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草むしりしながら

読書・料理・野菜つくりなど日々の想いをしたためます

昆布だし

2020-12-29 11:15:26 | 草むしりの得意料理
昆布だし
 かつお節のうま味は「イノシン酸」、昆布のうま味は「グルタミン酸」である。この二つを合わせると、うま味が数倍に高まる。これを「味の相乗効果」という。

 「味の相乗効果」という言葉を習ったのは、中学か高校時の家庭科の時間だった。その時実際に昆布とかつお節でだしを取って作った「庄内麩のすまし汁」の何と美味しかったことか。「なるほど、これが味の相乗効果か」などと感心したことを覚えている。

 その時に習っただしの取り方を、最近まで律義に守ってきたのだが、2年ほど前に昆布だしだけでも、十分にいいだしが取れることに気づいた。

 だしの取り方はいたって簡単で、麦茶の容器に水と昆布を入れて、一晩冷蔵庫の中に入れて置くだけでいい。日持ちもよく、市販の濃縮タイプの麺つゆなど、このだしで割るとワンランク上の味になる。

 また和風だけではなく、カレーやシチューなどの煮込み料理にもよく合う。すぐに使えるように、冷蔵庫の中に常備しておくことが、このだしの使い方の一番のポイントである。

 さて、話はかわるが、クリスマス前の土曜日のことになる。ロールキャベツ、ぶり大根、生姜ご飯等々。例のだしで作った差し入れを持って、長女一家を訪ねた。大して珍しくもないのだが、休みに日に少しでも楽ができるようにとの親心からだ。

 車で行けば二十分くらいの距離なのだが、長い間あってはいない。しかも家には入らず外で十分かそこら、立ち話をしただけだ。このご時世なのでそれも仕方の無い事だ。

「祖母ちゃんだよ。祖父ちゃんだよ」
 一歳半になる孫にマスク越しに話しかるのだが、誰この人達って顔をして見ていた。それでよしとしなければ……。

 それにしても今年は私だけではなく、世界中の人にとって忘れなれない年になった。その上私の方は、孫に忘れられた年にもなった……。

 来年は孫に会えますように。

 皆さま良いお年を。    草むしり

味噌

2019-10-24 07:59:23 | 草むしりの得意料理
 先日樽から出した味噌は、二年前の冬に仕込んだもので、赤と言うよりも黒に近い色をしている。早速みそ汁を作ったが、感動するほど美味しくて、どこか懐かしくもあった。  
 
 簡単に言うと味噌は、柔らかく煮た大豆と米ないし麦の麹と塩を混ぜたものを、樽に仕込んでおけば出来る。その時に私たちの手に住み着いている菌が、味噌を美味しくする手助けをすると言われている。しかし手には悪さをする菌もいるので、綺麗に手を洗ってから味噌を作るのが鉄則だ。

 この味噌も私の手の菌が働いて、美味しくなったのだろう。大したものじゃないか私の菌は、などと自慢してしまった。このいい働きをする菌は、家にも住み着いているという。  

 そうか家の菌か……。そっちの方が働いたかな。たぶん母の菌もその中に混じっていたのだろう。母が生前使っていた味噌作りの道具や、古い家の柱や梁に住み着いていて、私が昼寝をしている間にこっそり樽の中に入ったのだろう。どおりで懐かしいはずだ。
 
 今年は十月に入っても暑い日が続き、ナスがまだ美味しい。子どものころには夏の間は、毎日なすみそ汁だった。いい加減飽きてきて、汁だけ飲んでナスを残してよく怒られた。今日のみそ汁は、その頃のみそ汁の味がした。

たまがる

2019-05-17 12:22:07 | 草むしりの得意料理
たまがる
  
 「たまがる」とは当地の方言で「驚く」という意味です。若い女性なら赤面してしまうようなこの方言、この頃ではあまり聞かれなくなりました。私などは若くもないのに、「驚いた」「びっくりした」などと日ごろは言っておりますが、本当に驚いた時などは「ああ、たまがった」などと口走ってしまいます。子どもの頃に馴染んだ言葉はそう簡単には抜けません。

 さてこの「たまがる」は、わらびのあく抜方法を説明するときにも使われます。あく抜きの方法は、蕨に灰を振りかけ、たっぷりの熱湯を注いで一晩置くのですが、蕨に熱湯をかけることを「たまがらかす」と言うのです。しかしこちらの「たまがらかす」も、近頃ではめったに聞かなくなりました。そればかりか、蕨など山に採りにも行かないし、食卓に上ることさえなくなってしまいました。
 
