予算をかけられないからこその人間ドラマ

 昨日BSプレミアムでOAされた4Kリマスター版ウルトラセブン
24話・北へ還れはフルハシ隊員の物語で、北極圏に灯台型の基地
を作り上空を通過する飛行機の衝突事故を誘発させるカナン星人
が登場しモロボシ・ダンが差し向けるウインダムを狂わせて最終
的にセブンと戦うといった内容だ。

 結果的にウインダムのコントロールを切られた星人はロケット
で逃走するが、セブンが追いかけてワイドショットで撃破して終
わるわけでセブンの活躍場面はほとんどない。

 このEPを担当したのは市川森一で当時の円谷はマイティジャッ
クの製作もしており、メインライターの金城哲夫らの手が空かな
かった事から若手ライターの上原正三や市川森一がセブンの脚本
を担当する形になっていた。

 ところがSFメカものというのは予算がかかるため上原&市川脚
本に要求されたのは予算をかけずにいい作品を作るというものだ
から、市川森一作品はアイロス星人やペテロとの岩場や月面での
戦いやプロテ星人戦のような暗闇の中の戦いなどセットの建物を
ガンガン破壊するシーンはない。

 さらにカナン星人編は星人と戦うよりもウインダムとの戦いが
主に描かれているし、盗まれたウルトラアイでは弾道ミサイルが
飛んでくるだけという内容だ。

 一方で上原正三作品もデパートで戦うチブル星人編やシャドウ
マンが暗躍する侵略する死者たち、また恐竜戦車編なども大規模
セットがなかったりスーツの頭を取り換えながらの敵キャラが登
場するなど予算をかけずに済むEPが目立つ。

 とはいえ予算がかけられないからこそ人間ドラマを重要にする
わけで、それがあるからこそセブンが大人の鑑賞に堪えられる作
品という事になるわけだ。

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