草むしりしながら

読書・料理・野菜つくりなど日々の想いをしたためます

満月の夜に

2020-04-10 08:49:45 | 草むしりの幼年時代
夜空にぽっかりお月さま、昼間みたいに明るいね
優しい光が不安な心を癒してくれる。優し光が子どもの頃に戻してくれる

遠くから父の声が聞こえて来た
目をつぶって、耳を澄ませてごらん。ほらやってきたよ

コンコン 誰かが窓ガラスを叩いた
「来た」窓の外には大きな亀がいる
「さあ、行こう」
いつの間にか姉はピピリに私はマウイになっていた

冒険旅行の始まりはじまり
ピピリとマウイの冒険旅行だ
亀は背中にピピリとマウイをのせ、ゆっくりと浮き上がると、夜空を泳いでいく
優しい月の光が亀と二人の子供を照らしている。
今夜は何処にいくのだろうか
どんな冒険が待っているのだろうか

うん、気がつくと朝になっていた
どんな冒険したのかな
覚えているのは亀に乗って夜空を飛んだことだけ
お月さまがきれいだったことだけ

なんだって。あんな大冒険したのに、覚えてないのか
父のわざとらしい声を思い出す。

子どもの頃はよかったな
子どもの頃に戻りたいとは思わないが、せめてひと月前に戻れたら……。
戻りたいけど戻れない
何か役に立ちたいけど、何もできない
できることは家にいるだけ
それが今一番役に立つこと
家にいよう

亀に乗って夜空を飛んだ、冒険の続きを思い出してみよう。


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