 ところが先日、立派な棒蕨を一握り頂く機会がありました。ちょっと面倒くさいなどと内心思いながら、喜んでいただきました。
 
 蕨は煮れば煮るほど固くなるといいます。たまがらかした蕨を濃い目の煮汁でさっと煮て、しばらく置いておきます。けっきょく食べたのはその翌日になってしまいましたが、シャキシャキの後にヌルっと来る食感が、たまりませんでした。

 「私のたまがらせ方が、たまがるほど上手なのよ」と変な自慢を家族にしてしまいました。しかしこんなに美味しいのなら、来年は山に蕨を採りに行こうかとも思いました。
 
  
 
 

えんどう飯が炊けるまで

2019-05-13 12:24:21 | 草むしりの得意料理
えんどう飯が炊けるまで

 今年もえんどうが実る季節になった。いつもの年なら周りを網でぐるりと囲まないと、鳥に実を食べられてしまうのだが、今年は網を張らなくても食べられなかった。
 
 山に食べ物がたくさんあるのだろうか。そういえば畑の脇に生えている野イチゴもたくさん実をつけていたが、気がつくと一粒残らず鳥に食べられていた。熟れたら食べようと思っていたのに残念だ。それでもおかげでえんどうの実を食べられずに済んだのだから、これでよしとしなければ。

 夕方近く、日よけ帽の中にエンドウを摘み取り家に帰った。パンパンに膨らんだ鞘の中から、行儀よく並んだ緑色の豆がボールの中に落ちていく。今夜はエンドウ飯にしよう。 

 お米を研ぎながら、ふいに亡くなった母のことを思い出した。母は生前えんどうの実を剥きながら、昔はえんどう飯を炊く暇も無かった。とよく言っていた。

 えんどうの実るこの時期は、農家は麦の刈り取りや田植えの準備で、とても忙しかった。今でこそ大型の機械を使って終わらせる仕事も、昔は何もかも手作業だった。
 
 その上仕事は、麦の刈り入れや田植えの準備だけでは無い。油を搾る菜種の刈り入れや、七島井(しっとうい)と言われる畳表にする井草の植え付けをするのもこの頃だった。
 
 我が家は兼業農家だったので、これらの仕事は全て母の肩に掛かっていた。せっかく実ったえんどうを、ご飯に炊き込む暇さえなかったのだろう。モンペ姿で忙しく働く母の姿を思い出す。

 炊飯器から湯気が上がり、えんどうの炊ける美味しそうな香りがしてきた。えんどう飯の炊ける間、忙しかった母のことを思い出していた。

 よく働いたね。母ちゃん。今年もエンドウ飯を炊いたよ。

草むしりの不断草

2019-02-16 16:33:23 | 草むしりの得意料理
草むしりの不断草
 
 スイスチャードやうまい菜などと呼ばれる西洋不断草は、アクも少なくそのまま油炒めや煮物、汁の実などに使える。また赤や黄色のスイスチャードの葉は、そのままサラダに入れても美味しい。また一度種をまくと、翌年からはこぼれた種から芽をだし、畑のあちこちに生えてくる。手間がかからず、栽培も楽で虫もつきにくい。私のお気に入りの野菜である。
 
 また我が家の畑にはこの西洋不断草の他に、昔からある不断草が植えられている。私が子供の頃から植えられていて、夏の初めに種を取り、秋にその種を蒔く。
 
 濃い緑色の刃先の尖った西洋種に比べ、こちらはまるい葉先をしている。冬の間はちっとも大きくならないで、白っぽい緑色をしている。しかし冬野菜から夏野菜に変わる端境期のころに、グングンと成長し柔らかな緑色の葉を茂らせる。そしてそろそろ畑の夏野菜ができ始める頃、自らの役目の終わりを悟ったように、太い茎をのばして花を咲かせ実を結ぶ。
 
 昔は何処の家にでも植えていたのだが、近ごろではあまり見かけなくなった。
 
 湯がいておひたしや煮物にするとおいしいのだが、食べた時にちょっと土くさい匂がするのが玉に瑕。しかし同時期に出回る筍との相性は抜群で、一緒に味噌煮にすると大変に美味しい。味噌が筍のえぐみと不断草の土くささを消してくれる。
 
 母から譲り受けた不断草の種と、おいしい食べ方。どちらも大事にしていきたい。