11/14(Sun) 結末
土砂降りの中、bottleを2本手に取り、1本の水を数口飲み左に投げた。最後の給水pointを抜けるとMaxの背中が見えた。SHINyaが声をかける。最低でも我々2人についてこれないと完走できないだろう。時間的にlimitだ。しかししばらくして後ろを振り返るとMaxは小さくなっていった。左手に海が見えると雨は豪雨となって我々をさらに痛めつけた。もう脚は残っていない。SHINyaはまだ脚が残っているようだった。SHINyaの後ろにぴたりと付き、後輪と脚だけを見て黙々とペダリングした。いろいろな事が頭に浮かんでは消えていった。仕事のこと、親父のこと、これからのこと、、、
最後のCP8「川上」まで約15km以上。CP7である「安部」を通過した時、我々に残された時間はCP8まで20分を切っていた。ここから最後の難関の峠がある。再び海岸線に出た時、雨があがった。残された時間と同じように体力も残りわずかであった。峠が始まり少し進むとそこにBEATの背中が見えた。ここで今までに経験したことのない諦めの感情が一気に胸に湧き上がる。SHINyaに一言『もう、だめじゃね?』。そんな言葉を振り切りSHINyaはattackしていった。俺は限界を迎えた。
気持ちも体力も無くなりBikeから降りようとしたとき、遠くの2人が目に入った。SHINyaとBEATがもがいている姿は、最後のほんのひと欠片の何かを動かした。
足りないものが多すぎた。いや、何もかもが自分には足りない。そして己に負けた。『僕は口が裂けてもアキラメロなどとは言わない』大好きな岡本太郎の言葉が空に飛んで行った。情けなかった。自分に負けたことが。出直しか。俺は出直すことができるのだろうか。
『もしかしたらSHINyaは最後の関門を抜けたかもしれない』そう微かな願いを思いながら最後の下りをcruiseした。最後のCP8「川上」が見えると道は封鎖されていた。約8分overだった。8分程度start時間が早くなったことを考慮すれば、約15分以上をoverしたことになる。20人ほどの人だかりの中、残念ながらSHINyaの姿があった。少しするとBEATが到着し、サポーターのおじちゃんから温かい一杯を頂く。砂糖がきいていたが、それは俺にとって完全なる敗北の苦い一杯であった。
Goal地点に自走で戻る。雨は上がり路面は何もなかったかのように乾いていた。何もなかった。何も残っていない心を、オキナワの生温かい浜風がなでていった。そして俺の俺達のオキナワが終わった。