草むしりしながら

読書・料理・野菜つくりなど日々の想いをしたためます

草むしりの「幼年時代」その9

2019-01-28 13:53:30 | 草むしりの幼年時代
蜂蜜

 霜焼け体質ってあるのだろうか。同じ姉妹でも姉は何とも無かったのに、私は冬になると手は霜焼けができ、唇もカサカサになって困っていた。手の霜焼けは手袋をすると治っていたが、唇の方はそうはいかない。

 最初カサカサになった唇が、すぐに口紅を塗ったように真っ赤になってざらざらに乾いてくる。舌で舐めるとその時はいいのだが、すぐにもっとざらざらになる。しまいにはぷっくりと腫れて、唇が切れて血が噴き出していた。

 そんな時は決まって父がハチミツを唇に塗ってくれた。舐めたらダメだよと言われたのに、甘いのですぐに舐めてしまう。何度も塗っては舐め、塗っては舐めを繰り返しているうちに、荒れた唇はもとに戻っていた。

 今みたいにリップクリームの無い時代だった。蜂蜜を塗ってくれるのは、決まって父だった。蜂蜜の入った瓶を持って、務めから帰ってきた父の姿を思い出す。
 
 残った蜂蜜は台所の棚の上にしまっていたが、誰もいない間にこっそり舐めていた。舐めたのが分からないように少しずつ舐めていたのだが、ビンの中の蜂蜜はすぐに無くなった。当時は舐めているのは自分だけだと思っていたが、今考えると他の人も舐めていたような気がする。

 子どもの頃の懐かしい思い出である。



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