使っていたので被害者はみな瞬間的に
氷漬けになっていたのだ。
この歌を聴くと‘こんな歌が本当にヒットしていたのか’と思うぐらい陰鬱で
絶望的な歌詞ではあるが、藤圭子の歌は この系列にあたるので この時代なら
ではの歌だったのかと実感してしまう。