草むしりしながら

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面倒くさいの文化

2023-04-05 10:38:17 | 草むしりの得意料理

面倒くさいの文化

 昨日のNHK NEWS おはよう日本で、長野県の「おやき」の特集をしていました。なんでも小麦粉を麺にするのは面倒くさいから、練った小麦粉でおかずを包んで、囲炉裏で焼いて食べたそうです。それがお焼きの始まりだとか。この面倒くさいが、お焼きという郷土料理を後世に残すことになったのですね。 

 当地ではあきれた調理方法の郷土料理があります。この料理も面倒くさいからという理由で、こんな調理方法になったのかしらと、ふと思ってしまいました。   

 ニガウリとナスを油で炒めて作るこの料理は、昔からこの地で暮らす人たちには「おらんだ」と呼ばれて愛され続けています。

 作り方はいたって簡単で、ナスとニガウリを切って油で炒めます。その時の野菜を炒める音をご当主さんが雨の降る音と勘違いしてしまい「おい、雨だぞ!」とおらんだ(叫んだ)ことから「おらんだ」になったといわれています。本当でしょうか?

 さてナスとニガウリを炒めた後、だし汁と味噌を加えてグツグツ煮立て、その上に水で溶いた小麦粉を流しこみ、かき混ぜながらトロミをつけて完成です。

 まあナスとニガウリのみそ仕立てシチュー風と申しましょうか。すいとんにでもするつもりが、粉をこねて団子にするのが面倒くさくて、粉を水で溶いてたらたら流し込んだ。そんな感じがしないでもありませんが、そのルーツは定かではありません。

 とにかく究極の面倒くさがりやの料理ですね。そのうえ小麦粉の溶き方が独特です。どんぶり鉢に小麦粉と水を入れて、箸でぐるぐるとかき混ぜるのです。出来上がったものは当然ダマになりますよね。ホワイトソースが失敗した時みたいに。

 ところが昔の人はその固まった所がおいしいっていうのですよ。なんという恥ずかしい作り方でしょうか。おまけにニガウリが入っているから当然苦いのです。子供の頃はおいしそうに食べている母を見るも嫌でした。

 だから改めて食べたのも四十代になってからでした。本当に美味しいのか?と半信半疑で食べてみると、意外に美味しかったです。「ああ、わたしもここの女子氏(おなごし)になったなぁ」と感じました。

 作り方を説明する時には、まだちょっと恥ずかしいのですが、おらんだは当地が誇る郷土料理だと胸を張って言えます。

 長い文章になってしまいました。ただ究極の面倒くさがり屋の料理と紹介していたしましたが、、その背景には夏の過酷な農作業があります。是非そのことも知っていただきたいのですが、今日はこの辺で……。



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