やまろぐ☆つあれぽ

海外登山&トレッキングツア専門の
添乗員の自由日記と
家事育児の日常♪

カカ

2019-08-22 22:31:33 | ストック・カンリ 6000m越えインド北
ストック・カンリの登頂ツアー後半と
下山してからレーのホテルで
何回か、カカのことを思いだしては
涙がホロホロ出てきて
それはとてもあったかい涙で
ほっぺがやわらかくなる感じだったの。

あったかい涙。あふれてくるあったかい気持ち。

カカ


カカは耳が聞こえない。

カカは今回のツアでは
キッチンのアシストという立場だった。


カカは耳が聞こえないから
言葉は話せない。

みんなコミュニケーションは
身振り手振りでやってて特にこまってるふうではなかった。

耳が聞こえないから?
カカは人一倍、相手のことを見てる。気づける。

わたしはよくキッチンテントで
座ってた。(仕事のためだけど
ときどきみんなで歌ったりおしゃべりしてた)
カカはわたしの動作をよく観察してて
例えば、わたしがなにかをあけてゴミが出た瞬間
手をさっと出してうけとってくれる。いつもなの。

何かをこぼしたら横から助けてくれる。

どうしようかと立ち尽くしていると
目で「だいじょうぶ?」とすぐにこたえてくれる。

みんなで歌ってたら、その歌がわかるかのように
笑いながら、目が合う。



何日か一緒に過ごして、アタックのときには
第二グループで一緒だった。
カカは素手だった。
アイゼンはつけていなかった。
くるぶしまでのスニーカーみたいな黒い靴が
山頂でみたときには
びしょ濡れになっていた。
木の棒をストック代わりに使っていた。

それなのに、
いつもわたしたちみんなをよく見ててくれて
滑りそうなお客さんたちや
よろめくとき手を貸してくれた。(わたしたちはアイゼンなのに)

山頂ではたくさん写真を撮ってくれた。


わたしは空気の薄い
喜びに沸く山頂で、風の音も聞こえない
彼のことを見てた。笑顔だった。

みんな、スタッフたちはたいした装備は持っていなくて。

たとえば、若いテンジンも、
卓上ライトを頭に結び付けていた。
白くて薄いスパッツはお兄さんたちが
巻いてあげていた。


みんな、靴はびしょ濡れ。
カッパだって大したのもってない。
(こんな彼からが、先進国の最新の装備を持ったら
どんだけもっと強いんだろう)


ホテルの部屋で顔を洗いながら
彼の素手と、濡れた足を思い出し
雪のどんどん降る中
素手の手で、お客さんのザックから飲み物を出してあげていたり
ストックを外してあげているのをおもいだしたら
なんだかホロホロホロホロあったかい涙が止まらなくて。
水でじゃぶじゃぶ顔を洗いながら
涙が止まらなかった。
なんかひさしぶりに、そんなに泣いた。


支えてくれた彼らに
心から感謝なの。



ガイド ニャントックさん・スルーガイド ヤンジュンさん・プライベートポーター二名トクチェさん&ドルジェさん・ガイド ラクパさん
ラクパさんはエベレストに6回登ってる。

お客さんの女性もプライベートポーターさんの
支えがすばらしく、わたしとほぼ同じ感じ(それ以上に)
別れたあとのロス感が激しくて
涙ポロポロのことを、伝えてくださって、
(トレッキング後、ホテルの部屋で思い出して泣いてたんですって)
その話を聞いてるだけで
またわたしももらい泣きしそうな状態だった





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