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草むしりしながら

読書・料理・野菜つくりなど日々の想いをしたためます

草むしりの得意料理 その2

2019-02-05 14:27:44 | 草むしりの得意料理
草むしりの得意料理その2
 
 鰯

 一昨日の節分の日には、スパーの総菜コーナーに大量の巻寿司が並んでいた。節分の日に巻寿司にかぶりつくなんて、いつから始まったのだろうか。しかし日曜日の夕飯が買った巻寿司で済むのだから、何もそんなことに目くじらを立てることもなかろう。早速買い求めたのだが、何だか物足りない。
 
 もっと他に何かないかと店内を探したてみたら、鮮魚コーナーの一角に鰯が置かれていた。巻寿司の影に隠れるようにひっそりと置かれている。そういえば昔は節分の日には、鰯を焼いていたような気がする。鰯を焼く煙が、鬼は嫌いだと聞いたことがある。あの風習はいったい何処に消えてしまったのだろう。
 
 なンて、ことは全然思わなかった。大ぶりで鮮度もいいし、刺身用と書かれている。〆鯖の要領で酢〆にしたら美味しかろうと思い、早速買い求めた。

 魚の酢〆の作り方はいたって簡単である。三枚におろして小骨を抜いたサバや、手で開いて背骨を取り除いた鰯に、やや強めに塩を振り冷蔵庫で半日寝かせる。その後表面の皮を剥ぎ、酢でよく洗う。洗った酢は捨て、新しい酢に十五分浸して出来上がり。

 美味しくするポイントは酢でよく洗うことと、十五分酢に浸すこと。表面の皮は冷蔵庫で冷やしてから剥ぐと、綺麗にはがれる。

 以前NHKの朝ドラ「ごちそうさん」に、柿の葉寿司の具として登場した〆鯖を見て興味を覚え、インターネットで作り方を調べた。脂がのっていてトロリとしているのに、あっさりしており、魚の生臭みも無い。以来〆鯖は、私の得意料理になった。ところが困ったことに、夫の一番嫌いな料理でもある。

 せっかく作っても嫌な顔をされるよりはましと、結局その日は塩焼きにした。ところがこれがまた美味しい。塩を振って焼いただけなのに。こんなに美味しいなんて。

 言い直します。私の得意料理は「鰯の塩焼き」です。焼きたてのアツアツにカボスを搾り、焼酎のお湯割りを添えます。





草むしりの得意料理 その1

2019-02-02 17:08:01 | 草むしりの得意料理
草むしりの得意料理 その1

コロッケ
 
 コロッケを始めて食べたのは小学校五年か六年の時だった。近所のヨーコちゃんというお姉さんが揚げたてのコロッケを一つくれ、作り方を教えてくれた。材料は家にある物で、ひき肉がなければ魚肉ソーセージでもいいと言われ、早速家に帰って作ってみることにした。

 今考えると小学校五年やそこらで、よくそんな手間のかかることが出来たと思う。たぶん途中から母か姉に手伝ってもらったのだろう。その辺のところはよく覚えていないが、以来コロッケは私の得意料理になった。

 平皿に盛られたキツネ色のコロッケのなんとお洒落なことか。ふだん菜っ葉と豆腐ばかりの食卓が、その時ばかりは華やいで見えた。父は「上手いものだな」と言うと、普段は全くしない晩酌を始めた。

 母は「すり鉢でジャイモを潰さなくても」と小言を言った。今ならば湯がいた鍋の中でジャイモを潰すのだが、その時は言われた意味が分からなかった。 

 自分だって白和えや山芋のとろろ汁を作るときは、すりこ木とすり鉢を使っているじゃないか。すりこ木はすり鉢の相棒なのだから、ジャガイモをすりこ木でつぶす時には、すり鉢の中でつぶすのが筋ではないか。

 すりこ木とすり鉢が相棒だなんて……。その時思ったかどうかは怪しいが、私が何かするとすぐ文句をいうと思ったのは確かだ。しかし「なぜそれがいけないのか」などと疑問に思ったことを素直に聞きもせず、ふてくされて黙って食べた。

 初めて作ったコロッケの味は正直言って覚えていないのだが、ほんの少しだけ反抗期のほろ苦い味がしたような気がする。