内田英雄文 古事記あらすじ18①
第六章国譲り
㈤お諏訪(すわ)様
大国主命には多くのお子さまがありました。その中で特に優れているのは、のちに恵比寿さまと呼ばれる事代主命(ことしろにしのみこと)とその弟で、お諏訪さまと呼ばれる建御名方命(たけみなかたのみこと)でした。
ある時大国主命はお二人をお呼びになって、一生懸命私の仕事を手伝ってくれるので、何か褒美を取らせようと仰せになりました。
すると元気者の建御名方命は日本一強い力を、事代主命は知恵が欲しいと仰いました。大国主命は満足そうに微笑んで、そなたたちが毎日働いているうちに、その力がつくようにしてあげようと、仰せられました。
しかしその後真面目な顔になり、もし高天原の神々に逆らうようなら、その力も知恵もたちまち消えてしまうぞ。と仰せられました。数年後お二人は望み通りになっていました。
御兄さまの事代主命は素晴らしい知恵を身につけ、なんでもひと言で解決してしまう、一言主命(ひとことぬしのみこと)と人々にあがめられるようになりました。建御名方命はたくましい力を用いて、人々のためになる仕事をなさいました。
㈥一大事
今日も今日とて建御名方命は、一人で山の中に入って働いておいででした。そこに召使が息せきって走ってきました。
その日はいい天気で伊佐那の浜には大勢に人が出ていました。するとはるか沖合から鳥の形をした美しい小舟が近づいて来ました、舳先には強そうな一人の神様が、こちらをにらんでいます。見知らぬ神様は岸につくと「大国主命を呼んで来い」と叫びました。
やがて大国主命がおいでになり、見知らぬ神と二人で何なら話し込んでおられます。このときお兄上様は小舟を浮かべて、一人静かに釣りをしておいででした。
すると見知らぬ神は、今度はお兄上様の方に行き何か話しあいました。お兄上様は丁寧にお辞儀をなさいました。するとお乗りになっていた小舟にみるみる柴が生えだし、お兄様の御姿をかくしてしまい、海の向こうのほうに行って見えなくなったと、いうのです。
これを聞いた建御名方命は、急いで浜辺に下っておいでになりました。
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