草むしりしながら

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台風一過 夏毛の猫

2018-07-04 21:55:30 | 猫自慢
 台風一過の青空が広がった。家中の窓を全部開け、溜まった洗濯物を物干し竿に吊るした。湿った部屋の中を、カーテンをゆらしながら乾いた風が吹きぬけた。ぬけるような青空から夏の日差しが容赦なくてり照り付け、緑色の葉を茂らせた柿の木の下に濃い影を作った。
 昨日の台風で倒れたアーチを元に戻し、ついでに草むしりをしよう。張り切って庭に出たのだが……。梅雨の曇り空になれた体は夏の太陽の下で、悲鳴をあげ早々に柿の木の下に避難した。キラキラと揺れる、木漏れ日が美しい。
 ふと気が付くと猫ハナコが足元に座っている。確か朝ごはんを食べると、どこかにふらりと行ってしまったはずなのに。ハナコは毎年夏になると、昼間はどこにいるのか分からなくなる。たぶんどこかで昼寝をしているのだろう。そして夕方涼しくなると、ひょっこり姿を現すのだ。
 たぶんハナコが寝ているところが、家の中で一番涼しいのだろう。一度家中を探したことがある。床下までも探したが、どこにも見つからなかった。ハナコの秘密の場所、いつかは突き止めてみたいような、そっとしておいてやりたいような。
 長靴履きの私の足元にチョコンと座って、熱心に毛繕いをしている。ハナコはきれい好きでオシャレなのだ。
「銀色夏毛」夏毛の猫は体もひと回り小さく見え、毛の色も濃く見える。首から腹にかけての白毛は透き通るように白く、背中のサバ柄模様が光の加減で銀色に輝いて見える。
 木漏れ日の下は涼しいし、猫は銀色に輝くし、夏もまんざら捨てたものじゃ無い。なんて思っていたら、梅雨なんてまだ明けていなかった。明日は所により大雨、しばらくはぐずついた天気が続くもようだって。
 気のせいか風が湿って来た。早く洗濯物を取りこまなくては。勘違いの夏の一日だったけど、夏毛の猫の美しさだけは間違いない。
 あれ、どこに行ったのだろう。夜も更けたころ、ハナコがどこかに行ってしまった。さっきまでそこにいたのに。銀色夏毛をなびかせながら、こっそり外に出て行ってしまった。きっと夜中にネズミのお土産を持って帰って来るに違いない。

 

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