tyokutaka

タイトルは、私の名前の音読みで、小さい頃、ある方が見事に間違って発音したところからいただきました。

最後の砦が堕ちる時(5)ー絵を描ける人達の不幸ー

2009年06月15日 13時58分49秒 | DTP/Web
高校へ進学した際、芸術選択で美術、音楽、書道の3項目から選べという用紙がまわってきた。正直、美術というより、絵を描く事が苦手である。一番手間がかからないのが、書道か。勿論、これも立派な芸術である。書道家、あるいは書家という名称にもあるように、活躍する人は多い。だが、たいがいは、ヘッタピが墨で字を書いているようなものだ。反面、美術はその能力が非常に顕在化しやすい。

かの漫画家、西原理恵子が美術学校に入って、はじめて校内の学生展をみたとき、あまりにも自分と実力が違うので驚いたそうだ。彼女の言葉を使えば「ヤベエ、家帰りたいよ オレ」

そんな感じで学内調査を行った結果、6クラス中、3クラスは書道、2クラスは音楽、1クラスは美術となった。かなり偏っているが、上の理由を考えれば、結局そんなところか。私は音楽を選択していた。しかし、よくあるように、楽譜を見てドレミへ即座に変換できる訳でもなく、楽譜の下にせっせと書いていた。後年、大学に入ると、ゼミの友人が軽音に入って、ドラムを叩いていた。読めるんだろうと思ったが、彼も書いていたらしい。その後彼がギターに転向した時は、驚くよりあきれたが。

かくて、絵をうまく描ける人を尊敬する。

今の仕事柄、芸術系の大学生と会うというか、作品を拝見することが多いのだが、うまいというより、前衛すぎてわからないのである。しかし、あの芸術系の大学を出た人達は、就職でその後どうするのだろうと思う。

実は、結構決まらない人が多かった。確かに、技術がすごくても、なかなか職業に結びつかない。

DTPやWebの世界は、結局、この種の人間を非常に重宝するところがある。たしかに芸術系の大学を出ていない新参者をとる事もあるが、それは基本的に絵が描ける人が多い。芸術的なセンスを持っている人々と言ったところか。

となると、美術を避けて来た私は、論外であったというのもある。下手でも休みの日に絵を描いている訳ではない。

ただ、絵を描ける彼らが、こういったDTPやWebの世界でその実力を充分にのばせるかというと、そうでもない。残念だが、会社の言う通りに動くだけだ。非常にセンスのいいCGデザイナーの作品を見たが、仕事が減っているみたいだ。食うために専門学校の講師を行う彼は、半端じゃない量のグラフィック系の資格を持っている。DTPエキスパートもその一つだ。

人材が飽和した世界においては、採用という場面において、その世界の若手のエリートをとる事を考える。より優秀な人間をとることは容易だからだ。はいれば、必ずしもその人間でなければならない仕事内容でもないのだが。

イラストレーターの使い方は確かに習った。でも、今の私でも、芸術選択は音楽になると思う。