カナダで開催されたサッカー女子W杯はアメリカの優勝で幕を閉じた
のだが、ファイナルで日本に5-2で勝った試合の流れを手繰り寄せた
のは開始3分にCKからカーリー・ロイドが走りこんで決めたゴールと
いう意見に異議はないだろう。
アメリカの高さを警戒していた日本のDF達にとってハイボールで来る
と思っていたところに後から加速してのシュートだから意表を突かれた
のは間違いないし、最初のCKでロイドに あんな位置から走りこまれると
ファウル以外で止めようがないのも事実。
ロイドは172cmの長身で突破力も素晴らしい事からスピードに乗ら
れるとファウル以外で止めるのは難しいため、スピードに乗る前に
止めないといけないのだが あれだけ下がられるとDFのマークも付き
づらいしシュートシーンでは当然ながら加速してスピードに乗って
いる。
このプレーを見て思い出したのがアメリカンフットボールのIフォー
メーションだ。
ラン攻撃で確実に数yd稼ぎたい時にRBが縦1列に並びエースRBが
最後尾に位置し最も加速した状態でボールを貰い、ゲインラインを突破
するというプレーである。
つまり体格に勝るロイドがグランダー気味に転がったボールを加速
して、ピンポイントで合わせシュートに持ち込むのと似ている。
似たような例ではラグビーでフルバックがBKのライン攻撃に参加
する事で最も加速しているためゲインラインを突破しやすくなって
いるし、バレーボールでも相手ブロックを破るのに勢いを付けて打
ち込めるバックアタックというのも同じ原理だろう。
84ロスまではバレーボールの世界ではアメリカの存在は日本など
強豪国にとって確実に勝たないといけない相手だったが、アメフト
のノウハウを導入したアメリカが本気で勝ちに行き始めると あっと
いう間に実力を付けて日本よりも世界ランキングでは上の相手に
なってしまった。
つまりバレーにも‘大よく小を制す’アメフトのノウハウを導入
しアメリカチームを強化したわけで、これがサッカーにも普及した
という事になる。
ところが日本では各競技団体の上層部同士が仲が悪いためか、
それぞれの競技団体は他の団体との交流が殆どなく意見交換も
できない縦割り行政の典型である。
欧米では夏は野球に冬はアメフトとシーズンにより複数の種目を
こなすケースが多いので、自然と競技団体の上層部同士の風通しも
よくなり種目の垣根もないから他の種目の技を強化のヒントにする
など多々あるのだ。
こういうところは日本も どんどんマネするべきだと思う。